全身持久力は、スタミナや粘り強さのことをいいます。運動生理学の分野では、最大酸素摂取量という指標によって全身持久力を評価します。最大酸素摂取量は、心血管系疾患の罹患率や死亡率に関連することがいくつかの研究で明らかにされています。つまり、全身持久力を高めることは、健康づくりに役立つといえます。
「彼はスタミナがある」というような言い方をしますが、このスタミナや粘り強さのことを体力の構成要素で言うと「全身持久力」といいます。全身持久力は、長時間身体を動かすことのできる能力を意味し、学校の体育の時間などでは800m走などの記録時間を計って評価します。しかし、このような持久走の記録では、その日の体調や心理的な影響が強く反映されてしまいます。そのため運動生理学の分野では、特別な実験室を使って最大酸素摂取量という指標を算出します。最大酸素摂取量とは、1分間に体内に取り込まれる酸素の最大量をいいます。酸素は、体内で化学的なエネルギーを作るときに使われますが、その消費量が多いほどたくさんのエネルギーが作り出されます。エネルギーの生産量が多いほど、身体を長く動かすことができるので、最大酸素摂取量を測ることによって全身持久力が評価できるのです。このため、全身持久力は、有酸素能力とも呼ばれています。
それではなぜ全身持久力が必要なのでしょうか。全身持久力の高い人と低い人を比べた場合、全身持久力の低い人は高い人よりも3〜4倍死亡率が高かったという研究結果があります。この理由の1つとしては、全身持久力が身体活動量との間に強い相関関係があるためと考えられます。身体活動量を普段から高めておけば、肥満を予防することができ、インスリンの感受性を高めたり、動脈硬化を予防したりするなど、生活習慣病の予防に効果的であると考えられます。一方、高い全身持久力の恩恵について、もう1つ別の見方をすることができます。人を含めた生物は、生きるためには必ず身体の移動を伴います。寝たきりで一生を過ごす生物はありえません。身体を動かすためにはエネルギーが必要で、これを体内で作り出すときには、活性酸素のような身体に有害となる物質も同時に生産されてしまいます。このような物質は、通常は抗酸化物質によって除去されますが、身体活動の強度が高くなると生産量も多くなります。全身持久力の高い人はエネルギー消費の予備力が高い、つまり同じ身体活動を行っても低い人より余裕があるので、身体に有害となる物質の生産量も少なくなります。全身持久力を高めるということは、活性酸素からわが身を守ることにもつながるといえます。
全身持久力を高めるためには、有酸素運動が効果的です。有酸素運動とは、リズミカルで長時間続けられる運動をいいます。ジョギングやサイクリング、速歩などの運動で、「ハアハア」というリズミカルな呼吸が特徴です。立ち止まって「ゼイゼイ」と肩で呼吸するような運動は、それよりも強度が高い無酸素運動です。なかでも速歩は、誰もが手軽に参加でき、低コストで安全ですのでおすすめです。「健康づくりのための運動指針〜エクササイズガイド2006」では、1日1万歩あるいは週に60分の速歩が目標として掲げられています。健康づくりのために、まずは1日1万歩を目指すとよいでしょう。
最大酸素摂取量さいだいさんそせっしゅりょう
Maximal Oxygen Uptake
VO2max
体力の構成要素のうち全身持久力の指標。有酸素性能力や有酸素性パワーとも呼ばれている。
体力の構成要素のうち全身持久力の指標です。運動中に体内(ミトコンドリア)に取込まれる酸素の最大量を示し、有酸素性能力や有酸素性パワーとも呼ばれています。
1923年に、HillとLuptonによって定義づけられ、スウェーデンの生理学者であるAstrand(1952)によって広く世界に普及しました。測定法には、直接法と間接法があります。直接法は、自転車エルゴメーターやトレッドミルなどを用いて最大努力での運動中に採気された呼気ガスを分析し、1分間に体内に取り込まれる酸素の最大量を算出します。一方、間接法では、最大努力までは行わず、心拍数や運動負荷などから最大の値を推定します。男性20歳代の平均値は、体重あたりで40ml/kg/min程度ですが、エリート長距離選手の最大酸素摂取量は90ml/kg/minにも達します。心血管系疾患の罹患率や死亡率とも関連するなど、全身持久力としての体力の評価値としてはもちろんのこと、健康を表す指標としても重要であると考えられます。
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「彼はスタミナがある」というような言い方をしますが、このスタミナや粘り強さのことを体力の構成要素で言うと「全身持久力」といいます。全身持久力は、長時間身体を動かすことのできる能力を意味し、学校の体育の時間などでは800m走などの記録時間を計って評価します。しかし、このような持久走の記録では、その日の体調や心理的な影響が強く反映されてしまいます。そのため運動生理学の分野では、特別な実験室を使って最大酸素摂取量という指標を算出します。最大酸素摂取量とは、1分間に体内に取り込まれる酸素の最大量をいいます。酸素は、体内で化学的なエネルギーを作るときに使われますが、その消費量が多いほどたくさんのエネルギーが作り出されます。エネルギーの生産量が多いほど、身体を長く動かすことができるので、最大酸素摂取量を測ることによって全身持久力が評価できるのです。このため、全身持久力は、有酸素能力とも呼ばれています。
それではなぜ全身持久力が必要なのでしょうか。全身持久力の高い人と低い人を比べた場合、全身持久力の低い人は高い人よりも3〜4倍死亡率が高かったという研究結果があります。この理由の1つとしては、全身持久力が身体活動量との間に強い相関関係があるためと考えられます。身体活動量を普段から高めておけば、肥満を予防することができ、インスリンの感受性を高めたり、動脈硬化を予防したりするなど、生活習慣病の予防に効果的であると考えられます。一方、高い全身持久力の恩恵について、もう1つ別の見方をすることができます。人を含めた生物は、生きるためには必ず身体の移動を伴います。寝たきりで一生を過ごす生物はありえません。身体を動かすためにはエネルギーが必要で、これを体内で作り出すときには、活性酸素のような身体に有害となる物質も同時に生産されてしまいます。このような物質は、通常は抗酸化物質によって除去されますが、身体活動の強度が高くなると生産量も多くなります。全身持久力の高い人はエネルギー消費の予備力が高い、つまり同じ身体活動を行っても低い人より余裕があるので、身体に有害となる物質の生産量も少なくなります。全身持久力を高めるということは、活性酸素からわが身を守ることにもつながるといえます。
全身持久力を高めるためには、有酸素運動が効果的です。有酸素運動とは、リズミカルで長時間続けられる運動をいいます。ジョギングやサイクリング、速歩などの運動で、「ハアハア」というリズミカルな呼吸が特徴です。立ち止まって「ゼイゼイ」と肩で呼吸するような運動は、それよりも強度が高い無酸素運動です。なかでも速歩は、誰もが手軽に参加でき、低コストで安全ですのでおすすめです。「健康づくりのための運動指針〜エクササイズガイド2006」では、1日1万歩あるいは週に60分の速歩が目標として掲げられています。健康づくりのために、まずは1日1万歩を目指すとよいでしょう。
最大酸素摂取量さいだいさんそせっしゅりょう
Maximal Oxygen Uptake
VO2max
体力の構成要素のうち全身持久力の指標。有酸素性能力や有酸素性パワーとも呼ばれている。
体力の構成要素のうち全身持久力の指標です。運動中に体内(ミトコンドリア)に取込まれる酸素の最大量を示し、有酸素性能力や有酸素性パワーとも呼ばれています。
1923年に、HillとLuptonによって定義づけられ、スウェーデンの生理学者であるAstrand(1952)によって広く世界に普及しました。測定法には、直接法と間接法があります。直接法は、自転車エルゴメーターやトレッドミルなどを用いて最大努力での運動中に採気された呼気ガスを分析し、1分間に体内に取り込まれる酸素の最大量を算出します。一方、間接法では、最大努力までは行わず、心拍数や運動負荷などから最大の値を推定します。男性20歳代の平均値は、体重あたりで40ml/kg/min程度ですが、エリート長距離選手の最大酸素摂取量は90ml/kg/minにも達します。心血管系疾患の罹患率や死亡率とも関連するなど、全身持久力としての体力の評価値としてはもちろんのこと、健康を表す指標としても重要であると考えられます。
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