ちょっと気になる体の異常(いびきをかく)

ここでは、 ちょっと気になる体の異常(いびきをかく) に関する情報を紹介しています。
いびきをかく

風邪をひいたり、疲れたときにいびきをかくのは心配ありませんが、常習的に激しいいびきをかき、日中ひどく眠いというような場合は要注意。睡眠時無呼吸症候群などの疑いがありますから、早めに専門医を受診することをおすすめします。

なぜ、いびきをかくのか

 夫婦を対象にしたある調査によると、相手に対する不満のトップに挙げられたのがいびきだとか。 「家族には迷惑がられるし、泊まりがけの旅行に行くのも気が引ける。何とかいびきを治す方法はないものか…」と悩んでいる人がかなりいるのではないでしょうか。
 いびきというのは、何らかの原因で上気道(鼻、のどから気管支までの空気の通り道)が狭くなることによって起こります。もともと日中は上気道の筋肉が緊張して内径が広がっていますが、睡眠時には緊張がゆるむため上気道が狭くなります。また、仰向けに寝ると舌根(舌の付け根)や口蓋垂(のどちんこ)がのどのほうに落ち込み、上気道をふさぎやすくなるのです。
 こうした条件に加え、肥満して首の周辺に脂肪がついたり老化によって筋肉がたるんできたりすると、さらに上気道が狭まって呼吸しにくくなり、いびきをかきやすくなります。お酒を飲んだときや疲れたときにいびきをかくのは筋肉が弛緩するからです。また、鼻アレルギーや副鼻腔炎など鼻の病気があると、上気道に炎症を起こして鼻がつまり、いびきの原因になります。

睡眠時無呼吸症候群とは?

 昔は「高いびきは熟睡している証拠」などといわれたほどで、はた迷惑ではあっても病気とは考えられていませんでした。しかし、近年はいびきに関する研究が進み、からだにさまざまな悪影響を及ぼすケースがあることがわかってきました。
 もちろん、風邪をひいたり疲れたときにいびきをかくのはだれにもあることで、こうした一過性のものは別に心配ありません。注意が必要なのは常習性の激しいいびきです。
■睡眠時無呼吸症候群
 このところ注目されている病気で、上気道がふさがって睡眠中に何度も呼吸が止まってしまうものです。健康な人でも睡眠中に短い呼吸停止はみられますが、睡眠時無呼吸症候群の場合は1時間の睡眠中に10秒以上の呼吸停止が5回以上も起こります。
 こうした状態が続くと、高血圧、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳卒中、糖尿病といった生活習慣病にかかる率が普通の人に比べて2〜4倍も高くなるという調査データが米国で出ています。人間は呼吸することによって体内に酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出しています。呼吸が正常に行われなくなると血液中の酸素が不足して二酸化炭素が増え、こうした病気を増悪させる要因になると考えられています。
 また、上気道がふさがって呼吸が止まると呼吸を再開させるときに脳が覚醒します。本人は眠っているつもりでも、睡眠中に脳が何度も目覚めるので質の悪い眠りになり、日中に強い眠気が残ります。そのために仕事の能率が落ち、職種によっては大きな事故につながる危険性をはらんでいます。
 日中の眠気に加えて、睡眠中に息苦しさを感じる、夜間の排尿が近い、朝起きたときに頭痛がするなどの症状がある場合は、睡眠時無呼吸症候群を疑ってみる必要があります。
 睡眠時無呼吸症候群に関する全国規模の統計はありませんが、名古屋のほうの市町村で行われた調査から推計すると、全人口の2%にのぼるといわれています。年齢的には中高年、特に50代前半の男性に多く、肥満や老化が原因と考えられます。女性の場合は閉経後に増加します。若い人や子供にもみられ、この場合はほとんど扁桃腺やアデノイドの肥大が原因です。
■上気道抵抗症候群
 上気道が完全にふさがってしまうわけではありませんが、非常に狭くなった状態で、常習性の激しいいびきをかきます。睡眠時無呼吸症候群のような無呼吸はみられないものの、やはり質の悪い睡眠になります。
 上気道抵抗症候群と脳血管障害、心疾患、糖尿病などとの関連についてのデータはまだ出ていませんが、受診される患者さんの健康状態をみると普通の人より罹病率は高いように思われます。


軽症なら生活上の注意で改善する

 病的ないびきかどうか判断するためには、まず自分のいびきの状態を知ることが必要です。残念ながらいびきは自分で聞くことはできませんから、家族によく観察してもらいましょう。一人暮らしの人はテープレコーダーに録音して聞くとよいでしょう。
 軽症の場合は、日常生活に注意することでかなり症状が改善します。

■肥満を解消する
 標準体重より20%以上多いと、いびきをかきやすくなります。肥満の人は食生活に注意して減量することが大切です。
■横向きに寝る
 仰向けに寝ると上気道がふさがりやすいので、背中側に毛布などをあてたり、枕の下に片側だけ何か置いて傾斜をつけるなど工夫して、横向きの姿勢で寝るようにします。
■酒やたばこをやめる
 酒は筋肉を弛緩させ、たばこは粘膜を刺激して炎症を起こし上気道を狭くします。
■鼻づまりを防ぐ
 鼻の病気がある場合はそれを治すことが大切です。寝る前に鼻づまりを防ぐ点鼻薬を利用するのもよい方法です。
■口呼吸をやめる
 口で呼吸するといびきをかきやすくなりますから、鼻で呼吸する習慣をつけましょう。いびき防止用のマウステープが市販されていますが、ばんそうこうでも代用できます。

生活習慣病のある人は早めに受診を

 常習的に激しいいびきをかく、いびきがときどきとぎれる(無呼吸のサイン)といったような場合は、専門医の診察を受けることをおすすめします。いびきを治療することによって高血圧や糖尿病などの症状が改善するケースもあるので、こうした病気のある人は早めに対処したほうがよいでしょう。
 いびきの診断・治療は耳鼻科や呼吸器内科で扱います。ただし、米国などに比べると日本はこの分野で立ち遅れており、睡眠時無呼吸症候群の検査・診断ができる医療機関は非常に少ないのが実情です。ですから、受診する前にそれを確認してください。
 睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、まず家庭で簡単にできる「睡眠モニター」で一晩のデータを記録してもらって分析し、必要な場合は「ポリソムノグラフィー」と呼ばれる精密検査を行います。脳波、筋電図、眼電図、胸部と腹部の呼吸の動き、鼻腔の空気の流れ、酸素飽和度(血液中の酸素の割合)などを調べるもので、これは1〜2日の入院を要します。
 睡眠時無呼吸症候群は軽症、中等症、重症に分けられており、中等症(1時間に20回以上の無呼吸がある)以上の場合は治療が必要になります。
 一般的に行われているのはCPAP(経鼻持続陽圧呼吸療法)と呼ばれるもので、マスクを付けて鼻から空気を送り込み、狭くなった上気道を広げる方法です。
 軽症の睡眠時無呼吸症候群や上気道抵抗症候群の場合は、マウスピースという口腔内装具を使って下あごを少し前に出し、上気道を広げる方法もあります。
 扁桃腺やアデノイドが肥大していたり、口蓋垂がたるんでいるようなケースでは切除して上気道をすっきりさせます。


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