Q1 健康な生活を送るためには、安眠できるかどうかが重要な条件の1つだと思います。安眠できているかどうかは、どのように判断したらよいのでしょうか。
A 一般には「安眠とは、ストレスや不安・環境条件による覚醒のない、個人にとって理想的な、安らぎのある睡眠」といわれています。つまり、“ぐっすり眠れている”ということです。本人がぐっすりよく眠れていると感じていれば、安眠が得られていると評価してもよいのではないでしょうか。また、睡眠時間の長さや深さなどの質は、ふだんどれだけ睡眠が不足しているかどうかとも関係します。ですから、睡眠を評価するために、普段の睡眠不足の程度も知る必要があります。人間の睡眠時間は、年齢によって異なります。新生児期の赤ちゃんは、断続的に1日の3分の2もの時間眠ります。幼児期では、夜、連続した眠りをとるようになります。そして、学校や職場に行くようになると、時間割など社会的に管理された時間に対応するため、睡眠時間は減ります。けれども、その眠りは深く、質的に満たされた眠りといえましょう。中高年期では、青年期・成人期と比べると、眠りが浅くなりがちです。睡眠途中で目が覚めたり、昼間の居眠りが目立ち始めるようになるのです。
Q2 睡眠の状態は年齢と関係があるのでしょうか。
A ここに1つのアンケート調査があります。1992年11月に東京都在住の20歳代から80歳代まで、160人(男性30人/女性130人)を対象に、睡眠に対する各人の評価を分析したものです。20歳代から80歳代までの各年齢層ごとに平日、休日の睡眠時間を尋ねたところ、睡眠時間が一番少なかったのは40歳代でした。平日の睡眠時間を見ると、20歳代の平均は8時間弱であったものが、40歳代では約7時間に減り、50歳代、60歳代で再び増えています。また、20歳代では「睡眠途中で目覚めない」と答えた人が約半数にも及んだのに対して、60歳代では睡眠途中1回も目覚めない人は10%未満でした。しかも、40歳代以降、夜中に2回以上目が覚める人の割合が増えています。つまり、40歳代までの働きざかりでは、仕事に励むなどで睡眠時間は少なくなるが、夜中に目が覚めることも比較的少ないようです。中高年では、眠りが浅く、夜中に目が覚める傾向があらわれています。「すぐ眠れる」と自己評価した人は20歳代を除くと最も少なかった年齢層は、50歳代でした。すぐ眠れる人の割合は50歳代まで減り続けますが、50歳を境に年齢を追うごとに増えています。「すぐ眠れる」人と、「すぐではないが、自然に眠ることができる」と答えた人を加えた割合を見ると、高年齢に向かうにつれ増えています。
Q3 快適な睡眠をとるためには、どんな点に注意したらよいのでしょうか。
A 今回の調査で「普段よく眠れる」と答えた人の平日の平均睡眠時間を見ると、最も多かったのは7時間で、その次は8時間でした。けれども、睡眠時間は、実は一般的な基準はないのです。個人差がとても大きいのです。必要な睡眠時間は、昼間に眠気やだるさを感じない程度であれば十分といわれています。4時間ぐらいでいい人もいれば、9時間必要な人もいます。
●入床時間・起床時間をいつも決めておくと、寝つきもよく、よく眠れると感じられる
毎日、布団(ベッド)に入る時間、布団(ベッド)から出る時間を決めている人のほうが、自然に眠りに入ることができ、途中で目が覚めることも少ないことが分かりました。しかも、目が覚めたあともすぐに起きることができ、起きたときの気分もよく、普段も眠れていると感じられています。このほか、入眠と起床行動・眠りの深さの関連に着目したデータにおいても、スムーズに眠りにつける人はすぐに起床できることが分かっています。そして、スムーズに眠りにつける人は眠りが深いとも感じているのです。つまり、生活のリズムをつくり、一定に保つことで、スムーズに眠りにつくことができ、快適な睡眠ができるのです。そのためにも、毎日、ほぼ同じような時間に眠りにつくことで、睡眠のリズムをつくることが大切です。また、寝る時間や起きる時間は、その人の健康状態や性格とも関係があるといえそうです。というのも、たとえ週末でも入床時間が決まっている人のほうが、抑うつ度が低いという結果がでています。そのほか、平日起きる時間が一定の人のなかでは、自分にできることと、自分ではどうにもならないことをきちんと判断し、ストレス状態におかれても、落ち着いて対処できる人が多くいました。生活のリズムの乱れは、入床時間・出床時間の乱れに現れ、健康状態にも如実に出てくるといえるでしょう。
●寝る前にリラックスした状態をつくることが大切
不眠で悩み始めると、無理に眠ろうとし、緊張してしまいがちです。快適な睡眠のためには、自然に眠気が訪れるようにリラックスした気持ちが大切です。つまり、寝る前にいかにリラックスした状態をつくるかが、安眠のための条件づくりになるわけです。今回の調査でも、寝る前にリラックスする方法についていくつか取り上げています。1つは団らんです。寝る前に家族と団らんしたと答えた人の多くは、睡眠の途中で目が覚めることなく、持続した睡眠が得られたとしています。また、寝る前に入浴した人は、浅い眠りをさけることができるとしています。リラックスを得る方法は、人それぞれ、いろいろなスタイルがあると思います。音楽を聴いたり、読書することでリラックスでき、自然と眠気を誘われる人もいるでしよう。要は、昼間の緊張を解き、ストレスを上手に解消できる時間を持てればよいわけです。
●人生に意味や目的を持っていると、起きたときの気分がよい
睡眠時間は、人生の充実度にも大きく関係しています。人生に対し、目的や意味を見いだして、充実した生活を送っている人ほど起きたときの気分がよいという結果が出ています。いいかえれば、充実した睡眠を得るためには、起きている時間も充実していなければならないということでしょう。
●健康状態がよいと、寝つき、寝起きがよい
眠りと健康状態には、深い関係があることが分かっています。健康状態がよいときには、布団(ベッド)に入ったあと、自然に眠りにつくことができます。目が覚めたあともすぐに起きることができ、起きたときの気分もよいのです。今回の調査結果で、起きたときの気分に最も深く関連していたのが、健康状態でした。他にも、抑うつが低い人ほど、起きたときの気分がよいという傾向もでています。抑うつの原因はいろいろと考えられますが、例えば、今回の調査で見てみると、環境を変えたくても転居できない事情がある人では、抑うつの程度が高く、より長い睡眠時間を必要とすると考えています。安眠を得るための条件として、抑うつの原因を見つけて、それを取り除いていくことも重要です。
●夢を見ることが少ないほうが深い眠りが得られる
夢を見る頻度が多い人ほど、眠りが浅いと答えた人が多くいました。また、「夢を月に数回以下しか見ない」と答えた人と「夢を月に数回以上見る」と答えた人を比べると、夢を見る回数が少ないほうが、眠りが深いと答えた人の割合が高いということも分かりました。見た内容を覚えているほどの夢は、レム睡眠(眼球がまぶたの下でキョロキョロ動き、脳波は起きているときと同じ状態)のときに見ているものです。レム睡眠が眠りの深さと大きく係わっていると考えられています。眠りが深いと感じることと関係が強かったのは、入眠と睡眠持続、そして起床気分でした。また、普段の睡眠不足をはじめ、普段の眠りの評価は、入眠と睡眠持続の他に、起床行動と関連が深いことがわかりました。ですから、安眠に関連が深いものは、入眠・睡眠・持続・起床気分・起床行動の4つがあげられます。ただ、眠りの深さには、起床気分の関連が深いことから普段の眠りの評価よりも、心理的な要素があるようです。ともかく、安眠はより良い健康状態を維持するためにも必要なものです。そして、安眠を得るためには、ほんの少し、ライフスタイルに気を配り、一定のリズムを持った生活を行うよう努めることが大切です。そして、人生に対し、目的や意味を持ち、起きている時間を充実させることも必要でしょう。
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A 一般には「安眠とは、ストレスや不安・環境条件による覚醒のない、個人にとって理想的な、安らぎのある睡眠」といわれています。つまり、“ぐっすり眠れている”ということです。本人がぐっすりよく眠れていると感じていれば、安眠が得られていると評価してもよいのではないでしょうか。また、睡眠時間の長さや深さなどの質は、ふだんどれだけ睡眠が不足しているかどうかとも関係します。ですから、睡眠を評価するために、普段の睡眠不足の程度も知る必要があります。人間の睡眠時間は、年齢によって異なります。新生児期の赤ちゃんは、断続的に1日の3分の2もの時間眠ります。幼児期では、夜、連続した眠りをとるようになります。そして、学校や職場に行くようになると、時間割など社会的に管理された時間に対応するため、睡眠時間は減ります。けれども、その眠りは深く、質的に満たされた眠りといえましょう。中高年期では、青年期・成人期と比べると、眠りが浅くなりがちです。睡眠途中で目が覚めたり、昼間の居眠りが目立ち始めるようになるのです。
Q2 睡眠の状態は年齢と関係があるのでしょうか。
A ここに1つのアンケート調査があります。1992年11月に東京都在住の20歳代から80歳代まで、160人(男性30人/女性130人)を対象に、睡眠に対する各人の評価を分析したものです。20歳代から80歳代までの各年齢層ごとに平日、休日の睡眠時間を尋ねたところ、睡眠時間が一番少なかったのは40歳代でした。平日の睡眠時間を見ると、20歳代の平均は8時間弱であったものが、40歳代では約7時間に減り、50歳代、60歳代で再び増えています。また、20歳代では「睡眠途中で目覚めない」と答えた人が約半数にも及んだのに対して、60歳代では睡眠途中1回も目覚めない人は10%未満でした。しかも、40歳代以降、夜中に2回以上目が覚める人の割合が増えています。つまり、40歳代までの働きざかりでは、仕事に励むなどで睡眠時間は少なくなるが、夜中に目が覚めることも比較的少ないようです。中高年では、眠りが浅く、夜中に目が覚める傾向があらわれています。「すぐ眠れる」と自己評価した人は20歳代を除くと最も少なかった年齢層は、50歳代でした。すぐ眠れる人の割合は50歳代まで減り続けますが、50歳を境に年齢を追うごとに増えています。「すぐ眠れる」人と、「すぐではないが、自然に眠ることができる」と答えた人を加えた割合を見ると、高年齢に向かうにつれ増えています。
Q3 快適な睡眠をとるためには、どんな点に注意したらよいのでしょうか。
A 今回の調査で「普段よく眠れる」と答えた人の平日の平均睡眠時間を見ると、最も多かったのは7時間で、その次は8時間でした。けれども、睡眠時間は、実は一般的な基準はないのです。個人差がとても大きいのです。必要な睡眠時間は、昼間に眠気やだるさを感じない程度であれば十分といわれています。4時間ぐらいでいい人もいれば、9時間必要な人もいます。
●入床時間・起床時間をいつも決めておくと、寝つきもよく、よく眠れると感じられる
毎日、布団(ベッド)に入る時間、布団(ベッド)から出る時間を決めている人のほうが、自然に眠りに入ることができ、途中で目が覚めることも少ないことが分かりました。しかも、目が覚めたあともすぐに起きることができ、起きたときの気分もよく、普段も眠れていると感じられています。このほか、入眠と起床行動・眠りの深さの関連に着目したデータにおいても、スムーズに眠りにつける人はすぐに起床できることが分かっています。そして、スムーズに眠りにつける人は眠りが深いとも感じているのです。つまり、生活のリズムをつくり、一定に保つことで、スムーズに眠りにつくことができ、快適な睡眠ができるのです。そのためにも、毎日、ほぼ同じような時間に眠りにつくことで、睡眠のリズムをつくることが大切です。また、寝る時間や起きる時間は、その人の健康状態や性格とも関係があるといえそうです。というのも、たとえ週末でも入床時間が決まっている人のほうが、抑うつ度が低いという結果がでています。そのほか、平日起きる時間が一定の人のなかでは、自分にできることと、自分ではどうにもならないことをきちんと判断し、ストレス状態におかれても、落ち着いて対処できる人が多くいました。生活のリズムの乱れは、入床時間・出床時間の乱れに現れ、健康状態にも如実に出てくるといえるでしょう。
●寝る前にリラックスした状態をつくることが大切
不眠で悩み始めると、無理に眠ろうとし、緊張してしまいがちです。快適な睡眠のためには、自然に眠気が訪れるようにリラックスした気持ちが大切です。つまり、寝る前にいかにリラックスした状態をつくるかが、安眠のための条件づくりになるわけです。今回の調査でも、寝る前にリラックスする方法についていくつか取り上げています。1つは団らんです。寝る前に家族と団らんしたと答えた人の多くは、睡眠の途中で目が覚めることなく、持続した睡眠が得られたとしています。また、寝る前に入浴した人は、浅い眠りをさけることができるとしています。リラックスを得る方法は、人それぞれ、いろいろなスタイルがあると思います。音楽を聴いたり、読書することでリラックスでき、自然と眠気を誘われる人もいるでしよう。要は、昼間の緊張を解き、ストレスを上手に解消できる時間を持てればよいわけです。
●人生に意味や目的を持っていると、起きたときの気分がよい
睡眠時間は、人生の充実度にも大きく関係しています。人生に対し、目的や意味を見いだして、充実した生活を送っている人ほど起きたときの気分がよいという結果が出ています。いいかえれば、充実した睡眠を得るためには、起きている時間も充実していなければならないということでしょう。
●健康状態がよいと、寝つき、寝起きがよい
眠りと健康状態には、深い関係があることが分かっています。健康状態がよいときには、布団(ベッド)に入ったあと、自然に眠りにつくことができます。目が覚めたあともすぐに起きることができ、起きたときの気分もよいのです。今回の調査結果で、起きたときの気分に最も深く関連していたのが、健康状態でした。他にも、抑うつが低い人ほど、起きたときの気分がよいという傾向もでています。抑うつの原因はいろいろと考えられますが、例えば、今回の調査で見てみると、環境を変えたくても転居できない事情がある人では、抑うつの程度が高く、より長い睡眠時間を必要とすると考えています。安眠を得るための条件として、抑うつの原因を見つけて、それを取り除いていくことも重要です。
●夢を見ることが少ないほうが深い眠りが得られる
夢を見る頻度が多い人ほど、眠りが浅いと答えた人が多くいました。また、「夢を月に数回以下しか見ない」と答えた人と「夢を月に数回以上見る」と答えた人を比べると、夢を見る回数が少ないほうが、眠りが深いと答えた人の割合が高いということも分かりました。見た内容を覚えているほどの夢は、レム睡眠(眼球がまぶたの下でキョロキョロ動き、脳波は起きているときと同じ状態)のときに見ているものです。レム睡眠が眠りの深さと大きく係わっていると考えられています。眠りが深いと感じることと関係が強かったのは、入眠と睡眠持続、そして起床気分でした。また、普段の睡眠不足をはじめ、普段の眠りの評価は、入眠と睡眠持続の他に、起床行動と関連が深いことがわかりました。ですから、安眠に関連が深いものは、入眠・睡眠・持続・起床気分・起床行動の4つがあげられます。ただ、眠りの深さには、起床気分の関連が深いことから普段の眠りの評価よりも、心理的な要素があるようです。ともかく、安眠はより良い健康状態を維持するためにも必要なものです。そして、安眠を得るためには、ほんの少し、ライフスタイルに気を配り、一定のリズムを持った生活を行うよう努めることが大切です。そして、人生に対し、目的や意味を持ち、起きている時間を充実させることも必要でしょう。
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