▼ 受動喫煙とがん
受動喫煙、つまり、環境たばこ煙は、米国環境保護局の報告書(1993年)の中で、肺に対する“発がん物質”であると判定されました。この科学的な裏付けとして、多くの疫学調査研究、動物実験などが検討されており、わが国の平山によるデータも重要な根拠の一つとなっています。この調査では、40歳以上の非喫煙者の妻約9万人と、喫煙していた妻約1万7千人が16年間にわたって追跡され、その結果、肺がんで死亡する危険性は、夫が非喫煙者である場合を“1”とすると、夫が前喫煙者、喫煙者で1日1〜14本、15〜19本、20本以上である場合には、それぞれ、1.36、1.42、1.53、1.91でした(図)。また、両親の喫煙によって、子どもの頃に環境たばこ煙にさらされると、その後、肺がんになる危険が高くなるという報告もあります。ただし、肺がんの危険性を上昇させる程度としては、受動喫煙は、本人の喫煙に比べると、かなり小さいと言えます。しかし、国民全体として、非常に多くの人が、本人の意思とはかかわりなく、受動喫煙によって健康への害をこうむっているので、受動喫煙はたいへん大きな健康問題であると考えられます。例えば、先に紹介した米国の報告書は、環境たばこ煙は、米国内の非喫煙者の約3,000名もの人が肺がん死する原因となっていると指摘しています。
その他のがんとして、副鼻腔がん、乳がん、子宮がん、白血病・悪性リンパ腫なども受動喫煙によってがんの危険性が高まると報告されていますが、統一された見解はまだないようです。
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