がんを予防する食生活

ここでは、 がんを予防する食生活 に関する情報を紹介しています。
期待されるβ−カロテンの効用

 がんの診断・治療の技術の発達には、目ざましいものがあります。しかし、依然として死亡原因のトップであり、発病する人の数も増えています。がんを防ぐための12ヵ条が提唱され、この12ヵ条をきちんと守れば、がんの60%ぐらいは発症を防げるといわれています。ただし、これを全部守るのはなかなか大変です。
 がんの予防で最近にわかに注目を浴びているのが、β−カロテンです。β−カロテンは緑黄色野菜などに多く含まれ、体内でビタミンAとして働く、プロビタミンA(ビタミンAの前駆体)の1つとして知られています。カロテンの属しているカロチノイド系色素は赤色の色素で、500種類以上あります。なかでもβ−カロテンが注目されているのは、ビタミンAが二つくっついたような化学構造をしていて、ほかのカロテンよりも、ずっと効率よくビタミンAに転換されるからです。
 カロテンという名は、1831年にドイツ人のワッケンローダが、ニンジンから色素を抽出することに成功したことから、ニンジンが語源になっています。このβ−カロテンは、体内で必要に応じてビタミンAに転換され、ビタミンAの効用を発揮します。必要があるまでは脂肪組織などに蓄えられます。ビタミンAには、暗いところでも光を感じる物資を作り、視覚機能を調節する働きや、皮膚や粘膜を丈夫に保つ働きがあります。さらに、細胞膜を正常に保ち、がん細胞に変化するのを抑える働きがあります。
 β−カロテンをたっぷりとって体内に蓄えておけば、がん予防に役立つわけです。とり過ぎによる肝障害などの過剰症がないので、安心してとることができます。


β−カロテンの抗がん作用

 最近、β−カロテンがにわかに注目されるようになったのは、β−カロテンそのものにも、抗がん作用があることが分かったからです。
 私たちは呼吸によって酸素をとり込み、生命を維持していますが、酸素を利用する時に、何らかのはずみで、“活性酸素”という不安定な結合をもった酸素がつくられます。この活性酸素は体内で大あばれし、タンパク質が攻撃されると、DNA(遺伝の担い手である細胞の核酸)に変化が生じ、がんの原因になります。脂肪が攻撃されると、過酸化脂質ができ、動脈硬化、心疾患、がん、脳の老化を早める原因になります。30歳ぐらいまでは、体内に活性酸素に抵抗する作用がしっかり保たれていますが、その後は活性酸素に対する抵抗力が、ガックリ落ちるので、成人病などの発病率が高くなります。この活性酸素の“毒消し役”として注目されているのが、β−カロテンです。ビタミンCとEも同じような働きをします。これらのビタミンも抗酸化作用があり、活性酸素の毒消し役になります。β−カロテンがエース級にされているのは、毒消し効果が強いためだけでなく、緑黄色野菜から手軽にとれること、保存・調理中の損失が少ないこと、体内に蓄積できることからです。
 β−カロテンは、油に溶ける脂溶性のビタミンです。緑黄色野菜を生で食べた場合のβ−カロテン吸収率は8%、ゆでると30%ぐらい、炒めたり、揚げると60〜70%にまでなります。緑黄色野菜を毎日必ず食べている人の発症頻度は、食べていない人を1とした時、0.79と低くなります。1日の摂取量の目安は6mg。日本人の平均摂取量は2.5mg程度だと推定されていますから、まだまだ不足しています。ニンジン、青菜などβ−カロテンをたっぷり含んでいる緑黄色野菜を、最低でも1日100gはとるようにします。体内でのβ−カロテンの吸収と運搬には、たんぱく質が必要です。効率のいい食べ合わせを考え、がんの予防に役立てましょう。

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