骨の健康とカルシウム

ここでは、 骨の健康とカルシウム に関する情報を紹介しています。
○中高年者の健康保持の三ポイント

 人間だれでも年齢を重ねれば老化が進み、体力が衰えます。また、がんのために命を縮めるケースが多いのも事実ですが、幸いにがんとは無縁で過ごすことができ、中年から高年に差しかかった場合でも、肉体的健康の面では特に次の3つのポイントに意を配って、人生を少しでも充実したものとして過ごせるように、あらかじめ計画しておきたいものです。
(1) 脳・神経系に適度の刺激を与え続け(そのためには仕事や趣味の世界などで創造的な生活を送ると同時に、適度の筋肉運動を続けることが効果的です)、間違ってもぼけから1日中ベッドに縛りつけられて過ごすような羽目には陥らないように心掛ける。
(2) 血液や、それを全身に行き渡らせる循環器などの機能を万全に保ち、全身の臓器が必要に応じて精いっぱいの活動を続けられるようにする。そのためには食物内容のコントロールが大切です。
(3) 全身の姿勢と運動能力を指示する骨格系を健全に保ち、骨折などによって寝たきりの状態にならないように注意する。
 そのほか、からだを構成するどの臓器についても、その1つの衰えは全身の機能の低下を招き、老化の進行を早めます。ただ、ここで特に脳と循環器と骨を強調したのは、高年齢になってからも健康を維持するためには若いころからの生活のあり方が大いに影響すると思うからです。
 日本人の人口構成の高齢化に伴い、(1)や(2)の重要性が増してきていることはいうまでもないことですが、今回は特に(3)の骨の健康について調べてみることにしましょう。


○カルシウム栄養と骨粗鬆症

 骨格系は、胎児から幼児のころには、初め主にたんぱく質を材料として形作られます。だからこそその時期に、摂取エネルギーが不足したりたんぱく栄養が悪かったりすると、栄養分が四肢の形成にまで十分には回らないために、手足をはじめとして全身の成長を妨げることになります。
 骨格系は、たんぱく質で基礎工事ができたところから形成されます。骨細胞が血中よりカルシウムイオンとリン酸イオンを取り込み、リン酸カルシウムとして蓄積し、硬組織を作っていきます。
 体内のカルシウムは、単にそのようにして硬組織を作っているだけではありません。カルシウムイオンは軟組織にも存在し、神経系の刺激の伝導とか筋肉の収縮運動、いざというときの血液の凝固など、重要な生活機能に関与しています。生きるための働きとしてはそちらの方がずっと比重が大きいのです。
 しかし体内に存在する量としては圧倒的に硬組織に多く、成人男児の場合約1,000グラムほどのうち(女子の場合は約800グラム)、約995グラムは骨や歯を構成しています。
 そして、軟組織にあるカルシウムの量は生きている限り一定の密度を保っていますが、硬組織、特に骨のカルシウム密度は条件により増減します。
 1人の人間のライフサイクルの中で、カルシウムの総量は20歳ごろまでの成長期に急速に増大し、30歳ごろまでさらに漸増してピークに達するといわれています。ピークを過ぎると少しずつ減少の方向に転じ、特に女性の場合、50歳の峠を越えると一般に急減して、今はやりの骨粗鬆症の原因ともなります。


○骨の健康を守る三ポイント

 そこで、中高年になってもできるだけしっかりした骨格系を保持して、骨粗鬆症やそれを原因とする骨折(特に大腿骨骨頭部骨折など)を避けるためには、次の3つの条件を満たすようにすることが望まれます。
(1) 30歳前後の骨カルシウム保有量のピーク時に、ピークの高さをできるだけ高くしておくこと。そのためには、成長期のカルシウム摂取量を日々高いレベルに保つことと、適度の筋肉運動によって骨組織(特に成長線)に刺激を与え、カルシウムの蓄積を促進することが大切です。
(2) 30歳を過ぎてからも食物内容に気をつけ、カルシウム摂取量が所要量を満たすように努めること(「日本人の栄養所要量」では、成人1人1日当たりのカルシウム所要量を平均600ミリグラムとしている)。厚生省の国民栄養調査(平成2年度)によると、ほとんどの栄養素について平均摂取量はおおむね所要量を満たしているのに、カルシウムだけは平均12%ほど不足しています。これはカルシウム不足の人が非常に多いことを示唆しています。
 乳類の摂取量を1.5倍ほど引き上げれば、すなわち牛乳を1日1本は飲むようにすれば、カルシウム摂取量も満たされてくると思われます(カルシウムの多い食品は、牛乳、チーズなどの乳製品、海藻、小魚などです)。
(3) 1日の運動量が十分であるようにすること。高齢になると、たとえ社会活動を営んでいても座業が多くなります。ましてや、社会活動から離れれば、することもなくボンヤリということにもなりがちです。そんな生活をしていたのでは骨のカルシウムは急速に逃げ出し、特に閉経期を迎えた女性は、女性ホルモン(骨からのカルシウムの流出を防ぐ作用がある)の分泌が減るので、カルシウムの喪失速度が早いようです。
 それを防ぐには、1日8千歩以上歩くことを含めて3時間以上立位でいる時間を持つことが有効とされています。努めて歩いたり、立ってからだをマメに動かすようにしましょう。

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