▼ 心臓病を予知する
心臓病はがんに次いで死因の第2位を占め、特に虚血性心疾患は増加している。明らかになっている危険因子を排除しさえすれば予防はできるし、万一発作を起こしても、適切な処置と日常の自己管理で回復も可能な場合がある。心臓を守り、病気を初期段階で予知するための心得とは。
胸痛、動悸、息切れなど気になる症状があれは、すぐに病院に
心臓は筋肉でできている握りこぶし大の臓器で、全身に血液を送るポンプの役割をしているが、この重要な働きが低下するといろいろな症状が現れ、ついには機能がストップして死に至ることにもなる。症状には胸痛、動悸、息切れ、浮腫、めまい、失神、チアノーゼなどがあるが、糖尿病にかかっている場合など自覚症状がないこともあるし、症状があるからといって必ずしも心臓病だとは限らない。
日本医科大学の早川弘一教授はこれらの点から、症状による素人判断はまず無理だし、非常に危険な状態もあるので、異常を感じたらすぐに医師に相談するべきだと言う。
「例えば胸痛がある場合、どういう状態で痛むのかによって病気の種類は異なります。階段を上っているときに痛み、休めば治る、上り始めるとまた痛むというときは、狭心症の恐れがあります。
同じ狭心症でも平らな道を歩いていて痛み、休めば治るのは労作性狭心症、夜寝ているときや静かにテレビを見ているようなときに痛み、しばらくすると治るのは安静時狭心症で、いずれもかなり重症です。夜中から明け方にかけて胸苦しいのは安静時狭心症の一つである異型狭心症で、これは深刻な事態の前触れです。
痛みが持続し、冷や汗や吐き気を伴う場合は心筋梗塞の危険があり、また解離性大動脈瘤の可能性もあるので、一刻の猶予もならない。すぐに救急車を呼ぶべきです。
普段は何もなく、ゴルフをしたり重い荷物を持ったりしたときに痛みを感じるのなら、胸をさわってみます。限局していたり、圧痛があれば、心臓の病気とは関係なく、胸の筋肉の痛み、あるいは肋骨骨折ということも考えられます。
従って何らかの症状が現れたら、まず自分の行動を振り返り、医者に診察してもらうことが大事です。」
動悸や他の症状にも同じことが言えるという。ドキッとしてすぐ治り、この状態を1日何回も繰り返すなら不整脈の疑いがあるので、心電図でチェックしてもらう必要がある。測定時に異常を示さなくても、24時間測定のホルター心電図という検査をすることもある。ドキドキドキと脈が乱れることは健康状態でもよくあることだが、気になれば一応心電図をとってもらう。何もなければ安心することができるし、問題があれば速やかに処置できる。
息切れの場合も、何もしないのに急に起これば即刻病院に飛んでいかなければならない。動いていて息苦しくなるのなら肥満が原因ということもある。階段を上ったときの苦しさなら、身体の鍛練不足かもしれない。いずれにしても気になる症状があれば、迷わずに病院に行って正しい診断と処置を受けるべきである。
日常生活の改善心臓を守る
心臓病は危険因子がかなり明らかにされているので、予防は十分に可能といえる。すなわち高血圧・肥満・高脂血症・喫煙・ストレスなど、心臓病を引き起こす原因を排除すればいいのである。
慶応大学医学部の中村芳郎教授は、例えば一見健康な人を検査して、心臓に酸素と栄養を補給している冠状動脈に小さな狭窄があった場合でも、そこが原因で心筋梗塞を起こす確率は非常に小さいので、その場所を治療する意味がないという。
「それよりも危険因子を除くことが大事です。発症するまでは動脈硬化や高血圧の状態が続いているはずなので、これを取り除く努力のほうが大切なのです。
最近は中年以降の健康診断が定着してきているので、動脈硬化の原因となる高脂血症、糖尿病などもキャッチされやすいし、血圧は家庭でもチェックできます。1日のうちで高い時期が長いと要注意なので、24時間の変化を調べ、どういうときに上がるのかも知っておくことです。危険因子はほとんどが日常生活のコントロールで排除できるものなので、自分の生活態度を振り返って、まずい点があれば改善していく。進行を食い止めるにも、これしかありません」
高血圧の原因は塩分、肥満、高脂血症は糖質、脂肪、アルコールのとりすぎ。思い当たれば食生活を変えるべきだ。また、タバコは百害あって一利なしと知りながら、なかなかやめられない人も多いようだが、危険因子なのだから後で悔やむことになる前にやめたいものだ。
ストレスはどうか。こればかりは排除にも限界があり、またストレスのない社会などあり得ないのだが、疲れすぎたら休む、精神的なものは気分転換で切り抜けるというように、うまく対処していきたい。
予防に必要なのはこういった危険因子の排除のほかに、定期的な健康診断を受けること。特に両親や祖父母が心臓病で早く亡くなっているという場合は、その子も心臓病にかかりやすいので、若いころから定期的に検査を受けておくことである。
適度な運動は心臓を鍛える
もう一つ、心臓病の予防に大きな効果があるのは運動である。
図1はロンドンの2階建てバスの運転手と車掌についての調査で、1日中座りっぱなしの運転手と運動量の多い車掌とでは運転手の心臓発作率と死亡率が高いというモリスの説を示している。また表は運動量の低さが成人病の危険因子となることを明確にして、モリス説を裏づけている。
危険因子のない人が健康を維持するためには、テニスのように短時間で大きな力を出す無酸素運動でもかまわないが、一般的には心臓病予防のための運動は、歩行運動やジョギングのような、酸素を取り込みながらエネルギーをつくる有酸素運動でなければ効果がないと考えられている。東京医科大学の勝村俊仁助教授はそれに加えて、何よりも運動を継続することが肝心なので楽しみながら、そして目的をはっきりもって行うことを勧める。
「運動療法の効果は、最大酸素摂取量、身体的運動能力、HDL−コレステロールなどの増加と、一定負荷量に対する心拍数、収縮期血圧、中性脂肪、脂肪組織などの減少にあります。
つまり、運動することによって心臓の働きや血液の循環がよくなり、酸素の取り入れ、炭酸ガスの排出が効率よく行われるようになる。また、筋肉の収縮力、持久力も向上する。善玉コレステロールが増え、中性脂肪が減って動脈硬化が予防され、血圧も下がる。こういったことから心臓病の予防ができるわけです。
ただし、危険因子を持っている人は必ず事前に医師の診察を受け、自分に適する運動処方をしてもらわなければいけません」
運動処方では一人ひとりの身体の状態に合わせて、運動の種類、強度、1回に行う時間、そして週当たりの回数を決めるわけだか、運動強度は心拍数で決めるのが最もわかりやすい。運動負荷試験の結果から至適心拍数を決めるのが最もよいが、年齢別予測最高心拍数(220−年齢)の50〜60%を至適運動強度としてもよい。
さらに高血圧症の人の例でいうと、運動強度は収縮期血圧が200mmHgを超えない程度という条件があり、この他、肥満、糖尿病、高脂血症など、それぞれが有する危険因子によって運動の強度が決定されるのである。
運動が健康にいいからとジョギングを始めた人が発作を起こし、そのまま帰らぬ人になってしまった例があることからも、普段運動をしていない人が素人判断で始めることだけは避けなければならない。
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胸痛、動悸、息切れなど気になる症状があれは、すぐに病院に
心臓は筋肉でできている握りこぶし大の臓器で、全身に血液を送るポンプの役割をしているが、この重要な働きが低下するといろいろな症状が現れ、ついには機能がストップして死に至ることにもなる。症状には胸痛、動悸、息切れ、浮腫、めまい、失神、チアノーゼなどがあるが、糖尿病にかかっている場合など自覚症状がないこともあるし、症状があるからといって必ずしも心臓病だとは限らない。
日本医科大学の早川弘一教授はこれらの点から、症状による素人判断はまず無理だし、非常に危険な状態もあるので、異常を感じたらすぐに医師に相談するべきだと言う。
「例えば胸痛がある場合、どういう状態で痛むのかによって病気の種類は異なります。階段を上っているときに痛み、休めば治る、上り始めるとまた痛むというときは、狭心症の恐れがあります。
同じ狭心症でも平らな道を歩いていて痛み、休めば治るのは労作性狭心症、夜寝ているときや静かにテレビを見ているようなときに痛み、しばらくすると治るのは安静時狭心症で、いずれもかなり重症です。夜中から明け方にかけて胸苦しいのは安静時狭心症の一つである異型狭心症で、これは深刻な事態の前触れです。
痛みが持続し、冷や汗や吐き気を伴う場合は心筋梗塞の危険があり、また解離性大動脈瘤の可能性もあるので、一刻の猶予もならない。すぐに救急車を呼ぶべきです。
普段は何もなく、ゴルフをしたり重い荷物を持ったりしたときに痛みを感じるのなら、胸をさわってみます。限局していたり、圧痛があれば、心臓の病気とは関係なく、胸の筋肉の痛み、あるいは肋骨骨折ということも考えられます。
従って何らかの症状が現れたら、まず自分の行動を振り返り、医者に診察してもらうことが大事です。」
動悸や他の症状にも同じことが言えるという。ドキッとしてすぐ治り、この状態を1日何回も繰り返すなら不整脈の疑いがあるので、心電図でチェックしてもらう必要がある。測定時に異常を示さなくても、24時間測定のホルター心電図という検査をすることもある。ドキドキドキと脈が乱れることは健康状態でもよくあることだが、気になれば一応心電図をとってもらう。何もなければ安心することができるし、問題があれば速やかに処置できる。
息切れの場合も、何もしないのに急に起これば即刻病院に飛んでいかなければならない。動いていて息苦しくなるのなら肥満が原因ということもある。階段を上ったときの苦しさなら、身体の鍛練不足かもしれない。いずれにしても気になる症状があれば、迷わずに病院に行って正しい診断と処置を受けるべきである。
日常生活の改善心臓を守る
心臓病は危険因子がかなり明らかにされているので、予防は十分に可能といえる。すなわち高血圧・肥満・高脂血症・喫煙・ストレスなど、心臓病を引き起こす原因を排除すればいいのである。
慶応大学医学部の中村芳郎教授は、例えば一見健康な人を検査して、心臓に酸素と栄養を補給している冠状動脈に小さな狭窄があった場合でも、そこが原因で心筋梗塞を起こす確率は非常に小さいので、その場所を治療する意味がないという。
「それよりも危険因子を除くことが大事です。発症するまでは動脈硬化や高血圧の状態が続いているはずなので、これを取り除く努力のほうが大切なのです。
最近は中年以降の健康診断が定着してきているので、動脈硬化の原因となる高脂血症、糖尿病などもキャッチされやすいし、血圧は家庭でもチェックできます。1日のうちで高い時期が長いと要注意なので、24時間の変化を調べ、どういうときに上がるのかも知っておくことです。危険因子はほとんどが日常生活のコントロールで排除できるものなので、自分の生活態度を振り返って、まずい点があれば改善していく。進行を食い止めるにも、これしかありません」
高血圧の原因は塩分、肥満、高脂血症は糖質、脂肪、アルコールのとりすぎ。思い当たれば食生活を変えるべきだ。また、タバコは百害あって一利なしと知りながら、なかなかやめられない人も多いようだが、危険因子なのだから後で悔やむことになる前にやめたいものだ。
ストレスはどうか。こればかりは排除にも限界があり、またストレスのない社会などあり得ないのだが、疲れすぎたら休む、精神的なものは気分転換で切り抜けるというように、うまく対処していきたい。
予防に必要なのはこういった危険因子の排除のほかに、定期的な健康診断を受けること。特に両親や祖父母が心臓病で早く亡くなっているという場合は、その子も心臓病にかかりやすいので、若いころから定期的に検査を受けておくことである。
適度な運動は心臓を鍛える
もう一つ、心臓病の予防に大きな効果があるのは運動である。
図1はロンドンの2階建てバスの運転手と車掌についての調査で、1日中座りっぱなしの運転手と運動量の多い車掌とでは運転手の心臓発作率と死亡率が高いというモリスの説を示している。また表は運動量の低さが成人病の危険因子となることを明確にして、モリス説を裏づけている。
危険因子のない人が健康を維持するためには、テニスのように短時間で大きな力を出す無酸素運動でもかまわないが、一般的には心臓病予防のための運動は、歩行運動やジョギングのような、酸素を取り込みながらエネルギーをつくる有酸素運動でなければ効果がないと考えられている。東京医科大学の勝村俊仁助教授はそれに加えて、何よりも運動を継続することが肝心なので楽しみながら、そして目的をはっきりもって行うことを勧める。
「運動療法の効果は、最大酸素摂取量、身体的運動能力、HDL−コレステロールなどの増加と、一定負荷量に対する心拍数、収縮期血圧、中性脂肪、脂肪組織などの減少にあります。
つまり、運動することによって心臓の働きや血液の循環がよくなり、酸素の取り入れ、炭酸ガスの排出が効率よく行われるようになる。また、筋肉の収縮力、持久力も向上する。善玉コレステロールが増え、中性脂肪が減って動脈硬化が予防され、血圧も下がる。こういったことから心臓病の予防ができるわけです。
ただし、危険因子を持っている人は必ず事前に医師の診察を受け、自分に適する運動処方をしてもらわなければいけません」
運動処方では一人ひとりの身体の状態に合わせて、運動の種類、強度、1回に行う時間、そして週当たりの回数を決めるわけだか、運動強度は心拍数で決めるのが最もわかりやすい。運動負荷試験の結果から至適心拍数を決めるのが最もよいが、年齢別予測最高心拍数(220−年齢)の50〜60%を至適運動強度としてもよい。
さらに高血圧症の人の例でいうと、運動強度は収縮期血圧が200mmHgを超えない程度という条件があり、この他、肥満、糖尿病、高脂血症など、それぞれが有する危険因子によって運動の強度が決定されるのである。
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▼ 心臓病について
Q:心臓病といってもさまざまですが?
A:生活習慣病として重要なのは、まず高血圧で起きる心臓病、それから虚血性心疾患とよばれる冠動脈の病気、つまり狭心症と心筋梗塞ですね。冠動脈硬化症による病気は生活習慣病である動脈硬化の病気でもあるわけです。だから問題は、高血圧と動脈硬化をどう防ぐかということになります。どちらも、そうなりやすい体質の人となりにくい人がいて、それを加速するかしないかはその人の生活習慣によって決まるのです。
Q:心臓病による死亡が欧米に比べて少ないのはどうしてですか?
A:いくつか説があるから何とも言えませんが、まず人種が違う、生活が違う。しかし、やはり食事が大きな要因でしょう。食生活の西欧化が進めば、いずれは欧米並みになる可能性があります。例えば動脈硬化でいうと、頭の動脈硬化と心臓の動脈硬化では危険因子が違うが、心臓の場合はどちらかというと食生活、特にコレステロールが関係している。摂取カロリーも増えているから。
Q:心臓病の予防というと、運動で心臓を鍛えるというふうに考える人もいますが?
A:そういうことではありません。むしろ、動脈硬化を防ぐなど、血管にいいことをするということです。むろん適切な運動は基本的にはいいことです。問題は、事前にチェックすることが必要で、ある年代になったら人間ドックに入ることです。ジョギングの最中に心臓発作で死んだ人もおり、ジョギングをやっていい健康状態の人にとってはやった方がいいということ。ジョギングがいいか速足がいいかの議論は別にして。
Q:心電図でその辺のところが分かりますか?
A:心電図で誤解があるのは、安静の時にとった心電図は、冠動脈硬化症の早期発見にはほとんど役に立たないということです。狭心症とか心筋梗塞の診断には、発作が起こっている最中にとった心電図でなければほとんど役に立たない。胸が痛んだり、心電図に異常が出るのは、血管が4分の3くらい詰まってから。だから心電図に異常が出た時は、病気の進行がもう4分の3終わっている状態。4分の1しか残っていないということです。ですから心臓の発作らしい胸の痛みがあれば、急いで検査を受ける必要があるのです。
Q:肥満は心臓病の敵ですね?
A:そう、大きな車に小型乗用車用エンジンを載せたらどうなるかということです。例えば標準体重から20キロ増えたら、いつも20キロのリュックサックを背負っているのと同じことです。心臓は一生懸命動きます。心臓を動かすホルモン、カテコールアミンやインスリンがたくさん出て、その分心臓や血管の負担が増えます。アメリカのフラミンガムスタディでは、心臓の脈拍が少ない人の方が、心臓血管病で死亡する確率が低いという結果がでています。脈が少ないということは心臓への負担が少ないということ。人の一生の拍動の数は一定という話もあります。低血圧の人も楽をしているから長生きします。
Q:いらいらする性格の人も心臓病になりやすいと聞きますが?
A:いわゆるタイプAと呼ばれる人は、アグレッシブで血圧が高め。平均すると、そういう人は長生きしない。また不安神経症みたいに、病気を気にする人がいます。でもそんな人にのんびりしなさいといってもそれが逆にストレスになる。そういう人は、それが性に合っているのだから、それはそれでいいのです。 問題は、健康は自分でその気になって努力しなくては手に入らないということです。アメリカの心臓病学会の予防の標語は簡単です。「タバコは吸わない、太らない、歩け歩け歩け」。それだけ。特別なことは何もありません。要はやる気があるかどうかだけです。
Q:スポーツ選手の心臓は大きいそうですが、心臓病にはどうなんでしょうか?
A:スポーツ選手の心臓は、健康を維持するというレベルを超え、あくまで大きなパワーを出すための心臓です。普通の人の脈拍が60、70とすれば、彼らは普段は30、40と低い。それが120にもなるとすごいパワーを発揮する。でも日常生活には必要以上の心臓で、健康が目的ではないのだから、ややもすると早死にをする。ガソリンをたくさん食うエンジンみたいなものです。心臓を鍛えたといっても、健康を維持するために鍛えたというのとは少し違います。
Q:心臓発作時の救命には、周囲の人達が心臓マッサージや人工呼吸法を知っていることが重要ですね?
A:確かに、心臓病患者の家族に講習会を開く病院もあります。でもそんなに多くないし、心臓病の人の家族だけがやってもなかなかうまくいかない。心停止時の救命を考えるなら、一般の人が救急蘇生の勉強を組織的にやらないとだめです。アメリカでどうしてうまくいっているのかというと、高校の授業でやっているからです。繰り返し繰り返し体育の時間でやる。マスコミでもその必要性が繰り返し強調されています。
心筋梗塞の治療などは、発作後早ければ早いほどいい。例えば脳への血流が止まって3分以内に蘇生を始めなければ、脳死になってしまう。倒れてから、医者や看護婦を呼んでいては間に合わない。アメリカでは心臓死が、がんの倍くらいあって断然トップで、「発作があったらすぐ病院へ」ということが徹底されている。それが日本では、「胸が苦しいので明日、病院に行こう」なんて人がいる。すぐに病院に来れば、死亡率を半分、3分の1にできるんです。
バレーボール試合中に心臓発作で倒れて亡くなった外国人の方がいました。それをテレビで見ていたアメリカのスポーツ関係者から「だれも心臓マッサージをしていない。見殺しだ」と非難されたことがありました。アメリカではスポーツ選手が蘇生術を知らないということは考えられない。でも「日本人はそういうことをよく知らないのだ」ということで、納得したそうです。やはりこれは学校教育の一環に入れなくてはいけないと思う。
Q:タバコもよくないですね?
A:これだけタバコの害が言われているのに、喫煙率は減らない。循環器の医者の喫煙率はわりと少ないですが、医者全体の喫煙率は一般とそんなには変わらない。アメリカでは喫煙率がだいた30%くらいで、医者はその半分くらい。循環器の医者はそのさらに半分。先日、日本の循環器の医者の集まりでアンケートをとったら喫煙率が27%だった。ぼくは「さすがに循環器の医者は少ないな」と思ったが、アメリカの医者は「何でこんなに多いんだ。あなたたちは少し意識が低い」と驚いていた。若い人の心筋梗塞の危険因子は、タバコが唯一のものだから、循環器の医者はタバコの害はよく分かっています。
Q:ご自身の健康法は?
A:太らないことと歩くことくらい。タバコは35歳くらいの時、せきとたんが止まらなくなってやめました。散歩している時間などあまりないから、エレベーターを使わずに階段を上ったり、わざと遠い方の駅まで歩いたりするくらいですね。
バタフライフプログラム 〜 butterflife program 〜
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A:生活習慣病として重要なのは、まず高血圧で起きる心臓病、それから虚血性心疾患とよばれる冠動脈の病気、つまり狭心症と心筋梗塞ですね。冠動脈硬化症による病気は生活習慣病である動脈硬化の病気でもあるわけです。だから問題は、高血圧と動脈硬化をどう防ぐかということになります。どちらも、そうなりやすい体質の人となりにくい人がいて、それを加速するかしないかはその人の生活習慣によって決まるのです。
Q:心臓病による死亡が欧米に比べて少ないのはどうしてですか?
A:いくつか説があるから何とも言えませんが、まず人種が違う、生活が違う。しかし、やはり食事が大きな要因でしょう。食生活の西欧化が進めば、いずれは欧米並みになる可能性があります。例えば動脈硬化でいうと、頭の動脈硬化と心臓の動脈硬化では危険因子が違うが、心臓の場合はどちらかというと食生活、特にコレステロールが関係している。摂取カロリーも増えているから。
Q:心臓病の予防というと、運動で心臓を鍛えるというふうに考える人もいますが?
A:そういうことではありません。むしろ、動脈硬化を防ぐなど、血管にいいことをするということです。むろん適切な運動は基本的にはいいことです。問題は、事前にチェックすることが必要で、ある年代になったら人間ドックに入ることです。ジョギングの最中に心臓発作で死んだ人もおり、ジョギングをやっていい健康状態の人にとってはやった方がいいということ。ジョギングがいいか速足がいいかの議論は別にして。
Q:心電図でその辺のところが分かりますか?
A:心電図で誤解があるのは、安静の時にとった心電図は、冠動脈硬化症の早期発見にはほとんど役に立たないということです。狭心症とか心筋梗塞の診断には、発作が起こっている最中にとった心電図でなければほとんど役に立たない。胸が痛んだり、心電図に異常が出るのは、血管が4分の3くらい詰まってから。だから心電図に異常が出た時は、病気の進行がもう4分の3終わっている状態。4分の1しか残っていないということです。ですから心臓の発作らしい胸の痛みがあれば、急いで検査を受ける必要があるのです。
Q:肥満は心臓病の敵ですね?
A:そう、大きな車に小型乗用車用エンジンを載せたらどうなるかということです。例えば標準体重から20キロ増えたら、いつも20キロのリュックサックを背負っているのと同じことです。心臓は一生懸命動きます。心臓を動かすホルモン、カテコールアミンやインスリンがたくさん出て、その分心臓や血管の負担が増えます。アメリカのフラミンガムスタディでは、心臓の脈拍が少ない人の方が、心臓血管病で死亡する確率が低いという結果がでています。脈が少ないということは心臓への負担が少ないということ。人の一生の拍動の数は一定という話もあります。低血圧の人も楽をしているから長生きします。
Q:いらいらする性格の人も心臓病になりやすいと聞きますが?
A:いわゆるタイプAと呼ばれる人は、アグレッシブで血圧が高め。平均すると、そういう人は長生きしない。また不安神経症みたいに、病気を気にする人がいます。でもそんな人にのんびりしなさいといってもそれが逆にストレスになる。そういう人は、それが性に合っているのだから、それはそれでいいのです。 問題は、健康は自分でその気になって努力しなくては手に入らないということです。アメリカの心臓病学会の予防の標語は簡単です。「タバコは吸わない、太らない、歩け歩け歩け」。それだけ。特別なことは何もありません。要はやる気があるかどうかだけです。
Q:スポーツ選手の心臓は大きいそうですが、心臓病にはどうなんでしょうか?
A:スポーツ選手の心臓は、健康を維持するというレベルを超え、あくまで大きなパワーを出すための心臓です。普通の人の脈拍が60、70とすれば、彼らは普段は30、40と低い。それが120にもなるとすごいパワーを発揮する。でも日常生活には必要以上の心臓で、健康が目的ではないのだから、ややもすると早死にをする。ガソリンをたくさん食うエンジンみたいなものです。心臓を鍛えたといっても、健康を維持するために鍛えたというのとは少し違います。
Q:心臓発作時の救命には、周囲の人達が心臓マッサージや人工呼吸法を知っていることが重要ですね?
A:確かに、心臓病患者の家族に講習会を開く病院もあります。でもそんなに多くないし、心臓病の人の家族だけがやってもなかなかうまくいかない。心停止時の救命を考えるなら、一般の人が救急蘇生の勉強を組織的にやらないとだめです。アメリカでどうしてうまくいっているのかというと、高校の授業でやっているからです。繰り返し繰り返し体育の時間でやる。マスコミでもその必要性が繰り返し強調されています。
心筋梗塞の治療などは、発作後早ければ早いほどいい。例えば脳への血流が止まって3分以内に蘇生を始めなければ、脳死になってしまう。倒れてから、医者や看護婦を呼んでいては間に合わない。アメリカでは心臓死が、がんの倍くらいあって断然トップで、「発作があったらすぐ病院へ」ということが徹底されている。それが日本では、「胸が苦しいので明日、病院に行こう」なんて人がいる。すぐに病院に来れば、死亡率を半分、3分の1にできるんです。
バレーボール試合中に心臓発作で倒れて亡くなった外国人の方がいました。それをテレビで見ていたアメリカのスポーツ関係者から「だれも心臓マッサージをしていない。見殺しだ」と非難されたことがありました。アメリカではスポーツ選手が蘇生術を知らないということは考えられない。でも「日本人はそういうことをよく知らないのだ」ということで、納得したそうです。やはりこれは学校教育の一環に入れなくてはいけないと思う。
Q:タバコもよくないですね?
A:これだけタバコの害が言われているのに、喫煙率は減らない。循環器の医者の喫煙率はわりと少ないですが、医者全体の喫煙率は一般とそんなには変わらない。アメリカでは喫煙率がだいた30%くらいで、医者はその半分くらい。循環器の医者はそのさらに半分。先日、日本の循環器の医者の集まりでアンケートをとったら喫煙率が27%だった。ぼくは「さすがに循環器の医者は少ないな」と思ったが、アメリカの医者は「何でこんなに多いんだ。あなたたちは少し意識が低い」と驚いていた。若い人の心筋梗塞の危険因子は、タバコが唯一のものだから、循環器の医者はタバコの害はよく分かっています。
Q:ご自身の健康法は?
A:太らないことと歩くことくらい。タバコは35歳くらいの時、せきとたんが止まらなくなってやめました。散歩している時間などあまりないから、エレベーターを使わずに階段を上ったり、わざと遠い方の駅まで歩いたりするくらいですね。
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▼ 脳 卒 中
脳卒中とは
脳卒中には大きく、脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、一過性脳虚血発作などがあります。昔は脳出血が圧倒的に多かったのですが、食生活の改善や降圧剤の進歩などで血圧がある程度コントロールできるようになったために患者が減り、現在では脳梗塞が一番多くなっています。厚生労働省の人口動態統計をみても、脳梗塞が脳卒中の半分以上を占め、脳出血が3割くらい、残りがくも膜下出血など他の疾患となっています。脳卒中の患者は50代以上が9割以上を占め、特に脳梗塞と脳出血では男性が多いのが特徴です。
脳出血
動脈硬化などでもろくなった脳血管が、高血圧で血管壁の一部が破れて出血する病気です。めまいや頭痛などの前駆症状を伴うこともあります。突然、はげしい頭痛が起きて、意識障害、四肢麻痺(まひ)や片麻痺が伴います。脳がはれて脳ヘルニアを起こし、呼吸障害や血圧低下をきたして、数時間から数日で亡くなることもあります。夜間より日中に発作が起こることが多いようです。右脳で出血した後に左脳で出血するなどということもあり、両側で出血すると予後が悪くなります。飲酒、過労、興奮、入浴が誘因となることがあります。血圧のコントロールがよければ再発の可能性は低くなります。
くも膜下出血
脳は脳軟膜、くも膜、脳硬膜の3つの膜で覆われています。このくも膜と脳軟膜の間には血管が多数あり、この血管に動脈瘤や血管奇形があって血管壁が破れ、くも膜と軟膜の間に出血するのがくも膜下出血です。前駆症状がなく、突然はげしい頭痛とおう吐が起きます。しばらくぼんやりすることも多いですが、意識障害を起こしたり、そのまま数十分で死ぬこともあります。原因の多くが、脳動脈にこぶができている脳動脈瘤や、動脈と静脈がくっついた脳動静脈奇形です。手術ができずに社会復帰が難しいケースもけっこうあります。手術が成功しても時に脳血管痙攣(けいれん)を起こして脳梗塞になってしまうこともあります。脳出血と異なって手足がまひするようなことは少なく、男性より女性に多いのも特徴です。
脳梗塞
脳梗塞には脳血栓と脳塞栓があります。脳の動脈に動脈硬化による血管狭窄があり、血栓ができて詰まってしまうのが脳血栓で、心臓や頸部(けいぶ)動脈などにできた血栓の一部がはがれて流れ、脳の血管で詰まったのが脳塞栓です。このため、脳塞栓は脳血栓に比べて、発作が前触れもなく突然に起こることが多いのが特徴です。ところで最近、脳梗塞をアテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓、ラクナ性脳梗塞の3つに分ける新しい分類が普及しています。これは脳梗塞のリスクファクターを重視した分類となっており、より原因と治療に即した分類法といえます。動脈硬化が原因で脳や頸部の太い血管が詰まったのがアテローム血栓性で、心臓から流れてきた血の塊が脳で詰まったのが心原性、脳深部の細い血管が詰まってできた1.5センチ 以下の小さな梗塞をラクナ梗塞といいます。
脳血栓では一過性のしびれや麻痺を以前に経験していることが多く、高齢者に多いのが特徴です。半身の運動麻痺や知覚麻痺も多い。言語障害や視野障害、けいれんもあります。夜の睡眠中に多く起こり、心臓病、不整脈、急激な血圧低下、脱水による血液濃縮などが脳血栓の誘因になります。
脳塞栓では、過労や過飲が誘因となることがあり、若い人にも多く、再発しやすいという特徴があります。
一過性脳虚血発作
数分で、長くても1日以内で終わる手足のしびれなどの脱力、感覚障害、言語障害などの発作は、一過性脳虚血発作といわれ、脳血栓の前触れと言われています。この一過性脳虚血発作が繰り返し起こるようなときはすぐに医者に診てもらい、MRIなどによる検査を受けることが大切です。
発作が起きた時の注意
脳卒中の発作を起こした患者は、まず静かに水平に寝かせます。呼び掛けても反応がない、おう吐を繰り返す、呼吸が不規則、顔面蒼白などの時は動かさない方がよいのですが、できれば早急に医者に連絡して病院に運ぶことが大切です。いびきをかいたり、おう吐をする場合は、気道を確保するため、頭を低くしてあごを上げ、顔をやや横向きにし、衣類やネクタイを緩めて吐いてものどに詰まらないようにします。呼吸が止まれば当然、人工呼吸をします。
非侵襲的検査・診断が主流に
CT(コンピューター断層撮影)は、エックス線を使って脳を輪切りにして観察する装置です。かつてのCTでは、脳出血は診断できましたが初期の梗塞はできませんでした。それが最近、技術が進歩して発作直後の梗塞も診断できるようになりました。また、輪切り像だけでなく、スパイラル状に撮影して血管を立体的に描き出すCTも開発されました。
一方、磁気を使ったMRI(核磁気共鳴映像法)は、CTに比べて自由な角度の断面の映像が得られ、CTでは分からない細い血管の梗塞や脳深部の異常も観察できるという優れた特徴があります。最近ではさらに、脳内の血管を立体的に見せるMRA(核磁気共鳴血管造影)も実用化され、血管の狭窄や閉塞状態まで分かるようになりました。また、僧帽弁膜症などで心臓内に血栓がある場合などは、超音波検査を行うことでその位置が分かります。
後藤名誉教授は「CTでは解剖学的な情報が得られ、MRIではさらに脳の中の水の動きや血流など組織の機能的変化がとらえられる、といえます。現在、乳酸など脳内のさまざまな化学物質の変化を映像としてとらえる、MRS(磁気共鳴スペクトロスコピー)という新しい装置も開発されています。またSPECT(単光子放出コンピューター断層撮影)やPET(陽電子放出断層撮影)という装置を使えば脳の血流や代謝の状態を画像で見ることもできます。
いずれにせよ脳卒中の検査、診断の現場では、このような体を傷つけない非侵襲的な方法が主流になっています」と話しています。
血管造影という検査方法があります。太ももの付け根からカテーテルという管を通して造影剤を脳の血管に注入、血管内を移動する造影剤をエックス線で撮影します。血管が脳内を走っている様子がはっきりと分かるので、狭窄や塞栓の程度、破裂動脈瘤や脳動静脈奇形の位置や形などが分かります。ただし、まれに検査をすることで出血や梗塞を引き起こしてしまう危険もあり、その実施は慎重にすべきです。
日進月歩の治療法
脳卒中の病態の流れを見ると、血管が詰まる、破れる…血流が低下する…酸素が不足する…代謝が悪化する…脳に浮腫ができる…グルタミン酸が出て脳の神経細胞が障害を受ける…神経細胞が死ぬ、というプロセスをたどります。治療はこの各プロセスに対して行われるので、たいへん複雑になります。例えば、脳出血、脳梗塞の発作後は、障害を受けた組織に水分がたまって脳がむくむ脳浮腫となるので、浸透圧の高い高張液を点滴して脳浮腫を改善します。くも膜下出血や脳出血では、再出血をしないように降圧治療をします…などです。ここではいくつかのトピックスを紹介しましょう。
脳出血で入院するとCTやMRIでただちに検査をします。そして血腫をただちに除去しないと生命が危ない場合などは除去手術をします。かつては頭蓋骨を開頭、電気凝固で止血をして血腫を除去する方法が主流でしたが、最近では、CTなどで血腫の位置を確認してそこに小さな穴を開け、細い管を使って血腫を吸引し、その後、血腫を溶かす薬を注入する方法も行われています。後藤名誉教授は「大きな血腫の場合、血腫を取れば延命はできるが社会復帰は難しいことが多い。中位の血腫なら内科的治療と外科治療と変わらず、小さい血腫では内科治療がよい。このため最近は開頭する患者さんが減っています」と話しています。
脳動脈瘤が原因のくも膜下出血の場合は、再出血を予防するために開頭してすべての動脈瘤の根元をクリップで挟む方法が行われていました。しかし最近では、カテーテルで動脈瘤内に小さなコイルを入れてふさいでしまう方法が普及しています。この方がより安全で、予後もいい場合が多いようです。また、脳動静脈奇形の場合もカテーテルを使って奇形のある血管網に塞栓物質を注入する方法がとられます。
脳梗塞では血流をできるだけ早く回復させるため、血栓を溶かすことになります。大腿動脈からカテーテルを入れて閉塞動脈に溶解剤を注入して溶解させる方法もありますが、現時点では血栓溶解剤を点滴で静脈に注入する方法が主流です。欧米では、発症後3時間以内ならt-PAという血栓溶解剤が広く使われています。
後藤名誉教授は、最近の研究動向を「抗血小板薬のアスピリンやチクロピヂンは再発予防に有効とされていますが、急性期にも有効というデータが出ています。また、活性酸素は血管の内膜を障害して血栓を作りやすくしたり、脳組織を障害するということで、最近ではスカベンジャー(活性酸素捕捉剤)も治療に使います。さらに、血管を拡張し脳代謝も改善するカルシウム拮抗剤もその有効性が見直されています。虚血後のグルタミン酸が悪さをして神経細胞が死ぬので、そのグルタミン酸の受容体を抑え込む試みが世界中で行われてきました。動物実験ではうまくいっていますが、人間では成功していません。また、代謝を抑える低体温療法もありますが、感染症にかかりやすいなど問題もあります」と紹介しています。
慢性期の治療
脳卒中では再発防止とともに後遺症の改善も大切です。早期からのリハビリテーションが最も重要です。頭痛や肩こり、イライラ、うつなどの後遺症の改善には、脳の血流をよくする脳循環改善薬や精神安定薬などが使われます。高血圧が問題となっている場合には降圧剤が、血栓が問題の場合には抗血小板薬や抗凝固薬などが使用されます。
たとえば、アスピリンは血中の血小板が凝集するのを阻止する効果があり、アテローム血栓性脳梗塞の再発防止に有効とされます。ただし出血が止まりにくくなるので、抜歯とかカテーテル検査などを受けるときは注意が必要です。心原性脳塞栓の予防には、心臓に血栓ができないように抗凝固薬のワーファリンなどが使われます。抗凝固薬も出血が止まりにくくなります。脳梗塞患者の1〜2割でけいれん発作を起こす人がいるので、抗けいれん薬を処方することがあります。この薬は眠気をさそうこともあり、このような患者は車の運転は禁止です。
未来の治療法、再生医学
脳の病気の最大の問題は、神経細胞は死んだらもう再生しないと考えられていたことです。脳卒中で半身不随となった人がリハビリを行うのは、訓練によって残った神経細胞をどうにか活用して失われた機能を回復しようという試みなのです。ところが最近、脳卒中で失われた細胞を移植で復活させる夢のような研究が進められています。後藤名誉教授は「本人の骨髄から神経幹細胞を分離培養し、それを患部に入れてやると、新しい神経網が再生できる可能性が出てきました。動物レベルではうまくいっており、あと10年くらいすると実用化に向かうのではないでしょうか。この再生医学は脳卒中の真の治療法といえるでしょう」と大いに期待を寄せています。
生活習慣での予防が大切
以上脳卒中の治療についてお話ししましたが、脳卒中にならないですむことにこしたことはありません。脳卒中の半数以上は予防可能な病気なのです。脳卒中を予防するための方法とは、高血圧が脳卒中の最大の原因ですので、高血圧を予防したりコントロールするための生活習慣が特に大切となります。
そのためには一般によく知られている(1)減塩(正常血圧の人は食塩1日10g以下、高血圧の人は1日8g以下を目標)、(2)適正体重の維持(肥満している人はBMI25未満を目標)、(3)節酒(目安として正常血圧の人は日本酒換算で1日2合以下、高血圧の人は1日1合以下)が基本となります。そのほかに、(4)野菜・果物を毎日(できれば野菜は毎食、果物は1個くらい)とること、(5)乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズ)などを毎日とること、(6)大豆製品、豆類(大豆、豆乳、納豆、豆腐など)を毎日とること、(7)肉または魚のおかずを毎日とり、肉か魚を同じくらいにするか魚を多めにすることが大切なポイントです。
野菜、果物はカリウム、ビタミンC(また特に青い野菜は葉酸)、乳製品はカルシウム、大豆製品はカリウム、リノール酸、肉にはビタミンE、魚にはビタミンB12、n3系多価不飽和脂肪酸が豊富で、これらはすべて、脳卒中の予防に働くことが、動物実験のみならず、人間を対象とした追跡調査によって明らかになってきています。また、肉に多い飽和脂肪酸も、とりすぎると血中の総コレステロール値を上げ、心筋梗塞の原因となりますが、1日100g以下くらいととりすぎなければ、かえって脳出血になりにくくなることが示されています。
要は食塩のとりすぎに注意して野菜をしっかりとり、大豆製品、豆類、乳製品、肉、魚、を偏らないでバランスよくとることが重要です。「1日30種以上の食材をとる」という食生活の提言が1983年に当時の厚生省から出されていますが、この提言は食材の豊富な国だからこそ実現できる世界に誇れる提言といえます。
食生活のほかに、肥満やそれに伴う糖尿病をコントロールするために、運動不足の人は1日30分以上早足で歩いたり、エスカレーター、エレベーターを利用せず階段を使うなど、日常生活の中で少しでも身体を動かす機会を増やすことが大切です。また過剰なストレス、過労、睡眠不足、夜間の脱水も脳卒中の引き金になることが知られていますので、高血圧、心臓病のある人は特に注意が必要です。
たばこは脳卒中全体としては、心臓病に比べてその影響は大きくありませんが、くも膜下出血、脳梗塞をおこしやすくしますので、減煙、禁煙をしましょう。
検診への積極的受診で予防
脳卒中の予防のため、定期健康診断を受け、自分の身体の状況を把握することが重要ですが、2年前より厚生労働省は、従来の検査に加えて、ヘルスアセスメントといった、個人の生活習慣のチェックと改善ポイントを絞り込むための自己記入アンケートを勧めています。これによって、例えば高血圧の人に対して減塩しましょうという一般的なコメントが出るのではなく、その人の食生活をチェックして、改善すべきポイントが具体的に提示されます。例えば高血圧の人がみそ汁を1日2杯以上飲む、つけものを1日2回以上食べる、かけしょうゆをする、めん類の汁を全部飲む、野菜は毎食は食べない、乳製品は毎日食べない、大豆製品は毎日食べない、といった場合、それぞれ、みそ汁を2杯以下に、つけものを1日2回以下にまたは量を半分に、めん類の汁を残す、野菜は毎食、乳製品は毎日、大豆製品は毎日食べましょう…といったコメントが提示されます。
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ガン末期からの生還他ビデオ特集
脳卒中には大きく、脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、一過性脳虚血発作などがあります。昔は脳出血が圧倒的に多かったのですが、食生活の改善や降圧剤の進歩などで血圧がある程度コントロールできるようになったために患者が減り、現在では脳梗塞が一番多くなっています。厚生労働省の人口動態統計をみても、脳梗塞が脳卒中の半分以上を占め、脳出血が3割くらい、残りがくも膜下出血など他の疾患となっています。脳卒中の患者は50代以上が9割以上を占め、特に脳梗塞と脳出血では男性が多いのが特徴です。
脳出血
動脈硬化などでもろくなった脳血管が、高血圧で血管壁の一部が破れて出血する病気です。めまいや頭痛などの前駆症状を伴うこともあります。突然、はげしい頭痛が起きて、意識障害、四肢麻痺(まひ)や片麻痺が伴います。脳がはれて脳ヘルニアを起こし、呼吸障害や血圧低下をきたして、数時間から数日で亡くなることもあります。夜間より日中に発作が起こることが多いようです。右脳で出血した後に左脳で出血するなどということもあり、両側で出血すると予後が悪くなります。飲酒、過労、興奮、入浴が誘因となることがあります。血圧のコントロールがよければ再発の可能性は低くなります。
くも膜下出血
脳は脳軟膜、くも膜、脳硬膜の3つの膜で覆われています。このくも膜と脳軟膜の間には血管が多数あり、この血管に動脈瘤や血管奇形があって血管壁が破れ、くも膜と軟膜の間に出血するのがくも膜下出血です。前駆症状がなく、突然はげしい頭痛とおう吐が起きます。しばらくぼんやりすることも多いですが、意識障害を起こしたり、そのまま数十分で死ぬこともあります。原因の多くが、脳動脈にこぶができている脳動脈瘤や、動脈と静脈がくっついた脳動静脈奇形です。手術ができずに社会復帰が難しいケースもけっこうあります。手術が成功しても時に脳血管痙攣(けいれん)を起こして脳梗塞になってしまうこともあります。脳出血と異なって手足がまひするようなことは少なく、男性より女性に多いのも特徴です。
脳梗塞
脳梗塞には脳血栓と脳塞栓があります。脳の動脈に動脈硬化による血管狭窄があり、血栓ができて詰まってしまうのが脳血栓で、心臓や頸部(けいぶ)動脈などにできた血栓の一部がはがれて流れ、脳の血管で詰まったのが脳塞栓です。このため、脳塞栓は脳血栓に比べて、発作が前触れもなく突然に起こることが多いのが特徴です。ところで最近、脳梗塞をアテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓、ラクナ性脳梗塞の3つに分ける新しい分類が普及しています。これは脳梗塞のリスクファクターを重視した分類となっており、より原因と治療に即した分類法といえます。動脈硬化が原因で脳や頸部の太い血管が詰まったのがアテローム血栓性で、心臓から流れてきた血の塊が脳で詰まったのが心原性、脳深部の細い血管が詰まってできた1.5センチ 以下の小さな梗塞をラクナ梗塞といいます。
脳血栓では一過性のしびれや麻痺を以前に経験していることが多く、高齢者に多いのが特徴です。半身の運動麻痺や知覚麻痺も多い。言語障害や視野障害、けいれんもあります。夜の睡眠中に多く起こり、心臓病、不整脈、急激な血圧低下、脱水による血液濃縮などが脳血栓の誘因になります。
脳塞栓では、過労や過飲が誘因となることがあり、若い人にも多く、再発しやすいという特徴があります。
一過性脳虚血発作
数分で、長くても1日以内で終わる手足のしびれなどの脱力、感覚障害、言語障害などの発作は、一過性脳虚血発作といわれ、脳血栓の前触れと言われています。この一過性脳虚血発作が繰り返し起こるようなときはすぐに医者に診てもらい、MRIなどによる検査を受けることが大切です。
発作が起きた時の注意
脳卒中の発作を起こした患者は、まず静かに水平に寝かせます。呼び掛けても反応がない、おう吐を繰り返す、呼吸が不規則、顔面蒼白などの時は動かさない方がよいのですが、できれば早急に医者に連絡して病院に運ぶことが大切です。いびきをかいたり、おう吐をする場合は、気道を確保するため、頭を低くしてあごを上げ、顔をやや横向きにし、衣類やネクタイを緩めて吐いてものどに詰まらないようにします。呼吸が止まれば当然、人工呼吸をします。
非侵襲的検査・診断が主流に
CT(コンピューター断層撮影)は、エックス線を使って脳を輪切りにして観察する装置です。かつてのCTでは、脳出血は診断できましたが初期の梗塞はできませんでした。それが最近、技術が進歩して発作直後の梗塞も診断できるようになりました。また、輪切り像だけでなく、スパイラル状に撮影して血管を立体的に描き出すCTも開発されました。
一方、磁気を使ったMRI(核磁気共鳴映像法)は、CTに比べて自由な角度の断面の映像が得られ、CTでは分からない細い血管の梗塞や脳深部の異常も観察できるという優れた特徴があります。最近ではさらに、脳内の血管を立体的に見せるMRA(核磁気共鳴血管造影)も実用化され、血管の狭窄や閉塞状態まで分かるようになりました。また、僧帽弁膜症などで心臓内に血栓がある場合などは、超音波検査を行うことでその位置が分かります。
後藤名誉教授は「CTでは解剖学的な情報が得られ、MRIではさらに脳の中の水の動きや血流など組織の機能的変化がとらえられる、といえます。現在、乳酸など脳内のさまざまな化学物質の変化を映像としてとらえる、MRS(磁気共鳴スペクトロスコピー)という新しい装置も開発されています。またSPECT(単光子放出コンピューター断層撮影)やPET(陽電子放出断層撮影)という装置を使えば脳の血流や代謝の状態を画像で見ることもできます。
いずれにせよ脳卒中の検査、診断の現場では、このような体を傷つけない非侵襲的な方法が主流になっています」と話しています。
血管造影という検査方法があります。太ももの付け根からカテーテルという管を通して造影剤を脳の血管に注入、血管内を移動する造影剤をエックス線で撮影します。血管が脳内を走っている様子がはっきりと分かるので、狭窄や塞栓の程度、破裂動脈瘤や脳動静脈奇形の位置や形などが分かります。ただし、まれに検査をすることで出血や梗塞を引き起こしてしまう危険もあり、その実施は慎重にすべきです。
日進月歩の治療法
脳卒中の病態の流れを見ると、血管が詰まる、破れる…血流が低下する…酸素が不足する…代謝が悪化する…脳に浮腫ができる…グルタミン酸が出て脳の神経細胞が障害を受ける…神経細胞が死ぬ、というプロセスをたどります。治療はこの各プロセスに対して行われるので、たいへん複雑になります。例えば、脳出血、脳梗塞の発作後は、障害を受けた組織に水分がたまって脳がむくむ脳浮腫となるので、浸透圧の高い高張液を点滴して脳浮腫を改善します。くも膜下出血や脳出血では、再出血をしないように降圧治療をします…などです。ここではいくつかのトピックスを紹介しましょう。
脳出血で入院するとCTやMRIでただちに検査をします。そして血腫をただちに除去しないと生命が危ない場合などは除去手術をします。かつては頭蓋骨を開頭、電気凝固で止血をして血腫を除去する方法が主流でしたが、最近では、CTなどで血腫の位置を確認してそこに小さな穴を開け、細い管を使って血腫を吸引し、その後、血腫を溶かす薬を注入する方法も行われています。後藤名誉教授は「大きな血腫の場合、血腫を取れば延命はできるが社会復帰は難しいことが多い。中位の血腫なら内科的治療と外科治療と変わらず、小さい血腫では内科治療がよい。このため最近は開頭する患者さんが減っています」と話しています。
脳動脈瘤が原因のくも膜下出血の場合は、再出血を予防するために開頭してすべての動脈瘤の根元をクリップで挟む方法が行われていました。しかし最近では、カテーテルで動脈瘤内に小さなコイルを入れてふさいでしまう方法が普及しています。この方がより安全で、予後もいい場合が多いようです。また、脳動静脈奇形の場合もカテーテルを使って奇形のある血管網に塞栓物質を注入する方法がとられます。
脳梗塞では血流をできるだけ早く回復させるため、血栓を溶かすことになります。大腿動脈からカテーテルを入れて閉塞動脈に溶解剤を注入して溶解させる方法もありますが、現時点では血栓溶解剤を点滴で静脈に注入する方法が主流です。欧米では、発症後3時間以内ならt-PAという血栓溶解剤が広く使われています。
後藤名誉教授は、最近の研究動向を「抗血小板薬のアスピリンやチクロピヂンは再発予防に有効とされていますが、急性期にも有効というデータが出ています。また、活性酸素は血管の内膜を障害して血栓を作りやすくしたり、脳組織を障害するということで、最近ではスカベンジャー(活性酸素捕捉剤)も治療に使います。さらに、血管を拡張し脳代謝も改善するカルシウム拮抗剤もその有効性が見直されています。虚血後のグルタミン酸が悪さをして神経細胞が死ぬので、そのグルタミン酸の受容体を抑え込む試みが世界中で行われてきました。動物実験ではうまくいっていますが、人間では成功していません。また、代謝を抑える低体温療法もありますが、感染症にかかりやすいなど問題もあります」と紹介しています。
慢性期の治療
脳卒中では再発防止とともに後遺症の改善も大切です。早期からのリハビリテーションが最も重要です。頭痛や肩こり、イライラ、うつなどの後遺症の改善には、脳の血流をよくする脳循環改善薬や精神安定薬などが使われます。高血圧が問題となっている場合には降圧剤が、血栓が問題の場合には抗血小板薬や抗凝固薬などが使用されます。
たとえば、アスピリンは血中の血小板が凝集するのを阻止する効果があり、アテローム血栓性脳梗塞の再発防止に有効とされます。ただし出血が止まりにくくなるので、抜歯とかカテーテル検査などを受けるときは注意が必要です。心原性脳塞栓の予防には、心臓に血栓ができないように抗凝固薬のワーファリンなどが使われます。抗凝固薬も出血が止まりにくくなります。脳梗塞患者の1〜2割でけいれん発作を起こす人がいるので、抗けいれん薬を処方することがあります。この薬は眠気をさそうこともあり、このような患者は車の運転は禁止です。
未来の治療法、再生医学
脳の病気の最大の問題は、神経細胞は死んだらもう再生しないと考えられていたことです。脳卒中で半身不随となった人がリハビリを行うのは、訓練によって残った神経細胞をどうにか活用して失われた機能を回復しようという試みなのです。ところが最近、脳卒中で失われた細胞を移植で復活させる夢のような研究が進められています。後藤名誉教授は「本人の骨髄から神経幹細胞を分離培養し、それを患部に入れてやると、新しい神経網が再生できる可能性が出てきました。動物レベルではうまくいっており、あと10年くらいすると実用化に向かうのではないでしょうか。この再生医学は脳卒中の真の治療法といえるでしょう」と大いに期待を寄せています。
生活習慣での予防が大切
以上脳卒中の治療についてお話ししましたが、脳卒中にならないですむことにこしたことはありません。脳卒中の半数以上は予防可能な病気なのです。脳卒中を予防するための方法とは、高血圧が脳卒中の最大の原因ですので、高血圧を予防したりコントロールするための生活習慣が特に大切となります。
そのためには一般によく知られている(1)減塩(正常血圧の人は食塩1日10g以下、高血圧の人は1日8g以下を目標)、(2)適正体重の維持(肥満している人はBMI25未満を目標)、(3)節酒(目安として正常血圧の人は日本酒換算で1日2合以下、高血圧の人は1日1合以下)が基本となります。そのほかに、(4)野菜・果物を毎日(できれば野菜は毎食、果物は1個くらい)とること、(5)乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズ)などを毎日とること、(6)大豆製品、豆類(大豆、豆乳、納豆、豆腐など)を毎日とること、(7)肉または魚のおかずを毎日とり、肉か魚を同じくらいにするか魚を多めにすることが大切なポイントです。
野菜、果物はカリウム、ビタミンC(また特に青い野菜は葉酸)、乳製品はカルシウム、大豆製品はカリウム、リノール酸、肉にはビタミンE、魚にはビタミンB12、n3系多価不飽和脂肪酸が豊富で、これらはすべて、脳卒中の予防に働くことが、動物実験のみならず、人間を対象とした追跡調査によって明らかになってきています。また、肉に多い飽和脂肪酸も、とりすぎると血中の総コレステロール値を上げ、心筋梗塞の原因となりますが、1日100g以下くらいととりすぎなければ、かえって脳出血になりにくくなることが示されています。
要は食塩のとりすぎに注意して野菜をしっかりとり、大豆製品、豆類、乳製品、肉、魚、を偏らないでバランスよくとることが重要です。「1日30種以上の食材をとる」という食生活の提言が1983年に当時の厚生省から出されていますが、この提言は食材の豊富な国だからこそ実現できる世界に誇れる提言といえます。
食生活のほかに、肥満やそれに伴う糖尿病をコントロールするために、運動不足の人は1日30分以上早足で歩いたり、エスカレーター、エレベーターを利用せず階段を使うなど、日常生活の中で少しでも身体を動かす機会を増やすことが大切です。また過剰なストレス、過労、睡眠不足、夜間の脱水も脳卒中の引き金になることが知られていますので、高血圧、心臓病のある人は特に注意が必要です。
たばこは脳卒中全体としては、心臓病に比べてその影響は大きくありませんが、くも膜下出血、脳梗塞をおこしやすくしますので、減煙、禁煙をしましょう。
検診への積極的受診で予防
脳卒中の予防のため、定期健康診断を受け、自分の身体の状況を把握することが重要ですが、2年前より厚生労働省は、従来の検査に加えて、ヘルスアセスメントといった、個人の生活習慣のチェックと改善ポイントを絞り込むための自己記入アンケートを勧めています。これによって、例えば高血圧の人に対して減塩しましょうという一般的なコメントが出るのではなく、その人の食生活をチェックして、改善すべきポイントが具体的に提示されます。例えば高血圧の人がみそ汁を1日2杯以上飲む、つけものを1日2回以上食べる、かけしょうゆをする、めん類の汁を全部飲む、野菜は毎食は食べない、乳製品は毎日食べない、大豆製品は毎日食べない、といった場合、それぞれ、みそ汁を2杯以下に、つけものを1日2回以下にまたは量を半分に、めん類の汁を残す、野菜は毎食、乳製品は毎日、大豆製品は毎日食べましょう…といったコメントが提示されます。
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▼ 脳卒中予防と食事
脳卒中のうちでも、特に脳梗塞は、心筋梗塞と同様に血管の動脈硬化をもとに発症します。従って、脳卒中予防は、心臓病予防と同じと考えて差し支えありません。ただし、心臓病の第一の危険因子が高脂血症であるのに対し、脳卒中での第一の危険因子としては、高血圧があげられます。
ここでは、高血圧に対する食事療法について述べます。他は、別項の心臓病予防のための高脂血症の食事療法と同様です。
1.高血圧の治療
収縮期血圧140mmHg以上または、拡張期血圧90mmHg以上の時、高血圧と診断し、治療の対象となります。
食事療法からはじめますが、目標値に達しなければ、薬物療法を加える必要があります。
2.食事療法の実際(塩分制限)
食塩の摂取量と血圧は、深く関係していることがこれまでの研究で明らかにされています。24時間の食塩摂取量は、収縮期血圧と有意に相関します。
しかし、食塩に対する血圧反応は一定でなく、食塩感受性の人と、食塩非感受性の人の居ることも明らかになりました。従って、食塩感受性の人には、7g以下の塩分制限にします。
3.食事療法の実際(カリウム)
ナトリウムとともに、カリウムに対する注意も必要です。カリウムの摂取により、利尿作用、交感神経抑制作用を介して、血圧は低下します。
この他、カルシウム、マグネシウムについても降圧効果のみられる報告もありますが一定の見解は得られていません。
4.食事療法の実際(アルコール)
アルコールを急性に負荷すると末梢血管の拡張により血圧の低下がみられますが、慢性のアルコール摂取では、多くの疫学調査から高血圧をきたすことが判明しています。
適量飲酒については見解に巾がありますが1日にビールなら1本以下、酒でも1合以下にすることが望ましいと思われます。
誰でもカンタンにスリムを実現!!知られざるヒミツの方法!
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ここでは、高血圧に対する食事療法について述べます。他は、別項の心臓病予防のための高脂血症の食事療法と同様です。
1.高血圧の治療
収縮期血圧140mmHg以上または、拡張期血圧90mmHg以上の時、高血圧と診断し、治療の対象となります。
食事療法からはじめますが、目標値に達しなければ、薬物療法を加える必要があります。
2.食事療法の実際(塩分制限)
食塩の摂取量と血圧は、深く関係していることがこれまでの研究で明らかにされています。24時間の食塩摂取量は、収縮期血圧と有意に相関します。
しかし、食塩に対する血圧反応は一定でなく、食塩感受性の人と、食塩非感受性の人の居ることも明らかになりました。従って、食塩感受性の人には、7g以下の塩分制限にします。
3.食事療法の実際(カリウム)
ナトリウムとともに、カリウムに対する注意も必要です。カリウムの摂取により、利尿作用、交感神経抑制作用を介して、血圧は低下します。
この他、カルシウム、マグネシウムについても降圧効果のみられる報告もありますが一定の見解は得られていません。
4.食事療法の実際(アルコール)
アルコールを急性に負荷すると末梢血管の拡張により血圧の低下がみられますが、慢性のアルコール摂取では、多くの疫学調査から高血圧をきたすことが判明しています。
適量飲酒については見解に巾がありますが1日にビールなら1本以下、酒でも1合以下にすることが望ましいと思われます。
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がんが日本人の死亡原因のトップとされているが、動脈硬化などによって血管が侵されて死亡するケースの方が実は多い。死因の二番目を占めているのが脳卒中だし、3番目が心臓病だ。双方に共通するのが動脈硬化による血管の病変である。この中で、一番侮れないのが脳卒中かもしれない。死に結びつくだけでなく、ぼけや寝たきりの原因になるからだ。特に問題になるのが脳梗塞。発症した場合、すぐに死亡する例よりも、からだが不自由になったり、ぼけたり後遺症が出るケースが格段に多く、それだけ介護をどうするかが大きな問題になってくる。高齢社会の到来とともに脳梗塞が増えているという。その予防と対策は―。
▼高齢社会で増加
寒い季節には、脳卒中が起きやすいとされているが、ほんとうにそうなのだろうか。確かに寒いと血管が収縮して血圧が上がり、脳出血は起こしやすくなるかもしれない。しかし最近の傾向は、必ずしも冬に脳卒中が多いとは言えないという。高血圧の予防や治療法が普及して、脳出血を起こす人がかなり減って、代わりに脳梗塞の割合が多くなってきたからだ。
東大医学部の桐野高明教授(脳神経外科教室)は「脳出血は冬に多い傾向があるが、脳梗塞はあまり季節変動がない。脳卒中の中でくも膜下出血が10%、脳出血が10から20%、脳梗塞が大体70%を占めていて、しかも脳梗塞が増加傾向にあるので、脳卒中全体でもあまり季節変動はなくなっている」と説明する。
脳卒中は、脳に酸素や栄養を送っている血管に異常が起きて、その結果、脳の働きに支障が起きた状態。脳出血やくも膜下出血は、血管が破れて出血してしまうし、脳梗塞では血管の一部分が詰まってその先に血液が流れなくなった状態だ。脳は血液が供給されないとひとたまりもない。「脳の重量は体重の2%強なのに安静時でさえ血液の15%も使っている。それほどエネルギーの消費が多い器官で、しかも厄介なことにいったんダメージを受けると元に戻りにくい」(桐野教授)という。
気になるのは、高齢社会の到来とともに脳梗塞が増加傾向にあるという点だ。脳梗塞が起きると、その部分の脳細胞は血液不足のために死んでドロドロに軟化して、やがてそこが空洞になってしまう。脳梗塞が脳軟化症という別名で呼ばれるのはこうした理由による。
▼血栓と塞栓の2タイプ
こうした脳梗塞は老化と密接に関係する。脳梗塞とひと口で言っても、発症のメカニズムの違いによって、二つのタイプに分けられるという。脳血栓の場合は、年齢とともに動脈硬化が起きて、血管の壁がボロボロになって傷つきやすくなる。傷んだ血管の内壁に血液中の血小板などが固まって付着したのが血栓だ。この血栓が厚くなってきて、血液の流れるすき間をどんどん細くする。やがてその血管の先にある脳細胞は血液不足になってくる。血流が40%まで落ちると、脳細胞の働きに支障が起こり、まったく血液が流れなくなると短時間のうちに脳細胞は破壊される。こうなったら決して元に戻ることはない。
脳血栓は、徐々に血管が詰まる病気である。だが、発症すると進行は急激だ。典型的な症例は、朝起きたときに手足のしびれに気づき、おかしいな、と思っているうちに力が入らなくなり、まひが起きてくる。翌日には、まひがひどくなり、言語障害も起こるといった具合に進行することがあるのが特徴という。
脳血栓が厄介なのは、大脳皮質などに栄養や酸素を供給している血管に血栓ができた場合は、急速に脳に障害が出てしまうケースが多い点だ。生命をとりとめても、後遺症が出て家族の介護が必要になることもしばしばある。そうなったら病人を介護する家族の負担は計り知れない。
一方、脳塞栓はどうか。ほかの場所にできた血栓の破片が血液に乗って流れ、脳の血管を詰まらせるのが脳塞栓である。最初に血栓のできる場所は、日本人の場合は、多くは心臓という。心臓病などで心臓の弁や内壁が傷ついたり、心臓の拍動が不規則になったりすると、血栓ができやすくなる。それが、何かの拍子にはがれて、脳の血管まで流れていってしまう。「飛び火」したようなものと表現する人もいるくらいだ。
だから、脳血栓は徐々にふさがるのに対して、脳塞栓は脳動脈がいきなり詰まることになるが、症状はともに急激に進行する。しかも、脳塞栓は太い動脈が詰まるため、やられる脳細胞の範囲が広く、重症のケースが多いという特徴がある。もう一つ見逃せないのは、ほかの場所に既に血栓ができているため、再び血栓の破片が流れて再発しやすいのだ。日本人は従来どちらかというと血栓の方が多いとされてきたが、塞栓タイプも増加の傾向を示している。
▼関心高まる前触れ
忘れてならないのは脳梗塞には、現在のところ発症した後では、まだ確実な治療法がない点。そこで、脳梗塞の発症の前触れに関心が集まっている。その一つが一過性脳虚血発作(TIA)と呼ばれ、半身まひや失語症など脳梗塞と同じような症状が出現し、数分から24時間以内に回復してしまう症状である。
どうしてこのような症状が出現するのだろうか。一つの理由は、首の血管にできた動脈硬化である。それが何かの拍子にはがれて、脳まで飛んでいき、小さな血管を一時詰まらせるが、やがて塞栓(はがれて飛んでいくのを塞栓という)が溶けて血流が回復する。詰まっていた間だけ、まひなどが起こり、血流が再開すると症状が消失するわけだ。
もう一つは、脳の血管に動脈硬化があって、何かの拍子に血圧がストンと下がると、血液の流れが悪くなって、同じ症状が出ることがある。血圧がすみやかに元に戻れば、回復する。二つのケースとも、回復したといっても動脈硬化がそのまま残っているわけで、やがて本格的な脳梗塞につながる可能性も否定できない。4、5年で見ると一過性脳虚血発作を起こした人の20〜50%が脳血栓で倒れており、一過性脳虚血発作を、確かではない脳梗塞の前触れと指摘する専門医も多い。
「一過性脳虚血発作を起こしたからと言って必ず脳梗塞になるわけでもない。判断は難しいところです。米国では頸動脈に70%以上の狭さくがあって、手術による合併症が3%以下の確率なら、手術をした方がいい、という報告がある。一過性脳虚血発作が起こった場合、日本では脳梗塞の予防にアスピリンや血栓溶解剤などを投与することが多いが、手術を行うことも多くなりつつある」と桐野教授は話す。
▼高血圧の治療と定期的なチェックを
だれしもぼけや寝たきりなど、老後に対する漠然とした不安を抱いている。このため、最近特に注目を集めているのが脳ドックだろう。脳ドックは日本が世界に先駆けて取り組んだ分野で、磁気共鳴診断装置(MRI)を導入する医療機関が増えたことが、脳ドック増加の大きな理由だ。7年前に発足した日本脳ドック学会の調べでは現在、全国で500施設近くが脳ドックを検診に取り入れていると推定されている。
<脳梗塞の診断に使われるMRI画像>
この脳ドックは、MRI診断と脳全体の血流を調べる脳断層血流画像診断(SPECT)、脳血管の状態を撮影するMRA検査、脳波検査などを組み合わせて総合的に診断する仕組みだ。脳ドック学会のデータでは、受診者のうち約20%から無症候性の脳梗塞が見つかっている。微小な無症候性の脳梗塞が見つかったからといって、果たして本格的な脳梗塞に結びつくのかどうか、現在のところ何とも言えない。無症候性脳梗塞が見つかって、要注意と言われてもどうしようもないという現実もある。 気になるのは何か予防法はないのかという点だろう。脳梗塞の大きな原因は動脈硬化だ。動脈硬化の大きな要因は老化だが、これはだれも防ぐことはできない。防ぐことができるとすれば高血圧がある。高血圧の人は、正常な人に比べて10年以上も早く血管の動脈硬化が進むとされており、高血圧の人は、降圧剤を使って血圧を正常に保つことが欠かせない。糖尿病や痛風、喫煙も動脈硬化を促進する。きちっとした治療を受けて、たばこをやめることが大切なことを示している。
「近親者に脳卒中や老人性の痴ほうの人がいる人は、定期的に専門の医師のチェックを受けるほか高血圧、糖尿病や痛風の人は適切な治療を受けて、それ以上動脈硬化を進行させないように心がけることが欠かせない」と慈恵医大健康医学センターの豊原敬三講師は指摘している。
高齢社会に突入した日本。加齢とともにがんや脳卒中などさらに血管病が増えるのは確実だ。豊原講師によると、現在日本では、脳の病気に対して支払われている医療費は、全医療費の2割以上を占めており、断然多い。死亡原因一位のがんに比べても、実に2倍以上の出費になるというのだ。命をとりとめてもぼけや寝たきりになるケースが多くて、それが医療費を多くしている原因らしい。
その中で脳梗塞は、死なない病気になりつつあり、それだけ病気の後の後遺症が大きな問題になってくる。介護する家族だけでなく、社会がサポートする体制も必要になっていることを示している。
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▼高齢社会で増加
寒い季節には、脳卒中が起きやすいとされているが、ほんとうにそうなのだろうか。確かに寒いと血管が収縮して血圧が上がり、脳出血は起こしやすくなるかもしれない。しかし最近の傾向は、必ずしも冬に脳卒中が多いとは言えないという。高血圧の予防や治療法が普及して、脳出血を起こす人がかなり減って、代わりに脳梗塞の割合が多くなってきたからだ。
東大医学部の桐野高明教授(脳神経外科教室)は「脳出血は冬に多い傾向があるが、脳梗塞はあまり季節変動がない。脳卒中の中でくも膜下出血が10%、脳出血が10から20%、脳梗塞が大体70%を占めていて、しかも脳梗塞が増加傾向にあるので、脳卒中全体でもあまり季節変動はなくなっている」と説明する。
脳卒中は、脳に酸素や栄養を送っている血管に異常が起きて、その結果、脳の働きに支障が起きた状態。脳出血やくも膜下出血は、血管が破れて出血してしまうし、脳梗塞では血管の一部分が詰まってその先に血液が流れなくなった状態だ。脳は血液が供給されないとひとたまりもない。「脳の重量は体重の2%強なのに安静時でさえ血液の15%も使っている。それほどエネルギーの消費が多い器官で、しかも厄介なことにいったんダメージを受けると元に戻りにくい」(桐野教授)という。
気になるのは、高齢社会の到来とともに脳梗塞が増加傾向にあるという点だ。脳梗塞が起きると、その部分の脳細胞は血液不足のために死んでドロドロに軟化して、やがてそこが空洞になってしまう。脳梗塞が脳軟化症という別名で呼ばれるのはこうした理由による。
▼血栓と塞栓の2タイプ
こうした脳梗塞は老化と密接に関係する。脳梗塞とひと口で言っても、発症のメカニズムの違いによって、二つのタイプに分けられるという。脳血栓の場合は、年齢とともに動脈硬化が起きて、血管の壁がボロボロになって傷つきやすくなる。傷んだ血管の内壁に血液中の血小板などが固まって付着したのが血栓だ。この血栓が厚くなってきて、血液の流れるすき間をどんどん細くする。やがてその血管の先にある脳細胞は血液不足になってくる。血流が40%まで落ちると、脳細胞の働きに支障が起こり、まったく血液が流れなくなると短時間のうちに脳細胞は破壊される。こうなったら決して元に戻ることはない。
脳血栓は、徐々に血管が詰まる病気である。だが、発症すると進行は急激だ。典型的な症例は、朝起きたときに手足のしびれに気づき、おかしいな、と思っているうちに力が入らなくなり、まひが起きてくる。翌日には、まひがひどくなり、言語障害も起こるといった具合に進行することがあるのが特徴という。
脳血栓が厄介なのは、大脳皮質などに栄養や酸素を供給している血管に血栓ができた場合は、急速に脳に障害が出てしまうケースが多い点だ。生命をとりとめても、後遺症が出て家族の介護が必要になることもしばしばある。そうなったら病人を介護する家族の負担は計り知れない。
一方、脳塞栓はどうか。ほかの場所にできた血栓の破片が血液に乗って流れ、脳の血管を詰まらせるのが脳塞栓である。最初に血栓のできる場所は、日本人の場合は、多くは心臓という。心臓病などで心臓の弁や内壁が傷ついたり、心臓の拍動が不規則になったりすると、血栓ができやすくなる。それが、何かの拍子にはがれて、脳の血管まで流れていってしまう。「飛び火」したようなものと表現する人もいるくらいだ。
だから、脳血栓は徐々にふさがるのに対して、脳塞栓は脳動脈がいきなり詰まることになるが、症状はともに急激に進行する。しかも、脳塞栓は太い動脈が詰まるため、やられる脳細胞の範囲が広く、重症のケースが多いという特徴がある。もう一つ見逃せないのは、ほかの場所に既に血栓ができているため、再び血栓の破片が流れて再発しやすいのだ。日本人は従来どちらかというと血栓の方が多いとされてきたが、塞栓タイプも増加の傾向を示している。
▼関心高まる前触れ
忘れてならないのは脳梗塞には、現在のところ発症した後では、まだ確実な治療法がない点。そこで、脳梗塞の発症の前触れに関心が集まっている。その一つが一過性脳虚血発作(TIA)と呼ばれ、半身まひや失語症など脳梗塞と同じような症状が出現し、数分から24時間以内に回復してしまう症状である。
どうしてこのような症状が出現するのだろうか。一つの理由は、首の血管にできた動脈硬化である。それが何かの拍子にはがれて、脳まで飛んでいき、小さな血管を一時詰まらせるが、やがて塞栓(はがれて飛んでいくのを塞栓という)が溶けて血流が回復する。詰まっていた間だけ、まひなどが起こり、血流が再開すると症状が消失するわけだ。
もう一つは、脳の血管に動脈硬化があって、何かの拍子に血圧がストンと下がると、血液の流れが悪くなって、同じ症状が出ることがある。血圧がすみやかに元に戻れば、回復する。二つのケースとも、回復したといっても動脈硬化がそのまま残っているわけで、やがて本格的な脳梗塞につながる可能性も否定できない。4、5年で見ると一過性脳虚血発作を起こした人の20〜50%が脳血栓で倒れており、一過性脳虚血発作を、確かではない脳梗塞の前触れと指摘する専門医も多い。
「一過性脳虚血発作を起こしたからと言って必ず脳梗塞になるわけでもない。判断は難しいところです。米国では頸動脈に70%以上の狭さくがあって、手術による合併症が3%以下の確率なら、手術をした方がいい、という報告がある。一過性脳虚血発作が起こった場合、日本では脳梗塞の予防にアスピリンや血栓溶解剤などを投与することが多いが、手術を行うことも多くなりつつある」と桐野教授は話す。
▼高血圧の治療と定期的なチェックを
だれしもぼけや寝たきりなど、老後に対する漠然とした不安を抱いている。このため、最近特に注目を集めているのが脳ドックだろう。脳ドックは日本が世界に先駆けて取り組んだ分野で、磁気共鳴診断装置(MRI)を導入する医療機関が増えたことが、脳ドック増加の大きな理由だ。7年前に発足した日本脳ドック学会の調べでは現在、全国で500施設近くが脳ドックを検診に取り入れていると推定されている。
<脳梗塞の診断に使われるMRI画像>
この脳ドックは、MRI診断と脳全体の血流を調べる脳断層血流画像診断(SPECT)、脳血管の状態を撮影するMRA検査、脳波検査などを組み合わせて総合的に診断する仕組みだ。脳ドック学会のデータでは、受診者のうち約20%から無症候性の脳梗塞が見つかっている。微小な無症候性の脳梗塞が見つかったからといって、果たして本格的な脳梗塞に結びつくのかどうか、現在のところ何とも言えない。無症候性脳梗塞が見つかって、要注意と言われてもどうしようもないという現実もある。 気になるのは何か予防法はないのかという点だろう。脳梗塞の大きな原因は動脈硬化だ。動脈硬化の大きな要因は老化だが、これはだれも防ぐことはできない。防ぐことができるとすれば高血圧がある。高血圧の人は、正常な人に比べて10年以上も早く血管の動脈硬化が進むとされており、高血圧の人は、降圧剤を使って血圧を正常に保つことが欠かせない。糖尿病や痛風、喫煙も動脈硬化を促進する。きちっとした治療を受けて、たばこをやめることが大切なことを示している。
「近親者に脳卒中や老人性の痴ほうの人がいる人は、定期的に専門の医師のチェックを受けるほか高血圧、糖尿病や痛風の人は適切な治療を受けて、それ以上動脈硬化を進行させないように心がけることが欠かせない」と慈恵医大健康医学センターの豊原敬三講師は指摘している。
高齢社会に突入した日本。加齢とともにがんや脳卒中などさらに血管病が増えるのは確実だ。豊原講師によると、現在日本では、脳の病気に対して支払われている医療費は、全医療費の2割以上を占めており、断然多い。死亡原因一位のがんに比べても、実に2倍以上の出費になるというのだ。命をとりとめてもぼけや寝たきりになるケースが多くて、それが医療費を多くしている原因らしい。
その中で脳梗塞は、死なない病気になりつつあり、それだけ病気の後の後遺症が大きな問題になってくる。介護する家族だけでなく、社会がサポートする体制も必要になっていることを示している。
三ヶ月で二十キロ無理なく痩せる究極の方法
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