▼ 便の異常
便の色や形状は健康状態を知るバロメーターですから、毎日観察する習慣をつけましょう。便の異常で特に注意が必要なのは、赤色、黒色、灰白色の便が出たときです。出血や重大な内臓の病気が疑われますから速やかに受診してください。
便の色がおかしい
正常な便の色は黄褐色をしています。薬剤や食べ物などによって色調が多少変化しますから、あまり神経質になるのもよくありませんが、次のようなケースは何らかの病気のサインと考えられます。
■血便
便に血が混じるのは消化管のどこかに出血があるためですが、出血した部位や出血量によって便の色が変わってきます。食道、胃、十二指腸までの上部消化管で出血した場合には胃液の影響を受けて血液が黒ずむため、暗赤色または黒色になります。大腸で出血した場合には血液の赤色が残っていることが多く、肛門に近いほど鮮やかな赤色になります。
◯色が赤いとき
トイレットペーパーに血が付いていたり、便の表面に真っ赤な血が付着していると思わずギョッとします。こういう場合、一般的にはまず痔が疑われます。痔には、肛門にいぼ状のふくらみができる痔核(いぼ痔。肛門の奥の直腸末端にできる内痔核と肛門の周囲にできる外痔核に分けられる)、肛門に傷がつく裂肛(切れ痔)、細菌感染によって肛門が化膿して膿が出る痔瘻があります。
出血があるのは主に内痔核や裂肛です。内痔核は日本人に多いもので、痛みはありませんが出血することが多く、便の周囲に真っ赤な血が付いたり、肛門からポタポタ流れ落ちたりします。裂肛は排便時にひどく痛みますが、出血量はそれほど多くありません。
しかし、素人判断で痔と思い込むのは危険です。肛門に近い直腸やS状結腸のがん(この2つが大腸がんの約8割を占める)、ポリープでも同様の症状が見られます。直腸がんか内痔核かの区別は初期段階では難しいですから、一度は消化器科や肛門科を受診することをお勧めします。痔と思い込んでしまったために手遅れになるケースが少なくないからです。ポリープの場合も放置するとがん化する恐れがあります。
粘液と血液が混じった粘血便の場合には潰瘍性大腸炎が疑われます。腸の粘膜に多数の潰瘍ができて出血する病気で、粘血便、下痢、腹痛、発熱が主な症状です。若い人に多く発症し、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら徐々に進行する難病ですから、早期に発見して治療を受けることが大切です。原因については自己免疫、細菌感染、ストレスなどさまざまな説がありますが、まだはっきりわかっていません。
下痢、腹痛、発熱とともに血便や粘血便が出た場合には、食中毒や赤痢などの恐れもあります。
幼児や高齢者では腸重積もしばしば見られる病気です。腸の中に腸の一部がはまり込んで腸閉塞を起こすもので、緊急処置が必要です。腹痛、嘔吐、粘血便が3大症状です。
◯暗赤色や黒色のとき
前に述べたように、上部消化管で出血した場合には暗赤色や黒色の便になります。血は赤いものという先入観念があると、それが血便と気付かないことがありますから注意してください。出血量によっては真っ黒のコールタール状の便になります。これをタール便と呼んでいます。疑われる病気としては胃・十二指腸潰瘍、胃がん、食道がんなどが挙げられます。
肝硬変などで食道静脈瘤が破裂して大量出血した場合にもタール便が出ます。この場合には血便だけでなく吐血するケースが多くなります。
また、薬剤の影響で便が黒っぽくなることがあります。鉄剤や下痢止め薬(ビスマスという成分を含んだもの)を服用すると黒褐色の便が出ますが、これは服用をやめれば元に戻りますから心配ありません。
■灰白色の便
便の黄褐色の色はビリルビンという胆汁色素によるものです。胆汁は肝臓から総胆管を通って十二指腸に送られ、便に混じります。総胆管結石、総胆管がん、総胆管の激しい炎症の後の狭窄などで総胆管がふさがってしまうと胆汁が排出されないので、便特有の色が付かず灰白色の便になります。
病気によって異なりますが、腹痛、背部痛、発熱、食欲不振、全身倦怠感、黄疸などの症状を伴います。
便秘をする
便が腸にとどまっている時間が長くなると水分が過剰に吸収されて硬くなり、出にくくなります。これが便秘です。
排便の回数は1日1回が普通ですが、毎日排便がなくても、便が硬くて出にくい、おなかが張って苦しいといった症状がなければ、あまり気にすることはないでしょう。便秘の大部分は特に心配のないものですが、なかには重大な病気が原因になっている場合もありますから、急に便秘するようになったときには注意が必要です。
便秘の原因としては次のようなものが挙げられます。
■食べる量が少ない
便秘の原因として最も多いと言えるでしょう。基本的に食べる量が少なければ排便回数は減ります。夜更かしをして朝食を抜くような生活スタイルは便秘を招く要因になります。朝は早く起きて3食きちんと食べ、働いてからだを動かすというのが長年にわたって培われてきた人間の生活のリズムですから、それを狂わせないことが健康維持の基本です。便秘に悩んでいる人はまず規則正しい生活を心がけてください。便意をがまんしない、食物繊維の多い食品をとる、朝起きたら冷たい水や牛乳を飲むといったことも便秘の解消に効果があります。
■腸のぜん動運動が弱くなる
年をとると腸のぜん動運動が弱くなるため便秘しやすくなります。また、腸のぜん動はあっても腹圧をかけることができない、要するにいきめないために便を出せないケースもあります。こうした排便困難は、高齢者や病気で体力の衰えた人によく見られます。
■腸がけいれんする
ストレスなどで自律神経が乱れて腸がけいれんを起こし、便が通りにくくなって便秘になるものです。ウサギの糞のようなコロコロした便や細い便が特徴です。便秘と下痢を交互に繰り返す場合には過敏性腸症候群が考えられます。腹痛やガス症状(おならが出る、おなかが鳴るなど)のほか、頭痛、めまい、動悸、不眠など自律神経の失調症状も見られます。腸に病気があるわけではないので、ストレスや過労を避ければ症状が改善します。
■がんや肉腫でつかえる
がんがある程度大きくなって腸管が狭くなると便の通過障害を起こします。中高年者で、排便をしたにもかかわらず便が残っている感じでまたトイレに行きたくなる、便柱が細くなる、便に血が混じるというような症状が見られる場合には一応、大腸がんを疑ってみる必要があります。
また、子宮がん、卵巣がん、前立腺がん、巨大な子宮筋腫や卵巣嚢腫などのために骨盤内で腸が圧迫され、便の通過障害を起こすこともあります。
■腸管の閉塞
腸閉塞、腸重積、腸捻転などで腸が詰まって便が通過できなくなるものです。激しい腹痛や嘔吐を伴い、緊急処置が必要です。
■異物がつかえる
子供が硬貨を飲み込んだり、高齢者が入れ歯を飲み込んだりするケースが見られます。
下痢をする
便が腸にとどまる時間が短いと水分が十分に吸収されず、水分の多い便になります。下痢は水様性、粘液性、粘血便に分けられ、病気を診断する手がかりになりますから、便の状態をよく観察しておいてください。
下痢を引き起こす病気はいろいろありますが、急性のものとしては急性腸炎、食中毒、赤痢やコレラなど、慢性のものには潰瘍性大腸炎、大腸がん、過敏性腸症候群、乳糖不耐症などがあります。
下痢は腸内の有害物質や不要物質を外に出す作用ですから、便意を催したときにはがまんせずに出してしまうことが大切です。原因がはっきりしないうちは安易に下痢止めを使用しないようにしましょう。下痢をしている間は原則的に絶食し、脱水症状を防ぐためにお茶や湯ざまし、スポーツドリンクなどで十分に水分を補給します。
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便の色がおかしい
正常な便の色は黄褐色をしています。薬剤や食べ物などによって色調が多少変化しますから、あまり神経質になるのもよくありませんが、次のようなケースは何らかの病気のサインと考えられます。
■血便
便に血が混じるのは消化管のどこかに出血があるためですが、出血した部位や出血量によって便の色が変わってきます。食道、胃、十二指腸までの上部消化管で出血した場合には胃液の影響を受けて血液が黒ずむため、暗赤色または黒色になります。大腸で出血した場合には血液の赤色が残っていることが多く、肛門に近いほど鮮やかな赤色になります。
◯色が赤いとき
トイレットペーパーに血が付いていたり、便の表面に真っ赤な血が付着していると思わずギョッとします。こういう場合、一般的にはまず痔が疑われます。痔には、肛門にいぼ状のふくらみができる痔核(いぼ痔。肛門の奥の直腸末端にできる内痔核と肛門の周囲にできる外痔核に分けられる)、肛門に傷がつく裂肛(切れ痔)、細菌感染によって肛門が化膿して膿が出る痔瘻があります。
出血があるのは主に内痔核や裂肛です。内痔核は日本人に多いもので、痛みはありませんが出血することが多く、便の周囲に真っ赤な血が付いたり、肛門からポタポタ流れ落ちたりします。裂肛は排便時にひどく痛みますが、出血量はそれほど多くありません。
しかし、素人判断で痔と思い込むのは危険です。肛門に近い直腸やS状結腸のがん(この2つが大腸がんの約8割を占める)、ポリープでも同様の症状が見られます。直腸がんか内痔核かの区別は初期段階では難しいですから、一度は消化器科や肛門科を受診することをお勧めします。痔と思い込んでしまったために手遅れになるケースが少なくないからです。ポリープの場合も放置するとがん化する恐れがあります。
粘液と血液が混じった粘血便の場合には潰瘍性大腸炎が疑われます。腸の粘膜に多数の潰瘍ができて出血する病気で、粘血便、下痢、腹痛、発熱が主な症状です。若い人に多く発症し、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら徐々に進行する難病ですから、早期に発見して治療を受けることが大切です。原因については自己免疫、細菌感染、ストレスなどさまざまな説がありますが、まだはっきりわかっていません。
下痢、腹痛、発熱とともに血便や粘血便が出た場合には、食中毒や赤痢などの恐れもあります。
幼児や高齢者では腸重積もしばしば見られる病気です。腸の中に腸の一部がはまり込んで腸閉塞を起こすもので、緊急処置が必要です。腹痛、嘔吐、粘血便が3大症状です。
◯暗赤色や黒色のとき
前に述べたように、上部消化管で出血した場合には暗赤色や黒色の便になります。血は赤いものという先入観念があると、それが血便と気付かないことがありますから注意してください。出血量によっては真っ黒のコールタール状の便になります。これをタール便と呼んでいます。疑われる病気としては胃・十二指腸潰瘍、胃がん、食道がんなどが挙げられます。
肝硬変などで食道静脈瘤が破裂して大量出血した場合にもタール便が出ます。この場合には血便だけでなく吐血するケースが多くなります。
また、薬剤の影響で便が黒っぽくなることがあります。鉄剤や下痢止め薬(ビスマスという成分を含んだもの)を服用すると黒褐色の便が出ますが、これは服用をやめれば元に戻りますから心配ありません。
■灰白色の便
便の黄褐色の色はビリルビンという胆汁色素によるものです。胆汁は肝臓から総胆管を通って十二指腸に送られ、便に混じります。総胆管結石、総胆管がん、総胆管の激しい炎症の後の狭窄などで総胆管がふさがってしまうと胆汁が排出されないので、便特有の色が付かず灰白色の便になります。
病気によって異なりますが、腹痛、背部痛、発熱、食欲不振、全身倦怠感、黄疸などの症状を伴います。
便秘をする
便が腸にとどまっている時間が長くなると水分が過剰に吸収されて硬くなり、出にくくなります。これが便秘です。
排便の回数は1日1回が普通ですが、毎日排便がなくても、便が硬くて出にくい、おなかが張って苦しいといった症状がなければ、あまり気にすることはないでしょう。便秘の大部分は特に心配のないものですが、なかには重大な病気が原因になっている場合もありますから、急に便秘するようになったときには注意が必要です。
便秘の原因としては次のようなものが挙げられます。
■食べる量が少ない
便秘の原因として最も多いと言えるでしょう。基本的に食べる量が少なければ排便回数は減ります。夜更かしをして朝食を抜くような生活スタイルは便秘を招く要因になります。朝は早く起きて3食きちんと食べ、働いてからだを動かすというのが長年にわたって培われてきた人間の生活のリズムですから、それを狂わせないことが健康維持の基本です。便秘に悩んでいる人はまず規則正しい生活を心がけてください。便意をがまんしない、食物繊維の多い食品をとる、朝起きたら冷たい水や牛乳を飲むといったことも便秘の解消に効果があります。
■腸のぜん動運動が弱くなる
年をとると腸のぜん動運動が弱くなるため便秘しやすくなります。また、腸のぜん動はあっても腹圧をかけることができない、要するにいきめないために便を出せないケースもあります。こうした排便困難は、高齢者や病気で体力の衰えた人によく見られます。
■腸がけいれんする
ストレスなどで自律神経が乱れて腸がけいれんを起こし、便が通りにくくなって便秘になるものです。ウサギの糞のようなコロコロした便や細い便が特徴です。便秘と下痢を交互に繰り返す場合には過敏性腸症候群が考えられます。腹痛やガス症状(おならが出る、おなかが鳴るなど)のほか、頭痛、めまい、動悸、不眠など自律神経の失調症状も見られます。腸に病気があるわけではないので、ストレスや過労を避ければ症状が改善します。
■がんや肉腫でつかえる
がんがある程度大きくなって腸管が狭くなると便の通過障害を起こします。中高年者で、排便をしたにもかかわらず便が残っている感じでまたトイレに行きたくなる、便柱が細くなる、便に血が混じるというような症状が見られる場合には一応、大腸がんを疑ってみる必要があります。
また、子宮がん、卵巣がん、前立腺がん、巨大な子宮筋腫や卵巣嚢腫などのために骨盤内で腸が圧迫され、便の通過障害を起こすこともあります。
■腸管の閉塞
腸閉塞、腸重積、腸捻転などで腸が詰まって便が通過できなくなるものです。激しい腹痛や嘔吐を伴い、緊急処置が必要です。
■異物がつかえる
子供が硬貨を飲み込んだり、高齢者が入れ歯を飲み込んだりするケースが見られます。
下痢をする
便が腸にとどまる時間が短いと水分が十分に吸収されず、水分の多い便になります。下痢は水様性、粘液性、粘血便に分けられ、病気を診断する手がかりになりますから、便の状態をよく観察しておいてください。
下痢を引き起こす病気はいろいろありますが、急性のものとしては急性腸炎、食中毒、赤痢やコレラなど、慢性のものには潰瘍性大腸炎、大腸がん、過敏性腸症候群、乳糖不耐症などがあります。
下痢は腸内の有害物質や不要物質を外に出す作用ですから、便意を催したときにはがまんせずに出してしまうことが大切です。原因がはっきりしないうちは安易に下痢止めを使用しないようにしましょう。下痢をしている間は原則的に絶食し、脱水症状を防ぐためにお茶や湯ざまし、スポーツドリンクなどで十分に水分を補給します。
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