ヨウ素(ヨードともいいます)は、人間にとって微量ですが栄養上欠かすことのできない元素(必須微量元素)として、その必要性は古くから知られていました。
・ヨウ素は微量で大事な役割を果たす
ヨウ素は、私たちの体内に、0.01〜0.02g含まれていて、そのほとんどが甲状腺に存在しています。このようにごく微量しか存在しませんが、ヨウ素は甲状腺から分泌されるホルモンの構成成分として、体内で重要な役割を果たしています。
そのため、食物からのヨウ素の摂取量が不足したり、あるいは逆に過剰になっても甲状腺の働きが衰え、いろいろな病気がおこります。
ヨウ素発見の歴史
1 かつてはヨウ素の摂取量の低い地域で甲状腺腫が多発
・日本ではヨウ素不足よる病気は見られない
ヨウ素は海水に多く含まれています。そこで、四方を海に囲まれ、海産物(魚介類や海藻)に恵まれたわが国では、昔からヨウ素不足による病気はほとんどみられませんでした。
一方、アメリカ大陸やヨーロッパ・アジア大陸の奥地の住民に、のどの両側にこぶをつけた人が非常に多くみられました(のどぼとけのすぐ下にある甲状腺がはれたもので、甲状腺腫と呼ばれます)。これは、海から遠く離れた内陸部では、土壌中のヨウ素含有量が低く、その土地でとれる食物を食べても必要量のヨウ素を摂取できなかったためです。
紀元前3000年ころからの中国でもこの病気がみられ海藻や焼いた海綿の灰が効くことがすでに知られていました。
しかし当時はまだ、その有効成分がヨウ素という物質であることはわかりませんでした。
・ヨウ素の発見
その後1800年代の初めになって、海藻の灰からヨウ素が発見され、海綿の中にもヨウ素が多く含まれることがわかりました。ヨウ素は蒸気が紫色なので、ギリシャ語の「スミレ」にちなんで名づけられました。
1919年には、米国のケンダルという学者によって、甲状腺からホルモンが分離され、このホルモンにヨウ素が結びついていることもわかりました。
ヨウ素の吸収と甲状腺ホルモンの働き
1 ヨウ素の吸収と排泄
口から食物として入ったヨウ素は、腸管でその大部分が吸収されます。吸収されたヨウ素の約30%は甲状腺に運ばれ、残りの大部分は尿中に排泄されてしまいます。
2 甲状腺ホルモンの働き
甲状腺は、親指の先よりやや小さく、両側にチョウの羽のように広がった形をしています。
甲状腺は取り込んだヨウ素を加えて、甲状腺ホルモンを合成し貯蔵します。つくられたホルモンは、からだの需要に応じて各組織へ送られます。
・代謝を促進する
甲状腺ホルモンは、広く細胞の代謝に関係すろホルモンで、全身の基礎代謝を促進し、酸素消費量も増加させます。幼児では成長促進に欠かせないホルモンです。
ヨウ素が不足してもとりすぎても甲状腺がはれる
1 ヨウ素が不足した場合
原料であるヨウ素が不足すれば、甲状腺はホルモンを合成できなくなり、ホルモンの産生量が減ります。すると、これを補うために、甲状腺は肥大して、ホルモンの産生量を正常のレベルに保とうと努力するのです。
しかし、ヨウ素欠乏状態がつづくと、甲状腺の機能はしだいに低下し、ついには肥大したままになります。
2 ヨウ素が過剰になった場合
甲状腺にヨウ素が過剰の状態になっても、甲状腺ホルモンの合成は止まってしまいます。
その結果血液中に分泌される甲状腺ホルモンが減少すると、脳の下垂体から甲状腺刺激ホルモンが出てきて、甲状腺を刺激して甲状腺を肥大させるのです。そして、ついには甲状腺腫となります。
ヨウ素の必要量はどれくらいか
1 日本人のヨウ素必要量
ヨウ素が不足しても過剰になっても甲状腺腫になることを述べました。それでは、このような障害をおこさないためには、どれだけのヨウ素を摂取していればよいのでしょうか。
・1日に0.1mgの摂取で甲状腺腫は防げる
ヨウ素欠乏による甲状腺機能障害をおこさないための必要なヨウ素量は、安全率を考慮にいれて、成人では1日0.1mg(100μg)と推定されています。子供の場合も必要量には大差ないといわれています。
わが国ではヨウ素の所要量は定められていません。ヨウ素を意識的にとらなくても1日0.1mgを下回ることはほとんどないと考えられるからです。
・諸外国のヨウ素所要量
米国ではヨウ素所要量は成人1日0.15mg(150μg)とされ、欧米諸国もほぼ同様のヨウ素所要量が定められています。
2 日本人のヨウ素摂取量
・日本人は1日1〜4mgのヨウ素をとっている
わが国では、海藻や魚介類をよく食べるため、普通の食生活をしているかぎり、ヨウ素が不足する可能性はまずありません。
実際に、日本人は欧米人に比べてヨウ素摂取量は多く、平均して、1人1日当たり1〜4mgを摂取しています。
3 米国におけるヨウ素摂取量の増加
欧米では、1930年代ころより、海から遠く離れて住み、ヨウ素含有量の少ない食事をしている人たちのために、ヨウ素を添加した食卓塩が用いられてきました。その結果、こうした地域の住民の甲状腺腫は劇的に減少しています。
・食品中のヨウ素濃度の増加
しかし、最近では、ヨウ素含有量の低い地域の人びとも、ヨウ素の豊富な土地で育った食物を食べられるようになり、状況が変わってきました。
米国人の主なヨウ素供給源は牛乳・乳製品ですが、牛乳をしぼる器具や容器、乳房の消毒にヨウ素を含む消毒剤が使われるようになり、牛乳中のヨウ素濃度も30年前の3〜5倍と非常に高くなっています。また、パンを焼くときに使う練り粉調整剤や、食品添加物にもヨウ素が入っています。
・現在ではむしろヨウ素のとりすぎが心配
米国では、いまや必要量をはるかにこえる4倍から10倍以上ものヨウ素を摂取しているとの報告も出されています。米国では現実の食生活においては、ヨウ素過剰摂取による毒性発現の証拠はまだ得られていませんが、この傾向が続くならば、甲状腺の機能障害をもたらすおそれがあると心配されています。このように現在の欧米では、ヨウ素欠乏症よりも、むしろヨウ素過剰摂取のほうが問題とされています。
・過剰な分はふつうは排泄される
健康な場合、ヨウ素などを若干多くとりすぎても、私たちのからだは、ふつうはその過剰分を排泄してしまうしくみがあります。
とはいっても、甲状腺になんらかの異常のある人はもちろんのこと、健康な人でも、必要量を大幅に上回るような大量のヨウ素を、毎日とることは避けるべきです。
ヨウ素の過剰摂取による健康被害
1 こんぶやわかめをむやみに大量摂取しない
わが国では、こんぶを大量に食べる習慣がある海岸地方で、甲状腺腫が多く発生するという疫学レポートもあります。この地域の人たちはヨウ素摂取量も日本人の通常の摂取量の10〜100倍もとっているといわれます。
ただ、この場合、こんぶによるヨウ素の過剰摂取だけでなく、甲状腺腫を誘発するような物質も同時に摂取している可能性も考えられています。
こんぶやわかめについて、最近ではさまざまな効用がうたわれています。いずれにしても、ヨウ素の効用のみにつられて、こんぶやわかめばかりをむやみに毎日大量に食べすぎないよう注意したいものです。
食品中のヨウ素の量について
1 ヨウ素含有量は生育環境によって左右される
野莱のヨウ素含有量は,土壌中のヨウ素濃度や、施される肥料の性質や量によって左右されます。たとえば、ヨウ素を豊富に含むチリ硝石を肥料として用いると、そうでない場合に比べて10〜100倍もヨウ素含有量が高くなります。
また、牛乳などの酪農製品に含まれるヨウ素も、与える餌によって100〜1000倍も異なる場合があります。
・食品中の含有量を示すのはむずかしい
このように、食品中に含まれるヨウ素含有量は、その食品が生産される環境によって大きく変動します。
2 食品群別のヨウ素含有量について
わが国の食品を食品群別に分け、ヨウ素含有量の多い順にみると次のようになります。
ヨウ素含有量が圧倒的に多いのはこんぶ、わかめなどの海藻類で、これに次ぐのが海産の魚介類です。そのほか、肉類、牛乳・乳製品、豆腐、穀類、卵類、果実、野菜にも、量はそれほど多くありませんが含まれています。
・日本人の最大のヨウ素摂取源は海藻類
日本人がどの食品群からヨウ素を多く摂取しているかを調べると次のようです。
まず海藻類で、日本人はこんぶ、わかめなどを乾物として1人1日平均5gとっており、これだけでヨウ素摂取量の大半を占めます。次に魚介類からの摂取量が多く、穀類がこれに次ぎます。そして、その他の食品群からもまんべんなくヨウ素を摂取しています。
したがって、ヨウ素の1日必要量は十分みたされています。
3 ヨウ素を高濃度に含ませた食品について
最近は、ヨウ素を高濃度に含ませた食品が多く出回っています。そのひとつとして、卵があります。これは、普通の卵にはもともとほとんど含まれていないヨウ素を、餌に海藻粉末などのかたちで添加してニワトリに産ませたものです。
・動物実験の成績は人間にそのままあてはまらない
卵1個中に、0.6mgという大量のヨウ素が含まれているので、コレステロールを下げ、アレルギー体質によい働きをするとうたっています。しかし、こうした効果はネズミやウサギを使った数少ない動物実験での成績であり、これらの動物とは代謝のしくみの異なる人間にそのままあてはめることには無理があります。
・ヨウ素は通常の食生活で十分とれる
ヨウ素をとることが目的なら、わが国では海藻類や魚、その他の食品から通常の食生活の中で必要量は十分に摂取できるわけです。ですから、ヨウ素を高濃度に含ませた食品をわざわざ食べる必要はありません。
おわりに
1 バランスのよい食生活をしているかぎり、不足も過剰も心配ない
これまで述べてきたように、ヨウ素は必須微量栄養素として、私たちの体内で重要な働きを演じています。ヨウ素の必要量は非常に微量であり、わが国では通常の食生活を営んでいるかぎり、栄養学的に十分なヨウ素が摂取されていると考えてよいでしょう。
現在ではむしろ、ヨウ素の摂取量の増加が心配されています。しかし、バランスのよい食生活をしているかぎり、食事の中のヨウ素の量は中毒量をこえることはないとされています。
2 必要量を大幅に上回らないように注意
最近では、ヨウ素(あるいは甲状腺ホルモン)のなんらかの効果を期侍して、大量のこんぶを食べるとよいという健康法も一部で行われています。このような場合はヨウ素を過剰にとりすぎる危険性があります。
必須微量栄養素であるヨウ素は、欠乏しても、あまり過剰にとりすぎても甲状腺の機能障害をおこします。必要量を大幅に上回ることのないよう注意すべきです。
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・ヨウ素は微量で大事な役割を果たす
ヨウ素は、私たちの体内に、0.01〜0.02g含まれていて、そのほとんどが甲状腺に存在しています。このようにごく微量しか存在しませんが、ヨウ素は甲状腺から分泌されるホルモンの構成成分として、体内で重要な役割を果たしています。
そのため、食物からのヨウ素の摂取量が不足したり、あるいは逆に過剰になっても甲状腺の働きが衰え、いろいろな病気がおこります。
ヨウ素発見の歴史
1 かつてはヨウ素の摂取量の低い地域で甲状腺腫が多発
・日本ではヨウ素不足よる病気は見られない
ヨウ素は海水に多く含まれています。そこで、四方を海に囲まれ、海産物(魚介類や海藻)に恵まれたわが国では、昔からヨウ素不足による病気はほとんどみられませんでした。
一方、アメリカ大陸やヨーロッパ・アジア大陸の奥地の住民に、のどの両側にこぶをつけた人が非常に多くみられました(のどぼとけのすぐ下にある甲状腺がはれたもので、甲状腺腫と呼ばれます)。これは、海から遠く離れた内陸部では、土壌中のヨウ素含有量が低く、その土地でとれる食物を食べても必要量のヨウ素を摂取できなかったためです。
紀元前3000年ころからの中国でもこの病気がみられ海藻や焼いた海綿の灰が効くことがすでに知られていました。
しかし当時はまだ、その有効成分がヨウ素という物質であることはわかりませんでした。
・ヨウ素の発見
その後1800年代の初めになって、海藻の灰からヨウ素が発見され、海綿の中にもヨウ素が多く含まれることがわかりました。ヨウ素は蒸気が紫色なので、ギリシャ語の「スミレ」にちなんで名づけられました。
1919年には、米国のケンダルという学者によって、甲状腺からホルモンが分離され、このホルモンにヨウ素が結びついていることもわかりました。
ヨウ素の吸収と甲状腺ホルモンの働き
1 ヨウ素の吸収と排泄
口から食物として入ったヨウ素は、腸管でその大部分が吸収されます。吸収されたヨウ素の約30%は甲状腺に運ばれ、残りの大部分は尿中に排泄されてしまいます。
2 甲状腺ホルモンの働き
甲状腺は、親指の先よりやや小さく、両側にチョウの羽のように広がった形をしています。
甲状腺は取り込んだヨウ素を加えて、甲状腺ホルモンを合成し貯蔵します。つくられたホルモンは、からだの需要に応じて各組織へ送られます。
・代謝を促進する
甲状腺ホルモンは、広く細胞の代謝に関係すろホルモンで、全身の基礎代謝を促進し、酸素消費量も増加させます。幼児では成長促進に欠かせないホルモンです。
ヨウ素が不足してもとりすぎても甲状腺がはれる
1 ヨウ素が不足した場合
原料であるヨウ素が不足すれば、甲状腺はホルモンを合成できなくなり、ホルモンの産生量が減ります。すると、これを補うために、甲状腺は肥大して、ホルモンの産生量を正常のレベルに保とうと努力するのです。
しかし、ヨウ素欠乏状態がつづくと、甲状腺の機能はしだいに低下し、ついには肥大したままになります。
2 ヨウ素が過剰になった場合
甲状腺にヨウ素が過剰の状態になっても、甲状腺ホルモンの合成は止まってしまいます。
その結果血液中に分泌される甲状腺ホルモンが減少すると、脳の下垂体から甲状腺刺激ホルモンが出てきて、甲状腺を刺激して甲状腺を肥大させるのです。そして、ついには甲状腺腫となります。
ヨウ素の必要量はどれくらいか
1 日本人のヨウ素必要量
ヨウ素が不足しても過剰になっても甲状腺腫になることを述べました。それでは、このような障害をおこさないためには、どれだけのヨウ素を摂取していればよいのでしょうか。
・1日に0.1mgの摂取で甲状腺腫は防げる
ヨウ素欠乏による甲状腺機能障害をおこさないための必要なヨウ素量は、安全率を考慮にいれて、成人では1日0.1mg(100μg)と推定されています。子供の場合も必要量には大差ないといわれています。
わが国ではヨウ素の所要量は定められていません。ヨウ素を意識的にとらなくても1日0.1mgを下回ることはほとんどないと考えられるからです。
・諸外国のヨウ素所要量
米国ではヨウ素所要量は成人1日0.15mg(150μg)とされ、欧米諸国もほぼ同様のヨウ素所要量が定められています。
2 日本人のヨウ素摂取量
・日本人は1日1〜4mgのヨウ素をとっている
わが国では、海藻や魚介類をよく食べるため、普通の食生活をしているかぎり、ヨウ素が不足する可能性はまずありません。
実際に、日本人は欧米人に比べてヨウ素摂取量は多く、平均して、1人1日当たり1〜4mgを摂取しています。
3 米国におけるヨウ素摂取量の増加
欧米では、1930年代ころより、海から遠く離れて住み、ヨウ素含有量の少ない食事をしている人たちのために、ヨウ素を添加した食卓塩が用いられてきました。その結果、こうした地域の住民の甲状腺腫は劇的に減少しています。
・食品中のヨウ素濃度の増加
しかし、最近では、ヨウ素含有量の低い地域の人びとも、ヨウ素の豊富な土地で育った食物を食べられるようになり、状況が変わってきました。
米国人の主なヨウ素供給源は牛乳・乳製品ですが、牛乳をしぼる器具や容器、乳房の消毒にヨウ素を含む消毒剤が使われるようになり、牛乳中のヨウ素濃度も30年前の3〜5倍と非常に高くなっています。また、パンを焼くときに使う練り粉調整剤や、食品添加物にもヨウ素が入っています。
・現在ではむしろヨウ素のとりすぎが心配
米国では、いまや必要量をはるかにこえる4倍から10倍以上ものヨウ素を摂取しているとの報告も出されています。米国では現実の食生活においては、ヨウ素過剰摂取による毒性発現の証拠はまだ得られていませんが、この傾向が続くならば、甲状腺の機能障害をもたらすおそれがあると心配されています。このように現在の欧米では、ヨウ素欠乏症よりも、むしろヨウ素過剰摂取のほうが問題とされています。
・過剰な分はふつうは排泄される
健康な場合、ヨウ素などを若干多くとりすぎても、私たちのからだは、ふつうはその過剰分を排泄してしまうしくみがあります。
とはいっても、甲状腺になんらかの異常のある人はもちろんのこと、健康な人でも、必要量を大幅に上回るような大量のヨウ素を、毎日とることは避けるべきです。
ヨウ素の過剰摂取による健康被害
1 こんぶやわかめをむやみに大量摂取しない
わが国では、こんぶを大量に食べる習慣がある海岸地方で、甲状腺腫が多く発生するという疫学レポートもあります。この地域の人たちはヨウ素摂取量も日本人の通常の摂取量の10〜100倍もとっているといわれます。
ただ、この場合、こんぶによるヨウ素の過剰摂取だけでなく、甲状腺腫を誘発するような物質も同時に摂取している可能性も考えられています。
こんぶやわかめについて、最近ではさまざまな効用がうたわれています。いずれにしても、ヨウ素の効用のみにつられて、こんぶやわかめばかりをむやみに毎日大量に食べすぎないよう注意したいものです。
食品中のヨウ素の量について
1 ヨウ素含有量は生育環境によって左右される
野莱のヨウ素含有量は,土壌中のヨウ素濃度や、施される肥料の性質や量によって左右されます。たとえば、ヨウ素を豊富に含むチリ硝石を肥料として用いると、そうでない場合に比べて10〜100倍もヨウ素含有量が高くなります。
また、牛乳などの酪農製品に含まれるヨウ素も、与える餌によって100〜1000倍も異なる場合があります。
・食品中の含有量を示すのはむずかしい
このように、食品中に含まれるヨウ素含有量は、その食品が生産される環境によって大きく変動します。
2 食品群別のヨウ素含有量について
わが国の食品を食品群別に分け、ヨウ素含有量の多い順にみると次のようになります。
ヨウ素含有量が圧倒的に多いのはこんぶ、わかめなどの海藻類で、これに次ぐのが海産の魚介類です。そのほか、肉類、牛乳・乳製品、豆腐、穀類、卵類、果実、野菜にも、量はそれほど多くありませんが含まれています。
・日本人の最大のヨウ素摂取源は海藻類
日本人がどの食品群からヨウ素を多く摂取しているかを調べると次のようです。
まず海藻類で、日本人はこんぶ、わかめなどを乾物として1人1日平均5gとっており、これだけでヨウ素摂取量の大半を占めます。次に魚介類からの摂取量が多く、穀類がこれに次ぎます。そして、その他の食品群からもまんべんなくヨウ素を摂取しています。
したがって、ヨウ素の1日必要量は十分みたされています。
3 ヨウ素を高濃度に含ませた食品について
最近は、ヨウ素を高濃度に含ませた食品が多く出回っています。そのひとつとして、卵があります。これは、普通の卵にはもともとほとんど含まれていないヨウ素を、餌に海藻粉末などのかたちで添加してニワトリに産ませたものです。
・動物実験の成績は人間にそのままあてはまらない
卵1個中に、0.6mgという大量のヨウ素が含まれているので、コレステロールを下げ、アレルギー体質によい働きをするとうたっています。しかし、こうした効果はネズミやウサギを使った数少ない動物実験での成績であり、これらの動物とは代謝のしくみの異なる人間にそのままあてはめることには無理があります。
・ヨウ素は通常の食生活で十分とれる
ヨウ素をとることが目的なら、わが国では海藻類や魚、その他の食品から通常の食生活の中で必要量は十分に摂取できるわけです。ですから、ヨウ素を高濃度に含ませた食品をわざわざ食べる必要はありません。
おわりに
1 バランスのよい食生活をしているかぎり、不足も過剰も心配ない
これまで述べてきたように、ヨウ素は必須微量栄養素として、私たちの体内で重要な働きを演じています。ヨウ素の必要量は非常に微量であり、わが国では通常の食生活を営んでいるかぎり、栄養学的に十分なヨウ素が摂取されていると考えてよいでしょう。
現在ではむしろ、ヨウ素の摂取量の増加が心配されています。しかし、バランスのよい食生活をしているかぎり、食事の中のヨウ素の量は中毒量をこえることはないとされています。
2 必要量を大幅に上回らないように注意
最近では、ヨウ素(あるいは甲状腺ホルモン)のなんらかの効果を期侍して、大量のこんぶを食べるとよいという健康法も一部で行われています。このような場合はヨウ素を過剰にとりすぎる危険性があります。
必須微量栄養素であるヨウ素は、欠乏しても、あまり過剰にとりすぎても甲状腺の機能障害をおこします。必要量を大幅に上回ることのないよう注意すべきです。
ダイエット・美容・健康の情報
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