2006年4月に介護保険制度が見直され、「介護予防」を重視する制度改正が行われました。介護予防の目的は2つあり、「自立高齢者が要介護状態になることをできる限り防ぐこと」と、「要介護高齢者がそれ以上に状態を悪化させないこと」です。「口腔機能の向上」はその両方に効果があることが認められ、介護予防サービスのひとつとして導入されました。
なぜ介護予防が必要か
わが国の65歳以上人口の急激な増加にともない、2000年より「介護保険制度」がスタートしました。その後5年間で、介護が必要であると認定を受けた高齢者(要介護高齢者)は218万人から425万人に達し、介護保険サービスの利用者も149万人から338万人に増加しました。なかでも、介護の必要度が低い要支援、要介護1と認定された要介護高齢者の伸びが大きく、2005年度には要支援が約2.4倍の68.6万人、要介護1が約2.5倍の135万人に達し、要介護認定者全体の約半数を占めるに至りました。こうした問題を解決するために2006年に介護保険制度の全般的な見直しが行われ、「予防」を重視する制度改正が行われました。介護予防には2つの目的があります。ひとつは「要介護状態になることをできる限り防ぐ(遅らせる)こと」、もうひとつは「要介護状態であっても、状態がそれ以上に悪化しないようにする(維持・改善を図る)こと」です。どのような状態にある高齢者であっても、そのひとの生活や人生を尊重し、できる限り自立した生活を送れるよう支援することが介護予防サービスの目的です。
なぜ口腔機能向上が必要か
口腔機能には「かみ砕く(咀嚼)、飲み込む(嚥下)」、「唾液を分泌する」、「言葉を発する(発音)」、「表情をあらわす」など様々な役割があります。食べることやコミュニケーションのための機能を維持することは、体の健康にプラスになるだけでなく、人や社会と活発に交流し、心身ともに自立した生活を送るために欠かせない要素であるは明らかです。また口腔機能の向上によって、食事の面からは栄養改善を通じて筋力の向上、会話の面からは社会交流を通じて閉じこもりやうつ予防に繋がることが期待できます。一方、口腔機能が低下すると十分な栄養がとりにくくなることから、体力さらには免疫力の低下につながり、感染症にもかかりやすくなります。口腔機能のなかでも特に嚥下機能が低下し、誤嚥を繰り返していると、誤嚥性肺炎など命にかかわる疾患の引き金になります。このような観点から、健全な口腔機能とそれによって良好な口腔衛生状態を保つことの重要性が認められ、口腔機能訓練を含めた口腔ケアを日常の習慣として定着させるための取り組みが各地で広がりました。さらに2006年度からは、介護保険制度の改正により介護予防サービスとして、口腔機能向上が導入されました。
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なぜ介護予防が必要か
わが国の65歳以上人口の急激な増加にともない、2000年より「介護保険制度」がスタートしました。その後5年間で、介護が必要であると認定を受けた高齢者(要介護高齢者)は218万人から425万人に達し、介護保険サービスの利用者も149万人から338万人に増加しました。なかでも、介護の必要度が低い要支援、要介護1と認定された要介護高齢者の伸びが大きく、2005年度には要支援が約2.4倍の68.6万人、要介護1が約2.5倍の135万人に達し、要介護認定者全体の約半数を占めるに至りました。こうした問題を解決するために2006年に介護保険制度の全般的な見直しが行われ、「予防」を重視する制度改正が行われました。介護予防には2つの目的があります。ひとつは「要介護状態になることをできる限り防ぐ(遅らせる)こと」、もうひとつは「要介護状態であっても、状態がそれ以上に悪化しないようにする(維持・改善を図る)こと」です。どのような状態にある高齢者であっても、そのひとの生活や人生を尊重し、できる限り自立した生活を送れるよう支援することが介護予防サービスの目的です。
なぜ口腔機能向上が必要か
口腔機能には「かみ砕く(咀嚼)、飲み込む(嚥下)」、「唾液を分泌する」、「言葉を発する(発音)」、「表情をあらわす」など様々な役割があります。食べることやコミュニケーションのための機能を維持することは、体の健康にプラスになるだけでなく、人や社会と活発に交流し、心身ともに自立した生活を送るために欠かせない要素であるは明らかです。また口腔機能の向上によって、食事の面からは栄養改善を通じて筋力の向上、会話の面からは社会交流を通じて閉じこもりやうつ予防に繋がることが期待できます。一方、口腔機能が低下すると十分な栄養がとりにくくなることから、体力さらには免疫力の低下につながり、感染症にもかかりやすくなります。口腔機能のなかでも特に嚥下機能が低下し、誤嚥を繰り返していると、誤嚥性肺炎など命にかかわる疾患の引き金になります。このような観点から、健全な口腔機能とそれによって良好な口腔衛生状態を保つことの重要性が認められ、口腔機能訓練を含めた口腔ケアを日常の習慣として定着させるための取り組みが各地で広がりました。さらに2006年度からは、介護保険制度の改正により介護予防サービスとして、口腔機能向上が導入されました。
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自分の歯や口、体の健康に関心をもち、生活習慣を整えることは健康高齢者への近道です。歯ブラシなどの道具を使った器質的口腔ケアだけではなく、顔や舌の体操、唾液腺のマッサージなど、機能的口腔ケアも実施して歯や口の健康維持をはかります。その結果は、健康的で質の高い生活の実現につながるといえます。
健康高齢者とは
健康高齢者とは、いきいきと、元気に自立して暮らす人と定義します。元気に方たちは、歯や口の健康にも関心をもち、望ましい生活・清潔の習慣が身についています。
かつて、都内で行われた老人大学出席者(60歳代〜90歳代。自主参加の講演会。回答者の平均年齢75.7±6.0歳)対象の調査を行いました。平均年齢が高いこともあり、通院中の方(57.9%)や毎日薬を飲んでいる方(72.5%)もいましたが、会場では、講演を聴き、顔や口の体操をしていました。食後に歯を磨く人が多く、かかりつけ歯科医がいると答えた人は60%を超えていました。また、早寝早起き、1日3食を規則正しく摂り、酒は飲まない(71.0%)、喫煙しない(約95%)、かかりつけ歯科医をもっている(85.1%)など、元気高齢者12か条と一致する回答が得られました。つまり、自分の歯や口、体の健康に対して関心をもって健康的な生活をおくることそのものが、自立して元気で生き生きと暮らすことに繋がるということがわかりました。
口腔ケア
口腔ケアというと、歯磨きだけが思い浮かぶかもしれませんが、そうではありません。また、高齢者独自の口腔ケア法があると思われるかもしれませんが、歯や口の状態によって違ってきます。
口腔ケアには歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロス、歯磨剤などを使って、歯や口を清潔に保つ器質的口腔ケアと唾液の分泌を促し、舌、口唇、頬などの機能を賦活するための機能的口腔ケアがあります。
(1)器質的口腔ケア
毎日、食後や就寝前の歯や口、舌の清掃を行います。歯周病予防は、1日1回徹底的にきれいにすることが必要ですが、社会生活する者としてのエチケットの意味もあるので、必要に応じて行うとよいでしょう。方法については、成人のページで確認してください。
ブリッジ、部分入れ歯、総義歯が入っている方はそれぞれに応じた方法と配慮が必要です。
(2)機能的口腔ケア
歯や舌、頬など口の機能を維持するために、健口体操(北原・白田先生考案)を行いましょう。
顔面体操:しっかり目をつぶり、唇を横に引いて頬をあげます。その後、口と目を思い切りあけてください。また、口をしっかり閉じてから、頬を膨らませて、口を左右に動かします。
舌体操:口を開けて行うものと閉じて行うものがあります。口を開けて、舌を思いっきり出したり、引っ込めたり、左右に動かし、口の周りをなめるように回します。上下に舌を動かす運動もよいでしょう。口を閉じて行う舌体操は、舌で上・下唇を内側から押したり、頬を押したりします。舌の働きがよくなり、唾液も出やすくなり、発音がよくなります。
唾液腺マッサージ:頬、顎の下をマッサージします。
まとめ
定期的に歯科健診や歯磨き指導を受けたり、歯や口の機能を維持・促進することによって、いきいきと健康で質の高い生活をエンジョイしてください。
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健康高齢者とは
健康高齢者とは、いきいきと、元気に自立して暮らす人と定義します。元気に方たちは、歯や口の健康にも関心をもち、望ましい生活・清潔の習慣が身についています。
かつて、都内で行われた老人大学出席者(60歳代〜90歳代。自主参加の講演会。回答者の平均年齢75.7±6.0歳)対象の調査を行いました。平均年齢が高いこともあり、通院中の方(57.9%)や毎日薬を飲んでいる方(72.5%)もいましたが、会場では、講演を聴き、顔や口の体操をしていました。食後に歯を磨く人が多く、かかりつけ歯科医がいると答えた人は60%を超えていました。また、早寝早起き、1日3食を規則正しく摂り、酒は飲まない(71.0%)、喫煙しない(約95%)、かかりつけ歯科医をもっている(85.1%)など、元気高齢者12か条と一致する回答が得られました。つまり、自分の歯や口、体の健康に対して関心をもって健康的な生活をおくることそのものが、自立して元気で生き生きと暮らすことに繋がるということがわかりました。
口腔ケア
口腔ケアというと、歯磨きだけが思い浮かぶかもしれませんが、そうではありません。また、高齢者独自の口腔ケア法があると思われるかもしれませんが、歯や口の状態によって違ってきます。
口腔ケアには歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロス、歯磨剤などを使って、歯や口を清潔に保つ器質的口腔ケアと唾液の分泌を促し、舌、口唇、頬などの機能を賦活するための機能的口腔ケアがあります。
(1)器質的口腔ケア
毎日、食後や就寝前の歯や口、舌の清掃を行います。歯周病予防は、1日1回徹底的にきれいにすることが必要ですが、社会生活する者としてのエチケットの意味もあるので、必要に応じて行うとよいでしょう。方法については、成人のページで確認してください。
ブリッジ、部分入れ歯、総義歯が入っている方はそれぞれに応じた方法と配慮が必要です。
(2)機能的口腔ケア
歯や舌、頬など口の機能を維持するために、健口体操(北原・白田先生考案)を行いましょう。
顔面体操:しっかり目をつぶり、唇を横に引いて頬をあげます。その後、口と目を思い切りあけてください。また、口をしっかり閉じてから、頬を膨らませて、口を左右に動かします。
舌体操:口を開けて行うものと閉じて行うものがあります。口を開けて、舌を思いっきり出したり、引っ込めたり、左右に動かし、口の周りをなめるように回します。上下に舌を動かす運動もよいでしょう。口を閉じて行う舌体操は、舌で上・下唇を内側から押したり、頬を押したりします。舌の働きがよくなり、唾液も出やすくなり、発音がよくなります。
唾液腺マッサージ:頬、顎の下をマッサージします。
まとめ
定期的に歯科健診や歯磨き指導を受けたり、歯や口の機能を維持・促進することによって、いきいきと健康で質の高い生活をエンジョイしてください。
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▼ 訪問歯科診療
訪問歯科診療とは、要介護高齢者が在宅や施設で歯科診療が受けられるものです。要介護高齢者の多くは歯科的な問題を抱えているにも関わらず、これまでの外来での歯科受診は70〜74歳をピークに、その後急速に減少する実態がありました。歯科治療をはじめとする口腔機能の維持管理は、食べるという機能ばかりでなく、生きる力やQOLの向上に寄与することが明らかになってきました。身近なかかりつけの歯科医などに相談し、外来受診が困難な場合であっても、治療をあきらめないことが重要です。
はじめに
むし歯と歯周病に代表される歯科疾患には、“罹りやすい年齢”があります。例えば歯周病は40歳以降に増加し、むし歯は小児と高齢者で発生のリスクが高まります。これらの歯科疾患は、放置されると歯の喪失を引き起こし、咀嚼機能をはじめとする口腔機能の低下を招きます。しかもこの歯の保存状況と咀嚼機能の回復は、食べることの楽しみなどQOLに関連するばかりでなく、全身の健康と生命予後にも影響することが、最近の調査で明らかになってきました(Fukai,K et al., 2007, 2008)。
ところが、80歳高齢者で20歯以上の歯を保有している者の割合は約20%に過ぎず、多くの高齢者が義歯など咀嚼機能の回復が必要とされています。そして、要介護高齢者など通院や医療機関への搬送が困難な場合に行われるのが、訪問歯科診療です。
高齢者の歯科受療状況。
一方、これまでの訪問歯科診療の実施率をみると、1ヶ月間の在宅医療実施歯科診療所は18.2%であり、都道府県別にみると、最小11.0%(沖縄県)から最大35.7%(佐賀県)まで都道府県間に較差がみられます。実施件数では、在宅医療サービス実施診療所1箇所当たりの訪問歯科診療の件数は、全国平均で1ヶ月間に12.6件となっています(厚生労働省医療施設調査、介護保険事業状況報告、2005)。すなわち、約20%の歯科診療所が毎月平均12件強の訪問診療を行っているというのが現状です。この実施件数は、全要介護高齢者を対象とした月1回の定期的管理を中心とした在宅歯科医療サービスを想定した場合、3.6%の充足率に過ぎません。一方、介護保険における居宅療養管理指導では、歯科医師による実施を行っている診療所は全国平均で4.0%(最大値9.1%、最小値1.5%)、歯科衛生士による実施は2.7%(最大値8.7%、最小値0.9%)となっています。
訪問歯科診療で行われる治療内容
基本的には、訪問歯科診療で行われる診療内容は、外来で行われるものと同じものです。しかし、治療時の姿勢の保持や照明など制約の中で行われるので、治療内容によって診療所で受診することが必要な場合があります。また、歯科医師が患者の全身状態を把握するために、かかりつけの医師や入院時の主治医などと外来診療以上に密な連携が求められます。
大事なことは外来受診が困難な場合に、本人や家族が歯科治療を受けることをあきらめないことです。入院前にかかりつけの歯科医院を持っていても、多くの場合、急性期病院等への入院から回復期、施設入所等へ移っていく間に歯科医師・患者関係が途切れてしまい、退院後の在宅療養時にかかりつけ医とかかりつけ歯科医との連携が取れていないために、結果的に口腔内状態の悪化や義歯治療などの対応が放置されるという悪循環を招いていることがしばしばみられます。
在宅療養をしている患者の歯科の問題には、義歯の不適合、むし歯に伴う歯の痛みや、歯ぐきの腫れ、口内炎などがあげられます。これらの多くは訪問歯科診療で対応することができます。口腔内の不具合は、食事の意欲の低下につながります。さらには、要介護高齢者における口腔清掃状態の悪化は、誤嚥性肺炎の原因にもなりますので、定期的なチェックが必要になります(Yoneyama T et al, 1999)。また、噛むことや飲み込むことの障害(咀嚼・嚥下障害)がみられることがあり、機能低下の早期の発見と対応が必要です。そして、終末期においても最後まで口から食べるための歯科的対応は、本人の生きる力を支援するものです。これらの処置は、保険診療上でも位置づけられています。
また、要介護高齢者の歯科ニーズは、全要介護高齢者に対する定期的口腔ケア・食支援、全要介護高齢者の少なくとも50%への歯科治療、全介護高齢者の約20%に対する摂食嚥下指導が必要と試算されています。
訪問歯科診療の受診方法
かかりつけの歯科医院がある場合には、訪問診療をお願いしてみることです。その歯科医院で対応が難しい場合には、他の医療機関の紹介してくれると考えられます。あるいは、市町村保健センターなどの行政機関や主治医・介護職など身近の担当者に問い合わせれば、地域でのネットワークがすでに整備されていることが多いので、解決につながります。
平成20年4月からスタートする後期高齢者医療制度でも、在宅医療の充実は、重点課題のひとつであり、歯科医師会など関係機関でも訪問歯科診療の提供体制の充実に取り組まれています。在宅要介護高齢者の歯科受診の機会を向上するために、平成20年4月からは「在宅療養支援歯科診療所」も医療保険で新設されることになっていますので、関係機関に問い合わせれば、地域で積極的に訪問歯科診療に取り組んでいる医療機関を知ることができます。
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はじめに
むし歯と歯周病に代表される歯科疾患には、“罹りやすい年齢”があります。例えば歯周病は40歳以降に増加し、むし歯は小児と高齢者で発生のリスクが高まります。これらの歯科疾患は、放置されると歯の喪失を引き起こし、咀嚼機能をはじめとする口腔機能の低下を招きます。しかもこの歯の保存状況と咀嚼機能の回復は、食べることの楽しみなどQOLに関連するばかりでなく、全身の健康と生命予後にも影響することが、最近の調査で明らかになってきました(Fukai,K et al., 2007, 2008)。
ところが、80歳高齢者で20歯以上の歯を保有している者の割合は約20%に過ぎず、多くの高齢者が義歯など咀嚼機能の回復が必要とされています。そして、要介護高齢者など通院や医療機関への搬送が困難な場合に行われるのが、訪問歯科診療です。
高齢者の歯科受療状況。
一方、これまでの訪問歯科診療の実施率をみると、1ヶ月間の在宅医療実施歯科診療所は18.2%であり、都道府県別にみると、最小11.0%(沖縄県)から最大35.7%(佐賀県)まで都道府県間に較差がみられます。実施件数では、在宅医療サービス実施診療所1箇所当たりの訪問歯科診療の件数は、全国平均で1ヶ月間に12.6件となっています(厚生労働省医療施設調査、介護保険事業状況報告、2005)。すなわち、約20%の歯科診療所が毎月平均12件強の訪問診療を行っているというのが現状です。この実施件数は、全要介護高齢者を対象とした月1回の定期的管理を中心とした在宅歯科医療サービスを想定した場合、3.6%の充足率に過ぎません。一方、介護保険における居宅療養管理指導では、歯科医師による実施を行っている診療所は全国平均で4.0%(最大値9.1%、最小値1.5%)、歯科衛生士による実施は2.7%(最大値8.7%、最小値0.9%)となっています。
訪問歯科診療で行われる治療内容
基本的には、訪問歯科診療で行われる診療内容は、外来で行われるものと同じものです。しかし、治療時の姿勢の保持や照明など制約の中で行われるので、治療内容によって診療所で受診することが必要な場合があります。また、歯科医師が患者の全身状態を把握するために、かかりつけの医師や入院時の主治医などと外来診療以上に密な連携が求められます。
大事なことは外来受診が困難な場合に、本人や家族が歯科治療を受けることをあきらめないことです。入院前にかかりつけの歯科医院を持っていても、多くの場合、急性期病院等への入院から回復期、施設入所等へ移っていく間に歯科医師・患者関係が途切れてしまい、退院後の在宅療養時にかかりつけ医とかかりつけ歯科医との連携が取れていないために、結果的に口腔内状態の悪化や義歯治療などの対応が放置されるという悪循環を招いていることがしばしばみられます。
在宅療養をしている患者の歯科の問題には、義歯の不適合、むし歯に伴う歯の痛みや、歯ぐきの腫れ、口内炎などがあげられます。これらの多くは訪問歯科診療で対応することができます。口腔内の不具合は、食事の意欲の低下につながります。さらには、要介護高齢者における口腔清掃状態の悪化は、誤嚥性肺炎の原因にもなりますので、定期的なチェックが必要になります(Yoneyama T et al, 1999)。また、噛むことや飲み込むことの障害(咀嚼・嚥下障害)がみられることがあり、機能低下の早期の発見と対応が必要です。そして、終末期においても最後まで口から食べるための歯科的対応は、本人の生きる力を支援するものです。これらの処置は、保険診療上でも位置づけられています。
また、要介護高齢者の歯科ニーズは、全要介護高齢者に対する定期的口腔ケア・食支援、全要介護高齢者の少なくとも50%への歯科治療、全介護高齢者の約20%に対する摂食嚥下指導が必要と試算されています。
訪問歯科診療の受診方法
かかりつけの歯科医院がある場合には、訪問診療をお願いしてみることです。その歯科医院で対応が難しい場合には、他の医療機関の紹介してくれると考えられます。あるいは、市町村保健センターなどの行政機関や主治医・介護職など身近の担当者に問い合わせれば、地域でのネットワークがすでに整備されていることが多いので、解決につながります。
平成20年4月からスタートする後期高齢者医療制度でも、在宅医療の充実は、重点課題のひとつであり、歯科医師会など関係機関でも訪問歯科診療の提供体制の充実に取り組まれています。在宅要介護高齢者の歯科受診の機会を向上するために、平成20年4月からは「在宅療養支援歯科診療所」も医療保険で新設されることになっていますので、関係機関に問い合わせれば、地域で積極的に訪問歯科診療に取り組んでいる医療機関を知ることができます。
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口腔機能の健康への影響
口腔機能は、食べることやコミュニケーションにかかわる重要な役割を果たします。口腔機能が低下すると、食物の種類が制限されるので、免疫力の低下から病気にかかりやすくなります。また食事や会話に支障をきたすと人との付き合いがおっくうになります。そのため、家に閉じこもりがちになると、身体的にも精神的にも活動が不活発になり、高齢者では寝たきりや認知症の引き金ともなります。
口腔機能とは
口腔機能は「咀嚼(かみ砕く)、嚥下(飲み込む)、発音、唾液の分泌など」に関わり、その役割を大別すれば、「1.食べる、2.話す」となります。要するに人が社会のなかで健康な生活を営むための原点ともいうべき機能です。
高齢者の健康とは
高齢になれば、病気や障害から完全に逃れることは通常は不可能です。また生理的老化によっても様々な問題が生じます。したがって、健康な高齢者のイメ−ジとしては、いくつかの病気や障害を抱えながらも日常の活動には何ら支障のない状態が浮かんできます。つまり高齢者の健康の特徴は、「病気や障害がない」ことよりもむしろ「いきいきと活動する=活動性が高い」ことに重点が置かれる点にあります。
口腔機能と健康との関係は
高齢者の活動性が低下する要因は2つあります。1つは「身体機能の衰え」です。口腔機能が低下すると食物の種類が制限されるので、栄養の偏りやエネルギー不足になりがちです。その結果、筋力や免疫力の低下が起こります。筋力がおちると、運動機能が低下し活動も不活発になります。また免疫力が低下すると、さまざまな病気にかかりやすくなります。特に肺炎などの感染症にかかると、高齢者ではそれがもとになって寝たきりになる場合もあります。
もう1つの重要な要因は「人との交流の機会を失うこと」です。交流の場は、役割活動であったり趣味活動であったりします。これらの活動のなかで人との交流が生まれますが、そのためには人と楽しく食事をし、コミュニケーションするための口腔機能を維持することが不可欠です。とりわけ「食べる」ことは、それ自体が生きがいになるとともに、社会とのつながりが徐々に薄れる高齢者にとって、誰かと食事を共にすることが人間関係を豊かにする場を提供する重要な機会でもあります。逆に食事や会話に支障をきたすと、外出や人との付き合いがおっくうになり、家に閉じこもりがちになります。不活発な生活が長く続くと、体力とともに脳も衰え、認知機能の低下にもつながります。寝たきりや認知症にいたる原因の多くが家の中での閉じこもりにあるのはそのためです。
このように高齢者が身体的、精神的、さらには社会的にも健康な生活をおくるためには口腔機能を維持することが欠かせないのです。
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口腔機能は、食べることやコミュニケーションにかかわる重要な役割を果たします。口腔機能が低下すると、食物の種類が制限されるので、免疫力の低下から病気にかかりやすくなります。また食事や会話に支障をきたすと人との付き合いがおっくうになります。そのため、家に閉じこもりがちになると、身体的にも精神的にも活動が不活発になり、高齢者では寝たきりや認知症の引き金ともなります。
口腔機能とは
口腔機能は「咀嚼(かみ砕く)、嚥下(飲み込む)、発音、唾液の分泌など」に関わり、その役割を大別すれば、「1.食べる、2.話す」となります。要するに人が社会のなかで健康な生活を営むための原点ともいうべき機能です。
高齢者の健康とは
高齢になれば、病気や障害から完全に逃れることは通常は不可能です。また生理的老化によっても様々な問題が生じます。したがって、健康な高齢者のイメ−ジとしては、いくつかの病気や障害を抱えながらも日常の活動には何ら支障のない状態が浮かんできます。つまり高齢者の健康の特徴は、「病気や障害がない」ことよりもむしろ「いきいきと活動する=活動性が高い」ことに重点が置かれる点にあります。
口腔機能と健康との関係は
高齢者の活動性が低下する要因は2つあります。1つは「身体機能の衰え」です。口腔機能が低下すると食物の種類が制限されるので、栄養の偏りやエネルギー不足になりがちです。その結果、筋力や免疫力の低下が起こります。筋力がおちると、運動機能が低下し活動も不活発になります。また免疫力が低下すると、さまざまな病気にかかりやすくなります。特に肺炎などの感染症にかかると、高齢者ではそれがもとになって寝たきりになる場合もあります。
もう1つの重要な要因は「人との交流の機会を失うこと」です。交流の場は、役割活動であったり趣味活動であったりします。これらの活動のなかで人との交流が生まれますが、そのためには人と楽しく食事をし、コミュニケーションするための口腔機能を維持することが不可欠です。とりわけ「食べる」ことは、それ自体が生きがいになるとともに、社会とのつながりが徐々に薄れる高齢者にとって、誰かと食事を共にすることが人間関係を豊かにする場を提供する重要な機会でもあります。逆に食事や会話に支障をきたすと、外出や人との付き合いがおっくうになり、家に閉じこもりがちになります。不活発な生活が長く続くと、体力とともに脳も衰え、認知機能の低下にもつながります。寝たきりや認知症にいたる原因の多くが家の中での閉じこもりにあるのはそのためです。
このように高齢者が身体的、精神的、さらには社会的にも健康な生活をおくるためには口腔機能を維持することが欠かせないのです。
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▼ 口臭の治療・予防
口臭には生理的口臭と病的口臭がありますが、その原因はほとんどが舌苔(舌の表面につく白い苔状のもの)です。したがって、舌の清掃による舌苔の除去が最も有効な予防法です。また、何の自覚もないのに家族から口臭を指摘されるようになったら、歯周病が原因の可能性がありますので歯科医院での専門的な検査・治療が必要です。
口臭の原因物質
口臭の原因は、87%が口の中にあることが明らかにされています(*1)。口の中にいる嫌気性菌という種類の細菌が、タンパク質やアミノ酸を分解して揮発性硫黄化合物(Volatile Sulfur Compounds: VSC)という物質を作ります。これが口臭の主たる原因物質です。口臭はVSCが増える原因により生理的口臭あるいは病的口臭に分けられます。
生理的口臭の予防
VSCは舌の上で最も多く作られます。これは、舌に白い苔状のものが付着するためです。これを舌苔(ぜったい)といいます。したがって、生理的口臭の予防のためには歯磨きに加えて舌清掃を行って舌苔を除去し、舌を清潔に保つことが最も効果的です。
舌苔のつき方には個人差があり、さらに同じ人でも時間帯や体調によってつき方が異なりますが、このような差がなぜ起こるのかはよくわかっていません。しかし、寝たきりで食物の経口摂取が困難な患者さんや健康な人でも起床時や絶食時などにその量が多くなる傾向があるようですから、咀嚼・嚥下活動やそれに伴う舌の運動や唾液の分泌量と大きく関係していると考えられます。さらに、口臭の一日の変動リズムも食事のリズムとよく対応しています。したがって、舌清掃は朝起きてすぐに行い、食事は毎日規則正しくとり、よくかんで食べるようにしてください。
舌清掃の方法
舌清掃は、毛先の柔らかい小児用の歯ブラシや、目の粗いタオルなどを使ってもかまいませんが、専用の舌ブラシを使うとより効果的です。以下の手順で行ってください。
病的口臭の治療
先に述べたように、口臭は健康な人でも強くなることがありますが、何らかの病的な原因があって口臭が強くなることがあります。これを病的口臭といいます。その代表的なものが歯周病です。それは歯周病の原因の多くがVSCを作る嫌気性菌であるからです。歯周病の他には、大きなむし歯や粘膜の潰瘍などが原因となることがありますが、これらの病気と異なり、歯周病はほとんど痛みもなく進行していきます。したがって、何の自覚もないのに家族から口臭を指摘されるようになったら、一度歯科医院を受診して歯周病の検査を受け、専門的な治療を受けることで改善します。
一方、口の中以外では副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)や、ごくまれに肝臓病や腎臓病などの全身疾患が原因となって口臭が強くなることがありますが、これらは口臭以外にも何らかの自覚症状が現れることがほとんどですから、あまり考えなくてもよいでしょう。
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口臭の原因物質
口臭の原因は、87%が口の中にあることが明らかにされています(*1)。口の中にいる嫌気性菌という種類の細菌が、タンパク質やアミノ酸を分解して揮発性硫黄化合物(Volatile Sulfur Compounds: VSC)という物質を作ります。これが口臭の主たる原因物質です。口臭はVSCが増える原因により生理的口臭あるいは病的口臭に分けられます。
生理的口臭の予防
VSCは舌の上で最も多く作られます。これは、舌に白い苔状のものが付着するためです。これを舌苔(ぜったい)といいます。したがって、生理的口臭の予防のためには歯磨きに加えて舌清掃を行って舌苔を除去し、舌を清潔に保つことが最も効果的です。
舌苔のつき方には個人差があり、さらに同じ人でも時間帯や体調によってつき方が異なりますが、このような差がなぜ起こるのかはよくわかっていません。しかし、寝たきりで食物の経口摂取が困難な患者さんや健康な人でも起床時や絶食時などにその量が多くなる傾向があるようですから、咀嚼・嚥下活動やそれに伴う舌の運動や唾液の分泌量と大きく関係していると考えられます。さらに、口臭の一日の変動リズムも食事のリズムとよく対応しています。したがって、舌清掃は朝起きてすぐに行い、食事は毎日規則正しくとり、よくかんで食べるようにしてください。
舌清掃の方法
舌清掃は、毛先の柔らかい小児用の歯ブラシや、目の粗いタオルなどを使ってもかまいませんが、専用の舌ブラシを使うとより効果的です。以下の手順で行ってください。
病的口臭の治療
先に述べたように、口臭は健康な人でも強くなることがありますが、何らかの病的な原因があって口臭が強くなることがあります。これを病的口臭といいます。その代表的なものが歯周病です。それは歯周病の原因の多くがVSCを作る嫌気性菌であるからです。歯周病の他には、大きなむし歯や粘膜の潰瘍などが原因となることがありますが、これらの病気と異なり、歯周病はほとんど痛みもなく進行していきます。したがって、何の自覚もないのに家族から口臭を指摘されるようになったら、一度歯科医院を受診して歯周病の検査を受け、専門的な治療を受けることで改善します。
一方、口の中以外では副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)や、ごくまれに肝臓病や腎臓病などの全身疾患が原因となって口臭が強くなることがありますが、これらは口臭以外にも何らかの自覚症状が現れることがほとんどですから、あまり考えなくてもよいでしょう。
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