単身赴任者の健康管理

ここでは、 単身赴任者の健康管理 に関する情報を紹介しています。
単身生活者、といっても今回は新入学などで一人暮らしをすることになった学生さんや、いわゆる単身赴任者を中心にその健康管理について考えてみたい。 単身赴任者は、全国で20万人とも25万人ともいわれる。海外への単身赴任も増えている今、その数はさらに多いだろう。単身赴任は今や特殊なケースではない。単身赴任に辛く、大変なことが多いのは確かだが、多くの人が避けて通れないものならば、単身赴任につきまとうマイナス・イメージをプラスに変える方法を身につけたいものである。

心の持ち方がすべてを左右する    

単身赴任者に対する生活上の変化についての調査によると、次のような項目が上位を占めている。

●酒やタバコの量が増えた

●寝つきが悪くなった・夜中に目が覚 めるようになった

●生活が不規則になった

●栄養が偏ってきた  

マイナス面が多いのは当然としても、一方で次のようなプラス面を示す項目も目につく。

●食生活に気をつけるようになった

●読書や勉強の時間が増えた  

単身赴任に伴う問題は多く、個々に抱える問題となると、さらにさまざまであろう。しかしそうした個々の違いはあるにせよ、単身赴任を元気に乗り切る人、落ち込んでしまう人がみられるのは、抱える問題によるものだけとは考えにくい。 

「何よりも大切なのは心の持ち方です」というのは、長年ソニー本社で産業医を務め、多くの単身赴任者をみてきた福井俊夫先生。「性格的に言えば内向的な人、責任感の強い人、また、家庭を大事にするタイプが単身赴任に適応しにくい傾向にある」という。 

単身赴任をすると決まったら、「独身生活を楽しもう」とか、「知らない土地(国)で新しい経験をしてみよう」とか、すべてにポジティブ思考ができる人なら、あまり問題がないようである。例えば、先の調査結果にもみられるように、家族と一緒の時にはなかなか持てなかった「自分の時間」が持てるようになるというプラス面に目を向ける。 

赴任地ではマイホームの場合より通勤時間も短縮されるケースが多い。こうしたゆとりを趣味や仕事以外の人との付き合い、コミュニティーへの参加などに当てるという姿勢も必要だろう。 

福井先生の扱った落ち込んでしまった人の場合、聞いてみると、単身赴任中、会社とデパートとアパートの三角点しか行動範囲がなかったとか、たくさんの仕事に押しつぶされそうになったとき、相談する人がいなくて……というケースがあったという。 

逆に、老後はかつての赴任先へ戻って暮らすつもりという人もいて、この人の場合は、元気で赴任先から帰ってきたという。

心にも健康管理が必要    

健康上や経済的な問題はあるが、とした上で、福井先生は「人と一緒によく飲んだり食べたりする人は概して元気ですね」と言う。要は、気楽に、置かれた環境をポジティブにとらえるようにというのが福井先生のアドバイス。 「食生活など、健康管理はもちろん大切なことだが、まず何よりも大切なのは心の健康管理です」と重ねて強調される。 

とはいえ、心の持ち方、性格はそう簡単に変えられるものではない。また、どんなに元気な人でも、急激な変化や問題の続出には対応し切れず、心を病む場合はある。そうしたケースも多くみてきた福井先生は「心の問題は、病気ではないから自分で解決するしかないとか、逆に精神病と思われるのではないかとか考えている人がまだ多くて困ります。心の病気も病気なのですし、だれでも罹る可能性はあるのですから、医師に相談してほしい。今はいわゆる精神病でも治療をして職場復帰している人もたくさんいます。まして鬱的になるとか、ノイローゼ気味だというような心理的なケースには適切な方策があるのですから」と気軽に医師やカウンセラーをたずねることをすすめる。 

無口になったとか、無断遅刻・欠勤が増えたなどという場合は、メンタルな症状が出たと思って間違いない。心の病気は本人が気づきにくい面があるので、周囲の人の心配りや企業側のケアがより重要になる。

これだけは守りたい食生活のポイント    

「よく飲み、食べる人は元気な場合が多い」という福井先生も、こうした人に対しては成人病(生活習慣病)の心配をする。 

そこでアドバイスは、まず酒量について。日本酒1合とウイスキーのダブル1杯、ビール1本がだいたい同単位なので、これを2単位くらいまで。休肝日を週に1〜2日つくれば、まず問題はないという。 

食事については、朝食を抜かないこと。まんべんなくいろいろなものを食べること。特に野菜を多くとること。夜遅く食べないこと、などが基本的な点である。 

しかし、料理はすべて母親や奥さん任せだったという人にとって、食生活の充実はなかなか難しい。そこで料理の専門家や単身赴任の先輩の知恵をかりることにしよう。 

まず、単身赴任では多くなりがちな外食。外食に共通する問題点は、野菜不足、脂肪過多といえよう。この点に注意してメニュー選びをする。なじみの店をつくって、食事の管理はお任せという人も意外に多い。経済的な問題は別にしても、家庭的で良心的な店がみつかれば、これも悪くないが、だれでも何時でも、というわけにはいかないだろう。 

健康的な食生活のためには、ある程度自炊をマスターする必要がある。因みに1週間21食のうち外食は11食にとどめよ、という説もある(丸元淑生『システム自炊法』)。 

まず、栄養のバランスだが、難しく考えることはない。外食で多くなりがちな肉や揚げ物系を減らし、野菜を多くとるようにする。食材ごとの栄養分など知らなくても、緑・赤・黄と彩りよく揃えれば、まず問題はない。 

買い物も難物だが、ある程度まとめ買いで乗り切ろう。この際のコツは、下ごしらえや下ゆでできるものはして、冷蔵庫・冷凍庫に保存するといい。冷凍食品の利用法も上手になると、だいぶ助かるはずである。料理のテクニックについても、いろいろな知恵があるので、楽しんでマスターしてほしい。自炊は大変と思わず、好奇心を持ってあたることができれば文句なしだが、食事は毎日のこと、あまり神経質にならず、負担になるようなときは、外食も、手抜きも、インスタントもOKくらいな気楽さが大切だろう。料理ノイローゼにでもなったら、身につくものもつかない。 

やはり、何にもまして大切なのは、心の持ち方なのである。

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