メタボリックシンドローム改善のための基本戦略

ここでは、 メタボリックシンドローム改善のための基本戦略 に関する情報を紹介しています。
メタボリックシンドロームの改善には、体重のたった5%を減量するだけでOKです。それだけで、内臓脂肪は減りますし、高血糖、高血圧、脂質異常も改善し、アディポサイトカインの分泌も正常になります。この減量のためには、食事と運動を中心にした生活改善が欠かせません。
 メタボリックシンドロームを引き起こすおおもとの原因は内臓脂肪蓄積です。たまった内臓脂肪から放出される脂肪が増加するために脂質異常をおこし、内臓脂肪から分泌されるアディポサイトカインの分泌異常をきたすために、血糖が増加したり、血圧が上昇して、動脈硬化の危険が高まるのです。

 そして、この内臓脂肪蓄積を引き起こす最大の原因が、過食と運動不足であることは間違いのない事実です。ですから、メタボリックシンドロームを改善ないし予防するには、過食と運動不足を解消して、内臓脂肪を減らすことが大切なのです。過食になりがちな食生活を改めて、積極的に体を動かし適度な運動を日常生活にとりいれる、この2点がメタボリックシンドローム改善の柱になります。

 さいわい、内臓脂肪は皮下脂肪に比べて、増加しやすいけれど減りやすいという特徴があります。食事量を減らすだけでも、運動量を増やすだけでも、比較的容易に減少していきますが、この二つを併せて行うのがより効果的です。

 メタボリックシンドロームの改善にはそれほど厳しい目標設定は必要ありません。現体重の5%を、3〜6ヵ月かけて減量するだけで十分なのです。標準体重まで無理に減量することはありません。たとえば体重80kgの人であれば5%の4kgを、3〜6ヵ月で減量すればいいのですから、1ヵ月に1kg減らせば十分です。それだけで、血糖、血清脂質、血圧の値も、アディポサイトカインの分泌も改善され、内臓脂肪も減って、メタボリックシンドロームの危険を回避する目的が達成できるのです。

 この目標を確実に達成するために、現在のメタボリックシンドロームの状態が、今はなんともなくても、動脈硬化の危険度が高い状態にあり、これを改善することが重要であることを、よく認識していただきたいものです。

アディポサイトカインあでぃぽさいとかいん
脂肪組織由来生理活性物質
脂肪細胞から産生・分泌されるさまざまな生理活性物質の総称。内臓脂肪がたまると、その分泌調節不全をきたします。
 脂肪細胞を顕微鏡で見ると、中性脂肪をたくわえ、核やミトコンドリアなど細胞の働きに重要な小器官が隅に押しやられています。このため、脂肪細胞は脂肪をためこんでは必要に応じて分解産物であるFFA(遊離脂肪酸)やグリセロールを放出している単なるエネルギー貯蔵庫とみなされてきましたが、これはまったくの誤解で、体の機能調節に重要な生理活性物質を活発に産生・分泌している人体最大の内分泌臓器であることが明らかにされています。
 「アディポ」は脂肪、「サイトカイン」は生理活性物質を意味し、アディポサイトカインは脂肪細胞から分泌されるその多彩な生理活性物質の総称です。
 アディポサイトカインには悪玉物質と善玉物質があり、悪玉には血栓をつくりやすくするPAI-1、インスリン抵抗性を起こすTNF−α、レジスチン、血圧を上げるアンジオテンシノーゲン、レプチンなどが、また善玉にはインスリン抵抗性を改善し、動脈硬化を防ぐアディポネクチンがあります。
 内臓脂肪の蓄積は、これらのアディポサイトカインの産生・分泌に異常をきたし、血液中の悪玉物質が増加する一方、善玉物質の血中濃度を低下させることで、動脈硬化を直接的に促進し、また糖尿病をはじめとする生活習慣病のリスクを高めるのです。

血清脂質けっせいししつ
血液中に含まれる脂質。中性脂肪、コレステロールなどがあり、そのバランスが崩れると動脈硬化を促進します。
 血液から赤血球や白血球などの血球成分を取り除いたものを血清といい、血清に含まれる脂肪が血清脂質です。血清脂質はコレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸などからなります。
 コレステロールは細胞をつくる重要な構成成分であるほか、ホルモンや胆汁酸の材料にもなります。また、中性脂肪は必要に応じて分解されてエネルギーとして利用される一方、余分なエネルギーが生じた際、その余剰分が中性脂肪につくり替えられて、皮下脂肪や内臓脂肪として貯蔵されます。細胞膜は「リン脂質の二重膜」ともいわれ、細胞はリン脂質なくしては正常な活動を営むことができません。
 このように、体にとって重要な働きをしている血清脂質ですが、血液中におけるバランスが崩れると、動脈硬化の原因になります。悪玉のLDLコレステロールが多すぎると血管壁にたまって動脈硬化を進めますし、中性脂肪が多すぎると小粒子高密度LDL(スモールデンスLDL)の増加が起こり、悪玉LDLの性質をより悪玉に変える一方、善玉のHDLコレステロールを減らすなど、これらも動脈硬化を促進する原因になります。

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