カリウムは、私たちが日常摂取する動物性食品にも植物性食品にも広く含まれており、普通の食事をとっているかぎり不足する心配はありません。
ただし、食塩のとり過ぎがあり、カリウムの摂取量が少ない場合には、高血圧をひき起こす要因のひとつになると考えられています。
そして最近では、食塩(塩化ナトリウム)の一部を塩化カリウムに置き換えた調味科なども、一般向けに市販されるようになりました。こうしたものを腎機能の低下している人が大量に使うと、危険な副作用をおこすことがあります。
そこでここでは、カリウムが、からだの中でどのような働きをしているのか、どのように摂取したらよいかを考えてみます。
カリウムの体内分布
1 体内に存在するカリウム量
人体に含まれる無機質(ミネラル)のうち、含有量の多いのはカルシウム(Ca)とリン(P)であり、ついでナトリウム(Na)、カリウム(K)、塩素(Cl)の順です。カルシウムとリンは大部分が骨に含まれていますが、ナトリウムやカリウム、塩素は体液中に溶けこんでいます。
健常な成人では体重1kg当たり約2gのカリウムを含んでいるので、体重60kgの人では約l20gのカリウムが全身に分布していると推定されます。
また、体内のカリウム量は、男女とも20歳前後をピークに以後、年齢が高くなるにつれて徐々に減少してきます。
2 カリウムの体内分布
・体内のカリウムの98%は細胞内液中に含まれる
私たちの体内にある水分は体液と呼ばれ、体重の約60%を占めています。このうち3分の2は私たちのからだを構成している細胞の中に存在し、これを細胞内液といいます。3分の1は細胞の外側に存在していて細胞外液と呼ばれ、血漿(血液から白血球や赤血球などを除いた残りの成分)とか、リンパ液などがこれに属します。
そして、体内のカリウムはその98%が筋肉などの細胞内液中に存在し、細胞外液、とくに血漿中にはわずか1%程度が存在するにすぎません。
このように、体内のカリウムは、細胞の内側と外側とで著しい濃度差がみられるのです。
・ナトリウムは細胞内液中にはわずかしか存在しない
カリウムと対照的なのはナトリウムです。ナトリウムは、カリウムとは逆に、血漿(細胞外液)中に多く含まれ、細胞内にはごくわずかしか存在しません。このように、カリウムとナトリウムとは著しい対比を示して体内に分布しています。
3 細胞内外のカリウム濃度を維持するしくみ
細胞内のカリウム濃度を高く保ち、そしてナトリウム濃度を低く保つことは、あとで述べるように、細胞が生き生きと機能し、私たちのからだが生命を維持するために不可欠なのです。
・細胞内のナトリウムを汲み出し、カリウムを取り入れるポンプ
そのため、私たちのからだの細胞は、常に細胞内のナトリウムを外に汲み出し、細胞外のカリウムを細胞内に汲み入れるしくみを備えています。
このしくみをナトリウム・カリウム・イオンポンプといい、その正体は細胞膜に存在するナトリウム・カリウム・ATPアーゼという酵素であることがわかっています。
この酵素は、細胞内のナトリウムが増えたとき、あるいは細胞外にカリウムが増えたときに活性化され、ATP(アデノシン三リン酸)という物質を分解し、そのさい生じるエネルギーを利用して、ナトリウムを細胞外に放出し、それと交換にカリウムを細胞内に取り込んでいるのです。
・細胞内外のカリウムの出入りは血漿中の濃度を維持するためでもある
細胞が生き生きとその機能を営むためには、安定した環境が必要です。つまり、細胞外液(とくに血漿)の組成が一定に保たれていなければなりません。細胞内のカリウム、あるいはナトリウムが絶えず出たり入ったりしているのは、血漿の恒常性維持のためでもあるのです。
カリウムの働き
私たちのからだを構成している細胞は、いま述べたようなしくみで細胞内外のカリウムの濃度差を維持し、また血漿中濃度を一定に保つことで、次のような作用を営んでいます。
1 神経刺激の伝達、筋肉の収縮
ナトリウムやカリウムが出入りすると神経細胞や筋肉細胞は興奮し、神経刺激を伝達したり、筋肉を収縮させたりします。
2 細胞内の浸透圧の維持
細胞内にナトリウムが多くなると、細胞粘膜内外の浸透圧のバランスがくずれ、細胞外から細胞内へ水が流れ込むことになります。そこで細胞は生命を維持するためにポンプを駆使して細胞外にナトリウムを汲み出してカリウムを取り込み、細胞の膨化を防いでいるのです。
3 細胞内の酸・塩基平衡(pH)の調節
なんらかの原因で酸・塩基平衡の障害(体液が酸性側に傾こうとしたり、アルカリ性側に傾こうとしたりする状態)がおこると、細胞内からカリウムやナトリウムが細胞外に移動し、あるいは逆に細胞外から細胞内へと移動し、体液を中和する方向に働きます。
4 酵素反応の調節
細胞内ではさまざまな物質代謝が活発に行われています。代謝を円滑に行うためには酵素の協力が必要ですが、多くの酵素がカリウムにより活性化されることが知られています。
体内カリウム量の調節のしくみ
1 体内カリウム量は主として腎臓で調節される
食物として摂取されたカリウムは、その大部分が小腸ですみやかに吸収されます。小腸で吸収されたカリウムは門脈を経て肝臓に運ばれ、一部は肝臓に蓄えられますが、大部分は筋肉、骨、腎臓、脳など全身の組織に運ばれます。
・摂取したほぼ同量のカリウムが主として尿中に排泄される
私たちのからだは、l日に摂取したカリウムとほぼ同量のものを、尿や便、汗を通じて排泄することで、体内カリウム量を一定に保っています。
摂取したカリウムの大部分(70〜90%)は尿中に排泄されます。残りのほとんどは便中に排泄され、汗からもわずかですが排泄されています。
・腎臓でのカリウム排泄の調節
体内のカリウム量の調節を主として行っているのは腎臓です。
私たちがかなり大量のカリウムを摂取したときには、腎臓は比較的短時間のうちにカリウムの尿中排泄量を増加させ、血漿中のカリウム濃度が上昇するのを防ぎます。そして、カリウムの摂取量が不足したときには、尿からの排泄量を低下させることによって、体内のカリウム量を調節しているのです。
こうしたカリウム排泄の調節は、腎臓の働きと、副腎皮質ホルモンの作用が密接に関連して行われます。
したがって、腎臓や副腎の機能のわるい人では、カリウムの排泄がうまくいかず、過剰にカリウムを摂取した場合、高カリウム血症(血漿中のカリウム濃度が上昇し、心臓症状がみられてくる)をおこす危険があります。
2 血漿カリウム濃度の恒常性の大切さ
体内のカリウムの大部分は細胞内に存在し、血漿中に存在するのはわずかです。しかし、この血漿中のカリウム濃度は、カリウム摂取量が変動しても、常に一定範囲内(0.14〜0.18g/l)に維持されており、それより大きく変動することは通常はありません。
これは、体内にはカリウム量を一定に維持するための調節機構が存在するからです。すなわち、細胞内外のカリウム濃度差を維持するしくみ(細胞膜のイオンポンプ力および、カリウムの排泄量を調節するしくみ)が作用しているのです。
もし、これらの調節機構に異常がおこれば、血漿中のカリウム濃度、およぴ体内総カリウム量は変動をきたし、生命維持に重篤な障害をもたらします。
3 血漿カリウム濃度の異常
・血漿カリウム濃度の上昇
健康な人では、食事として通常の5〜10倍のカリウムを摂取しても、血漿カリウム濃度はかわりません。過剰に摂取されたカリウムは、細胞内に一時蓄えられるか、主として腎臓の働きで尿中への排泄が促進されるからです。
しかし、腎臓や副腎の機能障害のある人では、尿中へのカリウム排泄量が減少し、血漿カリウム濃度が上昇して高カリウム血症をおこしてきます。また、細胞内から細胞外液中へカリウムが移動しやすい条件(ホルモンの異常や、酸・塩基平衡の異常など)があるときも、血漿中カリウムが増加してきます。
高カリウム血症になると、徐脈、不整脈など心臓の症状があらわれ、血圧が低下し、ついには心拍動停止をおこす危険があります。
・血漿カリウム濃度の低下
下痢や嘔吐のあるとき、利尿降圧剤や副腎皮質ホルモン剤を長期連用しているときなどは、カリウムの排泄量が多くなり、低カリウム血症をおこすことがあります。
健康な人では、食事中のカリウム摂取量が減っても、細胞内に蓄えられていたカリウムが細胞外液に放出されるので、一般には血漿カリウム濃度は変動しません。ただし、食塩(塩化ナトリウム)を大量摂取すると、ナトリウムだけでなくカリウムの尿中排泄量もふえて、体内のカリウムが失われることが知られています。
カリウムと高血圧
高血圧の原因は大変複雑ですが、食塩のとり過ぎによって症状が進展する場合が多いとされています。一方、食塩含有量の多い食事をとる地域の住民でも、カリウムの多い野菜や果実類を豊富に食べている場合には、高血圧の発生が少なかったという調査結果も出されています。
カリウムと高血圧の因果関係はまだ十分に判明していませんが、ナトリウムと拮抗的に働くカリウムを十分に摂取することは、高血圧の予防、進展の防止に有効であろうと考えられています。
カリウムの上手なとり方
1 目標摂取量は1日2〜4g
日本人成人男子は1日当たり約2〜3gのカリウムを摂取していると推定されます。したがって、現在の日本人のカリウム摂取量は、カリウム必要量(体重62kgのとき1日当たり約1g)を十分満たしていますが、食塩摂取量との比率を考慮して、成人の場合、1日当たり2〜4gを目標摂取量と定めています。ちなみに、食塩摂取は1日10g以下とするよう指導されています。
2 どんな食品群からどのくらいカリウムを摂取しているか
カリウムは日常食べる食品中に広く含まれますが、精製食品や油脂類にはほとんど含まれていません。エネルギ一過剰とならないようl日に2〜4gのカリウムを摂取するには、野菜類、いも類、果物類などの植物性食品や藻類を中心にとることが必要です。
3 「カリウム添加塩」は腎臓機能障害のある人は使わない
食塩摂取量を減らす必要のある患者などに対する「食塩に代わる調味料」として、医療用に、食塩に似た塩味をもつ塩化カリウムが用いられています。ただしこれは、腎臓のわるくない場合に限り、医師の指示のもとに使われるものです。
最近では、食塩の一部分または大部分を塩化カリウムに置き換えた調味料を用いた漬けものや、塩化カリウム、塩化マグネシウム(ニガリ成分)、食塩を一定割合で配合した食卓塩などが、一般向けに市販されています。
これらの製品は適切に使用される場合には有効ですが、腎機能に障害のある人が過剰に摂取した場合は危険なことがあります。
健康は日常摂取する食べものによって保持増進されるべきで、市販の補助食品にたよるような食生活は改善されるべきでしょう。
4 食品中のカリウムは調理によつてかなり失われる
食品中のカリウムは調理によって失われる量の多いことが知られています。一般に、煮るとおよそ30%のカリウムが溶出して失われるといいます。
また外国の文献によると、老人に対してはとくに、次のように注意を促しています。「老人は果物、野菜、肉を少量しか含まない食事を、よく煮られた状態でしかとらない。すると、これらの食品に含まれるカリウムは煮汁と一緒に失われ、カリウムの摂取量が不十分になりやすい。」
5 日常、新鮮な素材を意識して選んで食べるように
カリウムは、人問の食物となる動植物体に含まれています。それらを素材のまま摂取しているかぎり、カリウムは過不足なく摂取できます。
しかし、過度に精製加工された食品が増加している現在の食生活環境の下では、一定の注意を払って食物選択を行わなければ、カリウムをはじめ、さまざまな栄養素を必要なだけ摂取しにくいのです。
食べやすい精製加工品にばかりかたよらず、新鮮な素材を意識的に選んで、いろんな食品を組み合わせて食べるようにしましょう。
食品に含まれるカリウム量
ゆでそば(1玉170g) 60mg 鶏肉ささ身(1切40g) 110
めし(軽く1杯) 30 生卵(1個60g) 70
食パン(1枚60g) 60 ゆで卵(1個50g) 65
焼いも(1本250g) 620 加工牛乳(1本180g) 270
フライドポテト(10本85g) 300 キャベツ(生2枚130g) 270
もめん豆腐(1丁300g) 250 キャベツ(ゆで2枚100g) 150
絹ごし豆腐(1丁300g) 420 小松菜(ゆで1株30g) 60
きな粉(大さじ1杯6g) 110 白菜(生1枚100g) 230
ゆで枝豆(むぎカップ1杯100g) 570 白菜(塩漬け300g) 70
糸引納豆(1パック100g) 660 白菜(キムチ1枚30g) 90
豆乳(カップ1杯180g) 160 ぶどう(全大10粒100g) 130
あじ干物(焼)(中1枚80g) 380 ぶどう(干し大さし1杯10g) 80
あじ(生)(中1尾80g) 220 ぶどう(飲料カップ1杯200g) 90
かつお(生)(1切100g) 410 ぶどう(ジャム大さじ1杯20g) 20
かつお角煮(5個35g) 120 しいたけ(水煮1個70g) 100
牛肉ヒレ(1枚80g) 260 わかめ(生カップ1杯30g) 220
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ただし、食塩のとり過ぎがあり、カリウムの摂取量が少ない場合には、高血圧をひき起こす要因のひとつになると考えられています。
そして最近では、食塩(塩化ナトリウム)の一部を塩化カリウムに置き換えた調味科なども、一般向けに市販されるようになりました。こうしたものを腎機能の低下している人が大量に使うと、危険な副作用をおこすことがあります。
そこでここでは、カリウムが、からだの中でどのような働きをしているのか、どのように摂取したらよいかを考えてみます。
カリウムの体内分布
1 体内に存在するカリウム量
人体に含まれる無機質(ミネラル)のうち、含有量の多いのはカルシウム(Ca)とリン(P)であり、ついでナトリウム(Na)、カリウム(K)、塩素(Cl)の順です。カルシウムとリンは大部分が骨に含まれていますが、ナトリウムやカリウム、塩素は体液中に溶けこんでいます。
健常な成人では体重1kg当たり約2gのカリウムを含んでいるので、体重60kgの人では約l20gのカリウムが全身に分布していると推定されます。
また、体内のカリウム量は、男女とも20歳前後をピークに以後、年齢が高くなるにつれて徐々に減少してきます。
2 カリウムの体内分布
・体内のカリウムの98%は細胞内液中に含まれる
私たちの体内にある水分は体液と呼ばれ、体重の約60%を占めています。このうち3分の2は私たちのからだを構成している細胞の中に存在し、これを細胞内液といいます。3分の1は細胞の外側に存在していて細胞外液と呼ばれ、血漿(血液から白血球や赤血球などを除いた残りの成分)とか、リンパ液などがこれに属します。
そして、体内のカリウムはその98%が筋肉などの細胞内液中に存在し、細胞外液、とくに血漿中にはわずか1%程度が存在するにすぎません。
このように、体内のカリウムは、細胞の内側と外側とで著しい濃度差がみられるのです。
・ナトリウムは細胞内液中にはわずかしか存在しない
カリウムと対照的なのはナトリウムです。ナトリウムは、カリウムとは逆に、血漿(細胞外液)中に多く含まれ、細胞内にはごくわずかしか存在しません。このように、カリウムとナトリウムとは著しい対比を示して体内に分布しています。
3 細胞内外のカリウム濃度を維持するしくみ
細胞内のカリウム濃度を高く保ち、そしてナトリウム濃度を低く保つことは、あとで述べるように、細胞が生き生きと機能し、私たちのからだが生命を維持するために不可欠なのです。
・細胞内のナトリウムを汲み出し、カリウムを取り入れるポンプ
そのため、私たちのからだの細胞は、常に細胞内のナトリウムを外に汲み出し、細胞外のカリウムを細胞内に汲み入れるしくみを備えています。
このしくみをナトリウム・カリウム・イオンポンプといい、その正体は細胞膜に存在するナトリウム・カリウム・ATPアーゼという酵素であることがわかっています。
この酵素は、細胞内のナトリウムが増えたとき、あるいは細胞外にカリウムが増えたときに活性化され、ATP(アデノシン三リン酸)という物質を分解し、そのさい生じるエネルギーを利用して、ナトリウムを細胞外に放出し、それと交換にカリウムを細胞内に取り込んでいるのです。
・細胞内外のカリウムの出入りは血漿中の濃度を維持するためでもある
細胞が生き生きとその機能を営むためには、安定した環境が必要です。つまり、細胞外液(とくに血漿)の組成が一定に保たれていなければなりません。細胞内のカリウム、あるいはナトリウムが絶えず出たり入ったりしているのは、血漿の恒常性維持のためでもあるのです。
カリウムの働き
私たちのからだを構成している細胞は、いま述べたようなしくみで細胞内外のカリウムの濃度差を維持し、また血漿中濃度を一定に保つことで、次のような作用を営んでいます。
1 神経刺激の伝達、筋肉の収縮
ナトリウムやカリウムが出入りすると神経細胞や筋肉細胞は興奮し、神経刺激を伝達したり、筋肉を収縮させたりします。
2 細胞内の浸透圧の維持
細胞内にナトリウムが多くなると、細胞粘膜内外の浸透圧のバランスがくずれ、細胞外から細胞内へ水が流れ込むことになります。そこで細胞は生命を維持するためにポンプを駆使して細胞外にナトリウムを汲み出してカリウムを取り込み、細胞の膨化を防いでいるのです。
3 細胞内の酸・塩基平衡(pH)の調節
なんらかの原因で酸・塩基平衡の障害(体液が酸性側に傾こうとしたり、アルカリ性側に傾こうとしたりする状態)がおこると、細胞内からカリウムやナトリウムが細胞外に移動し、あるいは逆に細胞外から細胞内へと移動し、体液を中和する方向に働きます。
4 酵素反応の調節
細胞内ではさまざまな物質代謝が活発に行われています。代謝を円滑に行うためには酵素の協力が必要ですが、多くの酵素がカリウムにより活性化されることが知られています。
体内カリウム量の調節のしくみ
1 体内カリウム量は主として腎臓で調節される
食物として摂取されたカリウムは、その大部分が小腸ですみやかに吸収されます。小腸で吸収されたカリウムは門脈を経て肝臓に運ばれ、一部は肝臓に蓄えられますが、大部分は筋肉、骨、腎臓、脳など全身の組織に運ばれます。
・摂取したほぼ同量のカリウムが主として尿中に排泄される
私たちのからだは、l日に摂取したカリウムとほぼ同量のものを、尿や便、汗を通じて排泄することで、体内カリウム量を一定に保っています。
摂取したカリウムの大部分(70〜90%)は尿中に排泄されます。残りのほとんどは便中に排泄され、汗からもわずかですが排泄されています。
・腎臓でのカリウム排泄の調節
体内のカリウム量の調節を主として行っているのは腎臓です。
私たちがかなり大量のカリウムを摂取したときには、腎臓は比較的短時間のうちにカリウムの尿中排泄量を増加させ、血漿中のカリウム濃度が上昇するのを防ぎます。そして、カリウムの摂取量が不足したときには、尿からの排泄量を低下させることによって、体内のカリウム量を調節しているのです。
こうしたカリウム排泄の調節は、腎臓の働きと、副腎皮質ホルモンの作用が密接に関連して行われます。
したがって、腎臓や副腎の機能のわるい人では、カリウムの排泄がうまくいかず、過剰にカリウムを摂取した場合、高カリウム血症(血漿中のカリウム濃度が上昇し、心臓症状がみられてくる)をおこす危険があります。
2 血漿カリウム濃度の恒常性の大切さ
体内のカリウムの大部分は細胞内に存在し、血漿中に存在するのはわずかです。しかし、この血漿中のカリウム濃度は、カリウム摂取量が変動しても、常に一定範囲内(0.14〜0.18g/l)に維持されており、それより大きく変動することは通常はありません。
これは、体内にはカリウム量を一定に維持するための調節機構が存在するからです。すなわち、細胞内外のカリウム濃度差を維持するしくみ(細胞膜のイオンポンプ力および、カリウムの排泄量を調節するしくみ)が作用しているのです。
もし、これらの調節機構に異常がおこれば、血漿中のカリウム濃度、およぴ体内総カリウム量は変動をきたし、生命維持に重篤な障害をもたらします。
3 血漿カリウム濃度の異常
・血漿カリウム濃度の上昇
健康な人では、食事として通常の5〜10倍のカリウムを摂取しても、血漿カリウム濃度はかわりません。過剰に摂取されたカリウムは、細胞内に一時蓄えられるか、主として腎臓の働きで尿中への排泄が促進されるからです。
しかし、腎臓や副腎の機能障害のある人では、尿中へのカリウム排泄量が減少し、血漿カリウム濃度が上昇して高カリウム血症をおこしてきます。また、細胞内から細胞外液中へカリウムが移動しやすい条件(ホルモンの異常や、酸・塩基平衡の異常など)があるときも、血漿中カリウムが増加してきます。
高カリウム血症になると、徐脈、不整脈など心臓の症状があらわれ、血圧が低下し、ついには心拍動停止をおこす危険があります。
・血漿カリウム濃度の低下
下痢や嘔吐のあるとき、利尿降圧剤や副腎皮質ホルモン剤を長期連用しているときなどは、カリウムの排泄量が多くなり、低カリウム血症をおこすことがあります。
健康な人では、食事中のカリウム摂取量が減っても、細胞内に蓄えられていたカリウムが細胞外液に放出されるので、一般には血漿カリウム濃度は変動しません。ただし、食塩(塩化ナトリウム)を大量摂取すると、ナトリウムだけでなくカリウムの尿中排泄量もふえて、体内のカリウムが失われることが知られています。
カリウムと高血圧
高血圧の原因は大変複雑ですが、食塩のとり過ぎによって症状が進展する場合が多いとされています。一方、食塩含有量の多い食事をとる地域の住民でも、カリウムの多い野菜や果実類を豊富に食べている場合には、高血圧の発生が少なかったという調査結果も出されています。
カリウムと高血圧の因果関係はまだ十分に判明していませんが、ナトリウムと拮抗的に働くカリウムを十分に摂取することは、高血圧の予防、進展の防止に有効であろうと考えられています。
カリウムの上手なとり方
1 目標摂取量は1日2〜4g
日本人成人男子は1日当たり約2〜3gのカリウムを摂取していると推定されます。したがって、現在の日本人のカリウム摂取量は、カリウム必要量(体重62kgのとき1日当たり約1g)を十分満たしていますが、食塩摂取量との比率を考慮して、成人の場合、1日当たり2〜4gを目標摂取量と定めています。ちなみに、食塩摂取は1日10g以下とするよう指導されています。
2 どんな食品群からどのくらいカリウムを摂取しているか
カリウムは日常食べる食品中に広く含まれますが、精製食品や油脂類にはほとんど含まれていません。エネルギ一過剰とならないようl日に2〜4gのカリウムを摂取するには、野菜類、いも類、果物類などの植物性食品や藻類を中心にとることが必要です。
3 「カリウム添加塩」は腎臓機能障害のある人は使わない
食塩摂取量を減らす必要のある患者などに対する「食塩に代わる調味料」として、医療用に、食塩に似た塩味をもつ塩化カリウムが用いられています。ただしこれは、腎臓のわるくない場合に限り、医師の指示のもとに使われるものです。
最近では、食塩の一部分または大部分を塩化カリウムに置き換えた調味料を用いた漬けものや、塩化カリウム、塩化マグネシウム(ニガリ成分)、食塩を一定割合で配合した食卓塩などが、一般向けに市販されています。
これらの製品は適切に使用される場合には有効ですが、腎機能に障害のある人が過剰に摂取した場合は危険なことがあります。
健康は日常摂取する食べものによって保持増進されるべきで、市販の補助食品にたよるような食生活は改善されるべきでしょう。
4 食品中のカリウムは調理によつてかなり失われる
食品中のカリウムは調理によって失われる量の多いことが知られています。一般に、煮るとおよそ30%のカリウムが溶出して失われるといいます。
また外国の文献によると、老人に対してはとくに、次のように注意を促しています。「老人は果物、野菜、肉を少量しか含まない食事を、よく煮られた状態でしかとらない。すると、これらの食品に含まれるカリウムは煮汁と一緒に失われ、カリウムの摂取量が不十分になりやすい。」
5 日常、新鮮な素材を意識して選んで食べるように
カリウムは、人問の食物となる動植物体に含まれています。それらを素材のまま摂取しているかぎり、カリウムは過不足なく摂取できます。
しかし、過度に精製加工された食品が増加している現在の食生活環境の下では、一定の注意を払って食物選択を行わなければ、カリウムをはじめ、さまざまな栄養素を必要なだけ摂取しにくいのです。
食べやすい精製加工品にばかりかたよらず、新鮮な素材を意識的に選んで、いろんな食品を組み合わせて食べるようにしましょう。
食品に含まれるカリウム量
ゆでそば(1玉170g) 60mg 鶏肉ささ身(1切40g) 110
めし(軽く1杯) 30 生卵(1個60g) 70
食パン(1枚60g) 60 ゆで卵(1個50g) 65
焼いも(1本250g) 620 加工牛乳(1本180g) 270
フライドポテト(10本85g) 300 キャベツ(生2枚130g) 270
もめん豆腐(1丁300g) 250 キャベツ(ゆで2枚100g) 150
絹ごし豆腐(1丁300g) 420 小松菜(ゆで1株30g) 60
きな粉(大さじ1杯6g) 110 白菜(生1枚100g) 230
ゆで枝豆(むぎカップ1杯100g) 570 白菜(塩漬け300g) 70
糸引納豆(1パック100g) 660 白菜(キムチ1枚30g) 90
豆乳(カップ1杯180g) 160 ぶどう(全大10粒100g) 130
あじ干物(焼)(中1枚80g) 380 ぶどう(干し大さし1杯10g) 80
あじ(生)(中1尾80g) 220 ぶどう(飲料カップ1杯200g) 90
かつお(生)(1切100g) 410 ぶどう(ジャム大さじ1杯20g) 20
かつお角煮(5個35g) 120 しいたけ(水煮1個70g) 100
牛肉ヒレ(1枚80g) 260 わかめ(生カップ1杯30g) 220
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2008/05/27(火) 10:42:43 | 病名・病気・医学のブログリンク集


