200808

ここでは、 200808 に関する情報を紹介しています。
不眠症とは、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害などの睡眠問題が1ヶ月以上続き、日中に倦怠感、意欲低下、集中力低下、食欲低下などの不調が出現する病気です。不眠の原因はストレス、こころやからだの病気、クスリの副作用などさまざまで、原因に応じた対処が必要です。不眠が続くと不眠恐怖が生じ、緊張や睡眠状態へのこだわりのために、なおさら不眠が悪化するという悪循環に陥ります。家庭での不眠対処で効果が出ないときは専門医に相談しましょう。睡眠薬に対する過度の心配はいりません。現在使われている睡眠薬は適切に使用すれば安全です。

不眠症って何?
 誰しも「眠ろうとしてもどうしても眠れない」という不眠体験をもっています。心配事がある時、試験前日、旅行先などさまざまな原因がありますが、通常は数日から数週のうちにまた眠れるようになります。しかし、時には不眠が改善せず1ヶ月以上にわたって続く場合があります。
 不眠が続くと日中にさまざまな不調が出現するようになります。倦怠感、意欲低下、集中力低下、抑うつ、頭重、めまい、食欲不振など多岐にわたります。
 このように、1)長期間にわたり夜間の不眠が続き、2)日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する、この二つが認められたとき不眠症と診断されます。

不眠症のタイプ
 不眠症は4つのタイプに分けられます。寝つきの悪い「入眠障害」、眠りが浅く途中で何度も目が覚める「中途覚醒」、早朝に目が覚めてしまう「早朝覚醒」、ある程度眠ってもぐっすり眠れたという満足感(休養感)が得られない「熟眠障害」です。

不眠症は国民病
 日本人を対象にした調査によれば、5人に一人が「睡眠で休養が取れていない」、「何らかの不眠がある」と回答しています。加齢とともに不眠は増加します。60歳以上の方では約3人に一人が睡眠問題で悩んでいます。そのため、通院している方の20人に1人が不眠のため睡眠薬を服用しています。不眠症は特殊な病気ではありません。よくある普通の病気なのです。

睡眠時間は問題ではない
 睡眠時間には個人差があります。日本人の睡眠時間は平均して7時間程度ですが、3時間ほどの睡眠で間に合っている人もいれば、10時間ほど眠らないと寝足りない人までさまざまです。また、健康な人でも年齢とともに中途覚醒や早朝覚醒が増えてきます。「若い頃はもっと眠れたのに」は禁物です。
 最初にも書きましたが、不眠症は不眠そのものだけではなく「日中に不調が出現する」ことが問題なのです。眠りが浅く感じられても昼間の生活に支障がなければ不眠症とは診断されません。睡眠時間が短いことや目覚め回数にこだわりすぎないことが大事です。

不眠の原因
 不眠症は一つの病気ではありません。大部分の不眠症にはそれぞれ原因があり対処法も異なります。主な不眠の原因とその対処法について簡単に表1にまとめたので参考にしてください。
 特に、睡眠時無呼吸症候群、レストレスレッグス症候群、周期性四肢運動障害、うつ病による不眠や過眠などは専門施設での検査と診断が必要です。これらの特殊な睡眠障害にはそれぞれの治療法があり、通常の睡眠薬では治りません。

不眠への対処法
 不眠対処の第一歩は先に挙げたようなさまざまな不眠の原因を診断し、取り除くことです。それに加えて自分流の安眠法を工夫することが効果的です。また、「快眠のためのテクニック」「快眠をもたらす生活習慣」も参考にしてください。

不眠恐怖の悪循環を断つ
 眠れない日が続くと「また今夜も眠れないのではないか」と不安になり、「早く眠らなければ…」と焦れば焦るほど目が冴えてしまう。不眠症の方が共通して経験する不安です。「一過性で終わるはずだった不眠が慢性化して不眠症になる」、その背景にはこのような「不眠恐怖」があります。不眠が続くうちに寝床に向かうだけで緊張してしまい、夜になるのが憂鬱になってきます。そのようなときは「どうせいつかは眠くなるのだから、眠くなるまで起きていよう」くらいに割り切ったほうが好結果をもたらします。実際、「眠れないのに我慢して無理に寝床にいる」と不眠が悪化することが分かっています。常識的な範囲内でベッドで休む時間を決めておき、眠れなければベッドから出る、前日の睡眠状態にかかわらず日中はなるべく活動的に過ごすことが大切です。前の晩に眠れなくて仕事に集中できない、眠くてしようがないという場合には、昼休みを利用して昼寝をするといいでしょう。10-15分で十分です。たとえ短時間でも脳の疲労をとるのに効果があります。

専門医に相談することを躊躇しない
 どうしても不眠が治らないときには専門医に相談をしましょう。不眠症は精神科や心療内科で扱います。精神科へ行くのは気が重いという方はまずかかりつけ医に相談してみるといいでしょう。病院を受診して不眠について相談するだけでも不眠恐怖は和らぎます。大切なのは、眠れないことを一人でくよくよ考え込まないこと。その心配する気持ちそのものが、不眠を悪化させるだけではなく、こころ(うつなど)やからだ(ストレス性疾患など)に悪影響を与えてしまうということです。

睡眠薬は怖いクスリ?
 答えはNO!です。現在の不眠治療は睡眠薬を用いた薬物療法が中心です。睡眠薬は一度使い始めると手放せなくなり、次第に量が増えていくので副作用が怖い。そう思い込んでいる方が多いようですが、最近の睡眠薬はそういう心配はありません。かつて用いられていた睡眠薬は効果が強力な反面、副作用も強く安全性に問題がありました。しかし、現在広く使われている睡眠薬は不安や緊張、興奮をやわらげて眠りに導くので自然に近い眠りが得られ、副作用も少なく安心して使えます。ただし、長期にわたって漫然と使い続けるのはよくありません。医師の指導の元に適切に使用することが大事です。
 最近、ドラッグストアで購入できる市販の睡眠薬が売られています。これはアレルギー薬の副作用(眠気)を利用したもので、あくまでも短期間の使用に限られています。不眠症に対する治療効果は確かめられていませんので、不眠症の方はこれら市販の睡眠薬を長期に用いてはなりません。

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プロテインのことなら
快眠のための生活習慣にはふたつの役割があります。一つは直接的な役割で、「運動」や「入浴」のように習慣そのものが直接的に快眠をもたらす場合です。もう一つは間接的な役割で、良い習慣で体内時計を24時間にきっちりと調節すれば、規則正しい睡眠習慣が身に付き、快眠が得られます。そのための習慣として「光浴」があります。そして、これらの習慣はそれを行うタイミングが重要なことも分かっています。
快眠はまずは規則正しい生活から
 様々な生活習慣がありますが、睡眠も生活習慣そのものです。そして、快眠は規則正しい睡眠習慣から生まれることを忘れてはいけません。どんなに健康的に運動をしても、バランスの良い食事を心がけても、布団に入る時刻が毎日ばらばらであれば、快眠は得られません。
 なぜ規則正しいことが必要なのでしょうか。体の中には体内時計があり、睡眠のタイミングを決めるだけではなく、前もってホルモンの分泌や生理的な活動を調節し、睡眠に備えてくれます。これらの準備は自分の意志ではコントロールできません。規則正しい生活こそが、体内時計を整えそこにプログラミングされている睡眠を円滑に行う秘訣なのです。

運動と快眠 習慣が大事
 国内外の疫学研究(数千人を対象とした質問紙調査)において、運動習慣がある人には、不眠の人が少ないことがわかっています。とくに睡眠の維持に習慣的な運動の効果があるようです。運動の内容も睡眠に影響します。1回の運動だけでは効果が弱く、習慣的に続けることが重要です。その効果として、寝付きがよくなるのと、深い睡眠が得られるようになります。特に高齢者など普段から不眠がちな人に効果が大きいようです。激しい運動は逆に睡眠を妨げます。負担が少なく長続きするような有酸素運動(早足の散歩や軽いランニングなど)が良いでしょう。
 運動のタイミングに注意を払えば、さらによい睡眠が確保できるでしょう。効果的なのは夕方から夜(就寝の3時間くらい前)の運動だと言われています。就寝の数時間前に運動によって脳の温度を一過性に上げてやることがポイントです。そうすると床にはいるときの脳温の低下量が運動をしないときに比べて大きくなります。睡眠は脳の温度が低下するときに出現しやすくなるので、結果として快眠が得られやすくなる訳です。ただし、就寝直前の運動は体を興奮させてしまうので禁物です。

入浴と快眠 入浴の時間がポイント
 入浴の睡眠への効果は加温効果にあります。これは運動の場合と同じで、就寝前に体温を一時的に上げてあげることがポイントです。当然ながらタイミングも重要になります。午前あるいは午後の早い時間の入浴は効果がなく、夕方あるいは夜の入浴が効果的です。深い睡眠をとるには就寝直前の入浴が良いとされていますが、寝付きを悪くしてしまう心配があります。寝付きを優先させると、就寝の2〜3時間前の入浴が理想です。
 深い睡眠を得るには熱めの湯温で体温を2度ほど上げると効果が大きいという報告がありますが、身体への負担が大きくなるのであまり勧められません。体温の上昇が0.5度くらいでも、寝付きへの効果は認められています(38度のぬるめのお湯で25〜30分、42度の熱めのお湯なら5分程度)。また、半身浴でも寝付きの効果が認められています。自分の体調や好みにあった入浴を選択すれば良いでしょう。

光浴と快眠 光で体内時計と整える
 光の効果は、体内時計を24時間に調節することにあります。ヒトの体内時計の周期は24時間より長めにできているため、長めの体内時計を毎日早めてあげないと、ずるずると生活が後ろにずれてしまいます。朝の光には後ろにずれる時計を早める作用があります。起床直後の光が最も効果的なので、起きたらまずカーテンを開けて自然の光を部屋の中に取り込むことが必要でしょう。
 禁物なのは夜の光です。朝の光と反対で夜の光は体内時計を遅らせる力があり、夜が更けるほどその力は強くなります。家庭の照明でも(照度100〜200ルクス)、長時間浴びると体内時計が遅れます。また、日本でよく用いられている白っぽい昼白色の蛍光灯は体内時計を遅らせる作用があるため、赤っぽい暖色系の蛍光灯が理想と言えます。
 睡眠相後退症候群と呼ばれる病気があります。いつも明け方まで眠ることができず、お昼にならないと起きられない病気です。この病気になると朝の光を効率よく浴びることができず、夜の光を沢山浴びてしまいます。治療の一つに、高照度光療法といって明るい蛍光灯の光を朝に数時間浴びて、生体リズムを前に戻す方法があります。
 昼間の光はどうでしょうか。昼と夜のメリハリを付けるのに効果があるようです。昼間に明るい光を浴びることによって、夜に分泌されるメラトニンというホルモンが増えることが知られています。

その他の習慣と睡眠
 食事について、朝食は簡単なものでもよいので、脳のエネルギー源として糖分を補給することが望ましいでしょう。エネルギー不足で日中の活動が低下すれば、夜の睡眠に影響しかねません。就寝に近い時間の夕食や夜食は、消化活動が睡眠を妨げるので出来るだけ控えましょう。体内時計を整えるためにも規則正しい食事が望まれます。マウスを使った最近の研究では、普段眠っている時間に食事を一週間とりつづけると、食事の時間にあわせて大脳皮質や肝臓の末梢時計がずれてしまうことが分かっています。
 コーヒー、緑茶、チョコレートなどカフェインが含まれる飲食物は覚醒作用があります。敏感な人は就寝の5〜6時間前から控えた方よいでしょう。就寝前の喫煙もニコチンが刺激剤として作用するので好ましくありません。睡眠薬がわりに飲用されることの多いアルコールも決して勧められません。アルコールは寝付きをよくしますが、明け方の睡眠を妨げるからです。
 昼寝は、午後の眠気を解消し活力を与えてくれます。15分程度の長さで十分です。高齢者では30分程度の昼寝を上手に利用することで、夕方のうたた寝が減少し、夜によく眠れるようになることもあります。
最後に、生活習慣病が不眠の原因になることが分かっています。生活習慣病を防ぐためにも、快眠を得るためにも、良い生活習慣を身につけましょう。


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プロテインのことなら
私たちは毎日ほぼ同じ時刻に眠り、同じ時刻に目が覚めます。このような規則正しい睡眠リズムは疲労による「睡眠欲求」と体内時計に指示された「覚醒力」のバランスで形作られます。健やかな睡眠を維持するために、夜間にも自律神経やホルモンなどさまざまな生体機能が総動員されます。睡眠にはサイクルがあります。夢を見る「レム睡眠」と大脳を休める「ノンレム睡眠」が約90分周期で変動し、朝の覚醒に向けて徐々に始動準備を整えます。
睡眠と覚醒のリズム
 私たちは毎日ほぼ同じ時刻に眠りに入り、7〜8時間ほどで自然に目覚めます。また、徹夜をしていても徐々眠気が強まり、明け方になると耐え難い眠気を感じますが、午後には眠気がいったん軽くなります。このように決まった時刻に眠気が出現し、また醒めてゆく睡眠(眠気)のリズムはどのように形作られるのでしょうか。

睡眠を形作る二つのメカニズム
 ヒトの睡眠(眠気)は大きく二つのシステムで形作られています。
 第一のシステムは覚醒中の疲労蓄積による睡眠欲求(青矢印)です。睡眠欲求は目覚めている時間が長いほど強くなります。徹夜などで長時間覚醒していると、普段寝つきにくい人でもすぐに入眠し、深い眠りが出現することが知られています。いったん眠りに入ると睡眠欲求は急速に減少し、その人にとって十分な時間だけたっぷりと眠ると睡眠欲求は消失して私たちは覚醒します。
 第二のメカニズムは覚醒力(赤矢印)です。覚醒力は体内時計から発信され、一日の決まった時刻に増大し、睡眠欲求に打ち勝ってヒトを目覚めさせます。普段の就床時刻の数時間前に最も覚醒力が強くなり、その後メラトニンが分泌される頃(就床時刻の1〜2時間前)に急速に覚醒力が低下します。このため、私たちは夕食後に団欒するなどすっきり目覚めていても、就床時刻あたりで急に眠気を感じるようになります。仮に覚醒力がなければ、徐々に強まる睡眠欲求のため日中の後半は眠気との戦いで質の高い社会生活は営めなくなるでしょう。

睡眠を維持するために生体機能を総動員
 睡眠と覚醒を調節するために体内時計は生体機能を総動員します(図2)。例えば、活動する日中には脳の温度を高く保ち、夜間は体から熱を逃がして脳を冷やします(熱放散)。そのため就床前の眠気が強くなる時間帯は脳が急速に冷える時間と一致しています。寝入る前に赤ちゃんの手足がぽっかりしているのは熱放散をしているためです。また同じ頃、体内時計ホルモンであるメラトニンが分泌を始め入眠を促します。これら以外にもさまざまな生体機能が協調しあいながらハーモニーを奏でるように質の高い眠りのために作用します。朝方になると覚醒作用を持つ副腎皮質ホルモンの分泌が始まります。また脳の温度が自然に高くなります。このような準備状態が整って私たちは健やかな目覚めを迎えます。
 メラトニンは睡眠を促進する作用を持ちますが、明るい光の下では分泌が停止します。静臥して熱放散を促し、メラトニン分泌を妨げないように消灯をした暗い部屋で休むことは、睡眠をサポートする生理機能の力を最大限に引き出す上でも大事なことなのです。

睡眠を維持ために生体機能を総動員
 睡眠はすべての動物種でみられますが、睡眠の長さはさまざまです。一般的にコウモリやネズミなど運動量が多く、体重当たりの消費カロリー数が大きい動物種ほど睡眠時間が長い傾向があります。すなわち、睡眠は覚醒中に蓄積した疲労を回復すると同時に、エネルギーを節約するための最も効率の良い休養のあり方であるといえます。ヒトも成長とともに体重当たりの消費カロリーが減少します。睡眠時間、特に深い睡眠が年齢とともに減るのは理に適ったことであるともいえます。

睡眠もダイナミックに変化する
 睡眠は決して「脳全体が一様に休んでいる状態」ではありません。眠っている間にも脳活動はさまざまに変化します。ヒトの睡眠は、ノンレム睡眠とレム睡眠(REM sleep)という質的に異なるふたつの睡眠状態で構成されています。レム睡眠は、眠っているときに眼球が素早く動く(英語でRapid Eye Movement)ことから名づけられました。ノンレム睡眠では脳波活動が低下し、睡眠の深さにしたがってさらに4段階に分けられます。睡眠は深いノンレム睡眠(段階3と4)から始まり、睡眠欲求が低下する朝方に向けて徐々に浅いノンレム睡眠(段階1と2)が増えてゆきます。その間に約90分周期でレム睡眠が繰り返し出現し、睡眠後半に向けて徐々に一回ごとのレム睡眠時間が増加してゆきます。

 深いノンレム睡眠は大脳皮質の発達した高等生物で多く出現します。昼間に酷使した大脳皮質を睡眠前半で集中的に冷却し休養を取らせます。レム睡眠では全身の筋肉が弛緩し、エネルギーを節約して身体を休める睡眠といえます。レム睡眠時の脳波活動は比較的活発で夢をよく見るほか血圧や脈拍が変動することから、心身ともに覚醒への準備状態にある睡眠ともいえます。

体内時計たいないどけい
概日リズム(サーカディアンリズム)を形成するための24時間周期のリズム信号を発振する機構。生物時計とも呼ばれる。脳内の視床下部の視交叉上核に存在する。
 生物は地球の自転による24時間周期の昼夜変化に同調して、ほぼ1日の周期で体内環境を積極的に変化させる機能を持っています。人間においても体温やホルモン分泌などからだの基本的な機能は約24時間のリズムを示すことがわかっています。この約24時間周期のリズムは概日リズム(サーカディアンリズム)と呼ばれます。
 概日リズムは、光や温度変化のない条件で安静を保った状態においても認められることから、生物は体内に時計機構をもっていることが明らかとなり、これを体内時計(生物時計)と呼んでいます。哺乳類の体内時計は、脳の中心部下面にある視床下部の視交叉上核に存在することが分かっています。
 ヒトの体内時計の周期は24時間よりも若干長いため(短い人も少数ながらいます)、体内時計のタイミングを外界の24時間周期の明暗周期に一致させるシステム(同調機構)があります。同調機構によって地球の公転による日長時間の季節変化や、時差地域への急速な移動にともなう明暗周期の変化に体内時計を一致させることができます。人間を含む哺乳類では網膜から体内時計への直接の神経繊維連絡があり、これにより目から入った明暗環境の情報が体内時計に伝達されます。人間では、朝の強い光は体内時計を早める方向に、夜の光はこれを遅らせる方向に働きます。
 体内時計はなぜ24時間周期を形作ることができるのでしょうか。最近の分子生物学研究から明らかになったところによれば、体内時計細胞では幾つかの遺伝子(時計遺伝子)が時計蛋白を合成し、それらが相互に結合し、また分解されることを約24時間周期で繰り返しており、このような遺伝子活動から体内時計の概日リズム信号が生じているようです。
 
レム睡眠れむすいみん
睡眠段階の一つ。睡眠脳波から判別される。急速眼球運動と骨格筋活動の低下を特徴とする。レム睡眠中には夢をよく見る。レム睡眠の関係する睡眠障害として、ナルコレプシー、レム睡眠行動障害などがある。
 睡眠脳波で判別されるノンレム睡眠以外のもう一つの睡眠段階で、急速眼球運動(rapid eye movements、REMs)と骨格筋(抗重力筋)の筋活動の低下を特徴とします。急速眼球運動の英語の頭文字をとってレム睡眠と呼びます。睡眠脳波はステージ1(寝入りばなのうとうと状態)と類似した低振幅パターンで、特徴的な鋸歯状波がしばしば出現します。心拍・呼吸が乱れるなど自律神経系が不安定になり、陰茎・陰核の勃起がみられます。
 健康な人をレム睡眠期に覚醒させると約80%の割合で夢を見ていたと話すことから、レム睡眠は夢を見る睡眠段階と考えられています。ただし、ノンレム睡眠の時にもわずかながら夢を見ます。通常、夜間睡眠では深いノンレム睡眠(徐波睡眠、ステージ3、4)を経過した後にレム睡眠が出現します。ノンレム-レム睡眠周期は90-120分で、朝方になるにしたがってレム睡眠の持続が長くなり、一夜の睡眠全体では約20%を占めるのが普通です。レム睡眠は個体発生的・系統発生的にノンレム睡眠より古いと考えられ、発達期に最も多く、成人以後も加齢ととも減少する傾向があります。レム睡眠の関係する睡眠障害として、ナルコレプシ?、レム睡眠行動障害などが知られています。

ノンレム睡眠のんれむすいみん
睡眠段階の一つ。睡眠脳波から判別される。睡眠の深さによって4段階に分けられる。ノンレム睡眠が関係する睡眠障害には睡眠時遊行症、夜驚などがある。
 睡眠脳波で判別すると、ヒトの睡眠はノンレム睡眠(non-REM sleep)とレム睡眠(REM sleep)という質的に異なる二つの睡眠段階に分類されます。ノンレム睡眠は睡眠の深さ(脳波の活動性)によってステージ1〜4(浅い→深い)の4段階に分けられます。ステージ1では頭蓋頂一過性鋭波、2では睡眠紡錘波およびK複合、3、4では低振幅徐波が出現します。ステージ3、4の段階は徐波睡眠(slow wave sleep, SWS)とよばれます。
 ノンレム - レム睡眠周期は90〜120分間で、後半に進むにしたがいノンレム睡眠の持続は短くなり、睡眠徐波の出現は減少します。入眠前の覚醒時間の長さ、覚醒中の身体運動量、精神負荷量が増すとノンレム睡眠も長くなる(深くなる)と言われています。また入眠直後の徐波睡眠に一致して成長ホルモンの分泌がみられること、ノンレム睡眠中は副交感神経優位であることなどから、何らかのエネルギー保存機構と関連した睡眠と考えられています。加齢とともに徐波睡眠は減少します。ノンレム睡眠が関係する睡眠障害として、小児によくみられる睡眠時遊行症、夜驚などが知られています。

ダイエット・美容・健康の情報
プロテインのことなら
睡眠をとりまく環境を整えることは快眠のための必須条件です。寝床内環境をつくる寝具選びは、よく眠るために重要なポイントとなります。首や肩に無理のない枕、適度な硬さのベッドマットや敷き布団、フィット感のある掛け布団といったように、体への負担が少ない寝姿勢(寝相)を保つことができ、保温性と吸湿性・放湿性が良い寝具を選ぶとよいでしょう。

 快眠のために重要になるのが、睡眠をとりまく環境です。よい眠りを得られるかどうかには、体や心の状態が大きく作用することはもちろんですが、寝床内環境をつくる寝具(枕、ベッドマット・布団)や寝室の温度・湿度、音、光、などの寝室環境を整えることで、睡眠状態が改善される方も多いと思われます。ここでは、主に快眠のために重要な寝床内環境をつくる「寝具」と「寝相・寝返り」についてお伝えします。

よく眠るために必要な寝具の条件

 寝具には、寝ているときの保温と良い寝相、つまり立ち姿勢に近く体への負担が少ない姿勢、を保つという2つの大きな役割があります。私たちの体は眠ると体温が下がりますが、これは深い眠りを保つために体内から熱を出すためで発汗作用によって行われています。寝具はこの点を考え、吸湿性・放湿性が良く、保温性のよいことが第一条件になります。とくに冬場の寒い季節は寝床内環境が重要になります。冬は予め毛布などで寝具内を温めておくと寝つきが良くなります。寝具が冷えていると、体温の放熱を抑えるために不自然な寝相になることがあります。寒さが厳しいときには、湯たんぽや電気毛布などで就寝前にあらかじめ寝床内を暖めておくと、眠りにつきやすくなります。個人差や季節によっても異なりますが、寝床内の温度は33℃、湿度は50%の状態が最適とされます。

1. 快眠できる「枕」の高さとは

 朝目覚めたときに首や肩がこっていたら、それは枕が合っていないせいかもしれません。枕の役割はベッドマットや敷き布団と後頭部から首にかけてのすき間を埋め、立ち姿勢に近い自然な体勢を保つことにあります。このすき間は個人差が大きくそれに適した枕も人それぞれに異なるので、自分の体型にあった枕の高さを知り、安定感のあるものを選ぶとよいでしょう。具体的には、ベッドマットや敷き布団と首の角度が約5度になるのが理想的といわれています。頸部のすき間の深さは人によって異なりますが(一般に1〜6cm)、この深さに合った高さの枕を選ぶと首や肩への負担が少なく眠りやすいといわれています。頸部のすき間の深さに合わない枕(高すぎる又は低すぎる枕)を選ぶと、首や肩、胸の筋肉に負担がかかり、呼吸がしにくく寝心地がわるくなります。呼吸がしやすく、頭部をきちんと支えてくれるだけの弾性があって、発汗に備え吸湿性・放湿性のよい素材を選ぶことが大事です。枕は、寝返りをして横向きになった場合も考える必要があります。肩先から側頭部全体を支えるだけの奥行きが必要です。

2. 「ベッドマット・敷き布団」は適度に硬い方がよい
 私たちの姿勢は、後頭部から首・胸にかけてと胸から腰にかけて、背骨が2つのS字カーブを描くようになっています。自然な立ち姿勢のときの腰部S字カーブのすき間は4〜6cmですが、寝た姿勢でいちばん体への負担が少ないのは、すき間が2〜3cmのときです。ベッドマットや敷き布団が柔らかすぎる場合には、腰部と胸部が深く沈みこんでS字カーブのすき間が大きくなり、眠りにくいだけでなく腰痛の原因にもなります。反対に硬すぎると骨があたり痛みを生じる、血流が妨げられるなど熟睡できなくなります。したがって、ベッドマットや敷き布団には適度な硬さが必要であることがいえます。2つのS字カーブをバランス良く支えられる、自分にとって楽で快適な寝相を保ちやすいものが良いといえます。

3. 「掛け布団」は保温性、吸・放湿性とともにフィット感が必要
 睡眠中の私たちの体からは熱が奪われやすいため、過剰な放熱による低体温を防ぐこと、さらに、寝ている間にかく汗を吸収して透過させる吸湿性・放湿性があることも掛け布団に必要な条件となります。その他、睡眠中の寝返りをしやすいように、軽くて体にフィット感のあるものがよいでしょう。

寝具と寝相、寝返りの関係

 寝相は上向きで寝ているときの方が、体に余分な力が入らず最もリラックスした状態になります。そのため上向きに寝ている時間が多いことは、寝心地の良さをあらわしているとされています。ところで、私たちは床にはいった時には上向きで寝ていても、眠りに入ったあと、いつのまにか左や右、ときにはうつぶせになっています(寝返り)。寝返りは、睡眠中に同じ体の部位が圧迫され続けることで、その部位の血液循環が滞ることを防ぎ、体の負担を和らげるために生理的におこなわれる体の動きなのです。そのほか寝返りには体温を調節する、寝床内の温度を保つ、熱や水分の発散を調節するといったはたらきがあります。快適な寝相で眠っていれば寝返りの回数も少なくてすみますが、体が沈みこんでしまうような柔らかすぎる布団や、骨などを強く圧迫するような硬すぎる布団では、体の負担を減らすために寝返りの回数も多くなってしまいます。

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プロテインのことなら
健やかな睡眠があってこそ十分な休養をとることができます。私たちの眠りは大丈夫でしょうか? 現代生活はシフトワークや長時間通勤、受験勉強、インターネットやゲームをしての夜型生活など、睡眠不足や睡眠障害の危険で一杯です。睡眠不足による産業事故、慢性不眠によるうつ病や生活習慣病の悪化など、睡眠問題を放置すると日中の心身の調子にも支障をもたらします。私たちは人生の3分の1を眠って過ごします。最も身近な生活習慣である睡眠にもっと目を向けてみませんか。
減り続ける現代人の睡眠時間
 質の高い眠りは心身の休養のために欠かすことができません。しかし現代社会は、シフトワーク(交代勤務)の増加、通勤や受験勉強をこなすための短時間睡眠、夜型生活の増加など、睡眠や体内時計の変調を引き起こすさまざまな要因で溢れています。

 先に、平成18年社会生活基本調査の結果が発表されました。日本人の睡眠時間は平均7時間42分で、過去20年間にわたり減少を続けています。特に40代、50代の働き盛りの年代層の睡眠時間は7時間そこそこであり、週末に平日より1時間ほど長く眠ることで何とか睡眠不足の帳尻を合わせているようです。また、女性で睡眠時間が短いのが目立ちます。子供たちの遅寝や睡眠不足が学習能力や情緒形成へ及ぼす悪影響も懸念されています。仕事、学業、家庭生活を含め、日常生活と睡眠・休養のバランスをどのように保って健康生活を送るか、私たちの知恵が試されています。

 次章以降にある「快眠のためのテクニック」「快眠をもたらす生活習慣」では日常生活において出来る限り健やかな睡眠を確保するためのテクニックを紹介しています。

増加する睡眠障害
 睡眠不足だけが睡眠問題ではありません。睡眠の病気(睡眠障害)が増加しています。睡眠障害の種類は100種類近くもあり、不眠症や睡眠時無呼吸症候群をはじめとする日本人でもよくみられる数多くの睡眠障害があります。快眠のための試みが有効でないとき、不眠や日中の眠気が1ヶ月以上続くとき、何らかの睡眠障害に罹患している可能性を考えて下さい。「睡眠と健康」では不眠や日中の眠気をもたらすさまざまな睡眠障害について解説しています。

夜間の問題だけじゃない

 睡眠不足や睡眠障害による休養不足は人間の精神と身体に悪影響をもたらします。例えば、短時間睡眠や不眠が続くと、強い日中の眠気、作業能率や注意力の低下、抑うつなどが出現し、結果的に人為的ミスの危険性を増大させます。アラスカでのタンカー事故、スペースシャトル・チャレンジャーの墜落、スリーマイル島での原発事故など勤労者の睡眠問題が原因となった大きな産業事故が幾つも知られています。
 日本でも過酷な勤務条件による長距離ドライバーの居眠り運転や、睡眠時無呼吸症候群を患っている新幹線運転士の居眠りによる緊急停止事故などが問題になりました。このような睡眠問題によって生じる経済・社会資本の損失は米国、日本ともに年間数兆円に上ると試算されています。
 睡眠は休養に必須であるだけではなく、記憶、気分調節、免疫機能の増強など、さまざまな精神機能や身体機能に関連しているとされます。健やかな睡眠を保つことは活力ある日常生活を送るための基本であるといえましょう。

予防医学としての睡眠と休養
 睡眠問題は万病のもとです。健康日本21では、さまざまな精神疾患と身体疾患の予防の観点から健やかな睡眠と休養を確保することを推奨しています。

 睡眠障害は多くの精神疾患でもっともよく認められる症状の一つです。ただし、単なる合併症ではありません。例えばうつ病では他の症状に先駆けて不眠が出現することが多く、うつ病の発症や再発を予見する症状として注目されています。また、長期に持続する不眠によってうつ病へ罹患しやすくなることも知られており「たかが不眠」と放置せず適切に対処する必要があります。近年、各地で不眠を指標にしたうつ病の早期発見の試みが行われています。

 睡眠障害は生活習慣病をはじめとするさまざまな身体疾患も増悪させます。例えば、睡眠時無呼吸症候群はメタボリックシンドロームにしばしば合併し、高血圧、高脂血症、耐糖能異常(糖尿病)、高尿酸血症、逆流性食道炎(胸やけ)などを増悪させます。睡眠不足や睡眠障害によってさまざまな生活習慣病が増悪するメカニズムが徐々に明らかになっています。睡眠薬などを使って不眠に対処することにより生活習慣病が改善することも明らかになりました。

 健やかな睡眠を保つことによって精神と身体を疾患から予防する試みが始まっています。たかが眠りとあなどる事なかれ。快適な睡眠生活をめざしてこのホームページを是非ご活用下さい。

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プロテインのことなら
 2006年4月に介護保険制度が見直され、「介護予防」を重視する制度改正が行われました。介護予防の目的は2つあり、「自立高齢者が要介護状態になることをできる限り防ぐこと」と、「要介護高齢者がそれ以上に状態を悪化させないこと」です。「口腔機能の向上」はその両方に効果があることが認められ、介護予防サービスのひとつとして導入されました。
なぜ介護予防が必要か
 わが国の65歳以上人口の急激な増加にともない、2000年より「介護保険制度」がスタートしました。その後5年間で、介護が必要であると認定を受けた高齢者(要介護高齢者)は218万人から425万人に達し、介護保険サービスの利用者も149万人から338万人に増加しました。なかでも、介護の必要度が低い要支援、要介護1と認定された要介護高齢者の伸びが大きく、2005年度には要支援が約2.4倍の68.6万人、要介護1が約2.5倍の135万人に達し、要介護認定者全体の約半数を占めるに至りました。こうした問題を解決するために2006年に介護保険制度の全般的な見直しが行われ、「予防」を重視する制度改正が行われました。介護予防には2つの目的があります。ひとつは「要介護状態になることをできる限り防ぐ(遅らせる)こと」、もうひとつは「要介護状態であっても、状態がそれ以上に悪化しないようにする(維持・改善を図る)こと」です。どのような状態にある高齢者であっても、そのひとの生活や人生を尊重し、できる限り自立した生活を送れるよう支援することが介護予防サービスの目的です。

なぜ口腔機能向上が必要か
 口腔機能には「かみ砕く(咀嚼)、飲み込む(嚥下)」、「唾液を分泌する」、「言葉を発する(発音)」、「表情をあらわす」など様々な役割があります。食べることやコミュニケーションのための機能を維持することは、体の健康にプラスになるだけでなく、人や社会と活発に交流し、心身ともに自立した生活を送るために欠かせない要素であるは明らかです。また口腔機能の向上によって、食事の面からは栄養改善を通じて筋力の向上、会話の面からは社会交流を通じて閉じこもりやうつ予防に繋がることが期待できます。一方、口腔機能が低下すると十分な栄養がとりにくくなることから、体力さらには免疫力の低下につながり、感染症にもかかりやすくなります。口腔機能のなかでも特に嚥下機能が低下し、誤嚥を繰り返していると、誤嚥性肺炎など命にかかわる疾患の引き金になります。このような観点から、健全な口腔機能とそれによって良好な口腔衛生状態を保つことの重要性が認められ、口腔機能訓練を含めた口腔ケアを日常の習慣として定着させるための取り組みが各地で広がりました。さらに2006年度からは、介護保険制度の改正により介護予防サービスとして、口腔機能向上が導入されました。

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自分の歯や口、体の健康に関心をもち、生活習慣を整えることは健康高齢者への近道です。歯ブラシなどの道具を使った器質的口腔ケアだけではなく、顔や舌の体操、唾液腺のマッサージなど、機能的口腔ケアも実施して歯や口の健康維持をはかります。その結果は、健康的で質の高い生活の実現につながるといえます。
健康高齢者とは
 健康高齢者とは、いきいきと、元気に自立して暮らす人と定義します。元気に方たちは、歯や口の健康にも関心をもち、望ましい生活・清潔の習慣が身についています。
 かつて、都内で行われた老人大学出席者(60歳代〜90歳代。自主参加の講演会。回答者の平均年齢75.7±6.0歳)対象の調査を行いました。平均年齢が高いこともあり、通院中の方(57.9%)や毎日薬を飲んでいる方(72.5%)もいましたが、会場では、講演を聴き、顔や口の体操をしていました。食後に歯を磨く人が多く、かかりつけ歯科医がいると答えた人は60%を超えていました。また、早寝早起き、1日3食を規則正しく摂り、酒は飲まない(71.0%)、喫煙しない(約95%)、かかりつけ歯科医をもっている(85.1%)など、元気高齢者12か条と一致する回答が得られました。つまり、自分の歯や口、体の健康に対して関心をもって健康的な生活をおくることそのものが、自立して元気で生き生きと暮らすことに繋がるということがわかりました。

口腔ケア
 口腔ケアというと、歯磨きだけが思い浮かぶかもしれませんが、そうではありません。また、高齢者独自の口腔ケア法があると思われるかもしれませんが、歯や口の状態によって違ってきます。
 口腔ケアには歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロス、歯磨剤などを使って、歯や口を清潔に保つ器質的口腔ケアと唾液の分泌を促し、舌、口唇、頬などの機能を賦活するための機能的口腔ケアがあります。

(1)器質的口腔ケア
 毎日、食後や就寝前の歯や口、舌の清掃を行います。歯周病予防は、1日1回徹底的にきれいにすることが必要ですが、社会生活する者としてのエチケットの意味もあるので、必要に応じて行うとよいでしょう。方法については、成人のページで確認してください。
 ブリッジ、部分入れ歯、総義歯が入っている方はそれぞれに応じた方法と配慮が必要です。

(2)機能的口腔ケア
 歯や舌、頬など口の機能を維持するために、健口体操(北原・白田先生考案)を行いましょう。
顔面体操:しっかり目をつぶり、唇を横に引いて頬をあげます。その後、口と目を思い切りあけてください。また、口をしっかり閉じてから、頬を膨らませて、口を左右に動かします。
舌体操:口を開けて行うものと閉じて行うものがあります。口を開けて、舌を思いっきり出したり、引っ込めたり、左右に動かし、口の周りをなめるように回します。上下に舌を動かす運動もよいでしょう。口を閉じて行う舌体操は、舌で上・下唇を内側から押したり、頬を押したりします。舌の働きがよくなり、唾液も出やすくなり、発音がよくなります。
唾液腺マッサージ:頬、顎の下をマッサージします。

まとめ
 定期的に歯科健診や歯磨き指導を受けたり、歯や口の機能を維持・促進することによって、いきいきと健康で質の高い生活をエンジョイしてください。

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口腔ケアには、大きく分けて口腔の「清掃を中心とするケア」と「機能訓練を中心とするケア」があります。要介護高齢者に対する口腔ケアの主な目的は、「誤嚥性肺炎」、「口腔の乾燥」、「口腔機能の低下」を予防することです。安全と安楽をモットーに専門家のアドバイスを受けながら、継続することがポイントです。

口腔ケアについて
 高齢社会になるとともに介護が必要な高齢者が増加し「口腔ケア」という用語が生まれ、今では保健・医療・福祉の分野に広く浸透しています。口腔ケアには口腔の「清掃を中心とするケア」と「機能訓練を中心とするケア」があります。目的はそれぞれ、「口腔内を清潔に保つこと」と「口腔機能を維持・向上すること」です。要介護高齢者の口腔ケアでは、誤嚥性肺炎や口腔内の乾燥を予防すること、さらには老化や障害による口腔機能の低下を予防・改善することが主眼となります。

口腔ケアを始める前に
 口腔内は非常にデリケートです。したがって、口腔ケアを介護者が始める前には、本人に口腔ケアについて十分説明し、お互いの意思疎通をはかることが重要です。特に認知機能が低下している高齢者に対しては、無理をせず、先ずは「気持ちよさ」と体感してもらうことから始めてください。嫌がるからといってケアをしないと、悪循環に陥る可能性があるので、困った時は歯科医師・歯科衛生士に相談して下さい。

口腔ケアのポイント
1. 口腔内をチェックする
 要介護の状態が長期間続くと、口腔内が放置されているケースも多いので、口腔内に問題がないか観察します。痛みがあるとケアを避けるので、痛みの原因となる口内炎、欠けた歯、歯肉の脹れ、義歯による傷などの有無をチェックします。問題があれば歯科医師や歯科衛生士に相談して下さい。

2. 介助は最小限にとどめる
 障害の程度によってどの部分を介助すべきかを考えます。筋肉の衰えの予防や麻痺の改善のためには、自助具や工夫した清掃具を活用しながら、できるだけ本人の残っている能力を活かすことが重要です。ただし仕上げは介護者が手伝いましょう。

3. 誤嚥に注意する
 寝たきり状態で嚥下機能が低下している場合は、顔を横に向け、枕を使って下あごを引き、水分が気管に入らないように注意します。水分の使用はできるだけ控え、すぐにふき取れるよう綿棒やカット綿等を用意します。麻痺があれば、麻痺した側を上、健常な側を下にします。


4. 口腔内の乾燥に注意する
 口から食べることができない、あるいは服用薬に副作用があると、唾液の分泌量が減少し、口腔内が乾燥します。その結果、唾液の抗菌作用や洗浄作用が低下し、口腔内が不潔となり感染しやすくなります。そこで唾液の分泌を促進するために、口腔機能訓練(舌体操、嚥下体操)やマッサ−ジ(唾液腺、口腔粘膜)などさまざまなメニューを組み合わせた口腔ケアが必要になります。


5. 便利なケア用品を活用する
 本人の負担をできるだけ軽減するために、短時間で効率よく行うことがポイントです。
 そのためには歯ブラシの他に便利な清掃補助具(スポンジブラシ、歯間ブラシ、舌ブラシなど)をうまく活用して下さい。

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訪問歯科診療とは、要介護高齢者が在宅や施設で歯科診療が受けられるものです。要介護高齢者の多くは歯科的な問題を抱えているにも関わらず、これまでの外来での歯科受診は70〜74歳をピークに、その後急速に減少する実態がありました。歯科治療をはじめとする口腔機能の維持管理は、食べるという機能ばかりでなく、生きる力やQOLの向上に寄与することが明らかになってきました。身近なかかりつけの歯科医などに相談し、外来受診が困難な場合であっても、治療をあきらめないことが重要です。
はじめに
 むし歯と歯周病に代表される歯科疾患には、“罹りやすい年齢”があります。例えば歯周病は40歳以降に増加し、むし歯は小児と高齢者で発生のリスクが高まります。これらの歯科疾患は、放置されると歯の喪失を引き起こし、咀嚼機能をはじめとする口腔機能の低下を招きます。しかもこの歯の保存状況と咀嚼機能の回復は、食べることの楽しみなどQOLに関連するばかりでなく、全身の健康と生命予後にも影響することが、最近の調査で明らかになってきました(Fukai,K et al., 2007, 2008)。
 ところが、80歳高齢者で20歯以上の歯を保有している者の割合は約20%に過ぎず、多くの高齢者が義歯など咀嚼機能の回復が必要とされています。そして、要介護高齢者など通院や医療機関への搬送が困難な場合に行われるのが、訪問歯科診療です。

高齢者の歯科受療状況。

 一方、これまでの訪問歯科診療の実施率をみると、1ヶ月間の在宅医療実施歯科診療所は18.2%であり、都道府県別にみると、最小11.0%(沖縄県)から最大35.7%(佐賀県)まで都道府県間に較差がみられます。実施件数では、在宅医療サービス実施診療所1箇所当たりの訪問歯科診療の件数は、全国平均で1ヶ月間に12.6件となっています(厚生労働省医療施設調査、介護保険事業状況報告、2005)。すなわち、約20%の歯科診療所が毎月平均12件強の訪問診療を行っているというのが現状です。この実施件数は、全要介護高齢者を対象とした月1回の定期的管理を中心とした在宅歯科医療サービスを想定した場合、3.6%の充足率に過ぎません。一方、介護保険における居宅療養管理指導では、歯科医師による実施を行っている診療所は全国平均で4.0%(最大値9.1%、最小値1.5%)、歯科衛生士による実施は2.7%(最大値8.7%、最小値0.9%)となっています。

訪問歯科診療で行われる治療内容
 基本的には、訪問歯科診療で行われる診療内容は、外来で行われるものと同じものです。しかし、治療時の姿勢の保持や照明など制約の中で行われるので、治療内容によって診療所で受診することが必要な場合があります。また、歯科医師が患者の全身状態を把握するために、かかりつけの医師や入院時の主治医などと外来診療以上に密な連携が求められます。

 大事なことは外来受診が困難な場合に、本人や家族が歯科治療を受けることをあきらめないことです。入院前にかかりつけの歯科医院を持っていても、多くの場合、急性期病院等への入院から回復期、施設入所等へ移っていく間に歯科医師・患者関係が途切れてしまい、退院後の在宅療養時にかかりつけ医とかかりつけ歯科医との連携が取れていないために、結果的に口腔内状態の悪化や義歯治療などの対応が放置されるという悪循環を招いていることがしばしばみられます。

 在宅療養をしている患者の歯科の問題には、義歯の不適合、むし歯に伴う歯の痛みや、歯ぐきの腫れ、口内炎などがあげられます。これらの多くは訪問歯科診療で対応することができます。口腔内の不具合は、食事の意欲の低下につながります。さらには、要介護高齢者における口腔清掃状態の悪化は、誤嚥性肺炎の原因にもなりますので、定期的なチェックが必要になります(Yoneyama T et al, 1999)。また、噛むことや飲み込むことの障害(咀嚼・嚥下障害)がみられることがあり、機能低下の早期の発見と対応が必要です。そして、終末期においても最後まで口から食べるための歯科的対応は、本人の生きる力を支援するものです。これらの処置は、保険診療上でも位置づけられています。

 また、要介護高齢者の歯科ニーズは、全要介護高齢者に対する定期的口腔ケア・食支援、全要介護高齢者の少なくとも50%への歯科治療、全介護高齢者の約20%に対する摂食嚥下指導が必要と試算されています。

訪問歯科診療の受診方法
 かかりつけの歯科医院がある場合には、訪問診療をお願いしてみることです。その歯科医院で対応が難しい場合には、他の医療機関の紹介してくれると考えられます。あるいは、市町村保健センターなどの行政機関や主治医・介護職など身近の担当者に問い合わせれば、地域でのネットワークがすでに整備されていることが多いので、解決につながります。

 平成20年4月からスタートする後期高齢者医療制度でも、在宅医療の充実は、重点課題のひとつであり、歯科医師会など関係機関でも訪問歯科診療の提供体制の充実に取り組まれています。在宅要介護高齢者の歯科受診の機会を向上するために、平成20年4月からは「在宅療養支援歯科診療所」も医療保険で新設されることになっていますので、関係機関に問い合わせれば、地域で積極的に訪問歯科診療に取り組んでいる医療機関を知ることができます。


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