健康でいきいきとした毎日を送りたい。
これは、皆さん誰もが願うことです。
しかし、現代社会では都市化、工業化などによって大気汚染が進み、ストレスも多く、不規則な生活を送りがちとなり、健康を維持していくことが難しくなっています。
ですから私たちは日頃から、バランスのとれた食事を基本にするとともに、健康を守る働きのある栄養素の一つでもあるビタミンも十分にとる必要があります。
ビタミンには、生きていくために必要な栄養素としての働き(生理作用)のほかに、病気を予防する働きがあります。
ビタミンにはたくさんの種類があって、それぞれがいろいろな働きをしていますが、その中でも最近注目されているのが抗酸化作用をもったビタミンです。
抗酸化ビタミンの主なものには、ビタミンC、ビタミンE、β−カロテンがありますが、これらのビタミンが、がんや成人病を予防したり、老化を遅らせる働きもあることがわかってきたのです。
ここでは、この抗酸化ビタミンについてみていくことにしましょう。
「みなさん、こんにちは。私はビタミン博士です。
少しむつかしいのですが、いま話題の抗酸化ビタミンとは一体どんなビタミンなのかということについて、お話しましょう。」
「抗酸化ビタミンとは読んで字のごとく、酸化を防ぐビタミンです。」
「では、酸化するということはどんなことなのでしょう。
例えば、皮をむいたりんごが茶色く変色したり、油が古くなって変質したり、また包丁が錆びたりしますね。
これらはすべて酸化が原因で起こるのです。
これと同じことが人間のからだの中でも起こっているのです。」
「人間は酸素をとり入れて生きているため、酸素はかかせないものですが、体内にとり込まれた酸素のうち約2%が不安定な形で漂っています。
これを活性酸素といいます。
この活性酸素が安定した形になろうと暴れまわり、フリーラジカルと呼ばれる物質を作りだし、それが細胞に障害を起こさせる引き金になっています。」
「活性酸素やフリーラジカルは、大気汚染、放射線、紫外線、化学薬品、たばこ、農薬などによって促進されます。」
「また、激しい運動ストレスなども、活性酸素やフリーラジカルの生成を促進します。」
「この活性酸素やフリーラジカルが、私たちのからだを構成する細胞を攻撃して壊してしまい、はじめは一つだったフリーラジカルは細胞を攻撃する度に過酸化脂質がどんどん増えていき、次から次へと細胞を壊していって、さらに過酸化脂質を増やしていっているのです。」
「細胞が壊され続け、過酸化脂質が増えると、やがてがんや成人病へとつながっていきます。
また、老化を早める原因になるともいわれています。」
「しかし普段は、私たちのからだに備わっている防御機能が働いて、酸化を抑えています。
それが、抗酸化酵素と抗酸化ビタミンなのです。」
「抗酸化酵素は必要に応じてからだの中で作られ、活性酸素やフリーラジカルの作用を消してくれます。」
「ところが、環境の悪化やストレスの増大等でからだがダメージを受けると、活性酸素やフリーラジカルがどんどん増え、抗酸化酵素の生成が間に合わなくなって、対応しきれなくなってきます。」
「そこで、抗酸化ビタミンの存在が重要になってくるのです。
抗酸化ビタミンは細胞を壊そうとしている活性酸素やフリーラジカルを取り除いてくれたり、守ってくれる、頼もしいビタミンなのです。」
「ですから、日頃から抗酸化ビタミンを十分とっていれば、がんや成人病を予防し、老化を遅らせることができるのです。」
「では次に、抗酸化ビタミンであるビタミンCとビタミンEとβ−カロテン、それぞれの特徴についてお話しましょう。」
「ビタミンCは水に溶けやすいビタミンで、からだの中では水溶液の部分に含まれています。」
「私たちのからだの六割位が水分ですが、そこにフリーラジカルが発生した場合、溶けているビタミンCはそれらをやっつけて増えないようにしてくれるのです。」
「ビタミンCには抗酸化作用以外の働きとして、細胞と細胞をつないでいるコラーゲンの生成を助けたり、鉄の吸収をよくしたり、免疫機能を正常に保つ働きをしたり、発がん物質であるニトロソアミンの形成を防いだりといった働きがあります。」
「ビタミンEは油に溶けるビタミンです。
脂質からでいている細胞膜や血液の中にあるコレステロールを運ぶ物質(リポたんぱく)などに多く含まれています。」
「ビタミンEはフリーラジカルをやっつける力が強い、強力な抗酸化ビタミンです。
脂肪酸などはとても酸化されやすく、一度酸化されると過酸化脂質となってからだに悪影響を及ぼすので、このビタミンEの働きは重要です。かつて、動脈硬化の原因といわれた悪玉コレステロールも、最近の研究では、コレステロールが酸化されて悪玉に変わることがわかってきました。」
「ビタミンEには抗酸化作用以外の働きとして、抹梢血管を拡張し血液の循環をよくしたり、発がん物質であるニトロソアミンの形成を防いだり、妊娠・出産に関わる働きをもっています。」
「β−カロテンは、緑黄色野菜や果物等に含まれいる色素の一つです。
このβ−カロテンがからだの中でビタミンAになるわけですが、からだの中に入ったβ−カロテンすべてがビタミンAになるわけではなく、必要に応じてビタミンAに変わりますが、一部はβ−カロテンのままで、いろいろな働きをしていることがわかってきました。」
「その一つが酸化防止剤としての働きなのです。
β−カロテンも油に溶けやすい性質を持っているので、ビタミンE同様、細胞膜やリポたんぱく質の中に多く含まれ、活性酸素やフリーラジカルの攻撃を防いでいます。」
「そのほかβ−カロテンは、前がん細胞を増殖することを抑えて、がんに進行していくのを妨げる働きがあるといわれています。」
「これらの3つのビタミンの抗酸化作用とは働きの少し違うものにビタミンB2があります。
ビタミンB2は、水に溶けやすいビタミンの一つです。」
「ビタミンB2は動脈硬化の元凶とされる過酸化脂質(いわゆる細胞の酸化)を分解するのを助けます。ビタミンB2には、コレステロールの低下や血液の固まりやすさを正常に保つ働きもあるといわれています。
動脈硬化が気になるときは、ビタミンB2を意識してとりましょう。」
「ビタミンB2のその他の働きとしては、成長を促進するのに必要なビタミンです。
また、皮膚や目、鼻、口などの粘膜を健康に保つために必要な栄養素でもあります。」
「いかがでしたか。抗酸化ビタミンは私たちにとってとても大切なビタミンであることが、おわかりいただけたでしょうか。ただ、抗酸化ビタミンも体の防御機構の一つです。ですから、抗酸化ビタミンだけをとっていれば良いというわけではないことを強調しておきましょう。」
ビタミン博士のお話は、これで終わります。
次は、抗酸化ビタミンの上手なとり方について説明しましょう。
ビタミンCを多く含む食品は、果物、野菜、いも類、お茶などです。
ビタミンCは水に溶けやすく、その上熱に弱く、空気やアルカリ、酵素によっても壊されてしまうので、調理法に十分注意が必要です。
青菜をゆでるときなどは、多めの熱湯に入れ、さっとゆで上げ、水にさらす時間も短くします。
ビタミンCは空気に触れると酸化して効力がなくなるので、切ったり、おろしたりするには食べる直前にします。
そして、野菜ジュースやおろしなど、生のままのときは、レモン汁や酢を加えて酸化を抑えるのがコツです。ちょっと手をかけましょう。
ビタミンEを多く含む食品は、植物油、ナッツ類、魚などに多く含まれています。
脂溶性なので、油と組み合わせてとると吸収率がよくなります。
また、植物油はそのもの自体、ビタミンEをたっぷり含んでいるので、効果は大きいといえます。
いま、干物や油を使った加工食品にはビタミンEが添加され、私たちの食卓にのぼるまでにも酸化を防止しています。
ビタミンEが効率的にとれる調理法はいろいろありますが、揚げ物、サラダのドレッシング、パンにマーガリンをつけるなど、目先を変えて
とることができます。
しかし、油は古いものだと過酸化脂質を生成し、逆効果となります。
油は新しいものを使いましょう。
紫外線にもよわいので、保存するときは冷暗所に、使用した油はその都度、ていねいに漉しておきましょう。
β−カロテンを多く含む食品は、緑黄色野菜や果物などです。
β−カロテンは脂溶性で熱に強いため、油と一緒にとると吸収もよくなります。
ビタミンEを多く含む植物油を使うと、β−カロテンの酸化を防いでもくれます。
脂肪分を控えたいときは、小松菜、ほうれん草をごま合えにしたり、サラダにドレッシングをかけたりするとよいでしょう。
ビタミンB2を多く含む食品は、牛乳・乳製品、納豆、卵、ナッツ類、胚芽、レバーなどです。
ビタミンB2は、たんぱく質と一緒にとると効率よく体内で利用されます。
抗酸化ビタミンは、とても大切なビタミンです。
ビタミンCやビタミンE、β−カロテン、ビタミンB2が抗酸化ビタミンとして働くためには、これらの食品を十分とる必要があるといわれています。
しかし、これらのビタミンが十分効果を出すにも、毎日のバランスのとれた食生活が基本になることを忘れてはなりません。
毎日の食事をよく考えた上に、抗酸化ビタミンを十分にとるように心がけましょう。
そして、いつまでも健康でいきいきした毎日を送りたいものです。
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これは、皆さん誰もが願うことです。
しかし、現代社会では都市化、工業化などによって大気汚染が進み、ストレスも多く、不規則な生活を送りがちとなり、健康を維持していくことが難しくなっています。
ですから私たちは日頃から、バランスのとれた食事を基本にするとともに、健康を守る働きのある栄養素の一つでもあるビタミンも十分にとる必要があります。
ビタミンには、生きていくために必要な栄養素としての働き(生理作用)のほかに、病気を予防する働きがあります。
ビタミンにはたくさんの種類があって、それぞれがいろいろな働きをしていますが、その中でも最近注目されているのが抗酸化作用をもったビタミンです。
抗酸化ビタミンの主なものには、ビタミンC、ビタミンE、β−カロテンがありますが、これらのビタミンが、がんや成人病を予防したり、老化を遅らせる働きもあることがわかってきたのです。
ここでは、この抗酸化ビタミンについてみていくことにしましょう。
「みなさん、こんにちは。私はビタミン博士です。
少しむつかしいのですが、いま話題の抗酸化ビタミンとは一体どんなビタミンなのかということについて、お話しましょう。」
「抗酸化ビタミンとは読んで字のごとく、酸化を防ぐビタミンです。」
「では、酸化するということはどんなことなのでしょう。
例えば、皮をむいたりんごが茶色く変色したり、油が古くなって変質したり、また包丁が錆びたりしますね。
これらはすべて酸化が原因で起こるのです。
これと同じことが人間のからだの中でも起こっているのです。」
「人間は酸素をとり入れて生きているため、酸素はかかせないものですが、体内にとり込まれた酸素のうち約2%が不安定な形で漂っています。
これを活性酸素といいます。
この活性酸素が安定した形になろうと暴れまわり、フリーラジカルと呼ばれる物質を作りだし、それが細胞に障害を起こさせる引き金になっています。」
「活性酸素やフリーラジカルは、大気汚染、放射線、紫外線、化学薬品、たばこ、農薬などによって促進されます。」
「また、激しい運動ストレスなども、活性酸素やフリーラジカルの生成を促進します。」
「この活性酸素やフリーラジカルが、私たちのからだを構成する細胞を攻撃して壊してしまい、はじめは一つだったフリーラジカルは細胞を攻撃する度に過酸化脂質がどんどん増えていき、次から次へと細胞を壊していって、さらに過酸化脂質を増やしていっているのです。」
「細胞が壊され続け、過酸化脂質が増えると、やがてがんや成人病へとつながっていきます。
また、老化を早める原因になるともいわれています。」
「しかし普段は、私たちのからだに備わっている防御機能が働いて、酸化を抑えています。
それが、抗酸化酵素と抗酸化ビタミンなのです。」
「抗酸化酵素は必要に応じてからだの中で作られ、活性酸素やフリーラジカルの作用を消してくれます。」
「ところが、環境の悪化やストレスの増大等でからだがダメージを受けると、活性酸素やフリーラジカルがどんどん増え、抗酸化酵素の生成が間に合わなくなって、対応しきれなくなってきます。」
「そこで、抗酸化ビタミンの存在が重要になってくるのです。
抗酸化ビタミンは細胞を壊そうとしている活性酸素やフリーラジカルを取り除いてくれたり、守ってくれる、頼もしいビタミンなのです。」
「ですから、日頃から抗酸化ビタミンを十分とっていれば、がんや成人病を予防し、老化を遅らせることができるのです。」
「では次に、抗酸化ビタミンであるビタミンCとビタミンEとβ−カロテン、それぞれの特徴についてお話しましょう。」
「ビタミンCは水に溶けやすいビタミンで、からだの中では水溶液の部分に含まれています。」
「私たちのからだの六割位が水分ですが、そこにフリーラジカルが発生した場合、溶けているビタミンCはそれらをやっつけて増えないようにしてくれるのです。」
「ビタミンCには抗酸化作用以外の働きとして、細胞と細胞をつないでいるコラーゲンの生成を助けたり、鉄の吸収をよくしたり、免疫機能を正常に保つ働きをしたり、発がん物質であるニトロソアミンの形成を防いだりといった働きがあります。」
「ビタミンEは油に溶けるビタミンです。
脂質からでいている細胞膜や血液の中にあるコレステロールを運ぶ物質(リポたんぱく)などに多く含まれています。」
「ビタミンEはフリーラジカルをやっつける力が強い、強力な抗酸化ビタミンです。
脂肪酸などはとても酸化されやすく、一度酸化されると過酸化脂質となってからだに悪影響を及ぼすので、このビタミンEの働きは重要です。かつて、動脈硬化の原因といわれた悪玉コレステロールも、最近の研究では、コレステロールが酸化されて悪玉に変わることがわかってきました。」
「ビタミンEには抗酸化作用以外の働きとして、抹梢血管を拡張し血液の循環をよくしたり、発がん物質であるニトロソアミンの形成を防いだり、妊娠・出産に関わる働きをもっています。」
「β−カロテンは、緑黄色野菜や果物等に含まれいる色素の一つです。
このβ−カロテンがからだの中でビタミンAになるわけですが、からだの中に入ったβ−カロテンすべてがビタミンAになるわけではなく、必要に応じてビタミンAに変わりますが、一部はβ−カロテンのままで、いろいろな働きをしていることがわかってきました。」
「その一つが酸化防止剤としての働きなのです。
β−カロテンも油に溶けやすい性質を持っているので、ビタミンE同様、細胞膜やリポたんぱく質の中に多く含まれ、活性酸素やフリーラジカルの攻撃を防いでいます。」
「そのほかβ−カロテンは、前がん細胞を増殖することを抑えて、がんに進行していくのを妨げる働きがあるといわれています。」
「これらの3つのビタミンの抗酸化作用とは働きの少し違うものにビタミンB2があります。
ビタミンB2は、水に溶けやすいビタミンの一つです。」
「ビタミンB2は動脈硬化の元凶とされる過酸化脂質(いわゆる細胞の酸化)を分解するのを助けます。ビタミンB2には、コレステロールの低下や血液の固まりやすさを正常に保つ働きもあるといわれています。
動脈硬化が気になるときは、ビタミンB2を意識してとりましょう。」
「ビタミンB2のその他の働きとしては、成長を促進するのに必要なビタミンです。
また、皮膚や目、鼻、口などの粘膜を健康に保つために必要な栄養素でもあります。」
「いかがでしたか。抗酸化ビタミンは私たちにとってとても大切なビタミンであることが、おわかりいただけたでしょうか。ただ、抗酸化ビタミンも体の防御機構の一つです。ですから、抗酸化ビタミンだけをとっていれば良いというわけではないことを強調しておきましょう。」
ビタミン博士のお話は、これで終わります。
次は、抗酸化ビタミンの上手なとり方について説明しましょう。
ビタミンCを多く含む食品は、果物、野菜、いも類、お茶などです。
ビタミンCは水に溶けやすく、その上熱に弱く、空気やアルカリ、酵素によっても壊されてしまうので、調理法に十分注意が必要です。
青菜をゆでるときなどは、多めの熱湯に入れ、さっとゆで上げ、水にさらす時間も短くします。
ビタミンCは空気に触れると酸化して効力がなくなるので、切ったり、おろしたりするには食べる直前にします。
そして、野菜ジュースやおろしなど、生のままのときは、レモン汁や酢を加えて酸化を抑えるのがコツです。ちょっと手をかけましょう。
ビタミンEを多く含む食品は、植物油、ナッツ類、魚などに多く含まれています。
脂溶性なので、油と組み合わせてとると吸収率がよくなります。
また、植物油はそのもの自体、ビタミンEをたっぷり含んでいるので、効果は大きいといえます。
いま、干物や油を使った加工食品にはビタミンEが添加され、私たちの食卓にのぼるまでにも酸化を防止しています。
ビタミンEが効率的にとれる調理法はいろいろありますが、揚げ物、サラダのドレッシング、パンにマーガリンをつけるなど、目先を変えて
とることができます。
しかし、油は古いものだと過酸化脂質を生成し、逆効果となります。
油は新しいものを使いましょう。
紫外線にもよわいので、保存するときは冷暗所に、使用した油はその都度、ていねいに漉しておきましょう。
β−カロテンを多く含む食品は、緑黄色野菜や果物などです。
β−カロテンは脂溶性で熱に強いため、油と一緒にとると吸収もよくなります。
ビタミンEを多く含む植物油を使うと、β−カロテンの酸化を防いでもくれます。
脂肪分を控えたいときは、小松菜、ほうれん草をごま合えにしたり、サラダにドレッシングをかけたりするとよいでしょう。
ビタミンB2を多く含む食品は、牛乳・乳製品、納豆、卵、ナッツ類、胚芽、レバーなどです。
ビタミンB2は、たんぱく質と一緒にとると効率よく体内で利用されます。
抗酸化ビタミンは、とても大切なビタミンです。
ビタミンCやビタミンE、β−カロテン、ビタミンB2が抗酸化ビタミンとして働くためには、これらの食品を十分とる必要があるといわれています。
しかし、これらのビタミンが十分効果を出すにも、毎日のバランスのとれた食生活が基本になることを忘れてはなりません。
毎日の食事をよく考えた上に、抗酸化ビタミンを十分にとるように心がけましょう。
そして、いつまでも健康でいきいきした毎日を送りたいものです。
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ガン末期からの生還他ビデオ特集
人間が生きていくのに必要な五大栄養素のひとつがビタミン。ビタミンCが不足して起きる壊血病、B1が不足すると脚気、Dの不足はくる病など、食生活におけるビタミンの重要性はよく知られている。そのビタミンが生活習慣病との関係で最近見直されている。日本ビタミン学会評議員の吉川敏一京都府立医科大学第一内科助教授に、ビタミンと疾病予防との関係について聞いた。
Q.最近ビタミンが見直されていますが?
A.ビタミンはさまざまな生理作用を持っています。その生理作用が十分に得られないと欠乏症が起こります。一方、ビタミンを摂取し続けると生理作用にはとどまらない効果を及ぼすことが少なくありありません。こうした作用を薬理作用と呼んでいます。ビタミンの研究は、かつては欠乏症の学問でしたが、最近では、意識的に多く摂取して病気を予防、治療をすることが注目されています。ビタミンの秘めたる効果を利用して、がんや脳卒中、心臓病、動脈硬化などの生活習慣病やからだの老化を防ぐことなどに役立てようという研究が活発になっています。なかでも脚光を浴びているのがその抗酸化作用です。
Q.抗酸化作用とは?
A.私たち生物は酸素なしには生きていけないのですが、それがからだに取り込まれて悪玉酸素ともいうべき活性酸素に変化するのです。それが、その毒性で細胞膜を壊し、脂質やたんぱく質を変性させ、DNAに傷を与えるなどして、がんや動脈硬化などの生活習慣病の原因となっていることがわかってきました。この活性酸素の障害からからだを守るビタミンが、ビタミンCとE、β-カロチンの3つで、これらを抗酸化ビタミンと呼んでいます。
だから人間は酸素の毒性から逃れることはできません。酸素の毒性からいかに防御していくかがかぎなのです。活性酸素は酸素の毒性がより強力になったもので、スーパーオキシド、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素の4種があります。活性酸素のほかにフリーラジカルという物質があり、これは対になっていない電子を持っていて不安定なので、他の分子から電子を奪って、つまり酸化して、安定化しようとする物質です。フリーラジカルには活性酸素のスーパーオキシドやヒドロキシラジカルのほかに、脂質ラジカル、脂質ペルオキシルラジカル、一酸化窒素などがあります。
Q.どのような時に活性酸素やラジカルが発生するのですか?
A.胃炎や関節炎などの炎症は、血液中の好中球やマクロファージが本来は細菌などの病原体を殺傷するための活性酸素を大量に放出することで起きるのです。また、紫外線や放射線などが体内に入ると、活性酸素が産生されます。そのほかに心筋梗塞などで虚血した後に血液が再灌流する時にも大量の活性酸素が出ます。タバコの煙の中にはたくさんのラジカルがあるし、排気ガスや農薬の中にもあります。
これらの活性酸素やフリーラジカルを消去する物質が抗酸化物質で、抗酸化作用がある酵素としては、スーパーオキシドを消去するスーパーオキシドジムスターゼ(SOD)や過酸化水素を消去するカタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼなどがあります。また酵素以外に、さきほどの抗酸化ビタミンなどがあります。
Q.生活習慣病と酸化ストレスとビタミンとの関係は?
A.日本人の死因の2位が脳卒中で、3位が心臓病ですが、心筋梗塞と脳梗塞を合わせた虚血性疾患の死亡数は1位のがんを上回ります。これらの虚血性疾患を起こす動脈硬化は、がんよりもむしろ恐ろしい病気といえるかもしれません。動脈硬化の原因としてコレステロールがあげられます。コレステロールはからだの細胞を構成するのに必要な物質なのですが、油なので血液にとけません。だから、LDL(低比重リポタンパク)やHDL(高比重リポタンパク)に乗せられて運ばれます。HDLは善玉、LDLは悪玉と考えられてきましたが、これが最近の研究で、LDL自体はさほど悪くないが、それが活性酸素によって変性LDLとなり、それをマクロファージが取り込んで泡沫細胞となって動脈壁に沈着することで動脈硬化となることが分かってきました。
米国人医療従事者の男性39910人の調査結果では、ビタミンEを服用している人は、1回目の心臓発作を起こすリスクが40%低いことが分かりました。英国で行われた臨床実験でも、1回目の心臓発作を起こした患者約2000人にビタミンEを1日800ミリグラム、1000日間投与したところ、2回目の発作を起こす確率が77%減少しました。つまり、コレステロールが多くてもビタミンEなどの抗酸化物質を多くとっていれば動脈硬化になりにくいということです。
また、糖尿病はその合併症が怖いのですが、そのほとんどが血管の病気です。血糖値のコントロールが悪いと、糖化たんぱくが増え、その過程で活性酸素が発生すると同時に、SODなどの酵素も糖化されてその抗酸化作用を失います。このような活性酸素が亢進した状態が続くと毛細血管がボロボロとなり、糖尿病性腎症や糖尿病性網膜症などを併発し、冠動脈や脳動脈の動脈硬化が進むと心臓病や脳卒中を発症することになります。合併症の予防にはラジカルの消去が必要なのです。
Q.がんや痴ほうにも関係しているのですね?
発がんにはイニシエーション(開始)、プロモーション(促進)、プログレッション(悪性化)の3段階を経て進行します。発がん物質のほとんどが、さまざまな手段で活性酸素を発生させてDNAに損傷を与え、細胞膜の働きを変化させ、悪性度を増すといったがん化の3つの過程を進行させます。このように活性酸素の産生ががんを引き起こす元凶であれば、抗酸化ビタミンによってがんは予防できるはずです。
例えば中国の河南省林県は胃がんや食道がんが多い地域として知られていますが、その林県に住む40歳から69歳の約3万人を対象に5年間以上かけて行われた調査によると、β-カロチン15ミリグラム、ビタミンE30ミリグラム、セレン50マイクログラムを毎日とったグループは、とらなかったグループより、がんでの死亡率が13%低く、特に胃がんの死亡率は21%も低く抑えられたのです。
また、アルツハイマーでも活性酸素が関係しているといわれています。米国で341人のアルツハイマー病患者に1日200ミリグラムのビタミンEを投与したところ、病気の進行が遅くなったという結果があります。病気は、活性酸素とラジカルの傷害と抗酸化物質とのバランスで引き起こされるのです。
Q.抗酸化物質を含む食品とは?
A.抗酸化物質の主役はなんといってもビタミンですが、植物にはビタミン以外にも抗酸化物質がたくさん含まれています。最近話題になっている、赤ワインや緑茶、そしてニンニク、タマネギなどのユリ科の植物、キャベツ、カリフラワーなどのアブラナ科、大豆、甘草、コショウ、ゴマなどにはそのような抗酸化物質が含まれています。
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Q.最近ビタミンが見直されていますが?
A.ビタミンはさまざまな生理作用を持っています。その生理作用が十分に得られないと欠乏症が起こります。一方、ビタミンを摂取し続けると生理作用にはとどまらない効果を及ぼすことが少なくありありません。こうした作用を薬理作用と呼んでいます。ビタミンの研究は、かつては欠乏症の学問でしたが、最近では、意識的に多く摂取して病気を予防、治療をすることが注目されています。ビタミンの秘めたる効果を利用して、がんや脳卒中、心臓病、動脈硬化などの生活習慣病やからだの老化を防ぐことなどに役立てようという研究が活発になっています。なかでも脚光を浴びているのがその抗酸化作用です。
Q.抗酸化作用とは?
A.私たち生物は酸素なしには生きていけないのですが、それがからだに取り込まれて悪玉酸素ともいうべき活性酸素に変化するのです。それが、その毒性で細胞膜を壊し、脂質やたんぱく質を変性させ、DNAに傷を与えるなどして、がんや動脈硬化などの生活習慣病の原因となっていることがわかってきました。この活性酸素の障害からからだを守るビタミンが、ビタミンCとE、β-カロチンの3つで、これらを抗酸化ビタミンと呼んでいます。
だから人間は酸素の毒性から逃れることはできません。酸素の毒性からいかに防御していくかがかぎなのです。活性酸素は酸素の毒性がより強力になったもので、スーパーオキシド、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素の4種があります。活性酸素のほかにフリーラジカルという物質があり、これは対になっていない電子を持っていて不安定なので、他の分子から電子を奪って、つまり酸化して、安定化しようとする物質です。フリーラジカルには活性酸素のスーパーオキシドやヒドロキシラジカルのほかに、脂質ラジカル、脂質ペルオキシルラジカル、一酸化窒素などがあります。
Q.どのような時に活性酸素やラジカルが発生するのですか?
A.胃炎や関節炎などの炎症は、血液中の好中球やマクロファージが本来は細菌などの病原体を殺傷するための活性酸素を大量に放出することで起きるのです。また、紫外線や放射線などが体内に入ると、活性酸素が産生されます。そのほかに心筋梗塞などで虚血した後に血液が再灌流する時にも大量の活性酸素が出ます。タバコの煙の中にはたくさんのラジカルがあるし、排気ガスや農薬の中にもあります。
これらの活性酸素やフリーラジカルを消去する物質が抗酸化物質で、抗酸化作用がある酵素としては、スーパーオキシドを消去するスーパーオキシドジムスターゼ(SOD)や過酸化水素を消去するカタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼなどがあります。また酵素以外に、さきほどの抗酸化ビタミンなどがあります。
Q.生活習慣病と酸化ストレスとビタミンとの関係は?
A.日本人の死因の2位が脳卒中で、3位が心臓病ですが、心筋梗塞と脳梗塞を合わせた虚血性疾患の死亡数は1位のがんを上回ります。これらの虚血性疾患を起こす動脈硬化は、がんよりもむしろ恐ろしい病気といえるかもしれません。動脈硬化の原因としてコレステロールがあげられます。コレステロールはからだの細胞を構成するのに必要な物質なのですが、油なので血液にとけません。だから、LDL(低比重リポタンパク)やHDL(高比重リポタンパク)に乗せられて運ばれます。HDLは善玉、LDLは悪玉と考えられてきましたが、これが最近の研究で、LDL自体はさほど悪くないが、それが活性酸素によって変性LDLとなり、それをマクロファージが取り込んで泡沫細胞となって動脈壁に沈着することで動脈硬化となることが分かってきました。
米国人医療従事者の男性39910人の調査結果では、ビタミンEを服用している人は、1回目の心臓発作を起こすリスクが40%低いことが分かりました。英国で行われた臨床実験でも、1回目の心臓発作を起こした患者約2000人にビタミンEを1日800ミリグラム、1000日間投与したところ、2回目の発作を起こす確率が77%減少しました。つまり、コレステロールが多くてもビタミンEなどの抗酸化物質を多くとっていれば動脈硬化になりにくいということです。
また、糖尿病はその合併症が怖いのですが、そのほとんどが血管の病気です。血糖値のコントロールが悪いと、糖化たんぱくが増え、その過程で活性酸素が発生すると同時に、SODなどの酵素も糖化されてその抗酸化作用を失います。このような活性酸素が亢進した状態が続くと毛細血管がボロボロとなり、糖尿病性腎症や糖尿病性網膜症などを併発し、冠動脈や脳動脈の動脈硬化が進むと心臓病や脳卒中を発症することになります。合併症の予防にはラジカルの消去が必要なのです。
Q.がんや痴ほうにも関係しているのですね?
発がんにはイニシエーション(開始)、プロモーション(促進)、プログレッション(悪性化)の3段階を経て進行します。発がん物質のほとんどが、さまざまな手段で活性酸素を発生させてDNAに損傷を与え、細胞膜の働きを変化させ、悪性度を増すといったがん化の3つの過程を進行させます。このように活性酸素の産生ががんを引き起こす元凶であれば、抗酸化ビタミンによってがんは予防できるはずです。
例えば中国の河南省林県は胃がんや食道がんが多い地域として知られていますが、その林県に住む40歳から69歳の約3万人を対象に5年間以上かけて行われた調査によると、β-カロチン15ミリグラム、ビタミンE30ミリグラム、セレン50マイクログラムを毎日とったグループは、とらなかったグループより、がんでの死亡率が13%低く、特に胃がんの死亡率は21%も低く抑えられたのです。
また、アルツハイマーでも活性酸素が関係しているといわれています。米国で341人のアルツハイマー病患者に1日200ミリグラムのビタミンEを投与したところ、病気の進行が遅くなったという結果があります。病気は、活性酸素とラジカルの傷害と抗酸化物質とのバランスで引き起こされるのです。
Q.抗酸化物質を含む食品とは?
A.抗酸化物質の主役はなんといってもビタミンですが、植物にはビタミン以外にも抗酸化物質がたくさん含まれています。最近話題になっている、赤ワインや緑茶、そしてニンニク、タマネギなどのユリ科の植物、キャベツ、カリフラワーなどのアブラナ科、大豆、甘草、コショウ、ゴマなどにはそのような抗酸化物質が含まれています。
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ビタミンKは、出血に関係するビタミンとして知られてきました。しかし、体内におけるその詳しいはたらきがわかってきたのは、最近のことです。
ビタミンKは、成人では、食事からの摂取と腸内細菌によって合成されたものの吸収により十分供給できるので、まず欠乏することはありません。ところが、生まれたての赤ちゃんでは、ビタミンK不足から出血症がまれにおこることがあり、問題になっています。また、老人でも血液中のビタミンK量が低く、これが骨粗鬆症(骨がもろくなる病気)の一因となっているのではないかといわれはじめました。
そこでここでは、ビタミンKのはたらきについての新しい知見をまじえながら、乳児のビタミンK欠乏症や老人の骨粗鬆症をおこさないための注意について考えることにします。
ビタミンKとはどんなビタミンか
ビタミンKは、ビタミンA、D、Eとともに脂溶性ビタミンの仲間で、自然界では脂質の中に溶けこんで存在しています。
1 ビタミンKの発見
・血液を固まらせる作用のある物質の発見
デンマークのダムという人が、脂質をまったく含まないえさでニワトリのひなを育てると、筋肉や皮下などに出血をおこし、その血が固まりにくいことを見つけました。その当時知られていた各種のビタミンを与えても、出血は予防できませんでした。そこで彼は、この出来事には、脂質中に含まれるなにか新しいビタミンが関係しているのではないかと考え、その未知の物質をビタミンK(Kはドイツ語で”凝固”ということばの頭文字)と名づけました。1929年のことです。
その数年後に、この物質は純粋なかたちで抽出され、出血を止める作用(血液凝固作用、抗出血作用)のあることが明らかにされました。
・血液を固まりにくくする物質も発見
一方、カナダや北米の牧場で、出血をともなって死亡する牛の病気がしばしばみられ、食べていたえさの名からスイートクローバー病と呼ばれていました。
1941年、ある農夫が、この病気で死んだ牛と、固まらない血液、腐ったスイートクローバーを米国の農事試験場に持ち込み、調べてもらうことにしました。そうしたところ、こんどは、腐ったスイートクローバーの中に、血を固まりにくくする作用をもつ物質−ビタミンKのはたらきを阻害する物質がみつかりました。この物質を応用した研究で、血液中には血液凝固に関連するさまざまな物質(血液凝固因子)が存在することがわかりました。
そして最近になって、これらの血液凝固因子のいくつかのものが、体内でつくられるときに、ビタミンKが重要な役割をはたしていることがようやく明らかとなってきたのです。
2 ビタミンKの種類と自然界の分布
ビタミンKは自然界に広く分布していますが、天然に存在するビタミンKには、ビタミンK1とK2とがあります。この2つのビタミンKは、生物的な起源が異なりますが、はたらきの強さはほぼ同じと考えられています。
・植物の葉緑体でつくられるのはビタミンK1
ビタミンK1は、主として植物の葉緑体で産生されます。したがって、同じ植物でも、緑色の濃い葉の部分に多く含まれます。また、同じ葉でも、陽に当たる表側のほうが含有量が多くなります。
・微生物がつくりだすのがビタミンK2
ビタミンK2は、さまざまな微生物(細菌など)のはたらきによってつくりだされます。ビタミンK2を合成する微生物として私たちの身近な例では、納豆菌がビタミンK2を産生する力が強いことが知られています。そのため、納豆にはビタミンK2が多量に含まれています。
また、動物や人間の腸内には、多種多様の細菌(腸内細菌)がすみついており、これらの細菌の多くのものがビタミンK2を合成する能力をもっています。
ビタミンKのはたらき
私たちのからだには、じつに巧みなしかけがいっぱいありますが、出血(外傷)に対する防御機構もその一つです。たとえば、けがをすると血が出ますが、すぐに血は固まって、それ以上の出血を防ぎます。もしも血が固まらなかったら大変です。しかしまた、血管内で固まってしまっても困るわけです。
1 血が固まるとはどういう現象か
血が固まる現象(血液凝固)は、複雑な連鎖反応によっておこる現象で、これには血液中に存在する多くのたんぱく質のほか、カルシウムなどが関係しています。これらの血液凝固に関連する重要なたんぱく質のいくつかのものは、ビタミンKのはたらきがないとその機能を果たせないのです。
・血の固まる現象の最終段階
出血した血液は、最終的には、血漿中に溶けこんでいるフィブリノーゲン(線維素原)というたんぱく質が、トロンビンというたんぱく質の分解酵素のはたらきで、フィブリンという硬い線維状のたんぱく質にかえられ、このフイブリンが血球などを網状にからめて、血が固まります。
・トロンビンはプロトロンビンからカルシウムイオンの力で転換される
トロンビンは、プロトロンビン(“プロ”とは前駆体という意味)というたんぱく質からつくられますが、そのときやはり血液中に存在するカルシウムイオンと強く結合しないとトロンビンにはなれません。カルシウムイオンと結合していつでもトロンビンになれる条件をそなえたプロトロンビンを、活性型プロトロンビンといいます。
そして、プロトロンビンがこの活性型プロトロンビンになるためには、ビタミンKのはたらきが必要なのです。
2 血液凝固因子とビタミンKのかかわり
動物を用いた研究で、次のようなことがわかっています。
プロトロンビンは肝臓でつくられますが、そのときビタミンKが欠乏していると、よく似たたんぱく質はできるのですが、それは血液凝固を行う力をもっていないのです。そして、ビタミンKを与えると、この凝固力をもたないたんぱく質はプロトロンビンに変わります。どうしてこうした現象がおこるかを調べたところ、ビタミンKが、この凝固力をもたないたんぱく質に、カルシウムと結合する力を与えるはたらきをしていることがわかりました。
・ビタミンK欠乏では正常な能力をもたない血液凝固因子が増加する
このプロトロンビンによく似ているが凝固力のないたんぱく質は、プロトロンビンの前駆体といってもよいでしょう。つまり、正常なはたらきをする活性型プロトロンビンができるためには、ビタミンKが不可欠なのです。
血が固まる現象は、実際には、もっともっと複雑に、多くのさまざまな血液凝固因子同士のはたらきが絡みあっています。そしてビタミンKは、プロトロンビンだけでなく、たんぱく質性の血液凝固因子のいくつかのものの合成に必要なことが知られています。
ビタミンKが欠乏すれば、正常な能力をもたない血液凝固因子が体内に多くなり、重大な血液凝固障害(出血症など)をおこすことになるわけです。
赤ちゃんとビタミンK
1 新生児は体内にビタミンKの備蓄が少ない
ビタミンKは、上に述べたように、血液を固めて傷口を防ぐ凝固因子をつくるのに必要なビタミンです。不足すると赤ちゃんに出血がおこりやすくなります。
・生まれたての赤ちゃんはビタミンK不足をおこすことがある
生まれたばかりの赤ちゃんは、もともと体内にビタミンKの蓄えが少ないのです。そのうえ、腸内細菌叢が十分かたちづくられていないので、腸内細菌によるビタミンK2の供給も期待できません。また、ビタミンKを吸収する能力も低いのです。そのため、出生直後に乳を飲む量が少なかったり、母乳中にビタミンKの含有量が少なかったりすると、ビタミンK不足になりやすいわけです。
2 母乳で育てるときに注意したいこと
赤ちゃんがビタミンK不足になると、とくに困るのは頭蓋内(脳内)出血をおこすことがあることです。この病気は、生後1か月ころにおこりやすい重い病気で、乳児ビタミンK欠乏性出血症と呼ばれています。
この病気は、人工栄養児よりも母乳で育てられた赤ちゃんに多くみられていました。これは、母乳中にビタミンKが不足がちのことが多いことが関係していると考えられています。しかし、適切な時期に赤ちゃんにビタミンKを補給すればその大部分は予防できます。ビタミンKの服用については、医師の説明をよく聞いてください。
・妊娠中からバランスのよい食事を十分にとることが大切
母乳は赤ちゃんにとって、いちばんよい栄養です。母親が健康で母乳が十分に出ていれば、生後5か月ごろまでは母乳だけでじょうぶに育ちます。ビタミンKを多く含む食品をあまり食べていない母親では、母乳中のビタミンK含有量が少なくなるといわれています。
ビタミンKは、緑色野菜、海藻、納豆、チーズその他、多種多様な食品に含まれますので、妊娠中からバランスのとれた食事を十分にとることが大切です。このような配慮をすれば、赤ちゃんを育てるうえでの心配はいりません。
ビタミンKを上手にとる
1 食品中のビタミンK含有量
先に述べたように、ビタミンKにはK1とK2の2種類があり、ビタミンKは、ほうれんそうなど緑色の濃い野菜に多く含まれています。わかめ、ひじきなどの海藻類や、植物油なども、ビタミンK1の供給源となります。
ビタミンK2は、微生物により産生されるものなので、ビタミンK2を含む食品の数はそうたくさんありません。細菌を利用して発酵させる納豆やチーズなどの発酵食品と、一部の乳製品などに含まれています。特にビタミンK2の含有量が多いのは納豆ですが、これは発酵に用いる納豆菌がビタミンK2を産生する力が強いためです。
ビタミンKをとるためには、発酵食品と緑葉野菜を上手に利用する必要があります。
2 ビタミンK2と腸内細菌
腸内には多種多様の細菌がすみついています。これらの腸内細菌は、私たちの体内でビタミンK2をつくります。
腸内細菌の種類や数は、年齢により、また同じ人でもその人の食生活や健康状態によっても変化します。したがって、腸内細菌によってどの程度のビタミンK2がつくりだされ、それがどの程度利用されているかは、いちがいにいえません。
離乳期以後の人では、1日に1〜1.5mg(1000〜1500μg)が供給されているともいわれますが、吸収率(利用率)などくわしいことは不明です。
3 ビタミンKの吸収
食品として摂取したビタミンKは、脂溶性ビタミンなので、その消化・吸収はほかの脂質と一緒に行われ、脂肪に溶けたかたちで小腸から吸収されます。吸収されたビタミンKは肝臓に運ばれたのち、体内の組織へと運ばれていきます。腸管からの吸収率は、食物中に含まれる脂肪の量とか、その人のからだの状態などによって大きく影響されるといわれています。
一方、大腸内で腸内細菌によってつくられたビタミンK2については、そのまま大腸から吸収されるようです。しかし、それがどのくらい吸収され利用されるかは、よくわかっていません。
4 ビタミンKの必要量
現在、ビタミンKの栄養所要量が定められているのは、米国とソ連だけです。米国のビタミンK栄養所要量は、必要量の半分を食事から摂取し、あと半分は体内で腸内細菌がつくるものを利用するという考え方で計算されています。また、すべてを食事から摂取することも考慮にいれて、所要量に幅をもたせ、成人1人1日当たり、70〜140μgとしています。
わが国では所要量は定められていませんが、必要量は成人でほぼ1日当たり100μg程度を目安にすればよいと考えられています。
おわりに
通常は、離乳期以後の人では、ビタミンKの必要量は、食事からの摂取と、腸内細菌の合成したものを直接吸収することによって満たされていますので、欠乏症はほとんどみられません。
しかし、最近、骨粗鬆症をおこしている老人では、血液中のビタミンKが少なくなっていることがわかりました。また、ビタミンKを与えると骨の強度が回復することも知られてきました。老人になると骨がもろくなりやすいので、ビタミンKの多い食品を食べることを心がけたいものです。
問題になっている新生児・乳児のビタミンK欠乏性出血症も、予防対策が進み、最近では激減の傾向にあります。母乳栄養児に比較的多く発生するからといって、いたずらに母乳哺育に不安をいだくことは賢明ではないでしょう。ふだんから、また妊娠・授乳中は特に気をつけて、納豆などビタミンKを多く含む食品を食べるようにしましょう。
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ビタミンKは、成人では、食事からの摂取と腸内細菌によって合成されたものの吸収により十分供給できるので、まず欠乏することはありません。ところが、生まれたての赤ちゃんでは、ビタミンK不足から出血症がまれにおこることがあり、問題になっています。また、老人でも血液中のビタミンK量が低く、これが骨粗鬆症(骨がもろくなる病気)の一因となっているのではないかといわれはじめました。
そこでここでは、ビタミンKのはたらきについての新しい知見をまじえながら、乳児のビタミンK欠乏症や老人の骨粗鬆症をおこさないための注意について考えることにします。
ビタミンKとはどんなビタミンか
ビタミンKは、ビタミンA、D、Eとともに脂溶性ビタミンの仲間で、自然界では脂質の中に溶けこんで存在しています。
1 ビタミンKの発見
・血液を固まらせる作用のある物質の発見
デンマークのダムという人が、脂質をまったく含まないえさでニワトリのひなを育てると、筋肉や皮下などに出血をおこし、その血が固まりにくいことを見つけました。その当時知られていた各種のビタミンを与えても、出血は予防できませんでした。そこで彼は、この出来事には、脂質中に含まれるなにか新しいビタミンが関係しているのではないかと考え、その未知の物質をビタミンK(Kはドイツ語で”凝固”ということばの頭文字)と名づけました。1929年のことです。
その数年後に、この物質は純粋なかたちで抽出され、出血を止める作用(血液凝固作用、抗出血作用)のあることが明らかにされました。
・血液を固まりにくくする物質も発見
一方、カナダや北米の牧場で、出血をともなって死亡する牛の病気がしばしばみられ、食べていたえさの名からスイートクローバー病と呼ばれていました。
1941年、ある農夫が、この病気で死んだ牛と、固まらない血液、腐ったスイートクローバーを米国の農事試験場に持ち込み、調べてもらうことにしました。そうしたところ、こんどは、腐ったスイートクローバーの中に、血を固まりにくくする作用をもつ物質−ビタミンKのはたらきを阻害する物質がみつかりました。この物質を応用した研究で、血液中には血液凝固に関連するさまざまな物質(血液凝固因子)が存在することがわかりました。
そして最近になって、これらの血液凝固因子のいくつかのものが、体内でつくられるときに、ビタミンKが重要な役割をはたしていることがようやく明らかとなってきたのです。
2 ビタミンKの種類と自然界の分布
ビタミンKは自然界に広く分布していますが、天然に存在するビタミンKには、ビタミンK1とK2とがあります。この2つのビタミンKは、生物的な起源が異なりますが、はたらきの強さはほぼ同じと考えられています。
・植物の葉緑体でつくられるのはビタミンK1
ビタミンK1は、主として植物の葉緑体で産生されます。したがって、同じ植物でも、緑色の濃い葉の部分に多く含まれます。また、同じ葉でも、陽に当たる表側のほうが含有量が多くなります。
・微生物がつくりだすのがビタミンK2
ビタミンK2は、さまざまな微生物(細菌など)のはたらきによってつくりだされます。ビタミンK2を合成する微生物として私たちの身近な例では、納豆菌がビタミンK2を産生する力が強いことが知られています。そのため、納豆にはビタミンK2が多量に含まれています。
また、動物や人間の腸内には、多種多様の細菌(腸内細菌)がすみついており、これらの細菌の多くのものがビタミンK2を合成する能力をもっています。
ビタミンKのはたらき
私たちのからだには、じつに巧みなしかけがいっぱいありますが、出血(外傷)に対する防御機構もその一つです。たとえば、けがをすると血が出ますが、すぐに血は固まって、それ以上の出血を防ぎます。もしも血が固まらなかったら大変です。しかしまた、血管内で固まってしまっても困るわけです。
1 血が固まるとはどういう現象か
血が固まる現象(血液凝固)は、複雑な連鎖反応によっておこる現象で、これには血液中に存在する多くのたんぱく質のほか、カルシウムなどが関係しています。これらの血液凝固に関連する重要なたんぱく質のいくつかのものは、ビタミンKのはたらきがないとその機能を果たせないのです。
・血の固まる現象の最終段階
出血した血液は、最終的には、血漿中に溶けこんでいるフィブリノーゲン(線維素原)というたんぱく質が、トロンビンというたんぱく質の分解酵素のはたらきで、フィブリンという硬い線維状のたんぱく質にかえられ、このフイブリンが血球などを網状にからめて、血が固まります。
・トロンビンはプロトロンビンからカルシウムイオンの力で転換される
トロンビンは、プロトロンビン(“プロ”とは前駆体という意味)というたんぱく質からつくられますが、そのときやはり血液中に存在するカルシウムイオンと強く結合しないとトロンビンにはなれません。カルシウムイオンと結合していつでもトロンビンになれる条件をそなえたプロトロンビンを、活性型プロトロンビンといいます。
そして、プロトロンビンがこの活性型プロトロンビンになるためには、ビタミンKのはたらきが必要なのです。
2 血液凝固因子とビタミンKのかかわり
動物を用いた研究で、次のようなことがわかっています。
プロトロンビンは肝臓でつくられますが、そのときビタミンKが欠乏していると、よく似たたんぱく質はできるのですが、それは血液凝固を行う力をもっていないのです。そして、ビタミンKを与えると、この凝固力をもたないたんぱく質はプロトロンビンに変わります。どうしてこうした現象がおこるかを調べたところ、ビタミンKが、この凝固力をもたないたんぱく質に、カルシウムと結合する力を与えるはたらきをしていることがわかりました。
・ビタミンK欠乏では正常な能力をもたない血液凝固因子が増加する
このプロトロンビンによく似ているが凝固力のないたんぱく質は、プロトロンビンの前駆体といってもよいでしょう。つまり、正常なはたらきをする活性型プロトロンビンができるためには、ビタミンKが不可欠なのです。
血が固まる現象は、実際には、もっともっと複雑に、多くのさまざまな血液凝固因子同士のはたらきが絡みあっています。そしてビタミンKは、プロトロンビンだけでなく、たんぱく質性の血液凝固因子のいくつかのものの合成に必要なことが知られています。
ビタミンKが欠乏すれば、正常な能力をもたない血液凝固因子が体内に多くなり、重大な血液凝固障害(出血症など)をおこすことになるわけです。
赤ちゃんとビタミンK
1 新生児は体内にビタミンKの備蓄が少ない
ビタミンKは、上に述べたように、血液を固めて傷口を防ぐ凝固因子をつくるのに必要なビタミンです。不足すると赤ちゃんに出血がおこりやすくなります。
・生まれたての赤ちゃんはビタミンK不足をおこすことがある
生まれたばかりの赤ちゃんは、もともと体内にビタミンKの蓄えが少ないのです。そのうえ、腸内細菌叢が十分かたちづくられていないので、腸内細菌によるビタミンK2の供給も期待できません。また、ビタミンKを吸収する能力も低いのです。そのため、出生直後に乳を飲む量が少なかったり、母乳中にビタミンKの含有量が少なかったりすると、ビタミンK不足になりやすいわけです。
2 母乳で育てるときに注意したいこと
赤ちゃんがビタミンK不足になると、とくに困るのは頭蓋内(脳内)出血をおこすことがあることです。この病気は、生後1か月ころにおこりやすい重い病気で、乳児ビタミンK欠乏性出血症と呼ばれています。
この病気は、人工栄養児よりも母乳で育てられた赤ちゃんに多くみられていました。これは、母乳中にビタミンKが不足がちのことが多いことが関係していると考えられています。しかし、適切な時期に赤ちゃんにビタミンKを補給すればその大部分は予防できます。ビタミンKの服用については、医師の説明をよく聞いてください。
・妊娠中からバランスのよい食事を十分にとることが大切
母乳は赤ちゃんにとって、いちばんよい栄養です。母親が健康で母乳が十分に出ていれば、生後5か月ごろまでは母乳だけでじょうぶに育ちます。ビタミンKを多く含む食品をあまり食べていない母親では、母乳中のビタミンK含有量が少なくなるといわれています。
ビタミンKは、緑色野菜、海藻、納豆、チーズその他、多種多様な食品に含まれますので、妊娠中からバランスのとれた食事を十分にとることが大切です。このような配慮をすれば、赤ちゃんを育てるうえでの心配はいりません。
ビタミンKを上手にとる
1 食品中のビタミンK含有量
先に述べたように、ビタミンKにはK1とK2の2種類があり、ビタミンKは、ほうれんそうなど緑色の濃い野菜に多く含まれています。わかめ、ひじきなどの海藻類や、植物油なども、ビタミンK1の供給源となります。
ビタミンK2は、微生物により産生されるものなので、ビタミンK2を含む食品の数はそうたくさんありません。細菌を利用して発酵させる納豆やチーズなどの発酵食品と、一部の乳製品などに含まれています。特にビタミンK2の含有量が多いのは納豆ですが、これは発酵に用いる納豆菌がビタミンK2を産生する力が強いためです。
ビタミンKをとるためには、発酵食品と緑葉野菜を上手に利用する必要があります。
2 ビタミンK2と腸内細菌
腸内には多種多様の細菌がすみついています。これらの腸内細菌は、私たちの体内でビタミンK2をつくります。
腸内細菌の種類や数は、年齢により、また同じ人でもその人の食生活や健康状態によっても変化します。したがって、腸内細菌によってどの程度のビタミンK2がつくりだされ、それがどの程度利用されているかは、いちがいにいえません。
離乳期以後の人では、1日に1〜1.5mg(1000〜1500μg)が供給されているともいわれますが、吸収率(利用率)などくわしいことは不明です。
3 ビタミンKの吸収
食品として摂取したビタミンKは、脂溶性ビタミンなので、その消化・吸収はほかの脂質と一緒に行われ、脂肪に溶けたかたちで小腸から吸収されます。吸収されたビタミンKは肝臓に運ばれたのち、体内の組織へと運ばれていきます。腸管からの吸収率は、食物中に含まれる脂肪の量とか、その人のからだの状態などによって大きく影響されるといわれています。
一方、大腸内で腸内細菌によってつくられたビタミンK2については、そのまま大腸から吸収されるようです。しかし、それがどのくらい吸収され利用されるかは、よくわかっていません。
4 ビタミンKの必要量
現在、ビタミンKの栄養所要量が定められているのは、米国とソ連だけです。米国のビタミンK栄養所要量は、必要量の半分を食事から摂取し、あと半分は体内で腸内細菌がつくるものを利用するという考え方で計算されています。また、すべてを食事から摂取することも考慮にいれて、所要量に幅をもたせ、成人1人1日当たり、70〜140μgとしています。
わが国では所要量は定められていませんが、必要量は成人でほぼ1日当たり100μg程度を目安にすればよいと考えられています。
おわりに
通常は、離乳期以後の人では、ビタミンKの必要量は、食事からの摂取と、腸内細菌の合成したものを直接吸収することによって満たされていますので、欠乏症はほとんどみられません。
しかし、最近、骨粗鬆症をおこしている老人では、血液中のビタミンKが少なくなっていることがわかりました。また、ビタミンKを与えると骨の強度が回復することも知られてきました。老人になると骨がもろくなりやすいので、ビタミンKの多い食品を食べることを心がけたいものです。
問題になっている新生児・乳児のビタミンK欠乏性出血症も、予防対策が進み、最近では激減の傾向にあります。母乳栄養児に比較的多く発生するからといって、いたずらに母乳哺育に不安をいだくことは賢明ではないでしょう。ふだんから、また妊娠・授乳中は特に気をつけて、納豆などビタミンKを多く含む食品を食べるようにしましょう。
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▼ ビタミンEの知識
ビタミンEとは
1 ビタミンは体外から食物としてとらないといけない
ビタミンは、エネルギー源とはなりませんが、私たちのからだが正常な生理機能(物質の代謝など)をいとなむのに、大切な役割を果たしています。同じような働きをするものとしてホルモンがありますが、ビタミンはホルモン(内分泌腺から分泌される)とちがって、体内では合成されません(合成されたとしても不十分です)。
ですから、ビタミンは、体外から、食べ物として摂取する必要があるわけです。そして、とり方が少ないと、欠乏症をおこすことがあります。たとえば、ビタミンCが極端に不足すると、壊血病(歯ぐきから出血したりなど)をおこすのは、よくご存じでしょう。ただ、ビタミンEの場合は、ほとんどの食品に多かれ少なかれ含まれていますので、普通の食事をとっているかぎり、欠乏症はみられません。
2 ビタミンEは脂溶性のビタミン
ビタミンには、水に溶けるもの(水溶性)と、油に溶けるもの(脂溶性)とがあり、食物中に広く存在しています。
ビタミンEは、食物に含まれている脂溶性のビタミンのひとつで、今から60年ほど前に発見されました。
このビタミンEは、あとで述べるように、いろいろな食品に含まれています。
ビタミンEは、トコフェロールという名前でも呼ばれます。
トコフェロール(ビタミンE)には、8種類の仲間(同族体)があります。そのなかで最も効力が高いのは、アルフア・トコフェロールと呼ばれるもので、食物中での含有量も多く、ビタミンEの効力を代表しています。
肉や卵など動物性の食品に含まれるトコフェロールは、家畜や魚介類が植物から摂取したもので、大部分がアルフア・トコフェロールです。
ビタミンEはいろいろな食品に含まれる
1 健康な人なら不足することはない
ビタミンEは、多かれ少なかれほとんどの食品に含まれています。ふつうの食生活をしているかぎりは、不足することはありません。
日本人は、ビタミンEを日常の食事から1日に6〜7mg程度摂取しているようです。これは、最近の20年間に大きな変化がないといわれています。そして、ビタミンEの欠乏症は、とくにみられていません。
米国で、1955年に、人間にビタミンEの欠之症があるかどうかを確かめるための研究が行なわれたことがあります。志願者を募って9年間にわたって実験をつづけたのですが、ビタミンEをわざと欠之させた食事を与えても、なんらの症状も見出せなかったということです。
これは、人間の実験では、ネズミなどを使った動物実験とちがって、合成食で行なうわけにはいかないため、どんな欠乏食(実験用にビタミンEをわざと欠乏させた食事)をつくっても、その食事の中に3〜4mg程度のビタミンEが含まれてしまうからです。
この実験研究からもわかるように、いろいろな食品を組み合わせた食事をとっていれば、ビタミンEは十分とれます。したがって、通常は、市販されているビタミンE製品などをあらためて摂取する必要はないのです。
2 ビタミンEが不足しやすい人
ビタミンEは、油に溶ける性質の栄養素なので、脂肪の吸収のわるい人(たとえば肝臓・胆のうや膵臓の病気にかかっている人)は、ビタミンEの吸収もわるくなります。こういう人は、医師の指導のもとに早くもとの病気を治さないといけません。
ビタミンEはからだの中でどんな働きをするか
1 ビタミンEの吸収
食物中に含まれるビタミンEは脂溶性ビタミンなので、脂肪に溶けた状態で、小腸から吸収されます。小腸で吸収されたビタミンEは、肝臓に入り、からだのいろいろな組織-皮下脂肪、筋肉、肝臓、骨髄、その他の臓器へと運ばれていきます。健康なおとなの場合、体内に保有されているビタミンEは、約3gといわれています。
・余分なものは体外へ排泄されてしまう
からだの中に入ったビタミンEは、体内に十分な量が保有されていれば、余分なビタミンEの大部分は、からだの外へ便として排泄されてしまうと考えられています。
2 ビタミンEの働き
からだの中で、吸収されたビタミンEは、細胞や細胞の膜の機能を安定に保つために「抗酸化物質」として作用しています。
細胞の膜(生体膜ともいいます)の主な成分はリン脂質といって、酸素によってこわされやすい不飽和脂肪酸を多量に含んでいます。この脂肪酸は、酸素による酸化をうけると、過酸化脂質という有害な物質に変わりやすいのです。このような反応を過酸化といいます。植物油とかバターなどが古くなるといやな臭いをさせるようになりますが、これも過酸化が関係している例です(このことを油の“酸敗”といいます)。
そして、細胞の膜に過酸化脂質がいったんできはじめると、どんどん増え、細胞の正常な働きを失わせてしまうことになります。
しかし、人間のからだは、こうした有害な物質が増えていくのを、だまって見すごしているわけではありません。私たちの体内には、このような有害物質から守る作用を用意しています。そのひとつが、ビタミンEで、酸化を防ぐ物質(抗酸化物質)の代表です。同じように抗酸化力をもつものとして、ビタミンA、カロテン(ニンジンなど緑黄色野菜に多く含まれる)やビタミンCが知られています。
ビタミンEは老化をおくらせるか?
生命をもったものは例外なく年をとり、老いてゆきます。心臓をはじめとする内臓器官の機能は低下し、筋肉も衰え、皮膚にはしわが増えてきます。老化は、生命あるものが自然の寿命を全うするために避けられない現象だともいえます。
とはいえ、人によって、こうした老化現象が早まったり、おくれたりすることもあります。これには、その人の生活環境とか生活行動、栄養や身体条件、あるいは高年齢になってかかる病気、そのほかさまざまな要因が影響すると考えられます。
1 老化防止への期待は?
最近、ビタミンEが、細胞の膜に抗酸化物質として働きかけることによって、細胞の老化をおくらせるのではないかという期待がもたれています。はたして、どうなのでしょうか。
20年ほど前から、線虫、輪虫、ショウジョウバエなどを用いた研究が行なわれています。そして、これらの小動物の老化防止に、ビタミンEが関与している可能性がある、という指摘もありますが、確認されていません。
2 人間では確かめられていない
現在、いわゆる「健康食品」として、さまざまなビタミンE製品が市販されており、動物実験での情報をもとに、老化をおくらせるなどの可能性を売りものにしています。
しかしながら、ビタミンEのこうした働きは、現在のところ、推測の段階であり、動物においても、老化をおくらせるかどうかは確認されていません。もちろん、人間の老化をおくらせるのに有効かどうかは、科学的に確かめられてはいません。
また、日常の食事でとれる必要量以外に、多量のビタミンEを摂取することによって、自然寿命を延ばす効果が得られるか否かは、動物実験でも、まだ確認されていないのです。
したがって、こうした情報を即座にうのみにしないで、正碓な情報(結果)が得られるまでは、慎重に対応することが必要です。
ビタミンEを大量にとるとどうなるか
日本では、ビタミンEの所要量は決められていませんが、米国では、成人男子でl0mg、女子で8mgとしています。このことからみても、市販のビタミンE製品は、あまりにも含有量が高すぎます。
1 脂溶性のビタミンと過剰症
ビタミンEは、ビタミンAやビタミンDと同じように脂溶性のビタミンです。脂溶性のビタミンは、一般に、尿から排泄されないので、とり過ぎると障害をおこします。
現在、ビタミンAやビタミンDは、大量にとると過剰症をおこすことがわかっています。
そして、ビタミンEも、とり過ぎると副作用をおこすことがあります。実際に、市販のビタミンE製品を使っている人のなかに、湿疹、かぶれ、下痢、腹痛、視力低下などの症状を訴える人もいます。
2 ビタミンEを必要以上にとるのは無意味
ビタミンEは、食事からとっている限り、過剰に摂取することはないといえます。しかし、食事以外にビタミンE製品を使う場合は、大量に摂取してしまう危険があります。
ビタミンEは、たくさんとったからといって、その全部が吸収されるわけではありません。たくさんとればとるほど、吸収される割合は減少します。さらに、体内に十分な量のビタミンEが保有されてくれば、余分に吸収されたものは体内で分散され、皮脂や便とともにからだの外へ排泄されます。必要のない人がむやみに大量にとるのは、無意味ですし、過剰症の危険性もないわけではないので避けるべきです。
ビタミンEを大量に摂取する必要のあるときは、医師の指導のもとに使うべきものです。個人が勝手に健康食品として、むやみに使うべきものではありません。
3 ビタミンEのとり方についての注意
いわゆる健康食品として市販されているビタミンE製品を調べた報告があります。それによると、含有されている実際のビタミンE量は製品によって、1カプセルの中にビタミンEがl.7mgしか入っていないものから、100mgも入っているものまで、大幅な開きもみられます。
また、製造年月日の古いものや、なかには製造年月日を表示していないものもあります。
こうした製造年月日の古いものでは、ビタミンEそれ自体が副作用をおこさなくても、ビタミンEを溶かしこんでいる油が変質(酸敗)して副作用をおこすこともあります。
必要なビタミンEは日常の食事で十分とれる
健康な人が、正常のバランスのとれた食事から摂取する以上に、ビタミンEをとったほうがよいかどうかは、まだ十分な科学的根拠が得られていないのです。
そしてビタミンEは、前にも述べたように、日常の食事で、欠乏症をおこさないだけの十分な量がとれますし、特殊な病気の人を除いて、わが国ではビタミンEの欠乏症はみられていません。高いお金を出して、ビタミンE製品を買い求めても、期待するような効果が得られないばかりか、とり過ぎによる副作用をおこす可能性もあります。
それよりも、バランスのよい食事で栄養をとり、その上で、もし日常の生活行動によくない点があれば、それを正しく軌道修正したほうが、病気にかからずにすみ、ずっと老化をおくらせることになるでしょう。
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1 ビタミンは体外から食物としてとらないといけない
ビタミンは、エネルギー源とはなりませんが、私たちのからだが正常な生理機能(物質の代謝など)をいとなむのに、大切な役割を果たしています。同じような働きをするものとしてホルモンがありますが、ビタミンはホルモン(内分泌腺から分泌される)とちがって、体内では合成されません(合成されたとしても不十分です)。
ですから、ビタミンは、体外から、食べ物として摂取する必要があるわけです。そして、とり方が少ないと、欠乏症をおこすことがあります。たとえば、ビタミンCが極端に不足すると、壊血病(歯ぐきから出血したりなど)をおこすのは、よくご存じでしょう。ただ、ビタミンEの場合は、ほとんどの食品に多かれ少なかれ含まれていますので、普通の食事をとっているかぎり、欠乏症はみられません。
2 ビタミンEは脂溶性のビタミン
ビタミンには、水に溶けるもの(水溶性)と、油に溶けるもの(脂溶性)とがあり、食物中に広く存在しています。
ビタミンEは、食物に含まれている脂溶性のビタミンのひとつで、今から60年ほど前に発見されました。
このビタミンEは、あとで述べるように、いろいろな食品に含まれています。
ビタミンEは、トコフェロールという名前でも呼ばれます。
トコフェロール(ビタミンE)には、8種類の仲間(同族体)があります。そのなかで最も効力が高いのは、アルフア・トコフェロールと呼ばれるもので、食物中での含有量も多く、ビタミンEの効力を代表しています。
肉や卵など動物性の食品に含まれるトコフェロールは、家畜や魚介類が植物から摂取したもので、大部分がアルフア・トコフェロールです。
ビタミンEはいろいろな食品に含まれる
1 健康な人なら不足することはない
ビタミンEは、多かれ少なかれほとんどの食品に含まれています。ふつうの食生活をしているかぎりは、不足することはありません。
日本人は、ビタミンEを日常の食事から1日に6〜7mg程度摂取しているようです。これは、最近の20年間に大きな変化がないといわれています。そして、ビタミンEの欠乏症は、とくにみられていません。
米国で、1955年に、人間にビタミンEの欠之症があるかどうかを確かめるための研究が行なわれたことがあります。志願者を募って9年間にわたって実験をつづけたのですが、ビタミンEをわざと欠之させた食事を与えても、なんらの症状も見出せなかったということです。
これは、人間の実験では、ネズミなどを使った動物実験とちがって、合成食で行なうわけにはいかないため、どんな欠乏食(実験用にビタミンEをわざと欠乏させた食事)をつくっても、その食事の中に3〜4mg程度のビタミンEが含まれてしまうからです。
この実験研究からもわかるように、いろいろな食品を組み合わせた食事をとっていれば、ビタミンEは十分とれます。したがって、通常は、市販されているビタミンE製品などをあらためて摂取する必要はないのです。
2 ビタミンEが不足しやすい人
ビタミンEは、油に溶ける性質の栄養素なので、脂肪の吸収のわるい人(たとえば肝臓・胆のうや膵臓の病気にかかっている人)は、ビタミンEの吸収もわるくなります。こういう人は、医師の指導のもとに早くもとの病気を治さないといけません。
ビタミンEはからだの中でどんな働きをするか
1 ビタミンEの吸収
食物中に含まれるビタミンEは脂溶性ビタミンなので、脂肪に溶けた状態で、小腸から吸収されます。小腸で吸収されたビタミンEは、肝臓に入り、からだのいろいろな組織-皮下脂肪、筋肉、肝臓、骨髄、その他の臓器へと運ばれていきます。健康なおとなの場合、体内に保有されているビタミンEは、約3gといわれています。
・余分なものは体外へ排泄されてしまう
からだの中に入ったビタミンEは、体内に十分な量が保有されていれば、余分なビタミンEの大部分は、からだの外へ便として排泄されてしまうと考えられています。
2 ビタミンEの働き
からだの中で、吸収されたビタミンEは、細胞や細胞の膜の機能を安定に保つために「抗酸化物質」として作用しています。
細胞の膜(生体膜ともいいます)の主な成分はリン脂質といって、酸素によってこわされやすい不飽和脂肪酸を多量に含んでいます。この脂肪酸は、酸素による酸化をうけると、過酸化脂質という有害な物質に変わりやすいのです。このような反応を過酸化といいます。植物油とかバターなどが古くなるといやな臭いをさせるようになりますが、これも過酸化が関係している例です(このことを油の“酸敗”といいます)。
そして、細胞の膜に過酸化脂質がいったんできはじめると、どんどん増え、細胞の正常な働きを失わせてしまうことになります。
しかし、人間のからだは、こうした有害な物質が増えていくのを、だまって見すごしているわけではありません。私たちの体内には、このような有害物質から守る作用を用意しています。そのひとつが、ビタミンEで、酸化を防ぐ物質(抗酸化物質)の代表です。同じように抗酸化力をもつものとして、ビタミンA、カロテン(ニンジンなど緑黄色野菜に多く含まれる)やビタミンCが知られています。
ビタミンEは老化をおくらせるか?
生命をもったものは例外なく年をとり、老いてゆきます。心臓をはじめとする内臓器官の機能は低下し、筋肉も衰え、皮膚にはしわが増えてきます。老化は、生命あるものが自然の寿命を全うするために避けられない現象だともいえます。
とはいえ、人によって、こうした老化現象が早まったり、おくれたりすることもあります。これには、その人の生活環境とか生活行動、栄養や身体条件、あるいは高年齢になってかかる病気、そのほかさまざまな要因が影響すると考えられます。
1 老化防止への期待は?
最近、ビタミンEが、細胞の膜に抗酸化物質として働きかけることによって、細胞の老化をおくらせるのではないかという期待がもたれています。はたして、どうなのでしょうか。
20年ほど前から、線虫、輪虫、ショウジョウバエなどを用いた研究が行なわれています。そして、これらの小動物の老化防止に、ビタミンEが関与している可能性がある、という指摘もありますが、確認されていません。
2 人間では確かめられていない
現在、いわゆる「健康食品」として、さまざまなビタミンE製品が市販されており、動物実験での情報をもとに、老化をおくらせるなどの可能性を売りものにしています。
しかしながら、ビタミンEのこうした働きは、現在のところ、推測の段階であり、動物においても、老化をおくらせるかどうかは確認されていません。もちろん、人間の老化をおくらせるのに有効かどうかは、科学的に確かめられてはいません。
また、日常の食事でとれる必要量以外に、多量のビタミンEを摂取することによって、自然寿命を延ばす効果が得られるか否かは、動物実験でも、まだ確認されていないのです。
したがって、こうした情報を即座にうのみにしないで、正碓な情報(結果)が得られるまでは、慎重に対応することが必要です。
ビタミンEを大量にとるとどうなるか
日本では、ビタミンEの所要量は決められていませんが、米国では、成人男子でl0mg、女子で8mgとしています。このことからみても、市販のビタミンE製品は、あまりにも含有量が高すぎます。
1 脂溶性のビタミンと過剰症
ビタミンEは、ビタミンAやビタミンDと同じように脂溶性のビタミンです。脂溶性のビタミンは、一般に、尿から排泄されないので、とり過ぎると障害をおこします。
現在、ビタミンAやビタミンDは、大量にとると過剰症をおこすことがわかっています。
そして、ビタミンEも、とり過ぎると副作用をおこすことがあります。実際に、市販のビタミンE製品を使っている人のなかに、湿疹、かぶれ、下痢、腹痛、視力低下などの症状を訴える人もいます。
2 ビタミンEを必要以上にとるのは無意味
ビタミンEは、食事からとっている限り、過剰に摂取することはないといえます。しかし、食事以外にビタミンE製品を使う場合は、大量に摂取してしまう危険があります。
ビタミンEは、たくさんとったからといって、その全部が吸収されるわけではありません。たくさんとればとるほど、吸収される割合は減少します。さらに、体内に十分な量のビタミンEが保有されてくれば、余分に吸収されたものは体内で分散され、皮脂や便とともにからだの外へ排泄されます。必要のない人がむやみに大量にとるのは、無意味ですし、過剰症の危険性もないわけではないので避けるべきです。
ビタミンEを大量に摂取する必要のあるときは、医師の指導のもとに使うべきものです。個人が勝手に健康食品として、むやみに使うべきものではありません。
3 ビタミンEのとり方についての注意
いわゆる健康食品として市販されているビタミンE製品を調べた報告があります。それによると、含有されている実際のビタミンE量は製品によって、1カプセルの中にビタミンEがl.7mgしか入っていないものから、100mgも入っているものまで、大幅な開きもみられます。
また、製造年月日の古いものや、なかには製造年月日を表示していないものもあります。
こうした製造年月日の古いものでは、ビタミンEそれ自体が副作用をおこさなくても、ビタミンEを溶かしこんでいる油が変質(酸敗)して副作用をおこすこともあります。
必要なビタミンEは日常の食事で十分とれる
健康な人が、正常のバランスのとれた食事から摂取する以上に、ビタミンEをとったほうがよいかどうかは、まだ十分な科学的根拠が得られていないのです。
そしてビタミンEは、前にも述べたように、日常の食事で、欠乏症をおこさないだけの十分な量がとれますし、特殊な病気の人を除いて、わが国ではビタミンEの欠乏症はみられていません。高いお金を出して、ビタミンE製品を買い求めても、期待するような効果が得られないばかりか、とり過ぎによる副作用をおこす可能性もあります。
それよりも、バランスのよい食事で栄養をとり、その上で、もし日常の生活行動によくない点があれば、それを正しく軌道修正したほうが、病気にかからずにすみ、ずっと老化をおくらせることになるでしょう。
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かつて、ビタミンDの不足が引き起こす病気といえばクル病でしたが、最近では高齢者、特に閉経以後の女性に多くみられる骨粗鬆症がビタミンDに関係する病気として、多くの関心を集めています。
骨粗鬆症は、骨が大根に鬆(ス)が入ったように空洞化し、もろくなる病気です。足や腰が痛くなったり、ちょっとした動作で簡単に骨折してしまうこともあります。
そのため、高齢者は骨折が原因で寝たきりになり、老人性痴呆症に進んでしまうことも少なくありません。
この骨粗鬆症の治療や予防には、カルシウムとともにビタミンDが欠かせません。
そこでここでは、骨粗鬆症を予防し、高齢化社会を快適に過ごすために、ビタミンDについて考えることにします。
ビタミンDとはどのようなビタミンか
・ビタミンは生きるために欠かせない
ビタミン自体は血や肉やエネルギーになりませんが、私たちが毎日生きていくうえで欠かすことができません。ビタミンはからだに入った食物が胃や腸で消化・吸収・分解され、エネルギーやからだの成分などに合成される手助けをします。
ビタミンと同じようなはたらきをするものには、ホルモンがあります。ビタミンはl日あたりの必要量はごくわずかですが、体内では作られないため、必ず食物からとらなければなりません。ホルモンは体内で自力で作られるので、通常は食物からとる必要はありません。
・ビタミンDは脂溶性のビタミン
ビタミンの性質は大きく2つに分けることができます。1つは、水に溶けやすく、比較的短期間に尿中へ排泄される水溶性ビタミン。もうlつは脂に溶けやすく、ある程度の期間、からだのなかに蓄えることのできる脂溶性ビタミンで、ビタミンDはこの脂溶性ビタミンの1つです。
ビタミシDのはたらき
1 カルシウムとのかかわり
・カルシウムはビタミンDがなければ体内に吸収されない
骨や歯はカルシウムから作られますが、カルシウムが骨や歯になるためにはビタミンDが欠かせません。体重50〜60kgの成人には、約lkgのカルシウムが含まれています。そのうち99%が骨や歯に、残りのl%が筋肉や血液などに含まれています。骨のなかのカルシウムは骨塩のかたちでリンといっしょになって骨を作っています。
食物のなかに含まれているカルシウムは小腸で吸収されますが、このとき活性型ビタミンDの手助けがなければ、カルシウムは吸収されにくいのです。
・活性型になってはたらくビタミンD
ビタミンDはそのままの形では作用することはできず、からだのなかで活性型に変わることが必要です。
ビタミンDは食品から摂取するほか、皮膚でもつくられていますが、いずれも肝臓や腎臓で活性型ビタミンDになってはじめて、体内で作用することができます。
・骨は毎日生まれ変わる
骨は成人になると一生変化しないように見えますが、毎日つくり替えられています。1日に約500mgのカルシウムが骨から血液中に溶け出し(骨吸収)、同時に同じ量のカルシウムが血液中から骨へ沈着して新しい骨をつくっています(骨形成)。
ビタミンDは骨粗鬆症を防ぐ
1 高齢化社会で増加が予想される骨粗鬆症
骨粗鬆症は高齢者、とくに閉経後の女性に多いことは前にもふれました。2025年には4人にl人が高齢者となり、骨粗鬆症にかかる人がますます増えると予測されています。男女合わせた患者数は2000年には約530万人に上ることが予想されています。なかでも、女性は男性の約4倍もの患者数が予測されています。
骨粗鬆症が高齢者に多いのは、年齢とともにカルシウムやビタミンDの摂取量が減ったり、ビタミンDの活性化が十分行われなくなるためと考えられています。
表 骨粗鬆症発症数(40歳以上)
2 骨吸収と骨形成のアンバランスが骨粗鬆症の原因
・カルシウム濃度を保つために骨を溶かす
血液中のカルシウム濃度は、生命を維持していくことに大きなかかわりがあるため、常に正常(10mg/l00ml)に保たれるようになっています。
血液中のカルシウム濃度が低下して正常以下になると、副甲状腺ホルモンが直接骨にはたらいて、骨を溶かし血液中のカルシウム濃度を正常にします。そのため、食品から摂取するカルシウムやビタミンDが少なくなると、骨のなかのカルシウムがどんどん溶け出して骨がもろくなるのです。
・内臓のはたらきにも左右される
一方、食品から摂取するカルシウムやビタミンDの量は十分でも、肝臓や腎臓のはたらきがよくないため、体内でビタミンDが活性型にならず、骨吸収と骨形成のバランスがくずれることもあります。
また、高齢化とともに小腸のはたらきが弱くなり、カルシウムやビタミンDが十分吸収されなくなることもあります。
・女性はとくに骨粗鬆症に気をつけよう
50歳代以降の同じ年代の男性に比べて、女性に多い原因として、女性ホルモンの減少が骨吸収と骨形成のバランスをくずしているのではないかという説が有力になっています。
3 骨粗鬆症を防ぐために
・骨の量は一生変化し続ける
骨は男女ともに10〜20歳代で急速に成長して、30歳代の前半に最大骨量になり、老齢期に入ると減少し続けます。
女性の骨の量は各年代とも男性より少なく、とくに50歳以降の閉経後はいちじるしく低くなっています。しかし、ビタミンDとカルシウムを十分とって、年齢に合った運動をしている人は、老齢期の骨の減少のカーブがゆるやかであることが知られています。
・骨粗鬆症の予防にはカルシウム、ビタミンD、適度な運動が不可欠
骨粗鬆症を防ぐためには、30歳代前半に最大となる骨の量を、大きくしておくことが重要です。たくさん貯金があると、老後の生活が快適なように、最大骨量が大きいと、年とともに骨の量が減っても、残っている骨の量が多いので、骨折は起こりにくくなります。
そのためには、若いころから十分ビタミンDとカルシウムをとり、適度な運動をすることが大切です。
ビタミンDのとり方
1 ビタミンDは皮膚でも作られる
・紫外線を受けるとビタミンDになる
ビタミンは体内では作られないため、必ず食物からとらなくてはなりませんが、ビタミンDだけは体内でも作られます。
人間を含む動物の皮膚にはコレステロールが合成される途中でできる、7−デヒドロコレステロール(プロビタミンD)が存在しています。それが、日光中の紫外線を受けてビタミンDに変わり体内に吸収されるのです。
・ビタミンDをつくる日光だが、あたりすぎには注意
皮膚でビタミンDを作るために必要な紫外線は、目に刺激を与えたり、肌荒れや、弱いながらも皮膚がんの原因になったりします。
とくに、近年オゾン層の破壊による紫外線の増加と皮膚がんの問題が多くの関心を集めています。適度な日光浴は欠かせませんが、極端な日光浴は避け、海水浴など長時間紫外線にさらされる場合は、日焼け止めの対策も必要です。
2 食品に含まれるビタミンD
・魚にたくさん含まれている
ビタミンDはさまざまな食品にふくまれますが、なかでも魚に多く含まれています。
魚以外ではしいたけやきくらげなどきのこ類や、卵に含まれていますが、魚ほど多くありません。
1日に必要なビタミンDの量は成人の男性で100IU(国際単位)なので、1日の献立に魚を少し加えるだけでビタミンDは十分補給できます。また、ビタミンDは脂溶性のビタミンでからだに蓄えられるので、毎日でなくても週に2〜3回魚を献立に加えれば不足することはありません。
3 ビタミンDをとりすぎるとどうなるのか
・日常の食事では過剰症の心配はない
ビタミンDは脂溶性ですから、必要以上とるとあまったものは体内に蓄えられます。ただ他の脂溶性のビタミンと違い、活性型にならない限り作用しませんから、少しぐらい余分にとっても、過剰症の起こる心配はあまりありません。
紫外線を受けることで、皮膚で作られるビタミンDの量も、皮膚の表面にメラニン層が形成されてある一定以上には上昇しません。これは過剰症を防ぐための一種の防衛反応と考えられます。
・活性型ビタミンD剤には注意が必要
しかし、病院などで用いられるビタミンD製品には、活性型ビタミンD剤もあり、これを毎日過剰に摂取した場合には、食欲不振、体重減少、頻尿、嘔吐など過剰症の症状が出てくることがありますので注意が必要です。ひどいときには、腎臓や動脈にカルシウムが沈着して異常石灰化を起こすこともありますので、医師の指示にきちんと従い、正しく服用することが大切です。
おわりに
ビタミンDは、魚を食べる日本人にとっては比較的とりやすいビタミンです。さらに、日光に当たると皮膚でも作られますので、通常の食生活で不足することはあまりありません。
しかし、日中外出する機会の少ない高齢者や乳幼児、天候の悪い地域に住む人、日焼け止めなどを使用している女性は、心がけてとることが必要です。
骨粗鬆症は、40代以降になると誰でもかかる可能性のある病気です。しかし、老化は日常の習慣や心がけ次第で遅らせることができます。骨粗鬆症になって不自由な生活を送らないためにも、ビタミンDやカルシウムが多く含まれる食品を食べることを心がけたいものです。
また、ビタミンDは骨の病気だけでなく、さまざまな病気の治療や予防に有効であることが明らかになりつつあります。
最近では、ビタミンDとカルシウムを十分とることが、大腸がんや乳がんを予防するという研究報告が発表されています。
すべての人々の健康を守る上で、大きな期待が寄せられているビタミンDやカルシウムを含め、私たちが必要とする栄養素は、食事から上手にとるよう心がけましょう。
ダイエット・美容・健康の情報
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骨粗鬆症は、骨が大根に鬆(ス)が入ったように空洞化し、もろくなる病気です。足や腰が痛くなったり、ちょっとした動作で簡単に骨折してしまうこともあります。
そのため、高齢者は骨折が原因で寝たきりになり、老人性痴呆症に進んでしまうことも少なくありません。
この骨粗鬆症の治療や予防には、カルシウムとともにビタミンDが欠かせません。
そこでここでは、骨粗鬆症を予防し、高齢化社会を快適に過ごすために、ビタミンDについて考えることにします。
ビタミンDとはどのようなビタミンか
・ビタミンは生きるために欠かせない
ビタミン自体は血や肉やエネルギーになりませんが、私たちが毎日生きていくうえで欠かすことができません。ビタミンはからだに入った食物が胃や腸で消化・吸収・分解され、エネルギーやからだの成分などに合成される手助けをします。
ビタミンと同じようなはたらきをするものには、ホルモンがあります。ビタミンはl日あたりの必要量はごくわずかですが、体内では作られないため、必ず食物からとらなければなりません。ホルモンは体内で自力で作られるので、通常は食物からとる必要はありません。
・ビタミンDは脂溶性のビタミン
ビタミンの性質は大きく2つに分けることができます。1つは、水に溶けやすく、比較的短期間に尿中へ排泄される水溶性ビタミン。もうlつは脂に溶けやすく、ある程度の期間、からだのなかに蓄えることのできる脂溶性ビタミンで、ビタミンDはこの脂溶性ビタミンの1つです。
ビタミシDのはたらき
1 カルシウムとのかかわり
・カルシウムはビタミンDがなければ体内に吸収されない
骨や歯はカルシウムから作られますが、カルシウムが骨や歯になるためにはビタミンDが欠かせません。体重50〜60kgの成人には、約lkgのカルシウムが含まれています。そのうち99%が骨や歯に、残りのl%が筋肉や血液などに含まれています。骨のなかのカルシウムは骨塩のかたちでリンといっしょになって骨を作っています。
食物のなかに含まれているカルシウムは小腸で吸収されますが、このとき活性型ビタミンDの手助けがなければ、カルシウムは吸収されにくいのです。
・活性型になってはたらくビタミンD
ビタミンDはそのままの形では作用することはできず、からだのなかで活性型に変わることが必要です。
ビタミンDは食品から摂取するほか、皮膚でもつくられていますが、いずれも肝臓や腎臓で活性型ビタミンDになってはじめて、体内で作用することができます。
・骨は毎日生まれ変わる
骨は成人になると一生変化しないように見えますが、毎日つくり替えられています。1日に約500mgのカルシウムが骨から血液中に溶け出し(骨吸収)、同時に同じ量のカルシウムが血液中から骨へ沈着して新しい骨をつくっています(骨形成)。
ビタミンDは骨粗鬆症を防ぐ
1 高齢化社会で増加が予想される骨粗鬆症
骨粗鬆症は高齢者、とくに閉経後の女性に多いことは前にもふれました。2025年には4人にl人が高齢者となり、骨粗鬆症にかかる人がますます増えると予測されています。男女合わせた患者数は2000年には約530万人に上ることが予想されています。なかでも、女性は男性の約4倍もの患者数が予測されています。
骨粗鬆症が高齢者に多いのは、年齢とともにカルシウムやビタミンDの摂取量が減ったり、ビタミンDの活性化が十分行われなくなるためと考えられています。
表 骨粗鬆症発症数(40歳以上)
2 骨吸収と骨形成のアンバランスが骨粗鬆症の原因
・カルシウム濃度を保つために骨を溶かす
血液中のカルシウム濃度は、生命を維持していくことに大きなかかわりがあるため、常に正常(10mg/l00ml)に保たれるようになっています。
血液中のカルシウム濃度が低下して正常以下になると、副甲状腺ホルモンが直接骨にはたらいて、骨を溶かし血液中のカルシウム濃度を正常にします。そのため、食品から摂取するカルシウムやビタミンDが少なくなると、骨のなかのカルシウムがどんどん溶け出して骨がもろくなるのです。
・内臓のはたらきにも左右される
一方、食品から摂取するカルシウムやビタミンDの量は十分でも、肝臓や腎臓のはたらきがよくないため、体内でビタミンDが活性型にならず、骨吸収と骨形成のバランスがくずれることもあります。
また、高齢化とともに小腸のはたらきが弱くなり、カルシウムやビタミンDが十分吸収されなくなることもあります。
・女性はとくに骨粗鬆症に気をつけよう
50歳代以降の同じ年代の男性に比べて、女性に多い原因として、女性ホルモンの減少が骨吸収と骨形成のバランスをくずしているのではないかという説が有力になっています。
3 骨粗鬆症を防ぐために
・骨の量は一生変化し続ける
骨は男女ともに10〜20歳代で急速に成長して、30歳代の前半に最大骨量になり、老齢期に入ると減少し続けます。
女性の骨の量は各年代とも男性より少なく、とくに50歳以降の閉経後はいちじるしく低くなっています。しかし、ビタミンDとカルシウムを十分とって、年齢に合った運動をしている人は、老齢期の骨の減少のカーブがゆるやかであることが知られています。
・骨粗鬆症の予防にはカルシウム、ビタミンD、適度な運動が不可欠
骨粗鬆症を防ぐためには、30歳代前半に最大となる骨の量を、大きくしておくことが重要です。たくさん貯金があると、老後の生活が快適なように、最大骨量が大きいと、年とともに骨の量が減っても、残っている骨の量が多いので、骨折は起こりにくくなります。
そのためには、若いころから十分ビタミンDとカルシウムをとり、適度な運動をすることが大切です。
ビタミンDのとり方
1 ビタミンDは皮膚でも作られる
・紫外線を受けるとビタミンDになる
ビタミンは体内では作られないため、必ず食物からとらなくてはなりませんが、ビタミンDだけは体内でも作られます。
人間を含む動物の皮膚にはコレステロールが合成される途中でできる、7−デヒドロコレステロール(プロビタミンD)が存在しています。それが、日光中の紫外線を受けてビタミンDに変わり体内に吸収されるのです。
・ビタミンDをつくる日光だが、あたりすぎには注意
皮膚でビタミンDを作るために必要な紫外線は、目に刺激を与えたり、肌荒れや、弱いながらも皮膚がんの原因になったりします。
とくに、近年オゾン層の破壊による紫外線の増加と皮膚がんの問題が多くの関心を集めています。適度な日光浴は欠かせませんが、極端な日光浴は避け、海水浴など長時間紫外線にさらされる場合は、日焼け止めの対策も必要です。
2 食品に含まれるビタミンD
・魚にたくさん含まれている
ビタミンDはさまざまな食品にふくまれますが、なかでも魚に多く含まれています。
魚以外ではしいたけやきくらげなどきのこ類や、卵に含まれていますが、魚ほど多くありません。
1日に必要なビタミンDの量は成人の男性で100IU(国際単位)なので、1日の献立に魚を少し加えるだけでビタミンDは十分補給できます。また、ビタミンDは脂溶性のビタミンでからだに蓄えられるので、毎日でなくても週に2〜3回魚を献立に加えれば不足することはありません。
3 ビタミンDをとりすぎるとどうなるのか
・日常の食事では過剰症の心配はない
ビタミンDは脂溶性ですから、必要以上とるとあまったものは体内に蓄えられます。ただ他の脂溶性のビタミンと違い、活性型にならない限り作用しませんから、少しぐらい余分にとっても、過剰症の起こる心配はあまりありません。
紫外線を受けることで、皮膚で作られるビタミンDの量も、皮膚の表面にメラニン層が形成されてある一定以上には上昇しません。これは過剰症を防ぐための一種の防衛反応と考えられます。
・活性型ビタミンD剤には注意が必要
しかし、病院などで用いられるビタミンD製品には、活性型ビタミンD剤もあり、これを毎日過剰に摂取した場合には、食欲不振、体重減少、頻尿、嘔吐など過剰症の症状が出てくることがありますので注意が必要です。ひどいときには、腎臓や動脈にカルシウムが沈着して異常石灰化を起こすこともありますので、医師の指示にきちんと従い、正しく服用することが大切です。
おわりに
ビタミンDは、魚を食べる日本人にとっては比較的とりやすいビタミンです。さらに、日光に当たると皮膚でも作られますので、通常の食生活で不足することはあまりありません。
しかし、日中外出する機会の少ない高齢者や乳幼児、天候の悪い地域に住む人、日焼け止めなどを使用している女性は、心がけてとることが必要です。
骨粗鬆症は、40代以降になると誰でもかかる可能性のある病気です。しかし、老化は日常の習慣や心がけ次第で遅らせることができます。骨粗鬆症になって不自由な生活を送らないためにも、ビタミンDやカルシウムが多く含まれる食品を食べることを心がけたいものです。
また、ビタミンDは骨の病気だけでなく、さまざまな病気の治療や予防に有効であることが明らかになりつつあります。
最近では、ビタミンDとカルシウムを十分とることが、大腸がんや乳がんを予防するという研究報告が発表されています。
すべての人々の健康を守る上で、大きな期待が寄せられているビタミンDやカルシウムを含め、私たちが必要とする栄養素は、食事から上手にとるよう心がけましょう。
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