▼ 口臭の原因・実態
口臭の大部分は口の中に原因があり、その多くは舌苔と歯周病です。全身疾患の兆候として現れる呼気経由の口臭もありますが、極めて限定的と考えて良いと思われます。口臭は自己識別が難しいこともあって、気にする人が多い一方で、強いにおいを無自覚な人も多いという社会的な健康問題となっています。
口臭の原因
口臭とは「口あるいは鼻を通して出てくる気体のうち、社会的容認限度を超える悪臭」と定義されます。すなわち、生体ガスのうち、においの質と強度が問題となります。しかし、正常な生活活動で生じるニンニク臭、ネギ臭、飲酒後のアルコール臭などの呼気臭、いわゆる生理的な臭気は「口臭」に含めないようです。
口臭の大部分(80%以上)は口腔内の気体由来であり、その主要原因物質は揮発性硫黄化合物である硫化水素(H2S)、メチルメルカプタン(CH3SH)、ジメチルサルファイド[(CH3)2S] です。その中でも硫化水素とメチルメルカプタンで約90%占めます。これら揮発性硫黄化合物は、口の内に生息している嫌気性菌が唾液、血液、剥離上皮細胞、食物残渣中の含硫アミノ酸を分解・腐敗することで産生されます。産生部位としては、辺縁性歯周炎、口内炎、壊死性軟組織疾患、口腔癌などの疾患病巣、あるいは舌苔や貯留唾液があげられます。このうち、歯周病、舌苔が原因のほとんどを占め、この両者では、舌苔からの産生量の方が多いといわれています。また、舌苔からは硫化水素の産生が多いが、歯周病患者からは高い濃度のメチルメルカプタンが検出されます。
全身疾患(代謝性疾患)由来の口臭は糖尿病、尿毒症、肝硬変、肝癌、トリメチルアミン尿症などが原因となります。肝性昏睡、肝硬変のように脂肪酸、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドと口腔由来の口臭と類似したにおいもあれば、糖尿病のアセトン臭や尿毒症のジメチルアミン、トリメチルアミンのにおいのように、嗅覚によって容易に識別できるものもあります。これら全身疾患の兆候として現れる呼気経由の悪臭は限定的なものです。
口臭の実態
厚生省(現厚生労働省)保健福祉動向調査(1999年度)によると、約3.3万人のうち約10%が「口臭が気になる」と回答しました。このデータは主観的な回答であるため、国民の10%に口臭があることを示すものではありません。口臭のように鼻周囲で常時発生するにおいは嗅覚疲労(順応)という生体反応のため、自己評価しにくくなっています。そのため、人々に不安を与える一方で、強い口臭を持つ人を無自覚にさせています。
1992年に、一般的な日本人の口臭の実態を把握するために、2,672名(15歳〜64歳)について口腔疾患、口腔環境、生活習慣などの調査と併せて口臭原因物質(揮発性硫黄化合物:VSC)測定を機器により行った結果、以下のことが報告されました。
口臭には日内変動があり、食事やうがいなど口腔活動から時間が経過するほどVSC濃度が高い。
平均VSC濃度に有意な男女差は認められない。
年齢が高いほどVSC濃度は高い傾向にあるが、VSC産生に寄与する他の要因の影響を排除すると年齢は有意でなくなる。
口臭と関連するのは舌苔と歯周病の存在であり、その強さは舌苔の方が歯周病より大きい。一方、歯垢、う蝕、歯磨き習慣、喫煙の影響はほとんどない。
口臭の自己評価と実際の口臭の有無とは相関しない。
社会的容認限度を超える強さの口臭を持つ成人は測定時間帯により6%〜23%存在する。
また、一大学病院の病院統計によると、口臭検査・診断・治療を求めて来院された患者さん(約1,000名)の約1/3が口腔内の清掃状態不良に伴う口臭(生理的口臭)、1/3が口腔内の病気(歯周病)に由来する口臭、1%強が代謝性疾患、耳鼻咽喉系疾患、呼吸器系疾患など呼気由来の口臭であり、一方、1/3が治療の必要な口臭は認められなかったと報告されました。
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口臭の原因
口臭とは「口あるいは鼻を通して出てくる気体のうち、社会的容認限度を超える悪臭」と定義されます。すなわち、生体ガスのうち、においの質と強度が問題となります。しかし、正常な生活活動で生じるニンニク臭、ネギ臭、飲酒後のアルコール臭などの呼気臭、いわゆる生理的な臭気は「口臭」に含めないようです。
口臭の大部分(80%以上)は口腔内の気体由来であり、その主要原因物質は揮発性硫黄化合物である硫化水素(H2S)、メチルメルカプタン(CH3SH)、ジメチルサルファイド[(CH3)2S] です。その中でも硫化水素とメチルメルカプタンで約90%占めます。これら揮発性硫黄化合物は、口の内に生息している嫌気性菌が唾液、血液、剥離上皮細胞、食物残渣中の含硫アミノ酸を分解・腐敗することで産生されます。産生部位としては、辺縁性歯周炎、口内炎、壊死性軟組織疾患、口腔癌などの疾患病巣、あるいは舌苔や貯留唾液があげられます。このうち、歯周病、舌苔が原因のほとんどを占め、この両者では、舌苔からの産生量の方が多いといわれています。また、舌苔からは硫化水素の産生が多いが、歯周病患者からは高い濃度のメチルメルカプタンが検出されます。
全身疾患(代謝性疾患)由来の口臭は糖尿病、尿毒症、肝硬変、肝癌、トリメチルアミン尿症などが原因となります。肝性昏睡、肝硬変のように脂肪酸、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドと口腔由来の口臭と類似したにおいもあれば、糖尿病のアセトン臭や尿毒症のジメチルアミン、トリメチルアミンのにおいのように、嗅覚によって容易に識別できるものもあります。これら全身疾患の兆候として現れる呼気経由の悪臭は限定的なものです。
口臭の実態
厚生省(現厚生労働省)保健福祉動向調査(1999年度)によると、約3.3万人のうち約10%が「口臭が気になる」と回答しました。このデータは主観的な回答であるため、国民の10%に口臭があることを示すものではありません。口臭のように鼻周囲で常時発生するにおいは嗅覚疲労(順応)という生体反応のため、自己評価しにくくなっています。そのため、人々に不安を与える一方で、強い口臭を持つ人を無自覚にさせています。
1992年に、一般的な日本人の口臭の実態を把握するために、2,672名(15歳〜64歳)について口腔疾患、口腔環境、生活習慣などの調査と併せて口臭原因物質(揮発性硫黄化合物:VSC)測定を機器により行った結果、以下のことが報告されました。
口臭には日内変動があり、食事やうがいなど口腔活動から時間が経過するほどVSC濃度が高い。
平均VSC濃度に有意な男女差は認められない。
年齢が高いほどVSC濃度は高い傾向にあるが、VSC産生に寄与する他の要因の影響を排除すると年齢は有意でなくなる。
口臭と関連するのは舌苔と歯周病の存在であり、その強さは舌苔の方が歯周病より大きい。一方、歯垢、う蝕、歯磨き習慣、喫煙の影響はほとんどない。
口臭の自己評価と実際の口臭の有無とは相関しない。
社会的容認限度を超える強さの口臭を持つ成人は測定時間帯により6%〜23%存在する。
また、一大学病院の病院統計によると、口臭検査・診断・治療を求めて来院された患者さん(約1,000名)の約1/3が口腔内の清掃状態不良に伴う口臭(生理的口臭)、1/3が口腔内の病気(歯周病)に由来する口臭、1%強が代謝性疾患、耳鼻咽喉系疾患、呼吸器系疾患など呼気由来の口臭であり、一方、1/3が治療の必要な口臭は認められなかったと報告されました。
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顎関節症の治療は、初期治療として、理学療法・スプリント療法・マイオモニター治療・薬物療法・冷罨法などの治療法があります。残念ながら、どの治療法が最も効果的であるかのエビデンスは少ないのが現状であります。
顎関節症の治療は、各施設で異なる場合が多いため、日本顎関節学会などが診療ガイドラインを作成中です。また、治療法も、医療機関受診後、最初に行われる初期治療と、それらの治療で改善されない場合の手術などの治療があります。
また、インターネットを中心に、世界的にもエビデンスが乏しい治療法を進める医療施設がもあります。さらに、顎関節症の治療にもかかわらず、顎関節の症状だけでなく、関係ない全身のいろいろな病気も改善するとの宣伝も散見されるので、注意してください。特に大きく変わる、かみ合わせの治療でかみ合わせを大きく変更する治療を行う場合は、セカンドオピニオンが大切です。ただし、このことはかみ合わせの治療を否定するものではありません。たとえば、顎関節症I型に対してスタビリゼーションスプリントの効果を示したランダム比較試験という質の高い研究もあります。
初期治療として、表のような治療法があります。残念ながら、どの治療法が最も効果的であるかのエビデンスは少ないのが現状であります。また、世界的に顎関節症I型と顎関節症III型の研究が進んでいます。
しかし、いずれの方法でも、まずどうして顎関節症としての症状が生じているのかの、病態の詳しい説明を行うことが必要です。すなわち、いろいろな似たような治療法があるため、患者にあった治療法を、医師と患者が相談しながら、その病態に合いあい実施可能な治療法を組み合わせていくことが大切だからです。また、詳しい病態の説明のみで、不安感がなくなり、それによって疼痛の程度が下がる方も多くみえます。
顎関節症の治療の、もうひとつのポイントは、日常の生活に支障のない程度まで軽減すれば治療終了となることです。違和感が、まったくなくなるまで治療を続ける必要はありません。たとえば、口を開け閉めするときに音がする場合であっても、患者本人が生活に支障をきたしてなければ、治療対象とすらならないということです。もっとも、これは、何もせずに放置するということではありません。医療機関で、顎関節症と診断され、病態の説明を受けることが重要です。
また、顎関節症は、多くの場合、予後が良い病気とされています。よって、1ヶ月ぐらい治療を継続しても改善しない場合は、その医療機関の先生と相談して、他の治療法や2次医療機関への受診などを検討することが望ましいとされています。
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また、インターネットを中心に、世界的にもエビデンスが乏しい治療法を進める医療施設がもあります。さらに、顎関節症の治療にもかかわらず、顎関節の症状だけでなく、関係ない全身のいろいろな病気も改善するとの宣伝も散見されるので、注意してください。特に大きく変わる、かみ合わせの治療でかみ合わせを大きく変更する治療を行う場合は、セカンドオピニオンが大切です。ただし、このことはかみ合わせの治療を否定するものではありません。たとえば、顎関節症I型に対してスタビリゼーションスプリントの効果を示したランダム比較試験という質の高い研究もあります。
初期治療として、表のような治療法があります。残念ながら、どの治療法が最も効果的であるかのエビデンスは少ないのが現状であります。また、世界的に顎関節症I型と顎関節症III型の研究が進んでいます。
しかし、いずれの方法でも、まずどうして顎関節症としての症状が生じているのかの、病態の詳しい説明を行うことが必要です。すなわち、いろいろな似たような治療法があるため、患者にあった治療法を、医師と患者が相談しながら、その病態に合いあい実施可能な治療法を組み合わせていくことが大切だからです。また、詳しい病態の説明のみで、不安感がなくなり、それによって疼痛の程度が下がる方も多くみえます。
顎関節症の治療の、もうひとつのポイントは、日常の生活に支障のない程度まで軽減すれば治療終了となることです。違和感が、まったくなくなるまで治療を続ける必要はありません。たとえば、口を開け閉めするときに音がする場合であっても、患者本人が生活に支障をきたしてなければ、治療対象とすらならないということです。もっとも、これは、何もせずに放置するということではありません。医療機関で、顎関節症と診断され、病態の説明を受けることが重要です。
また、顎関節症は、多くの場合、予後が良い病気とされています。よって、1ヶ月ぐらい治療を継続しても改善しない場合は、その医療機関の先生と相談して、他の治療法や2次医療機関への受診などを検討することが望ましいとされています。
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顎関節症とは、顎(あご)の関節の病気です。現時点で世界的に認められている共通な定義はありません。また、顎に関係する筋肉(咀嚼筋(そしゃくきん))による病態と、関節による病態などが混在しているため、混乱することも多いです。
顎関節症とは、顎(あご)の関節と、その顎に関連する筋肉(咀嚼筋(そしゃくきん))の病気です。現時点で世界的に認められている共通な定義はありません。顎の関節と咀嚼筋の問題が混在しているため、混乱することも多いです。
1. 定義・分類
顎関節症とは、顎の関節(顎関節(がくかんせつ))の病気です。現時点で世界的に認められている共通な定義はありません。また、顎の動きに関係する筋肉(咀嚼筋(そしゃくきん))による病態と、関節による病態などが混在しているため、混乱することも多いです。
顎関節症とは、顎の関節と、その顎に関連する筋肉(咀嚼筋)の病気です。現時点で世界的に認められている共通な定義はありません。顎の関節と咀嚼筋の問題が混在しているため、混乱することも多いです。
2. 診断基準
顎関節症の診断基準の世界的な標準は、存在しません。しかし、日本顎関節学会の診断基準など、多くの診断基準では、最初に他の疾患でないこと(除外診断)という鑑別が重要とされています。
すなわち、顎関節症と鑑別すべき顎関節疾患を理解することが、顎関節症の診断には、必要不可欠であると言えます。たとえば、破傷風(全身の感染)・化膿性顎関節炎(関節の化膿)・骨腫(骨の腫瘍)・悪性腫瘍(筋肉への腫瘍の進展)・脳疾患などがあげられます。しかし、これらの疾患の発生率は、少ないため、ポイントを的確に診断すれば、診断は容易とされています。
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顎関節症とは、顎(あご)の関節と、その顎に関連する筋肉(咀嚼筋(そしゃくきん))の病気です。現時点で世界的に認められている共通な定義はありません。顎の関節と咀嚼筋の問題が混在しているため、混乱することも多いです。
1. 定義・分類
顎関節症とは、顎の関節(顎関節(がくかんせつ))の病気です。現時点で世界的に認められている共通な定義はありません。また、顎の動きに関係する筋肉(咀嚼筋(そしゃくきん))による病態と、関節による病態などが混在しているため、混乱することも多いです。
顎関節症とは、顎の関節と、その顎に関連する筋肉(咀嚼筋)の病気です。現時点で世界的に認められている共通な定義はありません。顎の関節と咀嚼筋の問題が混在しているため、混乱することも多いです。
2. 診断基準
顎関節症の診断基準の世界的な標準は、存在しません。しかし、日本顎関節学会の診断基準など、多くの診断基準では、最初に他の疾患でないこと(除外診断)という鑑別が重要とされています。
すなわち、顎関節症と鑑別すべき顎関節疾患を理解することが、顎関節症の診断には、必要不可欠であると言えます。たとえば、破傷風(全身の感染)・化膿性顎関節炎(関節の化膿)・骨腫(骨の腫瘍)・悪性腫瘍(筋肉への腫瘍の進展)・脳疾患などがあげられます。しかし、これらの疾患の発生率は、少ないため、ポイントを的確に診断すれば、診断は容易とされています。
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▼ 歯の喪失の実態
歯の喪失の原因
歯を失う2大原因は、虫歯と歯周病で、その割合は同じくらいです。一般的に歯は奥歯から失われる傾向にあり、比較的若いうちは虫歯で失われる場合が多いのですが、残った歯が少なくなるにつれて歯周病で失われる歯が多くなります。喪失に至るリスクの高い歯は、未処置歯の虫歯、クラウン(冠)装着されている歯、部分義歯の針金がかかる歯(鈎(こう)歯)、歯周疾患が進行している歯、などです。
歯の喪失を防ぐためには、どのような原因で歯が失われていくかを知る必要があります。ここでは、抜歯直前の状態に関する調査や追跡調査から得られた主な疫学的知見を紹介します。
抜歯の原因は?
ほとんどの歯は歯科医院での抜歯処置を経て喪失に至ります。歯周病が進行して歯がグラグラになり自然に脱落する歯もありますが、歯が失われる場のほとんどは歯科医院と考えて差し支えないと思います。そこで、歯科医院で抜歯される歯の直前の状態を調べることにより、歯が失われる原因を明らかにすることができます。
歯が失われる原因で最も多かったのが「歯周病」(42%)で、以下、「虫歯」(32%)、「その他」(13%)、「破折」(11%)、「矯正」(1%)の順でした。このうち、「その他」は大半が智歯(親知らず)の抜歯で比較的若い時期に抜歯されます。また、「破折」の多くは、外傷など物理的に非日常的な大きな力が作用したものではなく、無髄歯(神経をとった歯)と考えられるので原因は「虫歯由来」とみなすことができます。
抜歯原因を年齢階級別にみますと、「歯周病」と「破折」による抜歯は中高年、「その他(多くが智歯)」と「矯正」は若い年代に多く、「虫歯」はどの年齢層でも多くなっています。
どの歯が喪失しやすいか?
まず、歯ごとの喪失状況を年齢階級別にみると、全体的に歯は奥歯から失われる傾向にあり、上あご(上顎)よりも下あご(下顎)で顕著です。たとえば下顎の第一大臼歯(六歳臼歯)に注目すると、50歳前後(45〜54歳)で既に4分の1が失われています。奥歯が失われると、その前方にある歯は、噛み合わせを支持する力が弱いので、より失われやすくなるという悪循環を生んでしまいます。いわゆる「出っ歯」の多くは、もともと歯並びが悪い場合もありますが、その多くは歯周病で、奥歯が失われて前歯にかかる負担が大きくなったために、歯が傾いてグラグラの状態になってしまった場合が多いのです。
喪失リスクの高い歯とは?
今までに行われた疫学研究をまとめますと、以下のような歯は喪失に至るリスクが高いことがわかっています。
未処置歯の虫歯
クラウン(冠)装着されている歯
部分義歯の針金がかかる歯(鈎(こう)歯)
歯周疾患が進行している歯
なお、このうち、「クラウン(冠)装着されている歯」は、この治療法そのものが喪失を高めるということではありません。この治療が施された歯は、無髄歯(神経をとられた歯)である場合が多いため歯の根の先(根尖(こんせん)部)に病変が残っていたりする場合が多いためです。虫歯が進んで神経をとったり(抜髄)・根の治療(根管治療)が行われるようになると、歯は相当のダメージを受けたことになります。このような状態に至らないようにすることが、歯の喪失を防ぐうえで非常に重要といえます。
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歯を失う2大原因は、虫歯と歯周病で、その割合は同じくらいです。一般的に歯は奥歯から失われる傾向にあり、比較的若いうちは虫歯で失われる場合が多いのですが、残った歯が少なくなるにつれて歯周病で失われる歯が多くなります。喪失に至るリスクの高い歯は、未処置歯の虫歯、クラウン(冠)装着されている歯、部分義歯の針金がかかる歯(鈎(こう)歯)、歯周疾患が進行している歯、などです。
歯の喪失を防ぐためには、どのような原因で歯が失われていくかを知る必要があります。ここでは、抜歯直前の状態に関する調査や追跡調査から得られた主な疫学的知見を紹介します。
抜歯の原因は?
ほとんどの歯は歯科医院での抜歯処置を経て喪失に至ります。歯周病が進行して歯がグラグラになり自然に脱落する歯もありますが、歯が失われる場のほとんどは歯科医院と考えて差し支えないと思います。そこで、歯科医院で抜歯される歯の直前の状態を調べることにより、歯が失われる原因を明らかにすることができます。
歯が失われる原因で最も多かったのが「歯周病」(42%)で、以下、「虫歯」(32%)、「その他」(13%)、「破折」(11%)、「矯正」(1%)の順でした。このうち、「その他」は大半が智歯(親知らず)の抜歯で比較的若い時期に抜歯されます。また、「破折」の多くは、外傷など物理的に非日常的な大きな力が作用したものではなく、無髄歯(神経をとった歯)と考えられるので原因は「虫歯由来」とみなすことができます。
抜歯原因を年齢階級別にみますと、「歯周病」と「破折」による抜歯は中高年、「その他(多くが智歯)」と「矯正」は若い年代に多く、「虫歯」はどの年齢層でも多くなっています。
どの歯が喪失しやすいか?
まず、歯ごとの喪失状況を年齢階級別にみると、全体的に歯は奥歯から失われる傾向にあり、上あご(上顎)よりも下あご(下顎)で顕著です。たとえば下顎の第一大臼歯(六歳臼歯)に注目すると、50歳前後(45〜54歳)で既に4分の1が失われています。奥歯が失われると、その前方にある歯は、噛み合わせを支持する力が弱いので、より失われやすくなるという悪循環を生んでしまいます。いわゆる「出っ歯」の多くは、もともと歯並びが悪い場合もありますが、その多くは歯周病で、奥歯が失われて前歯にかかる負担が大きくなったために、歯が傾いてグラグラの状態になってしまった場合が多いのです。
喪失リスクの高い歯とは?
今までに行われた疫学研究をまとめますと、以下のような歯は喪失に至るリスクが高いことがわかっています。
未処置歯の虫歯
クラウン(冠)装着されている歯
部分義歯の針金がかかる歯(鈎(こう)歯)
歯周疾患が進行している歯
なお、このうち、「クラウン(冠)装着されている歯」は、この治療法そのものが喪失を高めるということではありません。この治療が施された歯は、無髄歯(神経をとられた歯)である場合が多いため歯の根の先(根尖(こんせん)部)に病変が残っていたりする場合が多いためです。虫歯が進んで神経をとったり(抜髄)・根の治療(根管治療)が行われるようになると、歯は相当のダメージを受けたことになります。このような状態に至らないようにすることが、歯の喪失を防ぐうえで非常に重要といえます。
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糖尿病と歯周病は、共に、代表的な生活習慣病で、生活習慣要因として、食生活や喫煙に関与します。糖尿病は、喫煙と並んで歯周病の2大危険因子であり、一方、歯周病は、3大合併症といわれる腎症、網膜症、神経症に次いで、第6番目の糖尿病合併症でもあり、両者は密接な相互関係にあります。しかし、慢性炎症としての歯周炎をコントロールすることで、糖尿病のコントロール状態が改善する可能性が示唆されています。
糖尿病が及ぼす歯周病への影響―糖尿病の人は、歯周病になりやすい。
歯周炎は、歯肉の境目のポケット(歯周ポケット)に入り込んで繁殖した嫌気性細菌(歯周病関連細菌)の感染による慢性の炎症性疾患です。そのでき方(発症)や進み方(進行)には、遺伝的因子や環境的因子など加えて、からだの抵抗性が大きく関与しています。
したがって、糖尿病により、からだを守るマクロファージの機能低下、結合組織コラーゲン代謝異常、血管壁の変化や脆弱化(細小血管障害)、創傷治癒の遅延など起こり、歯周病の発症・進行に影響を与えます。その結果、糖尿病があると、歯周病関連細菌により感染しやすくなり、炎症により歯周組織が急激に破壊され、歯周炎が重症化していきます。
歯周病が及ぼす糖尿病への影響
歯周病関連細菌からだされる内毒素が、歯肉から血管内に入り込み、マクロファージからの腫瘍壊死因子α(tumor necrosis factor-α, TNF-α)の産生を促進します。その結果、TNF-αの亢進が、血糖値を下げる働きをもつホルモンであるインスリンをつくりにくくする(インスリン抵抗性)ことがわかっています。すなわち、慢性炎症としての歯周炎の存在により、血糖値は上昇し、糖尿病のコントロールをますます困難にし、同時に、歯周炎も進行していくという悪循環に陥ります。インスリン抵抗性に対して、からだは、なんとかしようとして、より多くのインスリンを産生しようとします(高インスリン血症)。しかし、高インスリン血症が長く続くと、インスリン産生細胞である膵β細胞が疲労困憊し、末期の糖尿病となります。
歯周病治療による糖尿病への影響
慢性炎症としての歯周炎に対する適切な治療により、糖尿病のコントロール状態をあらわず糖化ヘモグロビン(HbA1C)の改善がみられることが明らかになってきました。その機序として、歯周病治療によって、歯周炎に起因するTNF-α産生量が低下するため、インスリン抵抗性が改善し血糖コントロールが好転すると考えられています。Iwamotoらは、歯周ポケットへの積極的な歯周病治療により、1ヶ月後でHbA1C、インスリン抵抗性、血中TNF-αや歯周ポケット内の総細菌数の有意な改善が認められたと報告しています。したがって、糖尿病患者で歯周炎を伴っている場合は、早期に、歯周炎の改善を図る必要があります。
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糖尿病が及ぼす歯周病への影響―糖尿病の人は、歯周病になりやすい。
歯周炎は、歯肉の境目のポケット(歯周ポケット)に入り込んで繁殖した嫌気性細菌(歯周病関連細菌)の感染による慢性の炎症性疾患です。そのでき方(発症)や進み方(進行)には、遺伝的因子や環境的因子など加えて、からだの抵抗性が大きく関与しています。
したがって、糖尿病により、からだを守るマクロファージの機能低下、結合組織コラーゲン代謝異常、血管壁の変化や脆弱化(細小血管障害)、創傷治癒の遅延など起こり、歯周病の発症・進行に影響を与えます。その結果、糖尿病があると、歯周病関連細菌により感染しやすくなり、炎症により歯周組織が急激に破壊され、歯周炎が重症化していきます。
歯周病が及ぼす糖尿病への影響
歯周病関連細菌からだされる内毒素が、歯肉から血管内に入り込み、マクロファージからの腫瘍壊死因子α(tumor necrosis factor-α, TNF-α)の産生を促進します。その結果、TNF-αの亢進が、血糖値を下げる働きをもつホルモンであるインスリンをつくりにくくする(インスリン抵抗性)ことがわかっています。すなわち、慢性炎症としての歯周炎の存在により、血糖値は上昇し、糖尿病のコントロールをますます困難にし、同時に、歯周炎も進行していくという悪循環に陥ります。インスリン抵抗性に対して、からだは、なんとかしようとして、より多くのインスリンを産生しようとします(高インスリン血症)。しかし、高インスリン血症が長く続くと、インスリン産生細胞である膵β細胞が疲労困憊し、末期の糖尿病となります。
歯周病治療による糖尿病への影響
慢性炎症としての歯周炎に対する適切な治療により、糖尿病のコントロール状態をあらわず糖化ヘモグロビン(HbA1C)の改善がみられることが明らかになってきました。その機序として、歯周病治療によって、歯周炎に起因するTNF-α産生量が低下するため、インスリン抵抗性が改善し血糖コントロールが好転すると考えられています。Iwamotoらは、歯周ポケットへの積極的な歯周病治療により、1ヶ月後でHbA1C、インスリン抵抗性、血中TNF-αや歯周ポケット内の総細菌数の有意な改善が認められたと報告しています。したがって、糖尿病患者で歯周炎を伴っている場合は、早期に、歯周炎の改善を図る必要があります。
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