▼ 舌の異常
舌は、全身の健康状態をよく反映する部位で、東洋医学では今でも舌を診て診断する舌診が行われています。舌は自分でも観察できますから、ときどき鏡に映してチェックする習慣をつけておけば、さまざまな異常を早期に発見できます。
舌の異常に気付いたら
舌は口の中でも症状が現れやすく、動くために異常に気付きやすいところです。舌がんで、かなり進行してから受診される患者さんを診ると「注意していれば、もっと早く気付いたはずなのに…」と残念に思うことがしばしばあります。
舌や口の中を観察して何か異常がみつかった場合、とりあえず1週間くらいは様子をみてもいいでしょう。自然に治ってしまうケースも少なくありません。しかし、1週間以上たっても治らない場合は口腔外科や耳鼻咽喉科を受診するほうが安心です。
■白斑ができる
舌の表面(舌背)は舌乳頭という密集した特殊な粘膜でおおわれており、通常は淡いピンク色をしていますが、さまざまな原因で色や状態が変化することがあります。
◯舌苔
はがれ落ちた舌乳頭、食べ物のかす、口の中の細菌やかびなどが付着して、舌の表面に苔がはえたように見えるもので、中高年者に多く見られます。軽度の場合は白っぽい色をしていますが、重度になると分厚くなり、色も黄色、褐色、黒色に変化します。軽度の舌苔はだれにも見られるもので特に心配することはありません。しかし、重度になると口臭が激しくなることがあります。
口腔内の不衛生、口呼吸や唾液の分泌不足による口腔の乾燥、喫煙などが関係していますが、糖尿病や胃腸疾患、高熱や下痢による脱水などによっても生じます。
軽度の場合は口腔内の洗浄だけで治ります。歯磨き、洗口液の使用が効果的です。重度の場合は歯ブラシやガーゼなどでぬぐい取って、よく洗浄します。原因疾患がある場合にはその治療を並行して行います。
◯白板症
やや隆起した不定形の白斑が生じ、こすっても取り除けない状態を白板症と言います。高齢者に多く発症し、放置すれば数%から10数%はがん化すると言われており、前がん病変の代表的なものです。喫煙やアルコール飲料、とがった歯の縁や義歯による慢性的刺激などが原因となります。組織検査でがん化の可能性を調べ、多くの場合、切除による治療が行われます。
◯カンジダ症
カンジダは粘膜に発生する真菌(かび)の1種で、点状または斑状の膜のような白苔が生じ、膜が破れて粘膜が露出すると赤くなったり、びらん状態になったりします。慢性化すると膜が厚くなり、白板症と見分けがつきにくくなります。抗生物質やステロイド剤の長期使用や免疫不全などで、からだの抵抗力の弱まっているときに発症しやすくなります。
■紅斑ができる
◯地図状舌
舌の表面に白い縁どりのある深紅色の斑点が生じる病気です。日によって模様が変化し、不整形な地図のように見えることから地図状舌と呼ばれています。10歳以下の子供に多く見られ、自覚症状はあまりありません。原因不明で有効な治療法はなく、自然に治るのを待ちます。
◯扁平苔癬
皮膚や粘膜に生じる炎症性の角化症で、口腔では頬の粘膜、舌の表面、舌の側縁などに発症します。白い網目状またはレース状の角化部と炎症による紅斑部が入りまじって見えます。症状はさまざまに変化し、摂食時に痛みを覚えることもあります。
原因ははっきりしませんが、中年女性に多く発症し、なかなか治りにくい病気です。ですから、症状の変化を健康のバロメーターと考えて気長に付き合っていくことです。局所的にはステロイド軟膏を塗布したり、レーザーによる蒸散を行いますが、症状が強いときにはステロイド剤を服用します。がん化することもあるので注意が必要です。
■褐色、黒色になる
◯毛舌症
舌乳頭が長く伸びて、舌の表面に毛が生えたように見えるものです。黒色、白色、茶褐色、赤色、緑色などをしていますが、黒色のケースが多いため、一般的には黒毛舌と呼ばれます。中高年者に多く見られ、自覚症状はほとんどありません。原因は舌苔と共通しており、舌苔の特殊な種類と言えます。抗生物質やステロイド剤の長期使用が誘因になることがあります。
■溝ができる
◯溝状舌
舌の表面に多数の溝やしわができる病気で、皺状舌とも呼ばれます。全身疾患の1つの症状として現れるケースが多いのですが、先天性の場合もあります。がんと間違えて受診される方がいますが、がんとは無関係です。溝に食べかすがたまると炎症を起こすことがあるので、口腔内の清潔を心がけてください。
■びらん、潰瘍ができる
◯舌炎
口腔の粘膜に起きる炎症を口内炎と言い、そのうち舌に現れるものを舌炎と呼んでいます。多くはほかの口腔粘膜の炎症と同時に発症します。いろいろな種類がありますが、最も一般的に見られるのはアフタです。赤い縁どりのある白い小円形の斑点ができ、それが水疱になり、破れて浅い潰瘍をつくります。触れると痛みます。10日くらいで自然に治りますが、再発しやすいものです。
舌炎は、細菌やウイルスの感染による場合と他の病気の部分症状として現れる場合とがあります。病気が原因のものは、鉄欠乏性貧血によるプランマー・ビンソン症候群、ビタミンBの欠乏で起きるハンター舌炎などが挙げられます。治療は対症療法が中心で、口腔内を清潔にし、抗生物質などを服用します。病気が原因のものは鉄剤やビタミン剤などで原疾患の治療を行います。
◯舌がん
口の中のがんで最も多いのが舌がんです。舌縁にできやすく、奥歯(下顎臼歯)のそばに最も多く発生します。50〜60代の男性に多く見られます。びらんを伴ったり、膨隆したり、潰瘍を形成するなど多彩な症状が現れます。治りにくい潰瘍や硬いしこりがある場合は要注意と言えるでしょう。舌がんは目に見える場所にできるので、注意していれば早期に発見できるケースが多いのです。
早期は無痛ですが、潰瘍を形成するものは早くから疼痛があります。進行すると舌を動かせなくなり、言語を話したり、食物を飲み込むことも困難になります。
原因不明のことが多いのですが、むし歯や金属冠の鋭利な縁、義歯、矯正装置など各種の慢性の刺激が誘因となることがあります。また、喫煙や飲酒も誘因になります。
うがいや歯磨きで口腔内を清潔に
舌や口の中の病気を予防するためには、常に口腔内を清潔にしておくことが大切です。うがいや歯磨きをまめに行い、ついでに舌もブラッシングするといいでしょう。
定期的に歯科を訪れ、むし歯のチェックや歯石の除去を行い、あわせて口腔内に異常がないかどうか調べてもらうのもよい方法です。
舌痛症や自臭症が増えている
近年、舌に原因不明の痛みを感じる「舌痛症」の人が増えています。検査をしても舌に器質的異常が見られないのに舌の先端や側縁部にピリピリ、ヒリヒリといった感じの痛みが持続したり、あるいは異常感を訴えるもので、中高年の女性に多く見られます。食べているときや寝ているときにはあまり痛みを感じないのが特徴です。
原因はよくわかっていませんが、社会や家庭でのストレス、情報過多による舌がんへの恐怖など心因的なものが関係しているようです。また、低血圧による局部や脳内の血液循環不全などの身体的要因も発症に関与している可能性があると考えられています。
「自臭症」は、口臭がないにもかかわらず、自分には口臭があって周囲の人に不快な思いをさせていると思い込んでしまうもので、神経が細かく、きれい好きの人がなりやすいようです。やはり心因的なものが原因と考えられます。
舌痛症や自臭症には単に局所だけの治療ではなく、カウンセリングや精神安定剤の使用などを含めた心身医学的治療が必要ですから、口腔心身症や粘膜疾患を総合的に扱う口腔外科を受診するといいでしょう。
舌の異常に気付いたら
舌は口の中でも症状が現れやすく、動くために異常に気付きやすいところです。舌がんで、かなり進行してから受診される患者さんを診ると「注意していれば、もっと早く気付いたはずなのに…」と残念に思うことがしばしばあります。
舌や口の中を観察して何か異常がみつかった場合、とりあえず1週間くらいは様子をみてもいいでしょう。自然に治ってしまうケースも少なくありません。しかし、1週間以上たっても治らない場合は口腔外科や耳鼻咽喉科を受診するほうが安心です。
■白斑ができる
舌の表面(舌背)は舌乳頭という密集した特殊な粘膜でおおわれており、通常は淡いピンク色をしていますが、さまざまな原因で色や状態が変化することがあります。
◯舌苔
はがれ落ちた舌乳頭、食べ物のかす、口の中の細菌やかびなどが付着して、舌の表面に苔がはえたように見えるもので、中高年者に多く見られます。軽度の場合は白っぽい色をしていますが、重度になると分厚くなり、色も黄色、褐色、黒色に変化します。軽度の舌苔はだれにも見られるもので特に心配することはありません。しかし、重度になると口臭が激しくなることがあります。
口腔内の不衛生、口呼吸や唾液の分泌不足による口腔の乾燥、喫煙などが関係していますが、糖尿病や胃腸疾患、高熱や下痢による脱水などによっても生じます。
軽度の場合は口腔内の洗浄だけで治ります。歯磨き、洗口液の使用が効果的です。重度の場合は歯ブラシやガーゼなどでぬぐい取って、よく洗浄します。原因疾患がある場合にはその治療を並行して行います。
◯白板症
やや隆起した不定形の白斑が生じ、こすっても取り除けない状態を白板症と言います。高齢者に多く発症し、放置すれば数%から10数%はがん化すると言われており、前がん病変の代表的なものです。喫煙やアルコール飲料、とがった歯の縁や義歯による慢性的刺激などが原因となります。組織検査でがん化の可能性を調べ、多くの場合、切除による治療が行われます。
◯カンジダ症
カンジダは粘膜に発生する真菌(かび)の1種で、点状または斑状の膜のような白苔が生じ、膜が破れて粘膜が露出すると赤くなったり、びらん状態になったりします。慢性化すると膜が厚くなり、白板症と見分けがつきにくくなります。抗生物質やステロイド剤の長期使用や免疫不全などで、からだの抵抗力の弱まっているときに発症しやすくなります。
■紅斑ができる
◯地図状舌
舌の表面に白い縁どりのある深紅色の斑点が生じる病気です。日によって模様が変化し、不整形な地図のように見えることから地図状舌と呼ばれています。10歳以下の子供に多く見られ、自覚症状はあまりありません。原因不明で有効な治療法はなく、自然に治るのを待ちます。
◯扁平苔癬
皮膚や粘膜に生じる炎症性の角化症で、口腔では頬の粘膜、舌の表面、舌の側縁などに発症します。白い網目状またはレース状の角化部と炎症による紅斑部が入りまじって見えます。症状はさまざまに変化し、摂食時に痛みを覚えることもあります。
原因ははっきりしませんが、中年女性に多く発症し、なかなか治りにくい病気です。ですから、症状の変化を健康のバロメーターと考えて気長に付き合っていくことです。局所的にはステロイド軟膏を塗布したり、レーザーによる蒸散を行いますが、症状が強いときにはステロイド剤を服用します。がん化することもあるので注意が必要です。
■褐色、黒色になる
◯毛舌症
舌乳頭が長く伸びて、舌の表面に毛が生えたように見えるものです。黒色、白色、茶褐色、赤色、緑色などをしていますが、黒色のケースが多いため、一般的には黒毛舌と呼ばれます。中高年者に多く見られ、自覚症状はほとんどありません。原因は舌苔と共通しており、舌苔の特殊な種類と言えます。抗生物質やステロイド剤の長期使用が誘因になることがあります。
■溝ができる
◯溝状舌
舌の表面に多数の溝やしわができる病気で、皺状舌とも呼ばれます。全身疾患の1つの症状として現れるケースが多いのですが、先天性の場合もあります。がんと間違えて受診される方がいますが、がんとは無関係です。溝に食べかすがたまると炎症を起こすことがあるので、口腔内の清潔を心がけてください。
■びらん、潰瘍ができる
◯舌炎
口腔の粘膜に起きる炎症を口内炎と言い、そのうち舌に現れるものを舌炎と呼んでいます。多くはほかの口腔粘膜の炎症と同時に発症します。いろいろな種類がありますが、最も一般的に見られるのはアフタです。赤い縁どりのある白い小円形の斑点ができ、それが水疱になり、破れて浅い潰瘍をつくります。触れると痛みます。10日くらいで自然に治りますが、再発しやすいものです。
舌炎は、細菌やウイルスの感染による場合と他の病気の部分症状として現れる場合とがあります。病気が原因のものは、鉄欠乏性貧血によるプランマー・ビンソン症候群、ビタミンBの欠乏で起きるハンター舌炎などが挙げられます。治療は対症療法が中心で、口腔内を清潔にし、抗生物質などを服用します。病気が原因のものは鉄剤やビタミン剤などで原疾患の治療を行います。
◯舌がん
口の中のがんで最も多いのが舌がんです。舌縁にできやすく、奥歯(下顎臼歯)のそばに最も多く発生します。50〜60代の男性に多く見られます。びらんを伴ったり、膨隆したり、潰瘍を形成するなど多彩な症状が現れます。治りにくい潰瘍や硬いしこりがある場合は要注意と言えるでしょう。舌がんは目に見える場所にできるので、注意していれば早期に発見できるケースが多いのです。
早期は無痛ですが、潰瘍を形成するものは早くから疼痛があります。進行すると舌を動かせなくなり、言語を話したり、食物を飲み込むことも困難になります。
原因不明のことが多いのですが、むし歯や金属冠の鋭利な縁、義歯、矯正装置など各種の慢性の刺激が誘因となることがあります。また、喫煙や飲酒も誘因になります。
うがいや歯磨きで口腔内を清潔に
舌や口の中の病気を予防するためには、常に口腔内を清潔にしておくことが大切です。うがいや歯磨きをまめに行い、ついでに舌もブラッシングするといいでしょう。
定期的に歯科を訪れ、むし歯のチェックや歯石の除去を行い、あわせて口腔内に異常がないかどうか調べてもらうのもよい方法です。
舌痛症や自臭症が増えている
近年、舌に原因不明の痛みを感じる「舌痛症」の人が増えています。検査をしても舌に器質的異常が見られないのに舌の先端や側縁部にピリピリ、ヒリヒリといった感じの痛みが持続したり、あるいは異常感を訴えるもので、中高年の女性に多く見られます。食べているときや寝ているときにはあまり痛みを感じないのが特徴です。
原因はよくわかっていませんが、社会や家庭でのストレス、情報過多による舌がんへの恐怖など心因的なものが関係しているようです。また、低血圧による局部や脳内の血液循環不全などの身体的要因も発症に関与している可能性があると考えられています。
「自臭症」は、口臭がないにもかかわらず、自分には口臭があって周囲の人に不快な思いをさせていると思い込んでしまうもので、神経が細かく、きれい好きの人がなりやすいようです。やはり心因的なものが原因と考えられます。
舌痛症や自臭症には単に局所だけの治療ではなく、カウンセリングや精神安定剤の使用などを含めた心身医学的治療が必要ですから、口腔心身症や粘膜疾患を総合的に扱う口腔外科を受診するといいでしょう。
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2008/05/28(水) 01:44:58 | 病名・病気・医学のブログリンク集


