▼ 心の健康づくり
1 心身の健康に関する問題の現状
近年、児童生徒を取り巻く社会環境や生活様式が大きく変化し、心身の健康に関する問題として、薬物乱用、性の逸脱行動、肥満や生活習慣病の兆候、いじめや不登校、感染症の新たな課題などがあげられる。さらに、少年の問題行動が多発しており、多様化と同時に凶悪化、粗暴化が進み憂慮される状況を呈している。特に、平成11年度における児童生徒による暴力行為や不登校は、少年人口の減少にもかかわらず過去最多となっている。
これらの問題の背景や要因として、平成9年の保健体育審議会答申では、「複雑化した現代社会において、職場や学校における人間関係や家庭環境が複雑に絡み合い、ストレスや不安感が高まっていること、都市化や核家族化・少子化の進行、あるいは遊び環境など子どもたちを取り巻く状況の変化などを背景に、子どもたちの心の成長の糧となる生活体験や自然体験などが失われてきており、自己実現の喜びを実感しにくく、他者を思いやる温かい気持ちを持つことや、望ましい人間関係を築くことが難しくなっていることなどが大きな要因となっている。」と指摘している。
それぞれの問題に対応していくと同時に、児童生徒のコミュニケーション能力や人間関係を築く力などの低下がみられる状況を踏まえ、社会性を育成し自己肯定感や自己実現を高めるような教育活動が必要と思われる。
2 心の健康に関する指導と問題への対応
(1)「心の健康」に関する各審議会答申の内容
「心の健康」に関する問題などについて、現状をもとに平成10年6月の中央教育審議会答申「新しい時代を拓く心を育てるために」では、「生きる力」を身に付け、新しい時代を切り拓く積極的な心を育てようと提言された。
また 、平成10年7月の教育課程審議会答申にて、完全学校週5日制の下、「ゆとり」の中で「特色ある教育」を展開し、幼児児童生徒に「生きる力」を育成することを狙いとし、教育課程の基準を改訂することを提言した。
特に、体育・保健体育の保健における改善の基本方針として、「近年の生育環境、生活行動、疾病構造などの変化にかかわって深刻化している心の健康、食生活をはじめとする生活習慣の乱れ、生活習慣病、薬物乱用、性に関する問題などについて対応できるようにする。」との指摘がある。
これを受けて、小学校・中学校・高等学校の体育・保健体育の教科の改善の具体的事項において、「心の健康」については以下のように提言された。
● 小学校 ●
自他の心身の発育・発達の違いに気付き肯定的に受け止めること、不安・悩みへの対処および人とのかかわり方に重点を置く観点に立って、内容の改善を図る。
● 中学校 ●
思春期における自分らしさの形成やストレスへの対処に重点を置く観点に立って内容の改善を図る。
● 高等学校 ●
自己の可能性を最大限に生かして自己を高めていくことの大切さや欲求、ストレスへの対処に重点を置く観点に立って、内容の改善を図る。
(2)「心の健康」の内容
教育課程審議会答申の基本方針をもとに新学習指導要領が改訂され、「心の健康」にかかわる内容の基本的な考え方として、体育科(小学校)の目標では「心とからだを一体的にとらえ、適切な運動の経験と健康・安全についての理解を通して、運動に親しむ資質や能力を育てるとともに、健康の保持増進と体力の向上を図り、楽しく明るい生活を営む態度を育てる。」と示されている。この目標の考え方は、中学校、高等学校の保健体育においても同様の趣旨である。
● 小学校 ●
心の発達および不安・悩みへの対処の仕方について理解できるようにする。
○心は、いろいろな生活経験を通して、年齢とともに発達すること。
○心とからだは密接な関係にあり、互いに影響し合うこと。
○不安や悩みへの対処には、大人や友だちに相談する、仲間と遊ぶ、運動をするなどいろいろな方法があること。
● 中学校 ●
心の健康について理解できるようにする。
○知的機能、情意機能、社会性などの精神機能は、生活経験などの影響を受けて発達すること。また、思春期においては、自己の認識が深まり、自己形成がなされること。
○心の健康を保つには、欲求やストレスに適切に対処するとともに、心身の調和を保つことが大切であること。また、欲求やストレスの対応の仕方に応じて、精神的、身体的にさまざまな影響が生じることがあること。
● 高等学校 ●
人間の欲求と適応機制にはさまざまな種類があることおよび精神と身体には密接な関連があること。また、精神の健康を保持増進するためには、欲求やストレスに適切に対処するとともに、自己実現を図るよう努力していくことが重要であること。
また、教科以外の指導として特別活動における「学級活動・ホームルーム活動」があげられる。新学習指導要領において以下のように示されている。
● 小学校 ●
○日常の生活や学習への適応および健康や安全に関すること。
○希望や目的を持って生きる態度の形成・基本的な生活習慣の形成
○望ましい人間関係の育成・心身ともに健康で安全な生活態度の育成
● 中学校 ●
○個人および社会の一員としての在り方、健康や安全に関すること。
○青年期の不安や悩みとその解決・自己および他者の個性の理解と尊重
○男女相互の理解と協力・望ましい人間関係の確立
○ボランティア活動の意義の理解
○心身ともに健康で安全な生活態度や習慣の形成
● 高等学校 ●
○個人および社会の一員としての在り方、生き方、健康や安全に関すること
○青年期の悩みや課題とその解決・自己および他者の個性の理解と尊重
○男女相互の理解と協力
○コミュニケーション能力の育成と人間関係の確立
○心身の健康と健全な生活態度や習慣の確立
○生命の尊重と安全な生活態度や習慣の確立
「心の健康づくり」のためには、これらの指導内容の計画化や実践に向けて、指導のための時間を確保し、年間指導計画に位置付けることが必要である。
さらに、教科「保健」で学んだ「心の健康」に関する学習内容の基本的な知識を、道徳、特別活動、他の教科や総合的な学習の時間に生かし、「保健」での指導の補充や深化を図る。とりわけ、中学生期は自己形成の過程において、精神の不安定や性的な成熟に伴う悩みなどが生じる時期なので、性教育や生徒指導との関連を十分に図る必要がある。「心の健康」の指導にあたっては、専門性を有する教師(養護教諭等)や専門家の活用も効果的である。
児童生徒の「心の健康」の保持増進に関する指導の充実を図るためには、教育活動全体を通して進めなければならない。さらに、児童生徒を取り巻く家庭や地域社会の連携を十分にとり、それぞれの役割を果たすようにすることが、今まで以上に求められている。
学校内においては、「心の健康」に関して関係者および関係機関との連携を図り取り組むことも重要なことである。
http://www.net-dream.jp
近年、児童生徒を取り巻く社会環境や生活様式が大きく変化し、心身の健康に関する問題として、薬物乱用、性の逸脱行動、肥満や生活習慣病の兆候、いじめや不登校、感染症の新たな課題などがあげられる。さらに、少年の問題行動が多発しており、多様化と同時に凶悪化、粗暴化が進み憂慮される状況を呈している。特に、平成11年度における児童生徒による暴力行為や不登校は、少年人口の減少にもかかわらず過去最多となっている。
これらの問題の背景や要因として、平成9年の保健体育審議会答申では、「複雑化した現代社会において、職場や学校における人間関係や家庭環境が複雑に絡み合い、ストレスや不安感が高まっていること、都市化や核家族化・少子化の進行、あるいは遊び環境など子どもたちを取り巻く状況の変化などを背景に、子どもたちの心の成長の糧となる生活体験や自然体験などが失われてきており、自己実現の喜びを実感しにくく、他者を思いやる温かい気持ちを持つことや、望ましい人間関係を築くことが難しくなっていることなどが大きな要因となっている。」と指摘している。
それぞれの問題に対応していくと同時に、児童生徒のコミュニケーション能力や人間関係を築く力などの低下がみられる状況を踏まえ、社会性を育成し自己肯定感や自己実現を高めるような教育活動が必要と思われる。
2 心の健康に関する指導と問題への対応
(1)「心の健康」に関する各審議会答申の内容
「心の健康」に関する問題などについて、現状をもとに平成10年6月の中央教育審議会答申「新しい時代を拓く心を育てるために」では、「生きる力」を身に付け、新しい時代を切り拓く積極的な心を育てようと提言された。
また 、平成10年7月の教育課程審議会答申にて、完全学校週5日制の下、「ゆとり」の中で「特色ある教育」を展開し、幼児児童生徒に「生きる力」を育成することを狙いとし、教育課程の基準を改訂することを提言した。
特に、体育・保健体育の保健における改善の基本方針として、「近年の生育環境、生活行動、疾病構造などの変化にかかわって深刻化している心の健康、食生活をはじめとする生活習慣の乱れ、生活習慣病、薬物乱用、性に関する問題などについて対応できるようにする。」との指摘がある。
これを受けて、小学校・中学校・高等学校の体育・保健体育の教科の改善の具体的事項において、「心の健康」については以下のように提言された。
● 小学校 ●
自他の心身の発育・発達の違いに気付き肯定的に受け止めること、不安・悩みへの対処および人とのかかわり方に重点を置く観点に立って、内容の改善を図る。
● 中学校 ●
思春期における自分らしさの形成やストレスへの対処に重点を置く観点に立って内容の改善を図る。
● 高等学校 ●
自己の可能性を最大限に生かして自己を高めていくことの大切さや欲求、ストレスへの対処に重点を置く観点に立って、内容の改善を図る。
(2)「心の健康」の内容
教育課程審議会答申の基本方針をもとに新学習指導要領が改訂され、「心の健康」にかかわる内容の基本的な考え方として、体育科(小学校)の目標では「心とからだを一体的にとらえ、適切な運動の経験と健康・安全についての理解を通して、運動に親しむ資質や能力を育てるとともに、健康の保持増進と体力の向上を図り、楽しく明るい生活を営む態度を育てる。」と示されている。この目標の考え方は、中学校、高等学校の保健体育においても同様の趣旨である。
● 小学校 ●
心の発達および不安・悩みへの対処の仕方について理解できるようにする。
○心は、いろいろな生活経験を通して、年齢とともに発達すること。
○心とからだは密接な関係にあり、互いに影響し合うこと。
○不安や悩みへの対処には、大人や友だちに相談する、仲間と遊ぶ、運動をするなどいろいろな方法があること。
● 中学校 ●
心の健康について理解できるようにする。
○知的機能、情意機能、社会性などの精神機能は、生活経験などの影響を受けて発達すること。また、思春期においては、自己の認識が深まり、自己形成がなされること。
○心の健康を保つには、欲求やストレスに適切に対処するとともに、心身の調和を保つことが大切であること。また、欲求やストレスの対応の仕方に応じて、精神的、身体的にさまざまな影響が生じることがあること。
● 高等学校 ●
人間の欲求と適応機制にはさまざまな種類があることおよび精神と身体には密接な関連があること。また、精神の健康を保持増進するためには、欲求やストレスに適切に対処するとともに、自己実現を図るよう努力していくことが重要であること。
また、教科以外の指導として特別活動における「学級活動・ホームルーム活動」があげられる。新学習指導要領において以下のように示されている。
● 小学校 ●
○日常の生活や学習への適応および健康や安全に関すること。
○希望や目的を持って生きる態度の形成・基本的な生活習慣の形成
○望ましい人間関係の育成・心身ともに健康で安全な生活態度の育成
● 中学校 ●
○個人および社会の一員としての在り方、健康や安全に関すること。
○青年期の不安や悩みとその解決・自己および他者の個性の理解と尊重
○男女相互の理解と協力・望ましい人間関係の確立
○ボランティア活動の意義の理解
○心身ともに健康で安全な生活態度や習慣の形成
● 高等学校 ●
○個人および社会の一員としての在り方、生き方、健康や安全に関すること
○青年期の悩みや課題とその解決・自己および他者の個性の理解と尊重
○男女相互の理解と協力
○コミュニケーション能力の育成と人間関係の確立
○心身の健康と健全な生活態度や習慣の確立
○生命の尊重と安全な生活態度や習慣の確立
「心の健康づくり」のためには、これらの指導内容の計画化や実践に向けて、指導のための時間を確保し、年間指導計画に位置付けることが必要である。
さらに、教科「保健」で学んだ「心の健康」に関する学習内容の基本的な知識を、道徳、特別活動、他の教科や総合的な学習の時間に生かし、「保健」での指導の補充や深化を図る。とりわけ、中学生期は自己形成の過程において、精神の不安定や性的な成熟に伴う悩みなどが生じる時期なので、性教育や生徒指導との関連を十分に図る必要がある。「心の健康」の指導にあたっては、専門性を有する教師(養護教諭等)や専門家の活用も効果的である。
児童生徒の「心の健康」の保持増進に関する指導の充実を図るためには、教育活動全体を通して進めなければならない。さらに、児童生徒を取り巻く家庭や地域社会の連携を十分にとり、それぞれの役割を果たすようにすることが、今まで以上に求められている。
学校内においては、「心の健康」に関して関係者および関係機関との連携を図り取り組むことも重要なことである。
http://www.net-dream.jp
この記事のトラックバックURL
http://netdream.blog112.fc2.com/tb.php/57-a6be373a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック


