口腔機能の健康への影響
口腔機能は、食べることやコミュニケーションにかかわる重要な役割を果たします。口腔機能が低下すると、食物の種類が制限されるので、免疫力の低下から病気にかかりやすくなります。また食事や会話に支障をきたすと人との付き合いがおっくうになります。そのため、家に閉じこもりがちになると、身体的にも精神的にも活動が不活発になり、高齢者では寝たきりや認知症の引き金ともなります。
口腔機能とは
口腔機能は「咀嚼(かみ砕く)、嚥下(飲み込む)、発音、唾液の分泌など」に関わり、その役割を大別すれば、「1.食べる、2.話す」となります。要するに人が社会のなかで健康な生活を営むための原点ともいうべき機能です。
高齢者の健康とは
高齢になれば、病気や障害から完全に逃れることは通常は不可能です。また生理的老化によっても様々な問題が生じます。したがって、健康な高齢者のイメ−ジとしては、いくつかの病気や障害を抱えながらも日常の活動には何ら支障のない状態が浮かんできます。つまり高齢者の健康の特徴は、「病気や障害がない」ことよりもむしろ「いきいきと活動する=活動性が高い」ことに重点が置かれる点にあります。
口腔機能と健康との関係は
高齢者の活動性が低下する要因は2つあります。1つは「身体機能の衰え」です。口腔機能が低下すると食物の種類が制限されるので、栄養の偏りやエネルギー不足になりがちです。その結果、筋力や免疫力の低下が起こります。筋力がおちると、運動機能が低下し活動も不活発になります。また免疫力が低下すると、さまざまな病気にかかりやすくなります。特に肺炎などの感染症にかかると、高齢者ではそれがもとになって寝たきりになる場合もあります。
もう1つの重要な要因は「人との交流の機会を失うこと」です。交流の場は、役割活動であったり趣味活動であったりします。これらの活動のなかで人との交流が生まれますが、そのためには人と楽しく食事をし、コミュニケーションするための口腔機能を維持することが不可欠です。とりわけ「食べる」ことは、それ自体が生きがいになるとともに、社会とのつながりが徐々に薄れる高齢者にとって、誰かと食事を共にすることが人間関係を豊かにする場を提供する重要な機会でもあります。逆に食事や会話に支障をきたすと、外出や人との付き合いがおっくうになり、家に閉じこもりがちになります。不活発な生活が長く続くと、体力とともに脳も衰え、認知機能の低下にもつながります。寝たきりや認知症にいたる原因の多くが家の中での閉じこもりにあるのはそのためです。
このように高齢者が身体的、精神的、さらには社会的にも健康な生活をおくるためには口腔機能を維持することが欠かせないのです。
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口腔機能は、食べることやコミュニケーションにかかわる重要な役割を果たします。口腔機能が低下すると、食物の種類が制限されるので、免疫力の低下から病気にかかりやすくなります。また食事や会話に支障をきたすと人との付き合いがおっくうになります。そのため、家に閉じこもりがちになると、身体的にも精神的にも活動が不活発になり、高齢者では寝たきりや認知症の引き金ともなります。
口腔機能とは
口腔機能は「咀嚼(かみ砕く)、嚥下(飲み込む)、発音、唾液の分泌など」に関わり、その役割を大別すれば、「1.食べる、2.話す」となります。要するに人が社会のなかで健康な生活を営むための原点ともいうべき機能です。
高齢者の健康とは
高齢になれば、病気や障害から完全に逃れることは通常は不可能です。また生理的老化によっても様々な問題が生じます。したがって、健康な高齢者のイメ−ジとしては、いくつかの病気や障害を抱えながらも日常の活動には何ら支障のない状態が浮かんできます。つまり高齢者の健康の特徴は、「病気や障害がない」ことよりもむしろ「いきいきと活動する=活動性が高い」ことに重点が置かれる点にあります。
口腔機能と健康との関係は
高齢者の活動性が低下する要因は2つあります。1つは「身体機能の衰え」です。口腔機能が低下すると食物の種類が制限されるので、栄養の偏りやエネルギー不足になりがちです。その結果、筋力や免疫力の低下が起こります。筋力がおちると、運動機能が低下し活動も不活発になります。また免疫力が低下すると、さまざまな病気にかかりやすくなります。特に肺炎などの感染症にかかると、高齢者ではそれがもとになって寝たきりになる場合もあります。
もう1つの重要な要因は「人との交流の機会を失うこと」です。交流の場は、役割活動であったり趣味活動であったりします。これらの活動のなかで人との交流が生まれますが、そのためには人と楽しく食事をし、コミュニケーションするための口腔機能を維持することが不可欠です。とりわけ「食べる」ことは、それ自体が生きがいになるとともに、社会とのつながりが徐々に薄れる高齢者にとって、誰かと食事を共にすることが人間関係を豊かにする場を提供する重要な機会でもあります。逆に食事や会話に支障をきたすと、外出や人との付き合いがおっくうになり、家に閉じこもりがちになります。不活発な生活が長く続くと、体力とともに脳も衰え、認知機能の低下にもつながります。寝たきりや認知症にいたる原因の多くが家の中での閉じこもりにあるのはそのためです。
このように高齢者が身体的、精神的、さらには社会的にも健康な生活をおくるためには口腔機能を維持することが欠かせないのです。
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▼ 口臭の治療・予防
口臭には生理的口臭と病的口臭がありますが、その原因はほとんどが舌苔(舌の表面につく白い苔状のもの)です。したがって、舌の清掃による舌苔の除去が最も有効な予防法です。また、何の自覚もないのに家族から口臭を指摘されるようになったら、歯周病が原因の可能性がありますので歯科医院での専門的な検査・治療が必要です。
口臭の原因物質
口臭の原因は、87%が口の中にあることが明らかにされています(*1)。口の中にいる嫌気性菌という種類の細菌が、タンパク質やアミノ酸を分解して揮発性硫黄化合物(Volatile Sulfur Compounds: VSC)という物質を作ります。これが口臭の主たる原因物質です。口臭はVSCが増える原因により生理的口臭あるいは病的口臭に分けられます。
生理的口臭の予防
VSCは舌の上で最も多く作られます。これは、舌に白い苔状のものが付着するためです。これを舌苔(ぜったい)といいます。したがって、生理的口臭の予防のためには歯磨きに加えて舌清掃を行って舌苔を除去し、舌を清潔に保つことが最も効果的です。
舌苔のつき方には個人差があり、さらに同じ人でも時間帯や体調によってつき方が異なりますが、このような差がなぜ起こるのかはよくわかっていません。しかし、寝たきりで食物の経口摂取が困難な患者さんや健康な人でも起床時や絶食時などにその量が多くなる傾向があるようですから、咀嚼・嚥下活動やそれに伴う舌の運動や唾液の分泌量と大きく関係していると考えられます。さらに、口臭の一日の変動リズムも食事のリズムとよく対応しています。したがって、舌清掃は朝起きてすぐに行い、食事は毎日規則正しくとり、よくかんで食べるようにしてください。
舌清掃の方法
舌清掃は、毛先の柔らかい小児用の歯ブラシや、目の粗いタオルなどを使ってもかまいませんが、専用の舌ブラシを使うとより効果的です。以下の手順で行ってください。
病的口臭の治療
先に述べたように、口臭は健康な人でも強くなることがありますが、何らかの病的な原因があって口臭が強くなることがあります。これを病的口臭といいます。その代表的なものが歯周病です。それは歯周病の原因の多くがVSCを作る嫌気性菌であるからです。歯周病の他には、大きなむし歯や粘膜の潰瘍などが原因となることがありますが、これらの病気と異なり、歯周病はほとんど痛みもなく進行していきます。したがって、何の自覚もないのに家族から口臭を指摘されるようになったら、一度歯科医院を受診して歯周病の検査を受け、専門的な治療を受けることで改善します。
一方、口の中以外では副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)や、ごくまれに肝臓病や腎臓病などの全身疾患が原因となって口臭が強くなることがありますが、これらは口臭以外にも何らかの自覚症状が現れることがほとんどですから、あまり考えなくてもよいでしょう。
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口臭の原因物質
口臭の原因は、87%が口の中にあることが明らかにされています(*1)。口の中にいる嫌気性菌という種類の細菌が、タンパク質やアミノ酸を分解して揮発性硫黄化合物(Volatile Sulfur Compounds: VSC)という物質を作ります。これが口臭の主たる原因物質です。口臭はVSCが増える原因により生理的口臭あるいは病的口臭に分けられます。
生理的口臭の予防
VSCは舌の上で最も多く作られます。これは、舌に白い苔状のものが付着するためです。これを舌苔(ぜったい)といいます。したがって、生理的口臭の予防のためには歯磨きに加えて舌清掃を行って舌苔を除去し、舌を清潔に保つことが最も効果的です。
舌苔のつき方には個人差があり、さらに同じ人でも時間帯や体調によってつき方が異なりますが、このような差がなぜ起こるのかはよくわかっていません。しかし、寝たきりで食物の経口摂取が困難な患者さんや健康な人でも起床時や絶食時などにその量が多くなる傾向があるようですから、咀嚼・嚥下活動やそれに伴う舌の運動や唾液の分泌量と大きく関係していると考えられます。さらに、口臭の一日の変動リズムも食事のリズムとよく対応しています。したがって、舌清掃は朝起きてすぐに行い、食事は毎日規則正しくとり、よくかんで食べるようにしてください。
舌清掃の方法
舌清掃は、毛先の柔らかい小児用の歯ブラシや、目の粗いタオルなどを使ってもかまいませんが、専用の舌ブラシを使うとより効果的です。以下の手順で行ってください。
病的口臭の治療
先に述べたように、口臭は健康な人でも強くなることがありますが、何らかの病的な原因があって口臭が強くなることがあります。これを病的口臭といいます。その代表的なものが歯周病です。それは歯周病の原因の多くがVSCを作る嫌気性菌であるからです。歯周病の他には、大きなむし歯や粘膜の潰瘍などが原因となることがありますが、これらの病気と異なり、歯周病はほとんど痛みもなく進行していきます。したがって、何の自覚もないのに家族から口臭を指摘されるようになったら、一度歯科医院を受診して歯周病の検査を受け、専門的な治療を受けることで改善します。
一方、口の中以外では副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)や、ごくまれに肝臓病や腎臓病などの全身疾患が原因となって口臭が強くなることがありますが、これらは口臭以外にも何らかの自覚症状が現れることがほとんどですから、あまり考えなくてもよいでしょう。
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▼ 口臭の原因・実態
口臭の大部分は口の中に原因があり、その多くは舌苔と歯周病です。全身疾患の兆候として現れる呼気経由の口臭もありますが、極めて限定的と考えて良いと思われます。口臭は自己識別が難しいこともあって、気にする人が多い一方で、強いにおいを無自覚な人も多いという社会的な健康問題となっています。
口臭の原因
口臭とは「口あるいは鼻を通して出てくる気体のうち、社会的容認限度を超える悪臭」と定義されます。すなわち、生体ガスのうち、においの質と強度が問題となります。しかし、正常な生活活動で生じるニンニク臭、ネギ臭、飲酒後のアルコール臭などの呼気臭、いわゆる生理的な臭気は「口臭」に含めないようです。
口臭の大部分(80%以上)は口腔内の気体由来であり、その主要原因物質は揮発性硫黄化合物である硫化水素(H2S)、メチルメルカプタン(CH3SH)、ジメチルサルファイド[(CH3)2S] です。その中でも硫化水素とメチルメルカプタンで約90%占めます。これら揮発性硫黄化合物は、口の内に生息している嫌気性菌が唾液、血液、剥離上皮細胞、食物残渣中の含硫アミノ酸を分解・腐敗することで産生されます。産生部位としては、辺縁性歯周炎、口内炎、壊死性軟組織疾患、口腔癌などの疾患病巣、あるいは舌苔や貯留唾液があげられます。このうち、歯周病、舌苔が原因のほとんどを占め、この両者では、舌苔からの産生量の方が多いといわれています。また、舌苔からは硫化水素の産生が多いが、歯周病患者からは高い濃度のメチルメルカプタンが検出されます。
全身疾患(代謝性疾患)由来の口臭は糖尿病、尿毒症、肝硬変、肝癌、トリメチルアミン尿症などが原因となります。肝性昏睡、肝硬変のように脂肪酸、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドと口腔由来の口臭と類似したにおいもあれば、糖尿病のアセトン臭や尿毒症のジメチルアミン、トリメチルアミンのにおいのように、嗅覚によって容易に識別できるものもあります。これら全身疾患の兆候として現れる呼気経由の悪臭は限定的なものです。
口臭の実態
厚生省(現厚生労働省)保健福祉動向調査(1999年度)によると、約3.3万人のうち約10%が「口臭が気になる」と回答しました。このデータは主観的な回答であるため、国民の10%に口臭があることを示すものではありません。口臭のように鼻周囲で常時発生するにおいは嗅覚疲労(順応)という生体反応のため、自己評価しにくくなっています。そのため、人々に不安を与える一方で、強い口臭を持つ人を無自覚にさせています。
1992年に、一般的な日本人の口臭の実態を把握するために、2,672名(15歳〜64歳)について口腔疾患、口腔環境、生活習慣などの調査と併せて口臭原因物質(揮発性硫黄化合物:VSC)測定を機器により行った結果、以下のことが報告されました。
口臭には日内変動があり、食事やうがいなど口腔活動から時間が経過するほどVSC濃度が高い。
平均VSC濃度に有意な男女差は認められない。
年齢が高いほどVSC濃度は高い傾向にあるが、VSC産生に寄与する他の要因の影響を排除すると年齢は有意でなくなる。
口臭と関連するのは舌苔と歯周病の存在であり、その強さは舌苔の方が歯周病より大きい。一方、歯垢、う蝕、歯磨き習慣、喫煙の影響はほとんどない。
口臭の自己評価と実際の口臭の有無とは相関しない。
社会的容認限度を超える強さの口臭を持つ成人は測定時間帯により6%〜23%存在する。
また、一大学病院の病院統計によると、口臭検査・診断・治療を求めて来院された患者さん(約1,000名)の約1/3が口腔内の清掃状態不良に伴う口臭(生理的口臭)、1/3が口腔内の病気(歯周病)に由来する口臭、1%強が代謝性疾患、耳鼻咽喉系疾患、呼吸器系疾患など呼気由来の口臭であり、一方、1/3が治療の必要な口臭は認められなかったと報告されました。
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口臭の原因
口臭とは「口あるいは鼻を通して出てくる気体のうち、社会的容認限度を超える悪臭」と定義されます。すなわち、生体ガスのうち、においの質と強度が問題となります。しかし、正常な生活活動で生じるニンニク臭、ネギ臭、飲酒後のアルコール臭などの呼気臭、いわゆる生理的な臭気は「口臭」に含めないようです。
口臭の大部分(80%以上)は口腔内の気体由来であり、その主要原因物質は揮発性硫黄化合物である硫化水素(H2S)、メチルメルカプタン(CH3SH)、ジメチルサルファイド[(CH3)2S] です。その中でも硫化水素とメチルメルカプタンで約90%占めます。これら揮発性硫黄化合物は、口の内に生息している嫌気性菌が唾液、血液、剥離上皮細胞、食物残渣中の含硫アミノ酸を分解・腐敗することで産生されます。産生部位としては、辺縁性歯周炎、口内炎、壊死性軟組織疾患、口腔癌などの疾患病巣、あるいは舌苔や貯留唾液があげられます。このうち、歯周病、舌苔が原因のほとんどを占め、この両者では、舌苔からの産生量の方が多いといわれています。また、舌苔からは硫化水素の産生が多いが、歯周病患者からは高い濃度のメチルメルカプタンが検出されます。
全身疾患(代謝性疾患)由来の口臭は糖尿病、尿毒症、肝硬変、肝癌、トリメチルアミン尿症などが原因となります。肝性昏睡、肝硬変のように脂肪酸、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドと口腔由来の口臭と類似したにおいもあれば、糖尿病のアセトン臭や尿毒症のジメチルアミン、トリメチルアミンのにおいのように、嗅覚によって容易に識別できるものもあります。これら全身疾患の兆候として現れる呼気経由の悪臭は限定的なものです。
口臭の実態
厚生省(現厚生労働省)保健福祉動向調査(1999年度)によると、約3.3万人のうち約10%が「口臭が気になる」と回答しました。このデータは主観的な回答であるため、国民の10%に口臭があることを示すものではありません。口臭のように鼻周囲で常時発生するにおいは嗅覚疲労(順応)という生体反応のため、自己評価しにくくなっています。そのため、人々に不安を与える一方で、強い口臭を持つ人を無自覚にさせています。
1992年に、一般的な日本人の口臭の実態を把握するために、2,672名(15歳〜64歳)について口腔疾患、口腔環境、生活習慣などの調査と併せて口臭原因物質(揮発性硫黄化合物:VSC)測定を機器により行った結果、以下のことが報告されました。
口臭には日内変動があり、食事やうがいなど口腔活動から時間が経過するほどVSC濃度が高い。
平均VSC濃度に有意な男女差は認められない。
年齢が高いほどVSC濃度は高い傾向にあるが、VSC産生に寄与する他の要因の影響を排除すると年齢は有意でなくなる。
口臭と関連するのは舌苔と歯周病の存在であり、その強さは舌苔の方が歯周病より大きい。一方、歯垢、う蝕、歯磨き習慣、喫煙の影響はほとんどない。
口臭の自己評価と実際の口臭の有無とは相関しない。
社会的容認限度を超える強さの口臭を持つ成人は測定時間帯により6%〜23%存在する。
また、一大学病院の病院統計によると、口臭検査・診断・治療を求めて来院された患者さん(約1,000名)の約1/3が口腔内の清掃状態不良に伴う口臭(生理的口臭)、1/3が口腔内の病気(歯周病)に由来する口臭、1%強が代謝性疾患、耳鼻咽喉系疾患、呼吸器系疾患など呼気由来の口臭であり、一方、1/3が治療の必要な口臭は認められなかったと報告されました。
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日本人には歯がアゴに対して入りきらない叢生が多いようです。矯正診療を進めるにあたり、最初に詳細な検査を行い、不正咬合が、骨格、歯槽、機能のどこに問題を抱えているのかを調査し、その成り立ちを知ります。それにより適応する装置の選択や抜歯の問題などが検討されます。
不正咬合の種類
不正咬合には歯がアゴに入りきらないでガチャガチャに生えている叢生(そうせい)、前歯が反対に咬んでいる反対咬合(はんたいこうごう)、前歯の咬み合わせが深い過蓋咬合(かがいこうごう)、上下の前歯がちょうど合わさっている切端咬合(せったんこうごう)、奥歯で咬んでも前歯が当たらない開咬(かいこう)、出っ歯と総称される上顎前突(じょうがくぜんとつ)、などがあります。正常咬合でないものを不正咬合といいますが、日本人のどれくらいが不正咬合なのでしょうか。
*過蓋咬合: 前歯の咬み合わせが深い状態を言います。例えば下の前歯が上の前歯の裏の歯肉を咬んでいて下の前歯が隠れて見えない場合などを言います。上の前歯に負担がかかるので寿命が短くなる、顎関節に負担がかかり痛みなどを発生しやすいとの指摘があります。
*開咬: 奥歯で咬んでも何本かの前歯が咬まない状態のことで、前歯で麺類を噛み切れません。正式には複数の前歯のオーバーバイトがマイナスである状態を言います。
*上顎前突: 出っ歯と言われる不正咬合のことです。上の前歯が出ていることによりぶつけて歯を欠いてしまったり、時には折ってしまう事故が多いと言われています。
日本人の不正咬合の割合
日本人の不正咬合の調査は、厚生労働省(旧厚生省を含む)が“歯科疾患実態調査”の一部として行っています。歯科疾患実態調査は昭和32年から6年ごとに行われていて、不正咬合の調査は今までに昭和44年、56年、平成11年、17年の4回行われました。最新の平成17年には、12歳〜20歳の男女の前歯の不正咬合の状態として、叢生、空隙、オーバージェット、オーバーバイトが調査されました。男女ほぼ同数の合計246名のうち、叢生40%、空隙12%、オーバージェットが6mm以上と大きく上顎前突である者13%、逆にマイナスである反対咬合の者2%、オーバーバイトが6mm以上と過蓋咬合の者8%、マイナスである開咬の者3%でした。この結果から、日本人に多い不正咬合の種類として叢生があげられ、空隙、上顎前突、過蓋咬合も少なくないと言えそうです。
不正咬合の成り立ち
矯正歯科を受診し、初診相談の結果治療を開始することになると、最初に詳細な検査が行われます。そのなかには側面頭部エックス線規格写真という、普通の歯医者さんにはない特別なエックス線写真があります。この検査で個々の不正咬合の成り立ちが詳細に分かります。不正咬合は骨格、歯槽、機能の3つの要素から成り立っています。骨格とは、上あごと下あごの大きさや位置のことです。歯槽とは、上下の前歯の軸がどの程度傾いているのかなど、歯の問題です。機能とは、歯が咬み合わさっていない安静位と呼ばれる状態からしっかり咬み合わさった状態への経路に異常がないかなどです。例えば、上顎前突と言っても、上あごが大きく下あごが小さい上顎前突(骨格性上顎前突)、上の歯が大きく前に傾いているためにオーバージェットが大きくなっている上顎前突(歯槽性上顎前突)、上の一番目の前歯の傾きは普通なのに二番目の前歯が内側に入っているので咬むと下あごが後に咬みこんでしまう上顎前突(機能性上顎前突)など様々です。これらの組み合わさったものも多く見受けられます。治療を開始する前に詳細な検査を行い、不正の成り立ちを調べることで、適応する装置の選択や抜歯の問題などが検討されます。
*オーバージェット: 横から見たときの前歯切縁の水平的距離です。上顎前突はこの値が大きいもの、反対咬合は値がマイナスのものです。
*オーバーバイト: 上の前歯が下の前歯にどれだけかぶさっているかという垂直的距離を示します。咬み合わせが深い過蓋咬合では値が大きく、前歯がかみ合わない開咬では値はマイナスとなります。上下の前歯がちょうど当たった状態であるオーバージェット、オーバーバイトとも0mmの場合を切端咬合と言います。
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不正咬合の種類
不正咬合には歯がアゴに入りきらないでガチャガチャに生えている叢生(そうせい)、前歯が反対に咬んでいる反対咬合(はんたいこうごう)、前歯の咬み合わせが深い過蓋咬合(かがいこうごう)、上下の前歯がちょうど合わさっている切端咬合(せったんこうごう)、奥歯で咬んでも前歯が当たらない開咬(かいこう)、出っ歯と総称される上顎前突(じょうがくぜんとつ)、などがあります。正常咬合でないものを不正咬合といいますが、日本人のどれくらいが不正咬合なのでしょうか。
*過蓋咬合: 前歯の咬み合わせが深い状態を言います。例えば下の前歯が上の前歯の裏の歯肉を咬んでいて下の前歯が隠れて見えない場合などを言います。上の前歯に負担がかかるので寿命が短くなる、顎関節に負担がかかり痛みなどを発生しやすいとの指摘があります。
*開咬: 奥歯で咬んでも何本かの前歯が咬まない状態のことで、前歯で麺類を噛み切れません。正式には複数の前歯のオーバーバイトがマイナスである状態を言います。
*上顎前突: 出っ歯と言われる不正咬合のことです。上の前歯が出ていることによりぶつけて歯を欠いてしまったり、時には折ってしまう事故が多いと言われています。
日本人の不正咬合の割合
日本人の不正咬合の調査は、厚生労働省(旧厚生省を含む)が“歯科疾患実態調査”の一部として行っています。歯科疾患実態調査は昭和32年から6年ごとに行われていて、不正咬合の調査は今までに昭和44年、56年、平成11年、17年の4回行われました。最新の平成17年には、12歳〜20歳の男女の前歯の不正咬合の状態として、叢生、空隙、オーバージェット、オーバーバイトが調査されました。男女ほぼ同数の合計246名のうち、叢生40%、空隙12%、オーバージェットが6mm以上と大きく上顎前突である者13%、逆にマイナスである反対咬合の者2%、オーバーバイトが6mm以上と過蓋咬合の者8%、マイナスである開咬の者3%でした。この結果から、日本人に多い不正咬合の種類として叢生があげられ、空隙、上顎前突、過蓋咬合も少なくないと言えそうです。
不正咬合の成り立ち
矯正歯科を受診し、初診相談の結果治療を開始することになると、最初に詳細な検査が行われます。そのなかには側面頭部エックス線規格写真という、普通の歯医者さんにはない特別なエックス線写真があります。この検査で個々の不正咬合の成り立ちが詳細に分かります。不正咬合は骨格、歯槽、機能の3つの要素から成り立っています。骨格とは、上あごと下あごの大きさや位置のことです。歯槽とは、上下の前歯の軸がどの程度傾いているのかなど、歯の問題です。機能とは、歯が咬み合わさっていない安静位と呼ばれる状態からしっかり咬み合わさった状態への経路に異常がないかなどです。例えば、上顎前突と言っても、上あごが大きく下あごが小さい上顎前突(骨格性上顎前突)、上の歯が大きく前に傾いているためにオーバージェットが大きくなっている上顎前突(歯槽性上顎前突)、上の一番目の前歯の傾きは普通なのに二番目の前歯が内側に入っているので咬むと下あごが後に咬みこんでしまう上顎前突(機能性上顎前突)など様々です。これらの組み合わさったものも多く見受けられます。治療を開始する前に詳細な検査を行い、不正の成り立ちを調べることで、適応する装置の選択や抜歯の問題などが検討されます。
*オーバージェット: 横から見たときの前歯切縁の水平的距離です。上顎前突はこの値が大きいもの、反対咬合は値がマイナスのものです。
*オーバーバイト: 上の前歯が下の前歯にどれだけかぶさっているかという垂直的距離を示します。咬み合わせが深い過蓋咬合では値が大きく、前歯がかみ合わない開咬では値はマイナスとなります。上下の前歯がちょうど当たった状態であるオーバージェット、オーバーバイトとも0mmの場合を切端咬合と言います。
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顎関節症の治療は、初期治療として、理学療法・スプリント療法・マイオモニター治療・薬物療法・冷罨法などの治療法があります。残念ながら、どの治療法が最も効果的であるかのエビデンスは少ないのが現状であります。
顎関節症の治療は、各施設で異なる場合が多いため、日本顎関節学会などが診療ガイドラインを作成中です。また、治療法も、医療機関受診後、最初に行われる初期治療と、それらの治療で改善されない場合の手術などの治療があります。
また、インターネットを中心に、世界的にもエビデンスが乏しい治療法を進める医療施設がもあります。さらに、顎関節症の治療にもかかわらず、顎関節の症状だけでなく、関係ない全身のいろいろな病気も改善するとの宣伝も散見されるので、注意してください。特に大きく変わる、かみ合わせの治療でかみ合わせを大きく変更する治療を行う場合は、セカンドオピニオンが大切です。ただし、このことはかみ合わせの治療を否定するものではありません。たとえば、顎関節症I型に対してスタビリゼーションスプリントの効果を示したランダム比較試験という質の高い研究もあります。
初期治療として、表のような治療法があります。残念ながら、どの治療法が最も効果的であるかのエビデンスは少ないのが現状であります。また、世界的に顎関節症I型と顎関節症III型の研究が進んでいます。
しかし、いずれの方法でも、まずどうして顎関節症としての症状が生じているのかの、病態の詳しい説明を行うことが必要です。すなわち、いろいろな似たような治療法があるため、患者にあった治療法を、医師と患者が相談しながら、その病態に合いあい実施可能な治療法を組み合わせていくことが大切だからです。また、詳しい病態の説明のみで、不安感がなくなり、それによって疼痛の程度が下がる方も多くみえます。
顎関節症の治療の、もうひとつのポイントは、日常の生活に支障のない程度まで軽減すれば治療終了となることです。違和感が、まったくなくなるまで治療を続ける必要はありません。たとえば、口を開け閉めするときに音がする場合であっても、患者本人が生活に支障をきたしてなければ、治療対象とすらならないということです。もっとも、これは、何もせずに放置するということではありません。医療機関で、顎関節症と診断され、病態の説明を受けることが重要です。
また、顎関節症は、多くの場合、予後が良い病気とされています。よって、1ヶ月ぐらい治療を継続しても改善しない場合は、その医療機関の先生と相談して、他の治療法や2次医療機関への受診などを検討することが望ましいとされています。
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顎関節症の治療は、各施設で異なる場合が多いため、日本顎関節学会などが診療ガイドラインを作成中です。また、治療法も、医療機関受診後、最初に行われる初期治療と、それらの治療で改善されない場合の手術などの治療があります。
また、インターネットを中心に、世界的にもエビデンスが乏しい治療法を進める医療施設がもあります。さらに、顎関節症の治療にもかかわらず、顎関節の症状だけでなく、関係ない全身のいろいろな病気も改善するとの宣伝も散見されるので、注意してください。特に大きく変わる、かみ合わせの治療でかみ合わせを大きく変更する治療を行う場合は、セカンドオピニオンが大切です。ただし、このことはかみ合わせの治療を否定するものではありません。たとえば、顎関節症I型に対してスタビリゼーションスプリントの効果を示したランダム比較試験という質の高い研究もあります。
初期治療として、表のような治療法があります。残念ながら、どの治療法が最も効果的であるかのエビデンスは少ないのが現状であります。また、世界的に顎関節症I型と顎関節症III型の研究が進んでいます。
しかし、いずれの方法でも、まずどうして顎関節症としての症状が生じているのかの、病態の詳しい説明を行うことが必要です。すなわち、いろいろな似たような治療法があるため、患者にあった治療法を、医師と患者が相談しながら、その病態に合いあい実施可能な治療法を組み合わせていくことが大切だからです。また、詳しい病態の説明のみで、不安感がなくなり、それによって疼痛の程度が下がる方も多くみえます。
顎関節症の治療の、もうひとつのポイントは、日常の生活に支障のない程度まで軽減すれば治療終了となることです。違和感が、まったくなくなるまで治療を続ける必要はありません。たとえば、口を開け閉めするときに音がする場合であっても、患者本人が生活に支障をきたしてなければ、治療対象とすらならないということです。もっとも、これは、何もせずに放置するということではありません。医療機関で、顎関節症と診断され、病態の説明を受けることが重要です。
また、顎関節症は、多くの場合、予後が良い病気とされています。よって、1ヶ月ぐらい治療を継続しても改善しない場合は、その医療機関の先生と相談して、他の治療法や2次医療機関への受診などを検討することが望ましいとされています。
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顎関節症とは、顎(あご)の関節の病気です。現時点で世界的に認められている共通な定義はありません。また、顎に関係する筋肉(咀嚼筋(そしゃくきん))による病態と、関節による病態などが混在しているため、混乱することも多いです。
顎関節症とは、顎(あご)の関節と、その顎に関連する筋肉(咀嚼筋(そしゃくきん))の病気です。現時点で世界的に認められている共通な定義はありません。顎の関節と咀嚼筋の問題が混在しているため、混乱することも多いです。
1. 定義・分類
顎関節症とは、顎の関節(顎関節(がくかんせつ))の病気です。現時点で世界的に認められている共通な定義はありません。また、顎の動きに関係する筋肉(咀嚼筋(そしゃくきん))による病態と、関節による病態などが混在しているため、混乱することも多いです。
顎関節症とは、顎の関節と、その顎に関連する筋肉(咀嚼筋)の病気です。現時点で世界的に認められている共通な定義はありません。顎の関節と咀嚼筋の問題が混在しているため、混乱することも多いです。
2. 診断基準
顎関節症の診断基準の世界的な標準は、存在しません。しかし、日本顎関節学会の診断基準など、多くの診断基準では、最初に他の疾患でないこと(除外診断)という鑑別が重要とされています。
すなわち、顎関節症と鑑別すべき顎関節疾患を理解することが、顎関節症の診断には、必要不可欠であると言えます。たとえば、破傷風(全身の感染)・化膿性顎関節炎(関節の化膿)・骨腫(骨の腫瘍)・悪性腫瘍(筋肉への腫瘍の進展)・脳疾患などがあげられます。しかし、これらの疾患の発生率は、少ないため、ポイントを的確に診断すれば、診断は容易とされています。
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顎関節症とは、顎(あご)の関節と、その顎に関連する筋肉(咀嚼筋(そしゃくきん))の病気です。現時点で世界的に認められている共通な定義はありません。顎の関節と咀嚼筋の問題が混在しているため、混乱することも多いです。
1. 定義・分類
顎関節症とは、顎の関節(顎関節(がくかんせつ))の病気です。現時点で世界的に認められている共通な定義はありません。また、顎の動きに関係する筋肉(咀嚼筋(そしゃくきん))による病態と、関節による病態などが混在しているため、混乱することも多いです。
顎関節症とは、顎の関節と、その顎に関連する筋肉(咀嚼筋)の病気です。現時点で世界的に認められている共通な定義はありません。顎の関節と咀嚼筋の問題が混在しているため、混乱することも多いです。
2. 診断基準
顎関節症の診断基準の世界的な標準は、存在しません。しかし、日本顎関節学会の診断基準など、多くの診断基準では、最初に他の疾患でないこと(除外診断)という鑑別が重要とされています。
すなわち、顎関節症と鑑別すべき顎関節疾患を理解することが、顎関節症の診断には、必要不可欠であると言えます。たとえば、破傷風(全身の感染)・化膿性顎関節炎(関節の化膿)・骨腫(骨の腫瘍)・悪性腫瘍(筋肉への腫瘍の進展)・脳疾患などがあげられます。しかし、これらの疾患の発生率は、少ないため、ポイントを的確に診断すれば、診断は容易とされています。
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▼ 歯の喪失の実態
歯の喪失の原因
歯を失う2大原因は、虫歯と歯周病で、その割合は同じくらいです。一般的に歯は奥歯から失われる傾向にあり、比較的若いうちは虫歯で失われる場合が多いのですが、残った歯が少なくなるにつれて歯周病で失われる歯が多くなります。喪失に至るリスクの高い歯は、未処置歯の虫歯、クラウン(冠)装着されている歯、部分義歯の針金がかかる歯(鈎(こう)歯)、歯周疾患が進行している歯、などです。
歯の喪失を防ぐためには、どのような原因で歯が失われていくかを知る必要があります。ここでは、抜歯直前の状態に関する調査や追跡調査から得られた主な疫学的知見を紹介します。
抜歯の原因は?
ほとんどの歯は歯科医院での抜歯処置を経て喪失に至ります。歯周病が進行して歯がグラグラになり自然に脱落する歯もありますが、歯が失われる場のほとんどは歯科医院と考えて差し支えないと思います。そこで、歯科医院で抜歯される歯の直前の状態を調べることにより、歯が失われる原因を明らかにすることができます。
歯が失われる原因で最も多かったのが「歯周病」(42%)で、以下、「虫歯」(32%)、「その他」(13%)、「破折」(11%)、「矯正」(1%)の順でした。このうち、「その他」は大半が智歯(親知らず)の抜歯で比較的若い時期に抜歯されます。また、「破折」の多くは、外傷など物理的に非日常的な大きな力が作用したものではなく、無髄歯(神経をとった歯)と考えられるので原因は「虫歯由来」とみなすことができます。
抜歯原因を年齢階級別にみますと、「歯周病」と「破折」による抜歯は中高年、「その他(多くが智歯)」と「矯正」は若い年代に多く、「虫歯」はどの年齢層でも多くなっています。
どの歯が喪失しやすいか?
まず、歯ごとの喪失状況を年齢階級別にみると、全体的に歯は奥歯から失われる傾向にあり、上あご(上顎)よりも下あご(下顎)で顕著です。たとえば下顎の第一大臼歯(六歳臼歯)に注目すると、50歳前後(45〜54歳)で既に4分の1が失われています。奥歯が失われると、その前方にある歯は、噛み合わせを支持する力が弱いので、より失われやすくなるという悪循環を生んでしまいます。いわゆる「出っ歯」の多くは、もともと歯並びが悪い場合もありますが、その多くは歯周病で、奥歯が失われて前歯にかかる負担が大きくなったために、歯が傾いてグラグラの状態になってしまった場合が多いのです。
喪失リスクの高い歯とは?
今までに行われた疫学研究をまとめますと、以下のような歯は喪失に至るリスクが高いことがわかっています。
未処置歯の虫歯
クラウン(冠)装着されている歯
部分義歯の針金がかかる歯(鈎(こう)歯)
歯周疾患が進行している歯
なお、このうち、「クラウン(冠)装着されている歯」は、この治療法そのものが喪失を高めるということではありません。この治療が施された歯は、無髄歯(神経をとられた歯)である場合が多いため歯の根の先(根尖(こんせん)部)に病変が残っていたりする場合が多いためです。虫歯が進んで神経をとったり(抜髄)・根の治療(根管治療)が行われるようになると、歯は相当のダメージを受けたことになります。このような状態に至らないようにすることが、歯の喪失を防ぐうえで非常に重要といえます。
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歯を失う2大原因は、虫歯と歯周病で、その割合は同じくらいです。一般的に歯は奥歯から失われる傾向にあり、比較的若いうちは虫歯で失われる場合が多いのですが、残った歯が少なくなるにつれて歯周病で失われる歯が多くなります。喪失に至るリスクの高い歯は、未処置歯の虫歯、クラウン(冠)装着されている歯、部分義歯の針金がかかる歯(鈎(こう)歯)、歯周疾患が進行している歯、などです。
歯の喪失を防ぐためには、どのような原因で歯が失われていくかを知る必要があります。ここでは、抜歯直前の状態に関する調査や追跡調査から得られた主な疫学的知見を紹介します。
抜歯の原因は?
ほとんどの歯は歯科医院での抜歯処置を経て喪失に至ります。歯周病が進行して歯がグラグラになり自然に脱落する歯もありますが、歯が失われる場のほとんどは歯科医院と考えて差し支えないと思います。そこで、歯科医院で抜歯される歯の直前の状態を調べることにより、歯が失われる原因を明らかにすることができます。
歯が失われる原因で最も多かったのが「歯周病」(42%)で、以下、「虫歯」(32%)、「その他」(13%)、「破折」(11%)、「矯正」(1%)の順でした。このうち、「その他」は大半が智歯(親知らず)の抜歯で比較的若い時期に抜歯されます。また、「破折」の多くは、外傷など物理的に非日常的な大きな力が作用したものではなく、無髄歯(神経をとった歯)と考えられるので原因は「虫歯由来」とみなすことができます。
抜歯原因を年齢階級別にみますと、「歯周病」と「破折」による抜歯は中高年、「その他(多くが智歯)」と「矯正」は若い年代に多く、「虫歯」はどの年齢層でも多くなっています。
どの歯が喪失しやすいか?
まず、歯ごとの喪失状況を年齢階級別にみると、全体的に歯は奥歯から失われる傾向にあり、上あご(上顎)よりも下あご(下顎)で顕著です。たとえば下顎の第一大臼歯(六歳臼歯)に注目すると、50歳前後(45〜54歳)で既に4分の1が失われています。奥歯が失われると、その前方にある歯は、噛み合わせを支持する力が弱いので、より失われやすくなるという悪循環を生んでしまいます。いわゆる「出っ歯」の多くは、もともと歯並びが悪い場合もありますが、その多くは歯周病で、奥歯が失われて前歯にかかる負担が大きくなったために、歯が傾いてグラグラの状態になってしまった場合が多いのです。
喪失リスクの高い歯とは?
今までに行われた疫学研究をまとめますと、以下のような歯は喪失に至るリスクが高いことがわかっています。
未処置歯の虫歯
クラウン(冠)装着されている歯
部分義歯の針金がかかる歯(鈎(こう)歯)
歯周疾患が進行している歯
なお、このうち、「クラウン(冠)装着されている歯」は、この治療法そのものが喪失を高めるということではありません。この治療が施された歯は、無髄歯(神経をとられた歯)である場合が多いため歯の根の先(根尖(こんせん)部)に病変が残っていたりする場合が多いためです。虫歯が進んで神経をとったり(抜髄)・根の治療(根管治療)が行われるようになると、歯は相当のダメージを受けたことになります。このような状態に至らないようにすることが、歯の喪失を防ぐうえで非常に重要といえます。
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糖尿病と歯周病は、共に、代表的な生活習慣病で、生活習慣要因として、食生活や喫煙に関与します。糖尿病は、喫煙と並んで歯周病の2大危険因子であり、一方、歯周病は、3大合併症といわれる腎症、網膜症、神経症に次いで、第6番目の糖尿病合併症でもあり、両者は密接な相互関係にあります。しかし、慢性炎症としての歯周炎をコントロールすることで、糖尿病のコントロール状態が改善する可能性が示唆されています。
糖尿病が及ぼす歯周病への影響―糖尿病の人は、歯周病になりやすい。
歯周炎は、歯肉の境目のポケット(歯周ポケット)に入り込んで繁殖した嫌気性細菌(歯周病関連細菌)の感染による慢性の炎症性疾患です。そのでき方(発症)や進み方(進行)には、遺伝的因子や環境的因子など加えて、からだの抵抗性が大きく関与しています。
したがって、糖尿病により、からだを守るマクロファージの機能低下、結合組織コラーゲン代謝異常、血管壁の変化や脆弱化(細小血管障害)、創傷治癒の遅延など起こり、歯周病の発症・進行に影響を与えます。その結果、糖尿病があると、歯周病関連細菌により感染しやすくなり、炎症により歯周組織が急激に破壊され、歯周炎が重症化していきます。
歯周病が及ぼす糖尿病への影響
歯周病関連細菌からだされる内毒素が、歯肉から血管内に入り込み、マクロファージからの腫瘍壊死因子α(tumor necrosis factor-α, TNF-α)の産生を促進します。その結果、TNF-αの亢進が、血糖値を下げる働きをもつホルモンであるインスリンをつくりにくくする(インスリン抵抗性)ことがわかっています。すなわち、慢性炎症としての歯周炎の存在により、血糖値は上昇し、糖尿病のコントロールをますます困難にし、同時に、歯周炎も進行していくという悪循環に陥ります。インスリン抵抗性に対して、からだは、なんとかしようとして、より多くのインスリンを産生しようとします(高インスリン血症)。しかし、高インスリン血症が長く続くと、インスリン産生細胞である膵β細胞が疲労困憊し、末期の糖尿病となります。
歯周病治療による糖尿病への影響
慢性炎症としての歯周炎に対する適切な治療により、糖尿病のコントロール状態をあらわず糖化ヘモグロビン(HbA1C)の改善がみられることが明らかになってきました。その機序として、歯周病治療によって、歯周炎に起因するTNF-α産生量が低下するため、インスリン抵抗性が改善し血糖コントロールが好転すると考えられています。Iwamotoらは、歯周ポケットへの積極的な歯周病治療により、1ヶ月後でHbA1C、インスリン抵抗性、血中TNF-αや歯周ポケット内の総細菌数の有意な改善が認められたと報告しています。したがって、糖尿病患者で歯周炎を伴っている場合は、早期に、歯周炎の改善を図る必要があります。
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糖尿病が及ぼす歯周病への影響―糖尿病の人は、歯周病になりやすい。
歯周炎は、歯肉の境目のポケット(歯周ポケット)に入り込んで繁殖した嫌気性細菌(歯周病関連細菌)の感染による慢性の炎症性疾患です。そのでき方(発症)や進み方(進行)には、遺伝的因子や環境的因子など加えて、からだの抵抗性が大きく関与しています。
したがって、糖尿病により、からだを守るマクロファージの機能低下、結合組織コラーゲン代謝異常、血管壁の変化や脆弱化(細小血管障害)、創傷治癒の遅延など起こり、歯周病の発症・進行に影響を与えます。その結果、糖尿病があると、歯周病関連細菌により感染しやすくなり、炎症により歯周組織が急激に破壊され、歯周炎が重症化していきます。
歯周病が及ぼす糖尿病への影響
歯周病関連細菌からだされる内毒素が、歯肉から血管内に入り込み、マクロファージからの腫瘍壊死因子α(tumor necrosis factor-α, TNF-α)の産生を促進します。その結果、TNF-αの亢進が、血糖値を下げる働きをもつホルモンであるインスリンをつくりにくくする(インスリン抵抗性)ことがわかっています。すなわち、慢性炎症としての歯周炎の存在により、血糖値は上昇し、糖尿病のコントロールをますます困難にし、同時に、歯周炎も進行していくという悪循環に陥ります。インスリン抵抗性に対して、からだは、なんとかしようとして、より多くのインスリンを産生しようとします(高インスリン血症)。しかし、高インスリン血症が長く続くと、インスリン産生細胞である膵β細胞が疲労困憊し、末期の糖尿病となります。
歯周病治療による糖尿病への影響
慢性炎症としての歯周炎に対する適切な治療により、糖尿病のコントロール状態をあらわず糖化ヘモグロビン(HbA1C)の改善がみられることが明らかになってきました。その機序として、歯周病治療によって、歯周炎に起因するTNF-α産生量が低下するため、インスリン抵抗性が改善し血糖コントロールが好転すると考えられています。Iwamotoらは、歯周ポケットへの積極的な歯周病治療により、1ヶ月後でHbA1C、インスリン抵抗性、血中TNF-αや歯周ポケット内の総細菌数の有意な改善が認められたと報告しています。したがって、糖尿病患者で歯周炎を伴っている場合は、早期に、歯周炎の改善を図る必要があります。
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喫煙は、歯周病の二大危険因子のひとつで、喫煙と歯周病は密接に関連しています。そして、口腔、特に、歯周組織は、能動喫煙だけでなく、受動喫煙でも、直接、悪影響を受ける最初の関門になります。また、親の喫煙により、子供の歯肉に、メラニン色素沈着として早期に高率にあらわれます。しかし、適切に診断した上で、本人が禁煙、もしくは、周囲の受動喫煙がなくなれば、歯周病は改善します。
喫煙による歯周病への影響
喫煙は、癌、循環器疾患(心臓病、脳卒中)、呼吸器疾患(肺気腫、喘息)などの多くの病気の原因であることはよく知られています。一方、タバコ煙の入口となる消化器としての口腔、特に、歯肉を含めた歯周組織は、直接、その影響を受けることになります。したがって、歯周病も同じように、喫煙と関連性が強いことは多くの研究により支持され、喫煙は、糖尿病と並んで、歯周病の二大危険因子となります。すなわち、一酸化炭素やニコチンなどによる免疫能、微小循環系、好中球機能、サイトカイン産生などへの影響により、歯周組織における宿主応答(抵抗性)や治癒に悪影響を及ぼします。その結果、喫煙者では、歯周炎が進行し、そればかりではなく、歯周病の治療への反応や歯周外科手術の経過が不良になることもはっきりしています。日本歯周病学会の分類(2006年)によると、喫煙関連歯周炎と診断されます。
また、受動喫煙によっても、歯肉メラニン色素沈着や歯周病のリスクが高くなることが報告されています。すなわち、Haniokaら(2005年)は、歯科医院受診者59名の子どもの歯肉メラニン色素沈着を2名の検査者が判定したところ、親の喫煙率は61%で、年齢と性別を補正した子どもの歯肉メラニン色素沈着のオッズ比 (OR)は、それぞれ5.4(95%CI 1.5-20.0)、5.6(95%CI 1.4-21.2)で、親の喫煙が子供の歯肉メラニン色素沈着をおよそ5倍以上のリスクで増強することを報告しています。図2aは、10歳女児で、歯列不正の改善を訴えていましたが、父親の喫煙に起因すると思われる歯肉メラニン色素沈着がみられました。さらに、Arbesら(2001年)は、1988-1994年の第3回米国保健栄養調査での5,658名のデータを解析し、家庭や職場で副流煙にさらされている成人非喫煙者(受動喫煙)の歯周病のリスクが57%高くなると(補正したOR 1.57 95%信頼区間 (CI) 1.15-2.16)警告しています。
禁煙による効果
禁煙により、歯周病を予防し、たとえ進行した歯周炎であっても、歯周治療による治癒がよくなり、歯の喪失が抑えられることも明らかにされてきています。 喫煙の歯周組織への影響は、比較的若い年代からあらわれ、しかも発見しやすい部位にあるという点(歯肉メラニン色素沈着、歯の着色、口臭など)が特徴です。しかも、他の臓器に及ぼす影響とは異なり、直接、その影響をみることができます。
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喫煙による歯周病への影響
喫煙は、癌、循環器疾患(心臓病、脳卒中)、呼吸器疾患(肺気腫、喘息)などの多くの病気の原因であることはよく知られています。一方、タバコ煙の入口となる消化器としての口腔、特に、歯肉を含めた歯周組織は、直接、その影響を受けることになります。したがって、歯周病も同じように、喫煙と関連性が強いことは多くの研究により支持され、喫煙は、糖尿病と並んで、歯周病の二大危険因子となります。すなわち、一酸化炭素やニコチンなどによる免疫能、微小循環系、好中球機能、サイトカイン産生などへの影響により、歯周組織における宿主応答(抵抗性)や治癒に悪影響を及ぼします。その結果、喫煙者では、歯周炎が進行し、そればかりではなく、歯周病の治療への反応や歯周外科手術の経過が不良になることもはっきりしています。日本歯周病学会の分類(2006年)によると、喫煙関連歯周炎と診断されます。
また、受動喫煙によっても、歯肉メラニン色素沈着や歯周病のリスクが高くなることが報告されています。すなわち、Haniokaら(2005年)は、歯科医院受診者59名の子どもの歯肉メラニン色素沈着を2名の検査者が判定したところ、親の喫煙率は61%で、年齢と性別を補正した子どもの歯肉メラニン色素沈着のオッズ比 (OR)は、それぞれ5.4(95%CI 1.5-20.0)、5.6(95%CI 1.4-21.2)で、親の喫煙が子供の歯肉メラニン色素沈着をおよそ5倍以上のリスクで増強することを報告しています。図2aは、10歳女児で、歯列不正の改善を訴えていましたが、父親の喫煙に起因すると思われる歯肉メラニン色素沈着がみられました。さらに、Arbesら(2001年)は、1988-1994年の第3回米国保健栄養調査での5,658名のデータを解析し、家庭や職場で副流煙にさらされている成人非喫煙者(受動喫煙)の歯周病のリスクが57%高くなると(補正したOR 1.57 95%信頼区間 (CI) 1.15-2.16)警告しています。
禁煙による効果
禁煙により、歯周病を予防し、たとえ進行した歯周炎であっても、歯周治療による治癒がよくなり、歯の喪失が抑えられることも明らかにされてきています。 喫煙の歯周組織への影響は、比較的若い年代からあらわれ、しかも発見しやすい部位にあるという点(歯肉メラニン色素沈着、歯の着色、口臭など)が特徴です。しかも、他の臓器に及ぼす影響とは異なり、直接、その影響をみることができます。
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▼ メインテナンス
歯周治療を受けると歯周病細菌が減少して、良好な歯ぐきの状態が得られます。しかし、治療終了後に定期的な管理をしないと歯周病細菌が増加したり、かみ合わせが変わったりして歯周病が再発することがあります。そこで、定期的に歯科医院を受診して、さまざまな項目のチェックやお口の清掃を受けることをメインテナンスと言います。
1. メインテナンスの効果
歯周治療の主な目的は、原因である歯周病原菌を減らすことであり治療終了時には歯周病原菌はかなり減っていると思われます。しかし、時間がたつと磨き残しにより歯周病原菌が増えたり、咬み合わせの変化によって歯への負担が増えたりして、歯周病が再発しやすくなります。Beckerらの研究によると、歯周治療を行わなかった人たちは、1人につき5年間あたり1.8本の歯を失いました。そして、歯周治療を行ったけれどメインテナンスを行わなかった場合は、1人につき5年間あたり1.1本の歯を失いました。歯周治療を行い、治療後もメインテナンスを行った人たちは1人につき5年間あたり0.5本の歯しか失いませんでした。歯周治療の終了は次のメインテナンスのスタートでもあるわけです。
2. メインテナンス時の治療内容
メインテナンス時には(1)歯みがきの状態、(2)歯ぐきの状態や歯周ポケットの深さ、(3)咬み合わせに問題はないか、(4)その他、義歯や修復物の状態などをチェックします。そして、歯みがきが不十分であれば再度ブラッシング指導を行います。特に歯周治療後は歯と歯の間があいたりして磨きにくい場所ができますので、患者さんひとりひとりに合わせた清掃法を指導します。歯ぐきは一見健康でも、歯周ポケットを調べることによって再発を早期に発見することができます。歯周ポケットの深さが増したり、出血が見られる場合は歯周病原菌が増加している可能性があります。そのような場合は歯科医師または歯科衛生士が専用の器具を使って歯ぐきの中の歯石や歯垢を除去します。さらに、歯の表面を磨くことによって歯垢がつきにくくします。咬み合わせも歯周病を悪化させる重要な因子のひとつです。特に歯周治療後の患者さんの歯槽骨は減少していることが多く、少しの力のアンバランスが大きな負担になることがあります。そこで歯科医師が咬み合わせに問題がないか慎重にチェックします。さらに修復物が壊れたり、すき間があいたりしていると歯垢がつきやすくなり歯周病原菌が増加します。そこで修復物に問題がみつかればそれを作り直したりすることもあります。
3. メインテナンスの間隔
メインテナンスの間隔は、歯周病の重症度、歯みがきの状態などによって個別に決める必要があります。一般的に治療前の状態が悪かった場合や、歯みがきがあまりできない場合は、1〜3ヵ月ごとにメインテナンスを受けられる方がいいと思います。軽度の歯周炎だったり、歯みがきが上手な方は半年に一度のペースでも大丈夫な場合があります。歯科医師とよく話し合うことが必要です。
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1. メインテナンスの効果
歯周治療の主な目的は、原因である歯周病原菌を減らすことであり治療終了時には歯周病原菌はかなり減っていると思われます。しかし、時間がたつと磨き残しにより歯周病原菌が増えたり、咬み合わせの変化によって歯への負担が増えたりして、歯周病が再発しやすくなります。Beckerらの研究によると、歯周治療を行わなかった人たちは、1人につき5年間あたり1.8本の歯を失いました。そして、歯周治療を行ったけれどメインテナンスを行わなかった場合は、1人につき5年間あたり1.1本の歯を失いました。歯周治療を行い、治療後もメインテナンスを行った人たちは1人につき5年間あたり0.5本の歯しか失いませんでした。歯周治療の終了は次のメインテナンスのスタートでもあるわけです。
2. メインテナンス時の治療内容
メインテナンス時には(1)歯みがきの状態、(2)歯ぐきの状態や歯周ポケットの深さ、(3)咬み合わせに問題はないか、(4)その他、義歯や修復物の状態などをチェックします。そして、歯みがきが不十分であれば再度ブラッシング指導を行います。特に歯周治療後は歯と歯の間があいたりして磨きにくい場所ができますので、患者さんひとりひとりに合わせた清掃法を指導します。歯ぐきは一見健康でも、歯周ポケットを調べることによって再発を早期に発見することができます。歯周ポケットの深さが増したり、出血が見られる場合は歯周病原菌が増加している可能性があります。そのような場合は歯科医師または歯科衛生士が専用の器具を使って歯ぐきの中の歯石や歯垢を除去します。さらに、歯の表面を磨くことによって歯垢がつきにくくします。咬み合わせも歯周病を悪化させる重要な因子のひとつです。特に歯周治療後の患者さんの歯槽骨は減少していることが多く、少しの力のアンバランスが大きな負担になることがあります。そこで歯科医師が咬み合わせに問題がないか慎重にチェックします。さらに修復物が壊れたり、すき間があいたりしていると歯垢がつきやすくなり歯周病原菌が増加します。そこで修復物に問題がみつかればそれを作り直したりすることもあります。
3. メインテナンスの間隔
メインテナンスの間隔は、歯周病の重症度、歯みがきの状態などによって個別に決める必要があります。一般的に治療前の状態が悪かった場合や、歯みがきがあまりできない場合は、1〜3ヵ月ごとにメインテナンスを受けられる方がいいと思います。軽度の歯周炎だったり、歯みがきが上手な方は半年に一度のペースでも大丈夫な場合があります。歯科医師とよく話し合うことが必要です。
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歯科医院で行なわれる、専門家による徹底した歯面清掃をPMTC (Professional Mechanical Tooth Cleaning) といいます。専用の機器とフッ化物入り研磨剤を使用して、歯みがきで落とせない歯石や磨き残したプラークを中心に、総ての歯面の清掃と研磨を行ない、齲蝕や歯周病になりにくい環境を整えます。
歯と歯周組織の健康は、ホームケアと歯科医院での専門ケアを両立することで、維持することができます。個人レベルでプラークコントロールの困難な部位 (隣接面、歯頸部、最後臼歯部後方、矯正装置装着部、歯周ポケットなど) にはプラークが蓄積しやすく、プラークが石灰化して歯石ができると、プラークを取り除くのはさらに難しくなります。
PMTCでは、歯科医師あるいは歯科衛生士などの専門家が、ホームケアでは行き届かない部位を中心に、総ての歯面の歯石とプラークを除去、研磨します。歯石除去では、スケーラーという器具を使って機械的に歯石を取り除きます。また歯面清掃では、歯の表面に付いたプラークや着色を専用機器とフッ化物入り研磨剤を用いて除去します。
1. 歯石除去
デンタルプラークが石灰化すると歯石になります。歯石の表面は粗造で、プラークの蓄積を促進します。歯ブラシの毛先が十分に届かない部分ができるため、プラークコントロールが困難になります。また、歯周ポケットに歯石ができると、歯石による機械的刺激が歯周ポケットの改善を抑制し、歯石に蓄積したプラークに起因してポケット内の炎症を憎悪させてしまいます。歯石は歯みがきで取り除くことができないので、歯科医院でスケーラーという器具を使って機械的に剥がし取ります。スケーラーには、手用のハンドスケーラーと機械で動くエアスケーラーや超音波スケーラーがあります。歯石の沈着部位、付着量、歯周組織の状態などを加味して選択します。
2. 歯面清掃
歯面清掃では、歯肉縁下3ミリ程度までの歯根面清掃が可能です。まず、プラークを染色していき、付着部位を確認します。続いてフッ化物入りの研磨剤を注入あるいは塗布します。知覚過敏や根面齲蝕の予防の観点から、ほとんどの研磨剤にフッ化物が含有されています。研磨粒子の荒さによって数種類のものがあり、状況に合わせて選択します。歯と歯の隙間には上下運動をする器具、歯の表裏と咬合面には回転式の器具が使用されます。最後に、水や薬液による洗浄によって、残留した研磨剤を除去します。
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歯ブラシでは磨けない歯と歯の間の清掃には、デンタルフロスや歯間ブラシといった補助道具が便利です。
歯ブラシによる清掃は、歯の表裏や噛み合わせの清掃には非常に有効な方法であるものの、歯と歯の間の清掃には十分ではありません。隙間の小さい歯間部清掃には、デンタルフロスが有効です。隙間のある歯間部清掃には歯間ブラシが便利です。
1. デンタルフロス
デンタルフロスは弾力のある細い束でできている、歯間に入れてプラークを繊維の束で巻き取るように取り除く道具です。糸だけのタイプと、ホルダーに糸が付いているタイプとがあります。まず適当の長さに切り、歯に沿わせてのこぎりのように前後に動かしながら歯と歯の間に入れていきます。歯と歯の接触点を過ぎたら、まず手前の歯の歯肉の中に糸が隠れるくらい入れて、接触点まで歯面に沿わせて掻き出すようにします。続いて奥側の歯の歯肉の中に糸が隠れるくらい入れて、同様に接触点まで歯面に沿わせて掻き出すようにし、最後にまたのこぎりのように前後に動かしながら糸を取り出します。
2. 歯間ブラシ
歯と歯の隙間の大きい場合には歯間ブラシを使います。歯や歯肉を痛めないために、隙間の大きさより少し小さめのものを選ぶようにします。歯と歯の間に優しく入れて、数回往復運動をします 。歯間ブラシにはストレートタイプとL字型タイプがあります。L字型タイプは奥歯に使いやすく、ストレートタイプは前歯に使いやすいです。また、ストレートタイプの根もとの部分を折り曲げて角度を付ければどの部分にも使いやすくなります。
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プラークコントロールは歯ブラシによる歯みがきが基本ですが、電動歯ブラシや歯磨剤、オーラルリンスを併用すると、効果が上がると考えられます。また、プラークの付着を防止する効果が期待できます。
1. 電動歯ブラシ
電動歯ブラシは、電気で自動的に動く歯ブラシを指します。振動あるいは回転によって歯面に付着したデンタルプラークや着色を除去する道具です。最近ではいろいろな種類の電動歯ブラシが開発され、高速振動数の「音波歯ブラシ (200〜300 Hz)」「超音波歯ブラシ (160万Hz)」などの人気が高まっています。高速振動に期待される清掃効果として、歯面へのプラークの付着力を弱めること、当てた部分の周囲の清掃効果もあることが挙げられます。超音波ではそれに加えて、歯周組織の回復を期待できると考えられています。
使い方はまず、ブラシをよく湿らせ、歯ブラシの毛先が歯と歯肉の境目に当たるようにし、電源を入れます (図1)。普通の電動歯ブラシや音波歯ブラシの場合は歯に当てるだけで一歯ずつずらしていきます。超音波歯ブラシの場合は手動の歯ブラシと同様に自分で細かく横に動かして使います。超音波歯ブラシにはプラークそのものを除去する効果はあまりないといわれていますので、使用後、歯面から剥がれたプラークを歯ブラシで取り除くのもいいでしょう。電動歯ブラシはあまり長い間使用すると歯面や歯肉を傷つけてしまう可能性があるので、3分以内の使用にとどめることが推奨されています。歯ブラシに比べて歯面の研磨効果は優れていますが、歯間部や隣接面の清掃効果は低いので、よりプラークコントロールを高めるには、歯間ブラシやデンタルフロスの併用が必要になります。
2. 歯磨剤
歯磨剤は歯ブラシと併用して清掃効果を高めるものです。歯磨剤には研磨剤、発泡剤、湿潤剤、粘結剤、香味剤、着色剤、保存剤の7つの基本成分だけでつくられた化粧品の歯磨剤と、薬効成分の配合されている医薬部外品の歯磨剤があります。我が国の市場に出回っている大部分が医薬部外品です。医薬部外品では、歯の質を強くする、歯肉炎予防、知覚過敏を防ぐなど、用途に応じた配合がされています。具体的には、フッ化物 (歯の質を強くする)、抗炎症剤 (消炎する)、殺菌剤 (プラーク中の細菌の増殖を抑制する)、酵素 (プラークを分解・除去、付着を防ぐ) などがあり、目的に応じて選ぶとよいでしょう。研磨剤や発泡剤を含まない液体歯みがきは、薬効成分を浸透させて効果を期待するもので、下記のオーラルリンスとともに年々増えています (図2)。いずれにしても歯磨剤は歯みがきを助け、効果を高めるものなので、薬効成分に頼ってしまわないように気をつけなくてはいけません。
3. オーラルリンス
オーラルリンスは口腔内の洗浄、消毒を目的とする液体で、口の中をゆすぐために用いられるものです。他に、洗口剤、デンタルリンス、マウスウォッシュと呼ばれます。組成は、殺菌剤などの薬効成分に、水、アルコール、香料、色素などを配合したもので、うがいをすることによって、口臭予防やブラッシングで取り残されたプラーク中の細菌の増殖抑制を期待できます。
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1. 電動歯ブラシ
電動歯ブラシは、電気で自動的に動く歯ブラシを指します。振動あるいは回転によって歯面に付着したデンタルプラークや着色を除去する道具です。最近ではいろいろな種類の電動歯ブラシが開発され、高速振動数の「音波歯ブラシ (200〜300 Hz)」「超音波歯ブラシ (160万Hz)」などの人気が高まっています。高速振動に期待される清掃効果として、歯面へのプラークの付着力を弱めること、当てた部分の周囲の清掃効果もあることが挙げられます。超音波ではそれに加えて、歯周組織の回復を期待できると考えられています。
使い方はまず、ブラシをよく湿らせ、歯ブラシの毛先が歯と歯肉の境目に当たるようにし、電源を入れます (図1)。普通の電動歯ブラシや音波歯ブラシの場合は歯に当てるだけで一歯ずつずらしていきます。超音波歯ブラシの場合は手動の歯ブラシと同様に自分で細かく横に動かして使います。超音波歯ブラシにはプラークそのものを除去する効果はあまりないといわれていますので、使用後、歯面から剥がれたプラークを歯ブラシで取り除くのもいいでしょう。電動歯ブラシはあまり長い間使用すると歯面や歯肉を傷つけてしまう可能性があるので、3分以内の使用にとどめることが推奨されています。歯ブラシに比べて歯面の研磨効果は優れていますが、歯間部や隣接面の清掃効果は低いので、よりプラークコントロールを高めるには、歯間ブラシやデンタルフロスの併用が必要になります。
2. 歯磨剤
歯磨剤は歯ブラシと併用して清掃効果を高めるものです。歯磨剤には研磨剤、発泡剤、湿潤剤、粘結剤、香味剤、着色剤、保存剤の7つの基本成分だけでつくられた化粧品の歯磨剤と、薬効成分の配合されている医薬部外品の歯磨剤があります。我が国の市場に出回っている大部分が医薬部外品です。医薬部外品では、歯の質を強くする、歯肉炎予防、知覚過敏を防ぐなど、用途に応じた配合がされています。具体的には、フッ化物 (歯の質を強くする)、抗炎症剤 (消炎する)、殺菌剤 (プラーク中の細菌の増殖を抑制する)、酵素 (プラークを分解・除去、付着を防ぐ) などがあり、目的に応じて選ぶとよいでしょう。研磨剤や発泡剤を含まない液体歯みがきは、薬効成分を浸透させて効果を期待するもので、下記のオーラルリンスとともに年々増えています (図2)。いずれにしても歯磨剤は歯みがきを助け、効果を高めるものなので、薬効成分に頼ってしまわないように気をつけなくてはいけません。
3. オーラルリンス
オーラルリンスは口腔内の洗浄、消毒を目的とする液体で、口の中をゆすぐために用いられるものです。他に、洗口剤、デンタルリンス、マウスウォッシュと呼ばれます。組成は、殺菌剤などの薬効成分に、水、アルコール、香料、色素などを配合したもので、うがいをすることによって、口臭予防やブラッシングで取り残されたプラーク中の細菌の増殖抑制を期待できます。
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歯周病予防の基本は歯垢がつかないようにすることで、毎日の歯みがきや定期的な歯石除去が有効です。しかし、歯周病になった場合は歯科医師や歯科衛生士がもっと専門的に歯の清掃をしたり、咬み合わせの調整を行ったりします。また重度の場合は歯ぐきの手術が必要なこともあります。
1. 歯周病の予防
歯周病は、歯垢つまり細菌の固まりが歯ぐきの炎症を引き起こすことから始まります。口の中で細菌はバイオフィルムという薄い膜を作り歯に張りついています(図1)。バイオフィルムは薬品が効きにくいため、毎日のていねいな歯みがきや歯科医院での清掃が有効です(図2)。また、歯石は歯の表面の石のようなものですが、ざらざらして内部にはすき間もあるためバイオフィルムができやすくなります。歯石は自分で取ることができないので定期的に歯科医院を受診して歯石を取ってもらうことが必要です。また、治療後に歯垢や歯石がつきにくくするために専用の器具を使って歯の表面をつるつるにするPMTCも有効です。さらに、歯周病になりやすくなる因子に気をつけることも必要です。例えば、糖尿病のような全身疾患があると、身体の防御機構が低下し歯周病になりやすくなります。また、たばこも歯周病を悪化させる重要な因子のひとつです。さらに、口腔乾燥状態でも殺菌効果のある唾液が減少しており歯周病の危険が高まりますので注意が必要です。
2. 歯周病の治療
残念ながら歯周病になってしまった場合は次のような治療を行います。(歯周病の自覚症状、検査法、具体的な歯周治療の流れについては別のコーナーに記載があります。)
歯みがき指導: 歯みがきは歯周治療の基本です。歯みがきをしない人はいないと思いますが、正しく磨ける人は意外に少ないものです。いい歯ブラシの選び方、持ち方、毛先の当て方、動かし方、力の入れ方など模型を使って指導します。また、歯の汚れを赤く染め出して、磨き残しをチェックすることもあります。
歯石除去: 超音波などを用いて、歯石を破壊し水で洗い流す方法があり、大量の歯石も短時間で効率よく除去することができます。また、先のとがった器具を用いて1本1本歯石を取っていく方法もあります。少し時間はかかりますが歯ぐきの中の小さな歯石も確認しながら取ることができます。
歯周外科: 麻酔して歯ぐきを開き、普通見えない深い場所や歯の間の歯石を取ります。また、でこぼこした歯槽骨の形を整えたり、歯周ポケットを減らしたりして清掃しやすい環境にします。健康保険の適応外になりますが、症例によってはある程度、歯槽骨や歯ぐきを増やすことができる場合もあります(歯周組織再生療法)。手術で歯ぐきを開いたあと、歯の表面に再生誘導物質を塗ったり、膜を置いたりすることにより歯周組織の再生を期待します。また、増殖した歯ぐきを切ったり、歯の根が露出した部分を新しい歯ぐきで覆ったりする手術もあります。
不適合な修復物のやり直し: 修復物の適合が悪いとすき間に細菌がたまり、炎症がなくらなかったり、再発しやすくなったりしますので、そのような場合はやり直しが必要です。
咬み合わせの調整: 咬み合わせが悪いと、変な方向に力がかかり歯槽骨の吸収が進行しますので、咬み合わせのチェックや調整も行います。
抜歯: 歯周病が進行した歯をいつまでも置いておくと隣の歯までいたんでくることがありますので、思い切って歯を抜くことが必要な場合もあります。
生活指導: たばこを吸うと歯周病が進行し、また治療の効果が上がりにくいことが知られていますので禁煙指導を行うこともあります。
全身の健康管理: 糖尿病などの全身疾患は歯周病を悪化させます。また、高血圧の薬などの副作用で歯ぐきが腫れることもありますので、内科と連携して治療を行うこともあります。
症状が強い場合の処置: 痛みや腫れがひどい場合は、抗生物質を処方したり咬み合わせを弱くしたりして症状をやわらげます。また、歯の動きが大きく食事に困る場合は一時的に複数の歯を固定する場合もあります。
メインテナンス: 歯周治療が終わったあとはメインテナンスに移行します。歯周病は容易に再発する病気なので定期的な管理が重要です。
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1. 歯周病の予防
歯周病は、歯垢つまり細菌の固まりが歯ぐきの炎症を引き起こすことから始まります。口の中で細菌はバイオフィルムという薄い膜を作り歯に張りついています(図1)。バイオフィルムは薬品が効きにくいため、毎日のていねいな歯みがきや歯科医院での清掃が有効です(図2)。また、歯石は歯の表面の石のようなものですが、ざらざらして内部にはすき間もあるためバイオフィルムができやすくなります。歯石は自分で取ることができないので定期的に歯科医院を受診して歯石を取ってもらうことが必要です。また、治療後に歯垢や歯石がつきにくくするために専用の器具を使って歯の表面をつるつるにするPMTCも有効です。さらに、歯周病になりやすくなる因子に気をつけることも必要です。例えば、糖尿病のような全身疾患があると、身体の防御機構が低下し歯周病になりやすくなります。また、たばこも歯周病を悪化させる重要な因子のひとつです。さらに、口腔乾燥状態でも殺菌効果のある唾液が減少しており歯周病の危険が高まりますので注意が必要です。
2. 歯周病の治療
残念ながら歯周病になってしまった場合は次のような治療を行います。(歯周病の自覚症状、検査法、具体的な歯周治療の流れについては別のコーナーに記載があります。)
歯みがき指導: 歯みがきは歯周治療の基本です。歯みがきをしない人はいないと思いますが、正しく磨ける人は意外に少ないものです。いい歯ブラシの選び方、持ち方、毛先の当て方、動かし方、力の入れ方など模型を使って指導します。また、歯の汚れを赤く染め出して、磨き残しをチェックすることもあります。
歯石除去: 超音波などを用いて、歯石を破壊し水で洗い流す方法があり、大量の歯石も短時間で効率よく除去することができます。また、先のとがった器具を用いて1本1本歯石を取っていく方法もあります。少し時間はかかりますが歯ぐきの中の小さな歯石も確認しながら取ることができます。
歯周外科: 麻酔して歯ぐきを開き、普通見えない深い場所や歯の間の歯石を取ります。また、でこぼこした歯槽骨の形を整えたり、歯周ポケットを減らしたりして清掃しやすい環境にします。健康保険の適応外になりますが、症例によってはある程度、歯槽骨や歯ぐきを増やすことができる場合もあります(歯周組織再生療法)。手術で歯ぐきを開いたあと、歯の表面に再生誘導物質を塗ったり、膜を置いたりすることにより歯周組織の再生を期待します。また、増殖した歯ぐきを切ったり、歯の根が露出した部分を新しい歯ぐきで覆ったりする手術もあります。
不適合な修復物のやり直し: 修復物の適合が悪いとすき間に細菌がたまり、炎症がなくらなかったり、再発しやすくなったりしますので、そのような場合はやり直しが必要です。
咬み合わせの調整: 咬み合わせが悪いと、変な方向に力がかかり歯槽骨の吸収が進行しますので、咬み合わせのチェックや調整も行います。
抜歯: 歯周病が進行した歯をいつまでも置いておくと隣の歯までいたんでくることがありますので、思い切って歯を抜くことが必要な場合もあります。
生活指導: たばこを吸うと歯周病が進行し、また治療の効果が上がりにくいことが知られていますので禁煙指導を行うこともあります。
全身の健康管理: 糖尿病などの全身疾患は歯周病を悪化させます。また、高血圧の薬などの副作用で歯ぐきが腫れることもありますので、内科と連携して治療を行うこともあります。
症状が強い場合の処置: 痛みや腫れがひどい場合は、抗生物質を処方したり咬み合わせを弱くしたりして症状をやわらげます。また、歯の動きが大きく食事に困る場合は一時的に複数の歯を固定する場合もあります。
メインテナンス: 歯周治療が終わったあとはメインテナンスに移行します。歯周病は容易に再発する病気なので定期的な管理が重要です。
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▼ 歯周治療の流れ
まず検査を行い、歯周病の進行度を調べます。次に歯みがき指導や歯石除去により歯垢の除去を行います。重度の場合は、検査や歯石除去を繰り返しますが、歯周ポケットが減少しない場合は歯周外科を行うことがあります。いずれの場合も治療後はメインテナンスを行い安定した状態が続くよう努めます。
1. 歯みがきと歯石除去
歯周病にかかった場合は、まず精密な検査を行い、現在の歯ぐきや歯槽骨の状態、歯周病を悪化させる要因の有無などを分析し治療計画をたてます。まずは原因除去が重要ですから、歯みがきの練習を行います。歯みがきをすることにより、歯ぐきの炎症が減少します。ぶよぶよして出血しやすい歯ぐきも正しく歯みがきをすることにより、かなり引き締まってきます。そうすると歯ぐきの中の歯石が見えやすくなり、歯石除去が効果的に行えるようになります。歯石を取ると歯石の表面や内部の細菌が減り、さらに歯ぐきが引き締まってきます。
2. 修復物や咬み合わせのチェック
歯みがきと歯石除去で歯ぐきの状態はかなり良くなりますが、これだけではすぐに再発することがあります。歯垢がつきにくい、また歯垢を取りやすいお口の環境にする必要があります。たとえば、適合の悪い修復物などは除去しなければなりません。また、異常な咬み合わせがあると変な力がかかって、歯槽骨が吸収しやすくなるので咬み合わせの調整も必要です。さらに、歯周病が進行して歯がぐらぐらしている場合などは、全体のバランスや歯の価値を考えて早期に抜歯することもあります。このような歯周基本治療によって歯ぐきの状態は改善し、ある程度安定した状態が得られます。この時点で再度精密な検査を行い、状態がよければメインテナンスに移行します。
3. 歯周外科処置
歯周基本治療を行っても深い歯周ポケットが残っていると、歯ブラシが届かず再発の危険がありますので歯周外科を行うことがあります。歯周外科を行うことにより、歯槽骨の形態をよくしたり歯周ポケットを減らすことができ、清掃しやすい環境ができます。また、健康保険の対象外になりますが、症例によっては歯周組織再生療法によってある程度、歯槽骨や歯ぐきを増やすことができます。このような歯周外科を行ったあともやはり精密な検査を行い、治療効果を確認します。
4. メインテナンス
歯周治療後は歯ぐきの炎症は減少していますが、歯槽骨による支持が十分でないこともありますので、修復物で歯を固定することもあります。このように、ひとくちに歯周治療と言っても症状やお口の環境によって治療の流れや期間が異なりますので歯科医師と十分に話し合う必要があります。また、いくらいい治療を受けて自分でしっかり歯みがきをしないと良くならないことを認識し、治療が終わったあとも定期的にメインテナンスを受けることが重要です。
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1. 歯みがきと歯石除去
歯周病にかかった場合は、まず精密な検査を行い、現在の歯ぐきや歯槽骨の状態、歯周病を悪化させる要因の有無などを分析し治療計画をたてます。まずは原因除去が重要ですから、歯みがきの練習を行います。歯みがきをすることにより、歯ぐきの炎症が減少します。ぶよぶよして出血しやすい歯ぐきも正しく歯みがきをすることにより、かなり引き締まってきます。そうすると歯ぐきの中の歯石が見えやすくなり、歯石除去が効果的に行えるようになります。歯石を取ると歯石の表面や内部の細菌が減り、さらに歯ぐきが引き締まってきます。
2. 修復物や咬み合わせのチェック
歯みがきと歯石除去で歯ぐきの状態はかなり良くなりますが、これだけではすぐに再発することがあります。歯垢がつきにくい、また歯垢を取りやすいお口の環境にする必要があります。たとえば、適合の悪い修復物などは除去しなければなりません。また、異常な咬み合わせがあると変な力がかかって、歯槽骨が吸収しやすくなるので咬み合わせの調整も必要です。さらに、歯周病が進行して歯がぐらぐらしている場合などは、全体のバランスや歯の価値を考えて早期に抜歯することもあります。このような歯周基本治療によって歯ぐきの状態は改善し、ある程度安定した状態が得られます。この時点で再度精密な検査を行い、状態がよければメインテナンスに移行します。
3. 歯周外科処置
歯周基本治療を行っても深い歯周ポケットが残っていると、歯ブラシが届かず再発の危険がありますので歯周外科を行うことがあります。歯周外科を行うことにより、歯槽骨の形態をよくしたり歯周ポケットを減らすことができ、清掃しやすい環境ができます。また、健康保険の対象外になりますが、症例によっては歯周組織再生療法によってある程度、歯槽骨や歯ぐきを増やすことができます。このような歯周外科を行ったあともやはり精密な検査を行い、治療効果を確認します。
4. メインテナンス
歯周治療後は歯ぐきの炎症は減少していますが、歯槽骨による支持が十分でないこともありますので、修復物で歯を固定することもあります。このように、ひとくちに歯周治療と言っても症状やお口の環境によって治療の流れや期間が異なりますので歯科医師と十分に話し合う必要があります。また、いくらいい治療を受けて自分でしっかり歯みがきをしないと良くならないことを認識し、治療が終わったあとも定期的にメインテナンスを受けることが重要です。
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日本人の歯周疾患の有病状況を、国際的に最も広く用いられている指標(地域歯周疾患歯数=CPI)でみますと、働き盛りの年齢層の半分近くに歯周ポケットが認められます。また歯周病に関連する自覚症状を訴える人の割合も、かなり高い状況にあります。日本人の歯周疾患が増えているか否かはわかりませんが、他の国々と比較しますと、やや良好な状態を示しています。
歯周疾患を測る指標には様々なものがありますが、ここでは、世界で最も広範囲に用いられている地域歯周疾患指数(CPI=Community Periodontal Index、以下CPI)によって評価されたデータと、歯周疾患に関連する自覚症状の保有状況について解説します。
日本人の歯周疾患の実態(「8割が歯周病」とは?)
<出典>厚労省・歯科疾患実態調査(2005年)
CPIで評価した日本人の歯周疾患の有病状態は図1に示すとおりです。
CPIを用いた場合、歯周疾患の有病率は、「歯周ポケットを有する人の割合」、浅いポケット+深いポケット)で示されます。この割合は年齢が上がるにつれて高くなる傾向にあります。「健康日本21」における歯周疾患の標的年齢(35〜44/45〜54歳)の歯周疾患の有病率は、それぞれ27%、43%となります。
なお、しばしば「国民の8割が歯周病」といった謳(うた)い文句を耳にすることがありますが、これは「健全」以外の割合を指し、診査した部位(歯)のすべてが「健全」と判定された場合です。たとえば、少しでも歯石がついている場合は健全と評価されません。したがって「8割が歯周病」というのは、ウソではないものの、大げさな捉え方といえます。
歯周病は増えているのか?
しばしば、わが国では歯周病が増加している、と言われますが、この根拠はありません。というのは、わが国の全国調査(歯科疾患実態調査)では、調査年度毎に診査基準が違っており、歯周病の増減傾向を正確に確認することができないためです。
世界に比べると?
WHOではCPIに関する情報を各国から収集し、各調査における個人最大コードの割合の平均値が地区別に集約されています。歯周ポケットを有する割合は4〜6割程度であり、日本の状況は、世界の一般的な状況に比べると、比較的良好といえます。
歯周病の自覚症状は?
歯周病は、よく「無自覚のまま進行する」と言われますが、歯周病に関連する自覚症状を感じている人は、決して少なくありません。図3は平成16年に行われた国民健康・栄養調査の結果で、歯周病に関連した自覚症状を有する人の割合を年齢階級別に示したものです。
比較的若い年齢層では、歯磨き時などの出血の割合が高くなっていますが、年齢が高くなると、「歯ぐきが下がって歯の根が出ている」「歯がグラグラする」など、進行した歯周病の自覚症状を示す割合が高くなっています。なお、70歳以上の高齢者で割合が低いのは、歯のない人が増えるためです。
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歯周疾患を測る指標には様々なものがありますが、ここでは、世界で最も広範囲に用いられている地域歯周疾患指数(CPI=Community Periodontal Index、以下CPI)によって評価されたデータと、歯周疾患に関連する自覚症状の保有状況について解説します。
日本人の歯周疾患の実態(「8割が歯周病」とは?)
<出典>厚労省・歯科疾患実態調査(2005年)
CPIで評価した日本人の歯周疾患の有病状態は図1に示すとおりです。
CPIを用いた場合、歯周疾患の有病率は、「歯周ポケットを有する人の割合」、浅いポケット+深いポケット)で示されます。この割合は年齢が上がるにつれて高くなる傾向にあります。「健康日本21」における歯周疾患の標的年齢(35〜44/45〜54歳)の歯周疾患の有病率は、それぞれ27%、43%となります。
なお、しばしば「国民の8割が歯周病」といった謳(うた)い文句を耳にすることがありますが、これは「健全」以外の割合を指し、診査した部位(歯)のすべてが「健全」と判定された場合です。たとえば、少しでも歯石がついている場合は健全と評価されません。したがって「8割が歯周病」というのは、ウソではないものの、大げさな捉え方といえます。
歯周病は増えているのか?
しばしば、わが国では歯周病が増加している、と言われますが、この根拠はありません。というのは、わが国の全国調査(歯科疾患実態調査)では、調査年度毎に診査基準が違っており、歯周病の増減傾向を正確に確認することができないためです。
世界に比べると?
WHOではCPIに関する情報を各国から収集し、各調査における個人最大コードの割合の平均値が地区別に集約されています。歯周ポケットを有する割合は4〜6割程度であり、日本の状況は、世界の一般的な状況に比べると、比較的良好といえます。
歯周病の自覚症状は?
歯周病は、よく「無自覚のまま進行する」と言われますが、歯周病に関連する自覚症状を感じている人は、決して少なくありません。図3は平成16年に行われた国民健康・栄養調査の結果で、歯周病に関連した自覚症状を有する人の割合を年齢階級別に示したものです。
比較的若い年齢層では、歯磨き時などの出血の割合が高くなっていますが、年齢が高くなると、「歯ぐきが下がって歯の根が出ている」「歯がグラグラする」など、進行した歯周病の自覚症状を示す割合が高くなっています。なお、70歳以上の高齢者で割合が低いのは、歯のない人が増えるためです。
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歯周病は、歯の周囲の汚れ(プラーク)のなかに含まれる細菌の毒素で歯ぐき(歯肉)に炎症が起き、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けていく病気です。しかし、初期段階ではなかなか自分自身で自覚できるような症状は出てきません。気になる症状があったら、歯科医療機関での検査を受ける必要があります。
歯周病は、歯の周囲の汚れ(プラーク)のなかに含まれる細菌の毒素の影響で、歯ぐき(歯肉)に炎症が起きて、腫れたり、出血しやすくなり、また、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けていき、歯がグラグラしたり、抜けたりする病気です。重症の状態まで進行すると、自分でも気がつくような症状がしばしば現れますが、初期の段階ではなかなか自分自身で気がつくような症状は出てきません。次のような症状があったら、歯周病の可能性があります。歯科医療機関で検査を受けてみる必要があります。
□ 朝起きたときに、口の中がネバネバする。
□ 歯みがきのときに出血する。
□ 硬いものが噛みにくい。
□ 口臭が気になる。
□ 歯肉がときどき腫れる。
□ 歯肉が下がって、歯と歯の間にすきまができてきた。
□ 歯がグラグラする。
また、次のような方には、歯周病が起こりやすいことが知られています。
□ 45歳以上の方
□ 喫煙者
□ 妊娠中
□ 糖尿病にかかっている方
□ 歯みがきの悪い方
これらにあてはまる方は、歯周病のリスクが高いといわれています。一度、歯科医療機関で検査を受けることをお勧めします。
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歯周病は、歯の周囲の汚れ(プラーク)のなかに含まれる細菌の毒素の影響で、歯ぐき(歯肉)に炎症が起きて、腫れたり、出血しやすくなり、また、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けていき、歯がグラグラしたり、抜けたりする病気です。重症の状態まで進行すると、自分でも気がつくような症状がしばしば現れますが、初期の段階ではなかなか自分自身で気がつくような症状は出てきません。次のような症状があったら、歯周病の可能性があります。歯科医療機関で検査を受けてみる必要があります。
□ 朝起きたときに、口の中がネバネバする。
□ 歯みがきのときに出血する。
□ 硬いものが噛みにくい。
□ 口臭が気になる。
□ 歯肉がときどき腫れる。
□ 歯肉が下がって、歯と歯の間にすきまができてきた。
□ 歯がグラグラする。
また、次のような方には、歯周病が起こりやすいことが知られています。
□ 45歳以上の方
□ 喫煙者
□ 妊娠中
□ 糖尿病にかかっている方
□ 歯みがきの悪い方
これらにあてはまる方は、歯周病のリスクが高いといわれています。一度、歯科医療機関で検査を受けることをお勧めします。
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▼ 歯周病の検査
歯周病には、とくに初期の段階では、自覚症状がほとんど出ないので、歯科医療機関での検査を受けないと、正確な診断を行うことはできません。歯周病の検査は、プローブという針状の器具を使って歯周ポケットの深さを調べるプロービング検査、エックス線写真によって歯を支える骨の状態を調べるレントゲン検査、歯周病の原因となる歯の周囲の汚れ(プラーク)の付着状況を調べる検査などからなります。
歯周病は、歯の周囲の歯ぐき(歯肉)に繁殖した細菌の毒素によって、歯肉が腫れたり、歯を支える骨(歯槽骨)が溶かされていく病気です。かなり進行してくると、歯肉から出血が現れたり、歯がグラグラしてきたりしますが、初期の段階では患者さん自身に自覚できるような症状がほとんど出てきません。そのため、歯周病を早期に見つけるためには、歯科医療機関で検査を受ける必要があります。
歯周病の早期から現れる症状の一つに、歯と歯肉との間に隙間ができる歯周ポケットという状態があります。歯周ポケットは、一般には深くなるほど歯周病の程度が進んでいると考えられ、歯肉の入り口から隙間の底の部分までの距離を測定して、重症度の判定に用います。この距離を測定することをプロービング検査といい、歯周病の基本的な検査の一つとされています。測定には、目盛りのついたプローブ(探針。針状の金属製の器材)を歯と歯肉のすき間にそっと差し込みます。25g程度と、非常に軽い圧しか加えませんので、痛みはほとんどありません。歯と歯肉の隙間は、歯周病のない健康な歯肉では1〜2mm程度なのですが、歯周病に罹った歯肉では3mmを超えるような深さになり、重症の患者さんでは10mmを超えるほどプローブが入っていくこともあります。
また、歯周病が進んでくると、歯を支えている歯槽骨が溶けてきますので、歯肉の下に隠れている歯槽骨の高さを調べることも必要になります。歯槽骨の状態を調べるのに最も効果的な検査がエックス線検査です。エックス線検査は、歯槽骨の溶けてなくなった範囲や程度をかなり正確に知ることのできる検査です。エックス線検査は放射線被曝が気にかかるかと思いますが、歯のエックス線撮影の際の被爆量については、日常生活で自然界から浴びる1年分の自然放射線の数十から数百分の1程度とされています。エックス線検査で評価される歯槽骨の喪失量は、歯周病によってすでに失われてしまった歯を支える骨の量を示すことになります。
歯周病の直接の原因は、歯の周囲に付着した汚れ(プラーク)です。プラークが多く付着していると歯周病になりやすくなりますし、また歯周病の治療を進めていくうえで、プラークのつかないようなお口の環境を整えていくことが必要とされています。プラークの付着量は、染色液を使って染め出してから、軽くうがいをしてもらい、付着している部位がわかるようにします。そして、肉眼で確認して、プラーク付着率を記録します。プラークの付着率は、治療に対する歯肉の炎症のとれやすさや、治療が終了した後の歯周病の再発などの指標として用いることができます。
その他の歯周病の検査としては、歯ぐきからの出血の程度を調べる検査(出血指数)、歯の揺れを調べる検査(動揺度検査)、歯周病原菌についての細菌検査、などがあります。
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歯周病は、歯の周囲の歯ぐき(歯肉)に繁殖した細菌の毒素によって、歯肉が腫れたり、歯を支える骨(歯槽骨)が溶かされていく病気です。かなり進行してくると、歯肉から出血が現れたり、歯がグラグラしてきたりしますが、初期の段階では患者さん自身に自覚できるような症状がほとんど出てきません。そのため、歯周病を早期に見つけるためには、歯科医療機関で検査を受ける必要があります。
歯周病の早期から現れる症状の一つに、歯と歯肉との間に隙間ができる歯周ポケットという状態があります。歯周ポケットは、一般には深くなるほど歯周病の程度が進んでいると考えられ、歯肉の入り口から隙間の底の部分までの距離を測定して、重症度の判定に用います。この距離を測定することをプロービング検査といい、歯周病の基本的な検査の一つとされています。測定には、目盛りのついたプローブ(探針。針状の金属製の器材)を歯と歯肉のすき間にそっと差し込みます。25g程度と、非常に軽い圧しか加えませんので、痛みはほとんどありません。歯と歯肉の隙間は、歯周病のない健康な歯肉では1〜2mm程度なのですが、歯周病に罹った歯肉では3mmを超えるような深さになり、重症の患者さんでは10mmを超えるほどプローブが入っていくこともあります。
また、歯周病が進んでくると、歯を支えている歯槽骨が溶けてきますので、歯肉の下に隠れている歯槽骨の高さを調べることも必要になります。歯槽骨の状態を調べるのに最も効果的な検査がエックス線検査です。エックス線検査は、歯槽骨の溶けてなくなった範囲や程度をかなり正確に知ることのできる検査です。エックス線検査は放射線被曝が気にかかるかと思いますが、歯のエックス線撮影の際の被爆量については、日常生活で自然界から浴びる1年分の自然放射線の数十から数百分の1程度とされています。エックス線検査で評価される歯槽骨の喪失量は、歯周病によってすでに失われてしまった歯を支える骨の量を示すことになります。
歯周病の直接の原因は、歯の周囲に付着した汚れ(プラーク)です。プラークが多く付着していると歯周病になりやすくなりますし、また歯周病の治療を進めていくうえで、プラークのつかないようなお口の環境を整えていくことが必要とされています。プラークの付着量は、染色液を使って染め出してから、軽くうがいをしてもらい、付着している部位がわかるようにします。そして、肉眼で確認して、プラーク付着率を記録します。プラークの付着率は、治療に対する歯肉の炎症のとれやすさや、治療が終了した後の歯周病の再発などの指標として用いることができます。
その他の歯周病の検査としては、歯ぐきからの出血の程度を調べる検査(出血指数)、歯の揺れを調べる検査(動揺度検査)、歯周病原菌についての細菌検査、などがあります。
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歯と歯ぐき(歯肉)のすきま(歯周ポケット)から侵入した細菌が、歯肉に炎症を引き起こし、さらには歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしてグラグラにさせてしまう病気を歯周病といいます。むし歯と異なり、痛みが出ないことの方が多いのですが、気づかないうちに進行し、歯肉からの出血などが起こった後、歯が自然に抜け落ちるほど重症になることがあります。歯を失う80%以上の原因は、歯周病もしくはむし歯によるものです。
歯は、歯ぐき(歯肉)の外の目に見える部分の歯冠と、歯ぐきの下の歯を支える骨(歯槽骨)に埋まった歯根に分かれます。むし歯は歯が細菌の作り出す酸によって溶かされて穴が空く病気ですが、歯周病は歯そのものではなく、歯を支える歯ぐきや歯槽骨に炎症性の変化が起こる病気です。
歯みがきが充分でないと、歯垢(プラーク)や歯石が歯と歯ぐきの境目に繁殖します。プラークの中には、重量1mgあたり1億個もの細菌が含まれ、細菌が産生する毒素によって、歯肉が腫れたり、歯の表面からはがれてきて、歯と歯肉の間にすきま(歯周ポケット)ができてきます。また、プラークの中の細菌などは、唾液に含まれるカルシウムやリン酸と結合して、歯石という軽石のような硬い物質として歯の表面に付着します。細菌は、この歯石を足がかりにして、さらに歯周ポケットの奥深くへと繁殖していくわけです。
歯周病には、歯周病原菌といわれる細菌が関わっていると考えられています。おもな歯周病原菌にはP.g.菌(Porphyromonas gingivalis)、A.a.菌(Actinobacicclus actino-mycetemcomitans)、P.i.菌(Prevotella intermedia)、B.f.菌(Bacteroides forsythus )、T.d.菌(Treponema denticola)などが知られていますが、このほかにも数十種類もの細菌が歯周病との関連を疑われており、他の感染症のように1種類の細菌が感染して起こるようなものではないようです。
歯の周囲の歯肉で繁殖した細菌は、毒素を作り出します。この毒素によって、歯肉に炎症が生じて、腫れたり、出血しやすくなってきます。この状態から進行していくと、歯と歯肉との間に隙間ができる歯周ポケットという状態になります。歯周ポケットの中は歯周病の病原菌の繁殖しやすい酸素の少ない状態であるため、歯周病原菌の繁殖はさらに進むことになります。そして、歯周病原菌の毒素は歯を支える歯槽骨を溶かしていき、歯がグラグラしてきたり、歯肉が下がってきたり、歯が抜け落ちたりするわけです。
歯周病の直接の原因は、歯磨きが充分でないときに歯の周りに着く汚れであるプラークに含まれる細菌です。従って、歯磨きの良くない人に歯周病は起こりやすくなります。その他の歯周病のリスクとしては、喫煙者は歯周病に3〜8倍程度罹りやすいといわれていますし、糖尿病の方も歯周病が進行しやすいことが知られています。また、金属製の冠などをかぶせた歯に隙間などがあると、プラークが付着しやすくなって、そのような歯が特別に歯周病に罹りやすくなっていることも見受けられます。
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歯は、歯ぐき(歯肉)の外の目に見える部分の歯冠と、歯ぐきの下の歯を支える骨(歯槽骨)に埋まった歯根に分かれます。むし歯は歯が細菌の作り出す酸によって溶かされて穴が空く病気ですが、歯周病は歯そのものではなく、歯を支える歯ぐきや歯槽骨に炎症性の変化が起こる病気です。
歯みがきが充分でないと、歯垢(プラーク)や歯石が歯と歯ぐきの境目に繁殖します。プラークの中には、重量1mgあたり1億個もの細菌が含まれ、細菌が産生する毒素によって、歯肉が腫れたり、歯の表面からはがれてきて、歯と歯肉の間にすきま(歯周ポケット)ができてきます。また、プラークの中の細菌などは、唾液に含まれるカルシウムやリン酸と結合して、歯石という軽石のような硬い物質として歯の表面に付着します。細菌は、この歯石を足がかりにして、さらに歯周ポケットの奥深くへと繁殖していくわけです。
歯周病には、歯周病原菌といわれる細菌が関わっていると考えられています。おもな歯周病原菌にはP.g.菌(Porphyromonas gingivalis)、A.a.菌(Actinobacicclus actino-mycetemcomitans)、P.i.菌(Prevotella intermedia)、B.f.菌(Bacteroides forsythus )、T.d.菌(Treponema denticola)などが知られていますが、このほかにも数十種類もの細菌が歯周病との関連を疑われており、他の感染症のように1種類の細菌が感染して起こるようなものではないようです。
歯の周囲の歯肉で繁殖した細菌は、毒素を作り出します。この毒素によって、歯肉に炎症が生じて、腫れたり、出血しやすくなってきます。この状態から進行していくと、歯と歯肉との間に隙間ができる歯周ポケットという状態になります。歯周ポケットの中は歯周病の病原菌の繁殖しやすい酸素の少ない状態であるため、歯周病原菌の繁殖はさらに進むことになります。そして、歯周病原菌の毒素は歯を支える歯槽骨を溶かしていき、歯がグラグラしてきたり、歯肉が下がってきたり、歯が抜け落ちたりするわけです。
歯周病の直接の原因は、歯磨きが充分でないときに歯の周りに着く汚れであるプラークに含まれる細菌です。従って、歯磨きの良くない人に歯周病は起こりやすくなります。その他の歯周病のリスクとしては、喫煙者は歯周病に3〜8倍程度罹りやすいといわれていますし、糖尿病の方も歯周病が進行しやすいことが知られています。また、金属製の冠などをかぶせた歯に隙間などがあると、プラークが付着しやすくなって、そのような歯が特別に歯周病に罹りやすくなっていることも見受けられます。
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歯みがきは、歯面からプラークを機械的に除去することを目的とした予防法です。これには、セルフケアと、プロフェッショナルケアがあります。セルフケアによって、プラークを毎日完全に除去することは現実には不可能と考えられます。むし歯予防を成功させるには、セルフケアとともに他のむし歯予防法を組み合わせることが必要です。
歯みがきとむし歯予防効果
歯みがきは、歯面からプラークを機械的に除去することを目的とした予防法です。これには、各人が自宅などで日々行うもの(セルフケア)と、歯科医師や歯科衛生士らの専門家によって診療室で行われるもの(プロフェッショナルケア)があります。今日、ほとんどの人が歯を磨く習慣を身につけています。しかし、本人の努力では歯ブラシの届かないところからのむし歯の発生を防ぐことは困難です。すなわち、奥歯の噛み合わせの溝のところや歯と歯の隙間に対して、セルフケアによって、プラークを毎日完全に除去することは現実には不可能と考えられます。
各種フッ化物の利用方法と歯みがきで予防効果の差をみたトーレル・エリクソンの報告を紹介します。10歳の子供を対象に2年間にわたり調査されたものです。図1に示したように、むし歯予防効果の一番高かったのはフッ化物洗口で、何も予防をしなかった対象と比べて予防率は49%となっています。また、フッ化物歯面塗布の予防率は20%、フッ化物配合歯磨剤(F+)による歯みがきは18%、および23%となっていますが、フッ化物を含まない歯みがき剤(F-)での歯みがき(では差は認められませんでした。さらに、歯科衛生士による頻回(2週間に1回)の専門的歯面清掃法によってむし歯や歯肉炎が著しく減少した調査もあります。
小・中学校などでは、公衆衛生的な予防法として長年歯みがき指導が実施されてきました。筒井らは、4つの小学校からの卒業生が進学する1中学校の1年生を対象に調査を行い、それぞれの小学校で行われてきた歯科保健対策を評価しました。特にむし歯予防対策を校内で行わなかった学校(A、B)、毎給食後に歯みがきを励行した学校(C)、フッ化物洗口を行った学校(D)に分類し、一人平均むし歯数を比較しました。毎給食後に歯みがきを実施していたC群では、前歯部にむし歯予防効果が認められましたが、全体では明らかな効果はなく、フッ化物洗口を実施していたD群では、前歯部、口腔全体ともに高い予防効果がみとめられました。さらに学校を実施現場としたある調査では、毎日15分程度の歯みがきでも、奥歯も含めた全体のむし歯発症数でみると有意な予防効果は得られませんでした。むし歯予防を成功させるには、単なる歯みがきだけではなく他のむし歯予防法を組み合わせることが必要です。
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歯みがきとむし歯予防効果
歯みがきは、歯面からプラークを機械的に除去することを目的とした予防法です。これには、各人が自宅などで日々行うもの(セルフケア)と、歯科医師や歯科衛生士らの専門家によって診療室で行われるもの(プロフェッショナルケア)があります。今日、ほとんどの人が歯を磨く習慣を身につけています。しかし、本人の努力では歯ブラシの届かないところからのむし歯の発生を防ぐことは困難です。すなわち、奥歯の噛み合わせの溝のところや歯と歯の隙間に対して、セルフケアによって、プラークを毎日完全に除去することは現実には不可能と考えられます。
各種フッ化物の利用方法と歯みがきで予防効果の差をみたトーレル・エリクソンの報告を紹介します。10歳の子供を対象に2年間にわたり調査されたものです。図1に示したように、むし歯予防効果の一番高かったのはフッ化物洗口で、何も予防をしなかった対象と比べて予防率は49%となっています。また、フッ化物歯面塗布の予防率は20%、フッ化物配合歯磨剤(F+)による歯みがきは18%、および23%となっていますが、フッ化物を含まない歯みがき剤(F-)での歯みがき(では差は認められませんでした。さらに、歯科衛生士による頻回(2週間に1回)の専門的歯面清掃法によってむし歯や歯肉炎が著しく減少した調査もあります。
小・中学校などでは、公衆衛生的な予防法として長年歯みがき指導が実施されてきました。筒井らは、4つの小学校からの卒業生が進学する1中学校の1年生を対象に調査を行い、それぞれの小学校で行われてきた歯科保健対策を評価しました。特にむし歯予防対策を校内で行わなかった学校(A、B)、毎給食後に歯みがきを励行した学校(C)、フッ化物洗口を行った学校(D)に分類し、一人平均むし歯数を比較しました。毎給食後に歯みがきを実施していたC群では、前歯部にむし歯予防効果が認められましたが、全体では明らかな効果はなく、フッ化物洗口を実施していたD群では、前歯部、口腔全体ともに高い予防効果がみとめられました。さらに学校を実施現場としたある調査では、毎日15分程度の歯みがきでも、奥歯も含めた全体のむし歯発症数でみると有意な予防効果は得られませんでした。むし歯予防を成功させるには、単なる歯みがきだけではなく他のむし歯予防法を組み合わせることが必要です。
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スクロースに替わってう蝕を誘発しにくい代用甘味料を上手に利用することがう蝕予防にとって重要です。多数の代用甘味料が開発されており、厚労省が許可している特定保健用食品や日本トゥースフレンドリー協会認定食品に利用されています。う蝕予防のため特に食間にはこれらの機能性食品の摂取を心掛け、メリハリのある食習慣をつけることが肝要です。
1. 代用甘味料とは
代用甘味料とは、スクロース(砂糖)の替わりに用いる甘味物質で、糖尿病でも安心して食べられる甘味料、肥満対策に用いる低カロリーのダイエット用甘味料、あるいは虫歯の原因にならない甘味料などを指します。代用甘味料には非糖質甘味料と糖質甘味料があります。非糖質甘味料は天然甘味料と合成甘味料とに分けられ、糖質甘味料は代用糖とも呼ばれ、さらに単糖類、オリゴ糖類、糖アルコール類に分類されます。表1はいろいろな甘味料の種類とスクロースの甘味料を1.0とした時の相対甘味度を示したものです。これらの甘味料の中で非う蝕原性あるいは低う蝕原性(う蝕の原因にならない、あるいはなりにくい)甘味料で、これまでに特定保健用食品をはじめ機能性食品に実際に使われているものはエリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、パラチニットなどの糖アルコール、パラチノース、アスパルテーム、ステビオシド、スクラロースなどです。
2. スクロースとう蝕
う蝕細菌であるミュータンスレンサ球菌は主にスクロースを利用してう蝕を発生させますが、スクロースは (1)ミュータンスレンサ球菌のグルカン合成反応の基質となりバイオフィルム形成を促し、(2)バイオフィルム内のミュータンスレンサ球菌や他の口腔内細菌の酸産生反応の基質となり、エナメル質侵襲性の酸の産生を促してう蝕の原因となります。歯垢はバイオフィルムの典型例とされています。ミュータンスレンサ球菌がグルカンで覆われた像も見られます。実際、このエナメル質は顕著に脱灰されています
う蝕予防のためには、スクロースに替わってそれ自身が酸産生反応、グルカン合成反応の基質にならない代用甘味料を利用することが肝要です。
3. 代用甘味料の上手な使い方
保健機能食品と呼ばれる食品群があります。特定保健用食品(通称トクホ)と栄養機能食品の総称です。これらは一般食品と医薬品の中間に位置し、一定の機能をもった食品です。これらの中で特にトクホがう蝕予防の観点から重要です。厚生労働省が許可しているトクホの数は2007年12月現在で753品目ですが、このうち歯科領域のトクホは58品目で、表1の*マークのついた代用甘味料が使われています。トクホ・マーク(図2)とヘルスクレームの表示が許可されています。「虫歯になりにくい」、「歯が再石灰化しやすい環境にする」などのヘルスクレームが実際に使われています。これとは別に日本トゥースフレンドリー協会認定の食品もあります。評価基準に適合し、虫歯の心配のない食品に「歯に信頼マーク」が表示されています。
う蝕予防のためには特に食間に上記のトクホ・マークや歯に信頼マークのついた機能性食品を摂取することが望まれます。スクロースは食事時に摂取し、食後のブラッシングを心掛け、食間には機能性食品を摂取するというようにメリハリのついた食習慣をつけることも重要です。ブラッシングができない場合でもトクホ・ガムを噛むことによって唾液の分泌を促し、口腔内環境を中性に維持してう蝕予防を目指すことが肝要です。
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1. 代用甘味料とは
代用甘味料とは、スクロース(砂糖)の替わりに用いる甘味物質で、糖尿病でも安心して食べられる甘味料、肥満対策に用いる低カロリーのダイエット用甘味料、あるいは虫歯の原因にならない甘味料などを指します。代用甘味料には非糖質甘味料と糖質甘味料があります。非糖質甘味料は天然甘味料と合成甘味料とに分けられ、糖質甘味料は代用糖とも呼ばれ、さらに単糖類、オリゴ糖類、糖アルコール類に分類されます。表1はいろいろな甘味料の種類とスクロースの甘味料を1.0とした時の相対甘味度を示したものです。これらの甘味料の中で非う蝕原性あるいは低う蝕原性(う蝕の原因にならない、あるいはなりにくい)甘味料で、これまでに特定保健用食品をはじめ機能性食品に実際に使われているものはエリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、パラチニットなどの糖アルコール、パラチノース、アスパルテーム、ステビオシド、スクラロースなどです。
2. スクロースとう蝕
う蝕細菌であるミュータンスレンサ球菌は主にスクロースを利用してう蝕を発生させますが、スクロースは (1)ミュータンスレンサ球菌のグルカン合成反応の基質となりバイオフィルム形成を促し、(2)バイオフィルム内のミュータンスレンサ球菌や他の口腔内細菌の酸産生反応の基質となり、エナメル質侵襲性の酸の産生を促してう蝕の原因となります。歯垢はバイオフィルムの典型例とされています。ミュータンスレンサ球菌がグルカンで覆われた像も見られます。実際、このエナメル質は顕著に脱灰されています
う蝕予防のためには、スクロースに替わってそれ自身が酸産生反応、グルカン合成反応の基質にならない代用甘味料を利用することが肝要です。
3. 代用甘味料の上手な使い方
保健機能食品と呼ばれる食品群があります。特定保健用食品(通称トクホ)と栄養機能食品の総称です。これらは一般食品と医薬品の中間に位置し、一定の機能をもった食品です。これらの中で特にトクホがう蝕予防の観点から重要です。厚生労働省が許可しているトクホの数は2007年12月現在で753品目ですが、このうち歯科領域のトクホは58品目で、表1の*マークのついた代用甘味料が使われています。トクホ・マーク(図2)とヘルスクレームの表示が許可されています。「虫歯になりにくい」、「歯が再石灰化しやすい環境にする」などのヘルスクレームが実際に使われています。これとは別に日本トゥースフレンドリー協会認定の食品もあります。評価基準に適合し、虫歯の心配のない食品に「歯に信頼マーク」が表示されています。
う蝕予防のためには特に食間に上記のトクホ・マークや歯に信頼マークのついた機能性食品を摂取することが望まれます。スクロースは食事時に摂取し、食後のブラッシングを心掛け、食間には機能性食品を摂取するというようにメリハリのついた食習慣をつけることも重要です。ブラッシングができない場合でもトクホ・ガムを噛むことによって唾液の分泌を促し、口腔内環境を中性に維持してう蝕予防を目指すことが肝要です。
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砂糖は虫歯のリスク・ファクターのひとつであり、摂取方法によって虫歯の有病状況に影響を与えるため、甘味(砂糖)摂取の総量を減らすこと、あるいはその摂取回数を減らすよう指導するべきです。ただ、そのように指導しても明瞭な予防効果を得ることは困難であるため、他の予防手段を併用することが必要です。
1. 砂糖と永久歯の虫歯との関係
a) スウェーデンの研究(虫歯が流行していた時代)
スウェーデンでは1940年代後半から50年代前期にかけて、食餌がヒトの虫歯に与える効果について、436名を対象に実験的な調査が行われました。
砂糖の消費は虫歯の活動性を増大させました。
歯につきやすいおやつは、虫歯の活動性を大きく示しました。
虫歯のリスクは最も大きかったのは、歯につきやすいおやつが食事の間に摂取されたときでした。
同じ条件であれば、虫歯の増加は大きな個人差を示しました。
虫歯の増加は、食餌から歯につきやすいおやつを除くと消退しました。
虫歯は、精製された砂糖、自然糖、あるいは炭水化物等が存在しなくても発生しました。
b) 英国と米国の研究(虫歯が減少してきた時代)
英国の研究(11歳405名を2年間追跡、1984年)では、虫歯の増加量と毎日の砂糖摂取量との間に有意な相関が見られましたが、その関係は弱いものでした。砂糖の摂取回数よりも摂取量の方が虫歯と関係があり、最も砂糖を消費していたグループは、最も砂糖摂取が少なかったグループに比べて約1.56倍の高い虫歯の増加傾向を示しました。
米国の研究(11-15歳499名を3年間追跡、1988年)では、食間に消費された砂糖の量が虫歯の増える量と関係がありました。また、高い虫歯の増加を示したグループと虫歯の増加がなかったグループを比較すると、前者においておやつの頻回な摂取が見られましたが、毎日の食事回数、あるいは砂糖の入ったおやつを食べる回数と虫歯の増える量との間に関係は見られませんでした。
c) 永久歯の虫歯に関して砂糖の摂取に関する指導のあり方
ヒトを対象とした疫学研究では、虫歯のない人々の多くが比較的多量の砂糖を消費していることが示されています。
砂糖の摂取について集団的な指導のときには、「べたべたしたおやつ」とか「おやつのとり方」など細かく指示するよりも、個人の砂糖摂取の総量を引き下げることに指導を集中させる方が良いようです。
一方で、虫歯に対してかなり感受性の高い患者に砂糖摂取に関する指導を行うことは、かなりの利益をもたらすことが示唆されます。虫歯を処置するために歯科医院に来た患者は、比較的歯科保健に関心が高いと考えられますので、砂糖の摂取に関する細かな指導は、こうした患者に対してこそ行われるべきものです。患者の状況に応じたリスク評価を行い、その患者の状況応じた指導を行うことは、望ましい指導のあり方だといえるでしょう。
2. 乳歯の虫歯と甘い飲食物の摂取回数との関係と指導のあり方
過去の報告では、甘い飲食物の摂取回数に伴い、平均虫歯数も増加する傾向が見られました。このことから、甘味(砂糖)の摂取回数を減らすような適正な摂取方法を指導すれば虫歯が減少するように考えられがちですが、日本における調査では、1歳6カ月時の歯科健診で保健指導を受けた群と受けなかった群を3歳児歯科健診で比較したとき、甘い飲食物の摂取回数に明らかな差は見られませんでした。
しかし、フッ化物歯面塗布を受けるようになった子どもの数は、保健指導を受けた群の方が多かったのです。生活行動を制限するような指導よりも、予防のための積極的な行動を促す指導の方が受け容れやすいことが分かっています。
甘味(砂糖)の摂取回数を減らすような指導が行われますが、併せて他の予防手段の導入とそれを受入れるような指導も必要です。
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1. 砂糖と永久歯の虫歯との関係
a) スウェーデンの研究(虫歯が流行していた時代)
スウェーデンでは1940年代後半から50年代前期にかけて、食餌がヒトの虫歯に与える効果について、436名を対象に実験的な調査が行われました。
砂糖の消費は虫歯の活動性を増大させました。
歯につきやすいおやつは、虫歯の活動性を大きく示しました。
虫歯のリスクは最も大きかったのは、歯につきやすいおやつが食事の間に摂取されたときでした。
同じ条件であれば、虫歯の増加は大きな個人差を示しました。
虫歯の増加は、食餌から歯につきやすいおやつを除くと消退しました。
虫歯は、精製された砂糖、自然糖、あるいは炭水化物等が存在しなくても発生しました。
b) 英国と米国の研究(虫歯が減少してきた時代)
英国の研究(11歳405名を2年間追跡、1984年)では、虫歯の増加量と毎日の砂糖摂取量との間に有意な相関が見られましたが、その関係は弱いものでした。砂糖の摂取回数よりも摂取量の方が虫歯と関係があり、最も砂糖を消費していたグループは、最も砂糖摂取が少なかったグループに比べて約1.56倍の高い虫歯の増加傾向を示しました。
米国の研究(11-15歳499名を3年間追跡、1988年)では、食間に消費された砂糖の量が虫歯の増える量と関係がありました。また、高い虫歯の増加を示したグループと虫歯の増加がなかったグループを比較すると、前者においておやつの頻回な摂取が見られましたが、毎日の食事回数、あるいは砂糖の入ったおやつを食べる回数と虫歯の増える量との間に関係は見られませんでした。
c) 永久歯の虫歯に関して砂糖の摂取に関する指導のあり方
ヒトを対象とした疫学研究では、虫歯のない人々の多くが比較的多量の砂糖を消費していることが示されています。
砂糖の摂取について集団的な指導のときには、「べたべたしたおやつ」とか「おやつのとり方」など細かく指示するよりも、個人の砂糖摂取の総量を引き下げることに指導を集中させる方が良いようです。
一方で、虫歯に対してかなり感受性の高い患者に砂糖摂取に関する指導を行うことは、かなりの利益をもたらすことが示唆されます。虫歯を処置するために歯科医院に来た患者は、比較的歯科保健に関心が高いと考えられますので、砂糖の摂取に関する細かな指導は、こうした患者に対してこそ行われるべきものです。患者の状況に応じたリスク評価を行い、その患者の状況応じた指導を行うことは、望ましい指導のあり方だといえるでしょう。
2. 乳歯の虫歯と甘い飲食物の摂取回数との関係と指導のあり方
過去の報告では、甘い飲食物の摂取回数に伴い、平均虫歯数も増加する傾向が見られました。このことから、甘味(砂糖)の摂取回数を減らすような適正な摂取方法を指導すれば虫歯が減少するように考えられがちですが、日本における調査では、1歳6カ月時の歯科健診で保健指導を受けた群と受けなかった群を3歳児歯科健診で比較したとき、甘い飲食物の摂取回数に明らかな差は見られませんでした。
しかし、フッ化物歯面塗布を受けるようになった子どもの数は、保健指導を受けた群の方が多かったのです。生活行動を制限するような指導よりも、予防のための積極的な行動を促す指導の方が受け容れやすいことが分かっています。
甘味(砂糖)の摂取回数を減らすような指導が行われますが、併せて他の予防手段の導入とそれを受入れるような指導も必要です。
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シーラントは、奥歯の溝を物理的に封鎖したり、シーラント材の中に含まれるフッ化物により再石灰化作用を促進するむし歯予防法です。4年以上で約60%のむし歯予防効果が認められ、特にフッ化物応用との併用によりむし歯予防効果はさらに増加します。シーラントはむし歯発症リスクの高い歯に行うと特に有効です。
シーラントのむし歯予防効果と安全性
シーラントは、奥歯の溝をむし歯から予防する方法です(図1)。シーラントによるむし歯予防が今日のように効果をあげた背景にはシーラントの材質の改善が大きく寄与しています。奥歯の溝をレジンといわれるプラスチックで物理的に封鎖することで口腔内の環境から遮断する方法、グラスアイオノマーといわれるセメントで奥歯の溝を物理的に封鎖することに加え、シーラント材の中に含まれるフッ化物が再石灰化作用を促進する方法などがあります。最近は、レジンとグラスアイオノマーの両方の性質を併せ持ったシーラント材も開発されています。むし歯予防効果に関してはすでに多くの調査があります。4年以上で約60%のむし歯予防効果が認められ、特にフッ化物応用との併用によりむし歯予防効果はさらに増加すると報告されています。
なお、一部のレジン系シーラント材に含まれるビスフェノールAの環境ホルモン様作用の危険性が1996年に指摘されました。しかし、その後の研究によって当時危惧されたような危険性は、現在調べうる限りではないとされています。
シーラントの適応基準と地域歯科保健活動への応用
シーラントをどのような歯に対して行うかは、むし歯発症リスクの判定と密接な関係があります。むし歯発症リスクの高い歯をシーラントの適応とすることは、シーラント処置歯数の絞り込みが可能となり、高いむし歯予防効果も維持できることから経済的にも合理的な方法と考えられます。
むし歯の発症リスクについては主に個体の情報から判断する方法と、歯の情報から判断する方法とに分類することができます。個体を対象とした判定基準には、過去のむし歯経験、生活習慣、唾液の性状、口腔細菌の状況などがあります。また歯を対象とした判定基準には奥歯の溝の形態、萌出状況等があります。
地域歯科保健活動としてフッ化物応用とシーラントを組み合わせることで大きなむし歯予防成果を上げている地域もあります。つまり、保育園や学校でフッ化物洗口を実施するとともに、よりむし歯になりやすいリスクの高い歯を持っている子供には予防勧奨をし、地域の歯科医療機関でシーラントを実施してもらうことを系統的に行っています。
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シーラントのむし歯予防効果と安全性
シーラントは、奥歯の溝をむし歯から予防する方法です(図1)。シーラントによるむし歯予防が今日のように効果をあげた背景にはシーラントの材質の改善が大きく寄与しています。奥歯の溝をレジンといわれるプラスチックで物理的に封鎖することで口腔内の環境から遮断する方法、グラスアイオノマーといわれるセメントで奥歯の溝を物理的に封鎖することに加え、シーラント材の中に含まれるフッ化物が再石灰化作用を促進する方法などがあります。最近は、レジンとグラスアイオノマーの両方の性質を併せ持ったシーラント材も開発されています。むし歯予防効果に関してはすでに多くの調査があります。4年以上で約60%のむし歯予防効果が認められ、特にフッ化物応用との併用によりむし歯予防効果はさらに増加すると報告されています。
なお、一部のレジン系シーラント材に含まれるビスフェノールAの環境ホルモン様作用の危険性が1996年に指摘されました。しかし、その後の研究によって当時危惧されたような危険性は、現在調べうる限りではないとされています。
シーラントの適応基準と地域歯科保健活動への応用
シーラントをどのような歯に対して行うかは、むし歯発症リスクの判定と密接な関係があります。むし歯発症リスクの高い歯をシーラントの適応とすることは、シーラント処置歯数の絞り込みが可能となり、高いむし歯予防効果も維持できることから経済的にも合理的な方法と考えられます。
むし歯の発症リスクについては主に個体の情報から判断する方法と、歯の情報から判断する方法とに分類することができます。個体を対象とした判定基準には、過去のむし歯経験、生活習慣、唾液の性状、口腔細菌の状況などがあります。また歯を対象とした判定基準には奥歯の溝の形態、萌出状況等があります。
地域歯科保健活動としてフッ化物応用とシーラントを組み合わせることで大きなむし歯予防成果を上げている地域もあります。つまり、保育園や学校でフッ化物洗口を実施するとともに、よりむし歯になりやすいリスクの高い歯を持っている子供には予防勧奨をし、地域の歯科医療機関でシーラントを実施してもらうことを系統的に行っています。
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水道水フロリデーションとは、虫歯を予防するために、飲料水中のフッ化物濃度を、歯のフッ素症の流行がなく虫歯の発生を大きく抑制する適正量(約1ppm)まで調整するという自然を模倣した方法です。現状の虫歯有病状況を半分以下にするという効果が確認されており、安全性と効果については専門機関が保証しています。
水道水フロリデーションとは、飲料水中に存在するフッ化物の量を適正な濃度に調整し、その飲料水を摂取することによって虫歯を予防する方法です。実際には、以下の3つの方法があります。
天然の適正濃度水源をそのまま利用する。
天然のフッ化物濃度が不足している場合、適正濃度までフッ化物を追加して調整する。
天然のフッ化物濃度が高すぎる場合、適正濃度までフッ化物を除去して調整する。
水道水フロリデーションの安全性、および効果については、世界保健機関(WHO)、米国疾病コントロール・予防センター(CDC)および世界中の各国歯科医師会など、国際的あるいは国家的な専門機関が保証しており、その普及を支持しています。
1. 飲料水中フッ化物濃度と歯のフッ素症の流行および虫歯有病状況
米国国立公衆衛生局のディーン(Dean,T.)は、歯のフッ素症と虫歯有病状況について、飲料水中フッ化物濃度の異なる21地域の12〜14歳の約7,400名を対象に調査を行いました。
その結果、飲料水中フッ化物濃度が0.9ppmまでの地区では歯のフッ素症の流行はほとんどみられないこと、1.2ppmを越えるあたりから軽い歯のフッ素症が発現し始め、1.8ppm以上になると誰が見てもそれと気付く中等度以上の歯のフッ素症が発現していることが分かりました。
また、虫歯有病状況は、飲料水中フッ化物濃度が0ppmから1.2ppmの範囲において急勾配で減少し、それ以上のフッ化物濃度になると、減少傾向は緩慢になっていきました。
こうしたことから、「飲料水中フッ化物濃度が1ppm以下であれば歯のフッ素症の流行がなく、また、1ppm前後のフッ化物を含む飲料水は、虫歯の発生を大きく抑制する」という結論が出され、このような自然の模倣によって、フッ化物が不足した水道水にフッ化物を添加すれば、虫歯が予防できるということが分かったのです。
*歯のフッ素症: その特徴をあげると、エナメル質に境界不明瞭の白斑、白濁、白い水平縞があらわれる。マイルドなものは、専門家でないと識別が困難である。中等度になると歯面全体にわたってチョーク様に白濁する。これに小陥凹が加わることがある。小陥凹部には外来性の色素が沈着し、褐色-黒色を呈することがある。虫歯が少ない。
*ppm: 「100万分の1」の単位。例えば、ある物質が1リットル中に1mg含まれているということ。
2. 水道水フロリデーションの始まり
1945年に、米国ミシガン州のグランド・ラピッズ(Grand Rapids)ほか北米の3カ所において世界ではじめての水道水フロリデーションが開始されました。その10年後には、永久歯の虫歯を約50〜70%予防するという結果があらためて確認されたのです。
3. 水道水フロリデーションの普及
その後、水道水フロリデーションは、米国内はもとよりオーストラリア、ブラジル、香港、アイルランド、マレーシア、ニュージーランド、シンガポール、英国など多くの国々や地域に導入されるようになりました。世界的にみると、61カ国、3億5,600万人が水道水フロリデーションからの利益を受けていると見積もられています。
また、世界23カ国から集められた永久歯虫歯の予防効果(86編)、および乳歯虫歯の予防効果(66編)に関する報告を収集し総括してみますと、国の違い、民族の違い、生活様式の違い、さらに虫歯有病状況の違いがあるにもかかわらず、現状の虫歯有病状況を半分以下にするという効果が確認されています。
4. 日本における水道水フロリデーション
わが国においては、1952年から1965年まで京都市山科地区で水道水フロリデーションが試験研究として行われました。その他に沖縄県(1957〜73年)、および三重県朝日町(1967〜72年)でも実施されていたことがあります。残念なことに、現在ではいずれも中止されていますが、その再開が望まれるところです。
【付記】
水道水フロリデーションは、「水道水フッ化物濃度調整」あるいは「水道水フッ化物濃度適正化」ともいわれます。
過去には、フッ化物が不足している飲料水にフッ化物を添加する場合のみに限定して「水道水フッ素化」あるいは「水道水フッ化物添加」と表現されることがありましたが、現在では、フッ化物が過量の場合はフッ化物を部分的に除去すること、また、不足の場合は同じく添加することによって濃度を適正に調整するという本来の定義に基づいた表現が採用されるようになりました。
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水道水フロリデーションとは、飲料水中に存在するフッ化物の量を適正な濃度に調整し、その飲料水を摂取することによって虫歯を予防する方法です。実際には、以下の3つの方法があります。
天然の適正濃度水源をそのまま利用する。
天然のフッ化物濃度が不足している場合、適正濃度までフッ化物を追加して調整する。
天然のフッ化物濃度が高すぎる場合、適正濃度までフッ化物を除去して調整する。
水道水フロリデーションの安全性、および効果については、世界保健機関(WHO)、米国疾病コントロール・予防センター(CDC)および世界中の各国歯科医師会など、国際的あるいは国家的な専門機関が保証しており、その普及を支持しています。
1. 飲料水中フッ化物濃度と歯のフッ素症の流行および虫歯有病状況
米国国立公衆衛生局のディーン(Dean,T.)は、歯のフッ素症と虫歯有病状況について、飲料水中フッ化物濃度の異なる21地域の12〜14歳の約7,400名を対象に調査を行いました。
その結果、飲料水中フッ化物濃度が0.9ppmまでの地区では歯のフッ素症の流行はほとんどみられないこと、1.2ppmを越えるあたりから軽い歯のフッ素症が発現し始め、1.8ppm以上になると誰が見てもそれと気付く中等度以上の歯のフッ素症が発現していることが分かりました。
また、虫歯有病状況は、飲料水中フッ化物濃度が0ppmから1.2ppmの範囲において急勾配で減少し、それ以上のフッ化物濃度になると、減少傾向は緩慢になっていきました。
こうしたことから、「飲料水中フッ化物濃度が1ppm以下であれば歯のフッ素症の流行がなく、また、1ppm前後のフッ化物を含む飲料水は、虫歯の発生を大きく抑制する」という結論が出され、このような自然の模倣によって、フッ化物が不足した水道水にフッ化物を添加すれば、虫歯が予防できるということが分かったのです。
*歯のフッ素症: その特徴をあげると、エナメル質に境界不明瞭の白斑、白濁、白い水平縞があらわれる。マイルドなものは、専門家でないと識別が困難である。中等度になると歯面全体にわたってチョーク様に白濁する。これに小陥凹が加わることがある。小陥凹部には外来性の色素が沈着し、褐色-黒色を呈することがある。虫歯が少ない。
*ppm: 「100万分の1」の単位。例えば、ある物質が1リットル中に1mg含まれているということ。
2. 水道水フロリデーションの始まり
1945年に、米国ミシガン州のグランド・ラピッズ(Grand Rapids)ほか北米の3カ所において世界ではじめての水道水フロリデーションが開始されました。その10年後には、永久歯の虫歯を約50〜70%予防するという結果があらためて確認されたのです。
3. 水道水フロリデーションの普及
その後、水道水フロリデーションは、米国内はもとよりオーストラリア、ブラジル、香港、アイルランド、マレーシア、ニュージーランド、シンガポール、英国など多くの国々や地域に導入されるようになりました。世界的にみると、61カ国、3億5,600万人が水道水フロリデーションからの利益を受けていると見積もられています。
また、世界23カ国から集められた永久歯虫歯の予防効果(86編)、および乳歯虫歯の予防効果(66編)に関する報告を収集し総括してみますと、国の違い、民族の違い、生活様式の違い、さらに虫歯有病状況の違いがあるにもかかわらず、現状の虫歯有病状況を半分以下にするという効果が確認されています。
4. 日本における水道水フロリデーション
わが国においては、1952年から1965年まで京都市山科地区で水道水フロリデーションが試験研究として行われました。その他に沖縄県(1957〜73年)、および三重県朝日町(1967〜72年)でも実施されていたことがあります。残念なことに、現在ではいずれも中止されていますが、その再開が望まれるところです。
【付記】
水道水フロリデーションは、「水道水フッ化物濃度調整」あるいは「水道水フッ化物濃度適正化」ともいわれます。
過去には、フッ化物が不足している飲料水にフッ化物を添加する場合のみに限定して「水道水フッ素化」あるいは「水道水フッ化物添加」と表現されることがありましたが、現在では、フッ化物が過量の場合はフッ化物を部分的に除去すること、また、不足の場合は同じく添加することによって濃度を適正に調整するという本来の定義に基づいた表現が採用されるようになりました。
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▼ フッ化物洗口
一定濃度のフッ化ナトリウム溶液(5〜10ml)を用いて、1分間ブクブクうがいを行う方法で、永久歯のむし歯予防手段として有効です。第一大臼歯の萌出時期(就学前)にあわせて開始し中学生まで続けます。保育園・幼稚園・小中学校で、集団で実施されていますが、個人的に家庭で行う方法もあります。
フッ化物洗口
フッ化物洗口(FMR)は、永久歯のむし歯予防を目的に、一定の濃度のフッ化ナトリウムを含む溶液で1分間ぶくぶくうがいをする方法です。
フッ化物洗口の実際
1. 洗口頻度と使用する薬剤の濃度
保育・幼稚園、小中学校で集団として行う場合、週5回法と週1回法があります。週5回法では、0.05%フッ化ナトリウム溶液(フッ化物イオン濃度225ppm)を、週1回法では0.2%フッ化ナトリウム溶液(同900ppm)を用います。週5回法は、主に保育・幼稚園で採用されています。なお、家庭では、市販の洗口剤(ミラノールR、オラブリスR:フッ化物イオン濃度250ppm)を用いて毎日行います。
2. 洗口液の量と洗口時間
1回の洗口液の量は、就学前の幼児では5〜7ml、小学生以上では10mlです。洗口時間は1分間で、砂時計を見ながら、あるいは、音楽に合わせて行います。なお、就学前の幼児では、真水による「ぶくぶくうがい」と吐き出しの練習をして、上手にできることを確認してから洗口液に切り替えます。
3. 洗口後の注意
洗口後30分間は飲食、うがいを控えます。保育園では午睡の前に、幼稚園や小中学校では授業の直前に実施されています。家庭では、就寝前の歯磨きの後が適切です。
フッ化物洗口の予防効果
わが国の報告によれば、むし歯予防効果は約30〜80%です。第一大臼歯の萌出時期に合わせた開始と長期間継続することが効果を確かにするために必要です。また、この獲得した効果は洗口終了後も持続しています。また、成人においても隣接面むし歯や根面むし歯の予防に効果的です。
1. 就学前からのフッ化物洗口の有効性
予防効果に関する論文を開始年齢によって分類すると、小学校入学後(6歳)の実施群の31〜49%に対し、就学前4歳児から実施した群では、54%〜77%と、就学前からの実施で高い予防効果を得ることができます。
2. フッ化物洗口終了後の予防効果の持続
施設単位で行われるフッ化物洗口は、中学校卒業で終了します。終了後のむし歯有病状況を、洗口を経験しなかった群と比較すると、高校生では56%と83%、20歳では54%の予防効果が報告されています。歯は、成熟にともない、むし歯抵抗性を獲得します。未成熟な時期にむし歯罹患を免れたことが理由です。
フッ化物洗口の安全性:1回の洗口での口腔内フッ化物残留量
保育園児の洗口後の口腔内残留率は約10%です。週5回法の場合約0.2mgのフッ化物が口腔内に残ります。この量は、フッ化物錠剤の投与基準量の0.5mg/日(3〜6歳児)の半分以下で、お茶をコップ1〜1.5杯飲んだときに摂取するフッ化物の量に相当します。また、就学前児(体重20kg)が1回分の洗口液を全量(7ml中のフッ化物量は1.6mg)誤って飲んだとしても、急性中毒の心配はありません。
フッ化物洗口の普及状況
NPO法人日本むし歯フッ素推進会議の2006年度調査から、全国の約5,100施設で約50万人が実施しています。歯科医院での指導により家庭で実施している小児(園児〜中学生)は約35万人と推計されています(2002年調査)。世界的にみると、約1億人の小児がフッ化物洗口を実施しています。
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フッ化物洗口
フッ化物洗口(FMR)は、永久歯のむし歯予防を目的に、一定の濃度のフッ化ナトリウムを含む溶液で1分間ぶくぶくうがいをする方法です。
フッ化物洗口の実際
1. 洗口頻度と使用する薬剤の濃度
保育・幼稚園、小中学校で集団として行う場合、週5回法と週1回法があります。週5回法では、0.05%フッ化ナトリウム溶液(フッ化物イオン濃度225ppm)を、週1回法では0.2%フッ化ナトリウム溶液(同900ppm)を用います。週5回法は、主に保育・幼稚園で採用されています。なお、家庭では、市販の洗口剤(ミラノールR、オラブリスR:フッ化物イオン濃度250ppm)を用いて毎日行います。
2. 洗口液の量と洗口時間
1回の洗口液の量は、就学前の幼児では5〜7ml、小学生以上では10mlです。洗口時間は1分間で、砂時計を見ながら、あるいは、音楽に合わせて行います。なお、就学前の幼児では、真水による「ぶくぶくうがい」と吐き出しの練習をして、上手にできることを確認してから洗口液に切り替えます。
3. 洗口後の注意
洗口後30分間は飲食、うがいを控えます。保育園では午睡の前に、幼稚園や小中学校では授業の直前に実施されています。家庭では、就寝前の歯磨きの後が適切です。
フッ化物洗口の予防効果
わが国の報告によれば、むし歯予防効果は約30〜80%です。第一大臼歯の萌出時期に合わせた開始と長期間継続することが効果を確かにするために必要です。また、この獲得した効果は洗口終了後も持続しています。また、成人においても隣接面むし歯や根面むし歯の予防に効果的です。
1. 就学前からのフッ化物洗口の有効性
予防効果に関する論文を開始年齢によって分類すると、小学校入学後(6歳)の実施群の31〜49%に対し、就学前4歳児から実施した群では、54%〜77%と、就学前からの実施で高い予防効果を得ることができます。
2. フッ化物洗口終了後の予防効果の持続
施設単位で行われるフッ化物洗口は、中学校卒業で終了します。終了後のむし歯有病状況を、洗口を経験しなかった群と比較すると、高校生では56%と83%、20歳では54%の予防効果が報告されています。歯は、成熟にともない、むし歯抵抗性を獲得します。未成熟な時期にむし歯罹患を免れたことが理由です。
フッ化物洗口の安全性:1回の洗口での口腔内フッ化物残留量
保育園児の洗口後の口腔内残留率は約10%です。週5回法の場合約0.2mgのフッ化物が口腔内に残ります。この量は、フッ化物錠剤の投与基準量の0.5mg/日(3〜6歳児)の半分以下で、お茶をコップ1〜1.5杯飲んだときに摂取するフッ化物の量に相当します。また、就学前児(体重20kg)が1回分の洗口液を全量(7ml中のフッ化物量は1.6mg)誤って飲んだとしても、急性中毒の心配はありません。
フッ化物洗口の普及状況
NPO法人日本むし歯フッ素推進会議の2006年度調査から、全国の約5,100施設で約50万人が実施しています。歯科医院での指導により家庭で実施している小児(園児〜中学生)は約35万人と推計されています(2002年調査)。世界的にみると、約1億人の小児がフッ化物洗口を実施しています。
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▼ フッ化物歯面塗布
比較的高濃度のフッ化物溶液やゲル(ジェル)を歯科医師、歯科衛生士が歯面に塗布する方法です。乳歯むし歯の予防として1歳児から、また、成人では根面むし歯の予防として実施されています。矯正治療中の患者さんや唾液流量の低下している人など、ハイリスクの人に他のフッ化物応用法に加えて実施されています。
フッ化物歯面塗布は,萌出後の歯の表面に直接フッ化物を作用させることによって、むし歯抵抗性を与える方法です。歯科医師や歯科衛生士が行うむし歯予防手段であるため、歯科医院や保健所・区市町村保健センターなどで実施されています。公衆衛生手段としては、費用や人手が必要なうえ、実施対象(受診したもの)が限られるなど弱点があります。
使用薬剤
リン酸酸性フッ化ナトリウム(APF)とフッ化ナトリウム(NaF)が主な配合フッ化物で、剤型として、ゲル(ジェル)と溶液があります。配合濃度は、フッ化ナトリウムとして2%(フッ化物イオン濃度として9,000ppm)になります。
塗布の手技
主に、3つの方法――綿球・綿棒法:溶液タイプの製剤を用いて、小綿球または綿棒に浸して歯面に塗布する方法、歯ブラシ法:ゲル(ジェル)タイプの製剤を用いて、歯ブラシを用いて通常の歯磨きの要領で歯面に塗布する方法、トレー法:既成または個々人の歯列に合わせたトレーにゲルまたは溶液タイプの製剤をのせ、歯面に接触させる方法――が用いられており、歯ブラシ法、綿球法が一般的です。
塗布後の保健指導
塗布終了後、唾液を吐き出させ、うがいや飲食は30分間しないように指導します。
乳幼児の場合、保護者に対して間食指導、ブラッシング指導を合わせて実施します。
次回塗布の予約手続きを行います。
予防効果
フッ化物歯面塗布は、単に1回受けて効果が得られるものではなく、年2回以上定期的に継続して受ける必要があります。乳幼児に定期的に継続して実施した場合、むし歯をほぼ半分に減少させたとの報告があります。また、永久歯に対する予防効果については20〜30%の報告が多いようです。
安全性:フッ化物溶液(ゲル)準備量と口腔内残留フッ化物量
他のフッ化物製剤と異なり、フッ化物濃度が高いため、取り扱いは専門家に限られていますが、低年齢児に応用する場合には、使用量に注意します。
小児に応用する場合、1回の塗布に使用する薬剤の量は2g(2ml))以内とします。薬剤2g(2
フッ化物歯面塗布は,萌出後の歯の表面に直接フッ化物を作用させることによって、むし歯抵抗性を与える方法です。歯科医師や歯科衛生士が行うむし歯予防手段であるため、歯科医院や保健所・区市町村保健センターなどで実施されています。公衆衛生手段としては、費用や人手が必要なうえ、実施対象(受診したもの)が限られるなど弱点があります。
使用薬剤
リン酸酸性フッ化ナトリウム(APF)とフッ化ナトリウム(NaF)が主な配合フッ化物で、剤型として、ゲル(ジェル)と溶液があります。配合濃度は、フッ化ナトリウムとして2%(フッ化物イオン濃度として9,000ppm)になります。
塗布の手技
主に、3つの方法――綿球・綿棒法:溶液タイプの製剤を用いて、小綿球または綿棒に浸して歯面に塗布する方法、歯ブラシ法:ゲル(ジェル)タイプの製剤を用いて、歯ブラシを用いて通常の歯磨きの要領で歯面に塗布する方法、トレー法:既成または個々人の歯列に合わせたトレーにゲルまたは溶液タイプの製剤をのせ、歯面に接触させる方法――が用いられており、歯ブラシ法、綿球法が一般的です。
塗布後の保健指導
塗布終了後、唾液を吐き出させ、うがいや飲食は30分間しないように指導します。
乳幼児の場合、保護者に対して間食指導、ブラッシング指導を合わせて実施します。
次回塗布の予約手続きを行います。
予防効果
フッ化物歯面塗布は、単に1回受けて効果が得られるものではなく、年2回以上定期的に継続して受ける必要があります。乳幼児に定期的に継続して実施した場合、むし歯をほぼ半分に減少させたとの報告があります。また、永久歯に対する予防効果については20〜30%の報告が多いようです。
安全性:フッ化物溶液(ゲル)準備量と口腔内残留フッ化物量
他のフッ化物製剤と異なり、フッ化物濃度が高いため、取り扱いは専門家に限られていますが、低年齢児に応用する場合には、使用量に注意します。
小児に応用する場合、1回の塗布に使用する薬剤の量は2g(2ml))以内とします。薬剤2g(2

