たばこをかんがえる

ここでは、 たばこをかんがえる に関する情報を紹介しています。
喫煙か健康か選ぶのはあなた

1 喫煙習俗の広がり

・コロンブス大航海の土産品
 喫煙という風習が、私たちの生活に入りこんできたのは、そう古いことではありません。1492年、新大陸発見をめざして遠征の途についたコロンブスの一行は、カリブ海に浮かぶ島々で、原住民が葉を巻いて火をつけて吸う奇妙な光景にであい、みやげとしてその葉を持ち帰った話は有名です。その後、瞬く間にヨーロッパ全土にたばこが広まり、1599年には、南蛮貿易船に乗って遠く日本まで持ち込まれました。
 わずか100年で世界のすみずみまで行き渡ったのですから、命がけで航海に乗り出していた当時としては驚くべき早さといえます。

・たばこ上陸反対の火の手もあがる
 しかし、たばこがいつでもすんなりと上陸を許されたわけではありません。各地できびしい反対に出会っています。英国のエリザベス1世の後を継いだジェームズ1世は“たばこ排撃論”(1604年)の中で、「眼や鼻にいとわしく、脳に有害で肺に危険な風習である。なによりもその悪息ふんぷんたる煙は、まるで地獄から立ちのぼる業火の煙のようである」と激しく非難しています。
 また、貝原益軒は「少しは益があるといっても、損が多く、病になることあり、また火災の心配もある。習えばくせになり、止めがたい。初めから吸わぬにこしたことはない。貧民は費用がかさむ」と、有名な『養生訓』の中で説いています。

2 喫煙風習の見直し

 たばこが病気の原因になっているのではないか、という疑いは、早い時代からもたれていました。しかし、これについて本格的な研究が始まったのは、つい最近の1950年代になってからのことです。
 たばこを吸う人がどんな病気になりやすいかを調べるには、一生たばこを吸わなかった人と死亡原因をくらべてみるとわかります。現在、英国、米国をはじめ日本でも、何万人、何十万人という人を対象にした大規模な統計学的研究(疫学調査)や、動物実験などが行なわれており、その結果、いろいろな病気がたばこによってひき起こされていることが明らかになりました。
 そして、たばこを吸う人だけでなく、まわりの人の健康にも影響を及ぼすこともわかってきました。
 こうしていま世界各国では、400年の歴史をもつ喫煙という風習の見直しが始まっています。

たばこの煙の中にあるもの

・たばこのつくる病気
 たばこを吸う人は、全く吸わない人にくらべて短命です。ある研究によると、紙巻きたばこ1本につき5分30秒、寿命が縮むそうです。この計算だと、1日20本吸う人は、1日2時間、1年で28日(約1か月)も命を縮めていることになります。
 また、たばこを吸う人は、肺ガン、その他のガン、慢生気管支炎、肺気腫、心筋梗塞、胃潰瘍など多くの病気にかかりやすくなります。これは、たばこの煙の中には発ガン物質をはじめ数多くの有害物質が含まれていて、からだのすみずみにまで影響するからです。

1 吸いこむ煙の中にあるもの

 たばこの煙はガス成分(気体)と粒子成分(やに)とから成ります。ガスの中には一酸化炭素やアンモニア、“やに”にはニコチンやタールなどが含まれ、体内に入って有害な働きをします。

・発ガン物質が大量に含まれている
 たばこの煙が、ほんとうに肺ガンやその他のガンをつくっているかどうかは、人間で実験することはできないので動物実験で確かめられています。
 煙を濃縮したもの(タール)を動物の皮膚にくり返し塗りつづけると、ガンができてきます。また、ビーグル犬の気管の中にチユーブをつけて、毎日7本のたばこの煙を2年半吸わせつづけた実験でも、気管支や肺にガンが発生しました。これは人間が1日35本のたばこを、12.5年間吸いつづけたのと同じ条件になると考えられています。
 たばこの煙には、ベンツピレンをはじめ数多くの発ガン物質が含まれています。

・ニコチンは血管を収縮させる
 ニコチンは、たばこだけに含まれ、成人でも、紙巻きたばこ20本分のニコチンによって死亡するほど毒性が強い物質です。
 煙の中のニコチンは肺からすみやかに吸収されます。たばこを1本吸うと、血圧は10〜15%上がり、脈拍は40%ふえ、心臓への負担が大きくなります。また、皮膚温は2〜3℃低下します。これは、ニコチンには全身の血管を収縮させる作用があるためです。

・一酸化炭素は体内に酸欠をおこす
 私たちのからだの中では、赤血球が酸素の運び屋をしていますが、一酸化炭素は赤血球と結合する力がひじょうに強いので、赤血球から酸素を追い出して自分がそこにはまりこんでしまいます。血液は酸素を運搬できなくなり、からだの中は酸素欠乏になります。
 酸欠状態が続くと、心臓にもともと病気のある人では、心筋梗塞や狭心症の発作がおこりやすくなります。また、健康な人でも、酸素が行かなくなると脳の働きがにぶってきます。

・線毛を破壊する有害物質
 気管支の表面は、うすい粘液の膜でおおわれていて、その下に線毛をもった細胞がびっしりと並んでいます。外部から吸い込まれたほこりや細菌は、粘膜に付着し、線毛の働きで、せきやたんとともに再び外へと送り出されます。
 ところが、たばこの煙には、粘膜を刺激し、線毛を破壊する物質がたくさん含まれているのです。そのため、長い間たばこを吸いつづけている人では、粘液の分泌が増し、線毛の働きが弱まって、たんが多くたまるようになり、それを吐きだそうとして、年じゆうせきをするようになります。気管支の粘膜が傷んで、細菌が増殖して炎症をおこしてきます(慢性気管支炎)。
 やがて、たばこの煙は、細い気管支にも炎症をおこして、空気の通りがわるくなり、息を吐くときに空気が出にくくなります(息切れ)。

・たばこのみの終着駅、肺気腫
 さらに、長年吸いつづけていると、細気管支の先にある肺胞(空気中の酸素をとりこみ、炭酸ガスを吐き出すところ)の壁が壊れ、肺気腫という状態になります(ひどい息切れ)。また、こうなった人の肺は、たばこの煙の成分やほこりが沈着して真っ黒になっています。たばこを吸う本数が多い人ほど、この進行が早くなります。

2 主流煙と副流煙

 たばこの煙には、喫煙者が口の中に吸い込む“主流煙”と、火のついた部分から立ちのぼる“副流煙”とがあります。主流煙は、たばこの葉やフィルターを通過してくるため、また、燃焼温度が高いため、煙の中の有害成分は少なくなっています。
 主流煙と副流煙の成分を比較してみると、副流煙の中には、主流煙よりも一酸化炭素は2.5倍、アンモニアは73倍、ニコチンは2.7倍、そして発ガン物質も高濃度に含まれています。
 あとで述べるように、たばこのみのまわりにいる人は、喫煙者が口から吐き出す不快な煙のほかに、いっそう有害な副流煙まで吸わされているのです。

喫煙とガン、心筋梗塞、胃潰瘍

1 喫煙者に多い肺ガン

 いろいろな国で行なわれた研究は、いずれも喫煙者が肺ガンにかかりやすいと報告しています。
 わが国では、たばこを吸う人は、全く吸わない人にくらべて、男は4.4倍、女は2.3倍も肺ガンになる危険が大きいといわれます。喫煙本数が増すと、ますますその危険は大きくなります。
 とくに、若いときから吸いはじめた人ほど、肺ガンにかかりやすいことがわかっています。この場合は、1日に吸う本数とは関係ないようです。

・禁煙すれば肺ガンにかかる危険は減る
 たばこをやめて1〜4年たった人は、吸いつづけている人にくらべて、肺ガンで死亡する危険は半分近くに減るといわれています。
 肺ガンは早期にみつけることも、治療するのも比較的むずかしい病気です。たばこをやめることが第一ですが、吸っている人は、肺ガン検診などに積極的に参加するようにしましょう。

・喫煙者は肺ガン以外のガンにもなりやすい
 たばこを吸う人は肺ガンのほか、喉頭ガン、食道ガン、膀胱ガンにもかかりやすいとされています。そのほか、肝臓ガン、膵臓ガン、胃ガンなど、たばこの煙の発ガン物質などが通過する臓器ほど多くみられます。

2 喫煙量がふえるほど心筋梗塞にかかりやすくなる

 心筋梗塞は、働き盛りの人に突然おそいかかり、死に至らせる恐ろしい病気です。この病気も、喫煙本数がふえるほどおこりやすいことがわかっています。
 とくに女性で、たばことピルを両方用いている人は、心筋梗塞にかかる危険率はずっと高くなります。

3 喫煙と胃潰瘍

 たばこを吸う人は、吸わない人にくらべて胃・十二指腸潰瘍で死亡する人が約2倍も多くなっています。これは、たばこの煙に含まれるニコチンや一酸化炭素の影響で、粘膜の傷の修復力が弱くなるためと考えられます。

・禁煙すれば再発の危険は少なくなる
 胃潰瘍は、治すことよりも再発を防ぐほうがむずかしいといいます。治療中から治療後も禁煙を守った人は、禁煙できずに吸いつづけた人にくらべ、再発率は約3分の1低くなるといわれています。

妊婦と喫趣

1 妊娠中もたばこを吸いつづけると低体重児が生まれやすい

 妊娠中もずっとたばこを吸いつづけた人からは、たばこを吸わない人の約2.3倍も低体重児が生まれる率が高くなり、吸う本数が多くなるほどその可能性が高まるといわれています。

・禁煙すれば危険は少なくなる
 たばこを吸っている妊婦でも、妊娠中に禁煙を守れば、禁煙しなかった妊婦にくらべ、生まれた子の体重が重かったという報告があります。


どうやってたばこをやめるか

・基本的な心構え
 1 心の安静につとめる。
 ・緊張しないように
 ・人と争わないように
 ・気分転換につとめる
 2 たばこにかわる楽しみを見つける。
 ・読書、芸術、スポーツ、社会活動など
 3 再発条件となるものを避ける。
 ・喫煙者、喫煙場所、宴会、飲酒など
 4 今日1日、この1週間、この1か月というように、一歩一歩着実に。
 5 たとえ一本吸っても気にしない。
 6 何度でも挑戦する。

・ニコチンを排除するために
 1 水やジユースを多量にのむ。
 2 果物をよくとる。

・禁断症状をやわらげるために
 1 イライラしたり落着かないときには
 ・深呼吸をする
 2 口やのどが渇くときには
 ・水やジユースを多量にのむ
 3 手がさびしいときには
 ・鉛筆、ポールペンを手にとる
 ・プラモデル、手芸、庭仕事をする
 ・茶碗・皿洗い、掃除など家事をする

・精神的依存を断つために
 1 禁煙理由を書きとめて、ときどき読みかえす。
 2 禁煙の利益、効果を書きとめて、ときどき読みかえす。
 3 禁煙仲間をつくって、一緒にやめる。
 4 喫煙者や喫煙場所は避ける。
 5 食事がすんだらすぐに席を立って歯をみがく。
 6 アルコール、コーヒー、香辛科などの刺激物はひかえる。
 7 宴会はひかえめにする。
 8 健康的な食生活に心がける。
 ・朝食は毎日とる
 ・間食はしない
 ・食事時間は規則正しく
 ・食事は時間をかけてゆっくりとる
 ・食事は軽くし、腹七分目
 9 睡眠は十分にとる。
10 運動、スポーツをする(週に2回ぐらい汗を流す)。

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