肺がんの二次予防

ここでは、 肺がんの二次予防 に関する情報を紹介しています。
昭和56年以来、がんによる死亡が脳卒中を抜いて第一位となり、今後も増え続ける傾向にあります。

 この恐しい病気であるがんは、からだのいろいろな部分に発生します。

 今、胃がんや子宮がんは診断や治療の技術の進歩によって、死亡率はかなり減ってきています。しかし、肺がんは逆に増えています。

 肺がんは、自覚症状が少ないこともあって、手遅れとなるケースも多いのです。

 肺がんが増えている原因は一通りではなく、たばこや大気汚染など複雑な理由がからみ合っているものと考えられます。

 肺がん全部ではありませんが、その半数位は、たばこと関連があると考えられています。たばこを1日50本以上吸う人は、吸わない人に比べて、肺がんによる死亡の危険性が8.6倍も高くなり、15本から24本の人でも5倍になるという報告があります。

 たばこを吸いはじめた年齢との関係では20歳前から吸っている人は、30〜34 歳の間に吸いはじめた人に比べて肺がんによる死亡の危険性は3倍以上になり、吸わない人に比べて5.5倍にもなっています。その他の原因としては次のようなものが考えられています。

 都会では、車の排気ガスや工場の煤煙などによる空気の汚染、また、クロムやニッケルなどの鉱山て働く人たちにも肺がんが多いといわれています。では、肺がんによる死亡を減らすためにはどうしたらよいでしょうか。

 肺がんの予防には、まず一次予防といって、肺がんの原因を取り除き、肺がんにかからないようにするという方法があります。先程もいいましたように、肺がんの半数以上はたばこが原因とされていますから、一次予防の観点から、禁煙が特に重要であることがおわかりいただけるでしょう。

 次に、二次予防は、肺がんを早期に発見してこれを治療するという方法です。肺がんがまだ大きくない早期がんの状態で発見する最も良い方法は、定期的に検診を受けることです。

 一部の地域では、すでに肺がんの検診を行っており、早期発見に効果をあげています。

 具体的に数字を示しますと、ある地域では、検診を受けた人10万人につき、50 人に肺がんがみつかり、そのうち半数は早期がんの状態でした。この人達は治療を受け、よくなってるということです。

 はじめに、肺の構造とその働きについて簡単に説明しましょう。

 肺は、大きく分けて、気管、気管支、肺胞の三つからできています。気管から太い気管支に分かれる部分を肺門といい、その先の細い気管支から肺胞に至る部分を肺野末梢部といいます。

 肺の働きは、全身から戻ってきた血液から二酸化炭素などの不用な物質を取り除き、酸素を与えてきれいにし、再び心臓を経て全身に戻すということです。つまり、汚れた血液をきれいにするのが肺の役目です。

 次に肺がんについて説明しましょう。肺がんは一般にはその空気の通り道である気管支に多く発生しますが、肺胞にできる場合もあります。

 肺がんはそのできる場所によって、大きく2種類に分けることができます。一つは、肺門部肺がんです。これは太い気管支の入口にできるため、心臓や骨と重なってしまい、胸のX線写真では発見されにくく、喀痰の細胞診や気管支ファイバースコープで発見されます。二つ目は、肺野末梢部肺がんで、気管支の末梢や肺の奥にできるため、胸のX線写真で比較的よく発見されます。

 肺門部肺がんは、がん細胞のタイプでいうと扁平上皮がんと呼ばれるタイプが多く、たばこによる影響が大きいといわれています。このがんの場合、半数位の人で早期に血痰、咳などの自覚症状がみられます。その他の自覚症状として、1 ヵ月以上続く胸の痛み、発熱、肩こり、倦怠感などがみられることもありますが、最も重要な徴候はやはり血痰です。したがって、血痰がある時は肺門部の肺がんを疑い、検査をしてもらわなければなりません。また、肺門部肺がんの早期発見のためには、検診などで喀痰細胞診を受けることが必要です。

 一方、肺野末梢部肺がんは、肺の奥の方にできるがんですから、たばこの影響は少ないといわれています。このがんはやっかいなことに多くは肺の血管の中に入って転移しやすいという特徴があります。一般に自覚症状は少なく、胸のX 線写真によって発見されます。

 これまで説明しましたように、肺がんは自覚症状が少ないなどの理由により、発見が難しく、死亡率が高いがんてすが、早期に発見できれば80%から90%までも治ることが分かってきました。特に、肺門部の早期肺がんであれば、90%以上治るとされています。

 この点、わが国の肺がんの診断技術は世界的にみても高いレベルにあります。かつて、肺結核が多かったせいもあって、胸のX線写真の撮影や読み取りの技術が進んでいますし、喀痰検査や、気管支ファイバースコープによる検査など、精度の高い技術も進歩しています。

 それでは、ここで今回老人保健事業に導入された、肺がん検診について説明しましょう。

 肺がん検診の対象は、満40歳以上の地域の住民の方です。

 検査の項目は、胸のX線写真の検査と喀痰細胞診ですが、老人保健事業では胸のX線写真は、結核検診などで撮影されたものを利用することになっています。したがって、結核検診とは別に肺がん検診としてX線写真を撮るということは通常ありません。

 胸のX線写真は肺がんの発見に向けて、読み落としのないよう、2人以上の医師によって別々に注意深く読まれます。それでも肺がんかどうかがはっきりしない写真については、以前の検診で撮影された写真と見比べます。このように写真一枚一枚を丹念にチェックすることによって、ちょっとした変化からもがんをみつけることができるのです。

 また、喀痰細胞診は、肺がん検診の受診者全員に行われる検査ではなく、50 歳以上でたばこをよく吸う人とか、40歳以上で最近6ヵ月以内に血痰のあった人など、その対象を絞って行われることになっています。

 喀痰の採り方は、朝、歯をみがく前に口をすすぎ、深呼吸を数回、から咳を数回して気管支を刺激し、咳払いといっしょに肺の奥から痰を出します。

 どうしても出にくいときは、冷たい空気を思いきり吸い込むとか、洗面器に熱湯を張り、その蒸気を吸い込んで大きく咳込んでみるとよいでしょう。

 胸のX線検査、喀痰細胞診などの結果を総合的に判断して異常が認められた人は、医療機関で精密検査を受けることになります。

 肺がんはその初期には自覚症状が無いことが多く、自覚症状が現れたときには、すでに進行して手遅れというケースが多いようです。

 したがって、自覚症状の有無にかかわらず積極的に肺がん検診を受けましょう。

 すすんで肺がん検診を受け、たばこを吸っている人は禁煙を実行することによって、がんの不安をなくし、明るく、豊かに暮していきたいものてす。


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