メタボリックシンドロームの改善には、まず食事療法と運動療法を行います。ただ、生活習慣の改善、体重の減量だけではよくならない糖尿病、高血圧、脂質異常症に対して効果が期待できる薬があります。
メタボリックシンドロームの治療の基本は、内臓脂肪を減少させることですが、その内臓脂肪を減らす作用の薬は国内では認可されたものがありません。現在のところ、内臓脂肪を減らすには、摂取エネルギーを減らす食事療法と、消費エネルギーを増やす運動療法が行われています。この食事と運動を中心にした生活改善をするだけで、内臓脂肪蓄積は解消されますから、メタボリックシンドロームに薬は原則として必要ないといっていいでしょう。
ただし、食事や運動だけではよくならない、糖尿病、高血圧、脂質異常症に対しては、薬で治療することも必要で、その治療薬として次のようなものがあります。
糖尿病治療薬
血糖値を安定させるメトホルミンや、インスリン抵抗性を改善するチアゾリジン誘導体に、心血管系の病気を予防する効果が認められ、メタボリックシンドロームに伴う高血糖の治療薬として期待されます。
脂質異常症治療薬
フィブラートは中性脂肪を減らし、HDLを増やすとともに、インスリン抵抗性を改善する効果があり、メタボリックシンドロームに伴う脂質異常症の治療薬として期待されます。
降圧薬
内臓脂肪蓄積によって分泌が増加するアンジオテンシノーゲンは、アンジオテンシンの働きを高めて血圧を上昇させます。そこで、アンジオテンシンの働きを妨げ血圧を下げる作用のARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)が、メタボリックシンドロームに伴う高血圧の治療薬となる可能性が考えられます。
肥満症治療薬
食欲を抑制する作用のシブトラミンやリモナバンの治験が現在進んでいます。内臓脂肪を減少させ、高血糖、高血圧、脂質異常を改善するとの報告があり、将来、メタボリックシンドロームの治療薬として期待できます。
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メタボリックシンドロームの治療の基本は、内臓脂肪を減少させることですが、その内臓脂肪を減らす作用の薬は国内では認可されたものがありません。現在のところ、内臓脂肪を減らすには、摂取エネルギーを減らす食事療法と、消費エネルギーを増やす運動療法が行われています。この食事と運動を中心にした生活改善をするだけで、内臓脂肪蓄積は解消されますから、メタボリックシンドロームに薬は原則として必要ないといっていいでしょう。
ただし、食事や運動だけではよくならない、糖尿病、高血圧、脂質異常症に対しては、薬で治療することも必要で、その治療薬として次のようなものがあります。
糖尿病治療薬
血糖値を安定させるメトホルミンや、インスリン抵抗性を改善するチアゾリジン誘導体に、心血管系の病気を予防する効果が認められ、メタボリックシンドロームに伴う高血糖の治療薬として期待されます。
脂質異常症治療薬
フィブラートは中性脂肪を減らし、HDLを増やすとともに、インスリン抵抗性を改善する効果があり、メタボリックシンドロームに伴う脂質異常症の治療薬として期待されます。
降圧薬
内臓脂肪蓄積によって分泌が増加するアンジオテンシノーゲンは、アンジオテンシンの働きを高めて血圧を上昇させます。そこで、アンジオテンシンの働きを妨げ血圧を下げる作用のARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)が、メタボリックシンドロームに伴う高血圧の治療薬となる可能性が考えられます。
肥満症治療薬
食欲を抑制する作用のシブトラミンやリモナバンの治験が現在進んでいます。内臓脂肪を減少させ、高血糖、高血圧、脂質異常を改善するとの報告があり、将来、メタボリックシンドロームの治療薬として期待できます。
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ストレスや精神疲労もメタボリックシンドロームの危険因子です。ストレスは食欲を高め、肥満をまねき、糖尿病、高血圧、脂質異常を引き起こす要因になります。ストレスになっている問題を早く解決して、規則正しい生活、十分な休養と睡眠、適度な運動を心がけることが大切です。
メタボリックシンドロームとは一見関係のなさそうなストレスや精神疲労が、実は内臓脂肪をためる一因になっていることがあります。
やけ酒とかやけ食いといわれるように、ストレスが強まったときに、むやみに飲んだり食べたりする人が少なくありません。ストレスが加わると、食欲中枢を刺激するホルモンが分泌されますので、食欲が増進するのは生理的現象ともいえます。
また、ストレスがたまるような多忙な生活は、食事時間の不規則、早食い、夜食など、内臓脂肪のたまりやすい食習慣をしばしば伴います。
精神疲労はしばしば熟睡を妨げます。睡眠不足は食欲を刺激するホルモンの分泌を高め、逆に食欲を抑制するホルモンの分泌を減少させます。睡眠不足になるような生活はまた、運動不足になりがちですから、余分なエネルギーが内臓脂肪として貯えられます。
ですから、メタボリックシンドロームの予防や改善には、ストレスや精神疲労に上手に対処することも大切です。ストレスを引き起こしている問題をできるだけ早く解決してストレスをためこまないようにし、1日3食を規則正しくとり、昼はよく働き、夜は十分な休養と睡眠をとって心身を休めるような、リズムある生活を心がけたいものです。適度な運動は、ストレス解消と内臓脂肪の改善と、一石二鳥の効果があります。
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メタボリックシンドロームとは一見関係のなさそうなストレスや精神疲労が、実は内臓脂肪をためる一因になっていることがあります。
やけ酒とかやけ食いといわれるように、ストレスが強まったときに、むやみに飲んだり食べたりする人が少なくありません。ストレスが加わると、食欲中枢を刺激するホルモンが分泌されますので、食欲が増進するのは生理的現象ともいえます。
また、ストレスがたまるような多忙な生活は、食事時間の不規則、早食い、夜食など、内臓脂肪のたまりやすい食習慣をしばしば伴います。
精神疲労はしばしば熟睡を妨げます。睡眠不足は食欲を刺激するホルモンの分泌を高め、逆に食欲を抑制するホルモンの分泌を減少させます。睡眠不足になるような生活はまた、運動不足になりがちですから、余分なエネルギーが内臓脂肪として貯えられます。
ですから、メタボリックシンドロームの予防や改善には、ストレスや精神疲労に上手に対処することも大切です。ストレスを引き起こしている問題をできるだけ早く解決してストレスをためこまないようにし、1日3食を規則正しくとり、昼はよく働き、夜は十分な休養と睡眠をとって心身を休めるような、リズムある生活を心がけたいものです。適度な運動は、ストレス解消と内臓脂肪の改善と、一石二鳥の効果があります。
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日常生活の中で積極的に体を動かす、軽めの運動を続ける、筋肉を鍛える運動をとり入れる、この3つを習慣にすることが、1日の消費エネルギーを増やし、基礎代謝を高めて、摂取エネルギーと消費エネルギーの出納を赤字にし、メタボリックシンドロームの予防や改善につながります。
メタボリックシンドロームの改善には消費エネルギーを増やし、1日のエネルギーの出納を赤字にすることが欠かせません。
そのためにはまず、日常生活の中で積極的に体を動かすこと。できるだけ乗り物は利用しないで歩く、エスカレーターやエレベーターは使わないで階段を昇る、家でも職場でも他人に用をたのまず自分でするなどの積み重ねが、内臓脂肪を減らすのに大きく役立ちます。
その上で、運動を習慣にしたいものです。ウオーキング、軽いジョギング、サイクリング、水泳など、軽めの運動で結構です。体にたまった脂肪を減らすには、息が切れるような激しい運動は不適当で、呼吸が十分できる、ややきつい程度の運動(有酸素運動)がいいのです。
運動は消費エネルギーを増やすとともに、筋肉量を増やして基礎代謝を高める効果もあります。基礎代謝が増えれば、減量のあとのリバウンドもおこりにくくなりますし、太りにくい体になります。減量を進めるとき、食事とともに運動が重要なのはこのためです。
基礎代謝を高めるには、ある程度強度のある筋肉を鍛える運動が必要です。比較的簡単にできる筋肉を鍛える運動としては、スクワット(大腿と腰の筋肉)、ヒップエクステンション(大腿と臀部の筋肉)、椅子で膝上げ(腹筋)、腕立て伏せ(腕と胸の筋肉)などがあげられます。
日常生活の中で身体活動を積極的に行う、歩くなどの軽い運動を続ける、筋肉を鍛える運動をとり入れる、この3つを習慣にすることが、メタボリックシンドロームの解消への近道です。
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メタボリックシンドロームの改善には消費エネルギーを増やし、1日のエネルギーの出納を赤字にすることが欠かせません。
そのためにはまず、日常生活の中で積極的に体を動かすこと。できるだけ乗り物は利用しないで歩く、エスカレーターやエレベーターは使わないで階段を昇る、家でも職場でも他人に用をたのまず自分でするなどの積み重ねが、内臓脂肪を減らすのに大きく役立ちます。
その上で、運動を習慣にしたいものです。ウオーキング、軽いジョギング、サイクリング、水泳など、軽めの運動で結構です。体にたまった脂肪を減らすには、息が切れるような激しい運動は不適当で、呼吸が十分できる、ややきつい程度の運動(有酸素運動)がいいのです。
運動は消費エネルギーを増やすとともに、筋肉量を増やして基礎代謝を高める効果もあります。基礎代謝が増えれば、減量のあとのリバウンドもおこりにくくなりますし、太りにくい体になります。減量を進めるとき、食事とともに運動が重要なのはこのためです。
基礎代謝を高めるには、ある程度強度のある筋肉を鍛える運動が必要です。比較的簡単にできる筋肉を鍛える運動としては、スクワット(大腿と腰の筋肉)、ヒップエクステンション(大腿と臀部の筋肉)、椅子で膝上げ(腹筋)、腕立て伏せ(腕と胸の筋肉)などがあげられます。
日常生活の中で身体活動を積極的に行う、歩くなどの軽い運動を続ける、筋肉を鍛える運動をとり入れる、この3つを習慣にすることが、メタボリックシンドロームの解消への近道です。
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3〜6ヵ月で体重の5%を減量する目標を達成するには、食事で摂取するエネルギーを運動で消費するエネルギー以下にすればいいのです。食事を減らしても栄養バランスをくずさないようにし、早食い、夜食、間食などの内臓脂肪をためる食習慣を改めましょう。
わが国では、メタボリックシンドロームに伴う肥満の多くが軽度〜中等度(BMI30未満)です。その改善には、1日の摂取エネルギーが1200〜1800Kcal程度の、比較的軽い食事制限を行います。これに運動療法を組み合わせて3〜6ヵ月のうちに、当初の体重の5%減量を目指して進めます。
たとえば体重80kgの人なら、その5%の4kgを3〜6ヵ月で減量すればいいのです。6ヵ月で行うとすれば1ヵ月に600〜700gの減量になります。脂肪組織をこれだけ減らすには、1ヵ月で摂取エネルギーを消費エネルギーより4000〜5000Kcal少なくしなくてはなりませんが、1日にすると150〜200Kcalということになります。
1日の消費エネルギーは通常、男性1800Kcal、女性1600Kcal前後ですから、摂取エネルギーをそこから10%ほど減らせばいいのです。
減量のために食事量を減らすとき、気をつけていただきたいのは、必要な栄養素が不足しないように、栄養バランスを考えることです。そのためには、食事バランスガイドなどが参考になります。
もう一つ注意していただきたいのは、肥満や内臓脂肪蓄積につながりやすい食習慣をしてはいないかです。次のようなことがあったら、ぜひ改めてください。
朝食を抜くなど不規則な食事→1日3食規則正しく
おなかいっぱい満足するまで食べる→腹八分目で切り上げる
早食いである→よく噛んで、ゆっくり食べる
寝る前に食事や飲酒をする→床につく前3時間は飲食をしない
よく間食をする→おやつは時間と量をきちっときめて
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わが国では、メタボリックシンドロームに伴う肥満の多くが軽度〜中等度(BMI30未満)です。その改善には、1日の摂取エネルギーが1200〜1800Kcal程度の、比較的軽い食事制限を行います。これに運動療法を組み合わせて3〜6ヵ月のうちに、当初の体重の5%減量を目指して進めます。
たとえば体重80kgの人なら、その5%の4kgを3〜6ヵ月で減量すればいいのです。6ヵ月で行うとすれば1ヵ月に600〜700gの減量になります。脂肪組織をこれだけ減らすには、1ヵ月で摂取エネルギーを消費エネルギーより4000〜5000Kcal少なくしなくてはなりませんが、1日にすると150〜200Kcalということになります。
1日の消費エネルギーは通常、男性1800Kcal、女性1600Kcal前後ですから、摂取エネルギーをそこから10%ほど減らせばいいのです。
減量のために食事量を減らすとき、気をつけていただきたいのは、必要な栄養素が不足しないように、栄養バランスを考えることです。そのためには、食事バランスガイドなどが参考になります。
もう一つ注意していただきたいのは、肥満や内臓脂肪蓄積につながりやすい食習慣をしてはいないかです。次のようなことがあったら、ぜひ改めてください。
朝食を抜くなど不規則な食事→1日3食規則正しく
おなかいっぱい満足するまで食べる→腹八分目で切り上げる
早食いである→よく噛んで、ゆっくり食べる
寝る前に食事や飲酒をする→床につく前3時間は飲食をしない
よく間食をする→おやつは時間と量をきちっときめて
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メタボリックシンドロームの改善には、体重のたった5%を減量するだけでOKです。それだけで、内臓脂肪は減りますし、高血糖、高血圧、脂質異常も改善し、アディポサイトカインの分泌も正常になります。この減量のためには、食事と運動を中心にした生活改善が欠かせません。
メタボリックシンドロームを引き起こすおおもとの原因は内臓脂肪蓄積です。たまった内臓脂肪から放出される脂肪が増加するために脂質異常をおこし、内臓脂肪から分泌されるアディポサイトカインの分泌異常をきたすために、血糖が増加したり、血圧が上昇して、動脈硬化の危険が高まるのです。
そして、この内臓脂肪蓄積を引き起こす最大の原因が、過食と運動不足であることは間違いのない事実です。ですから、メタボリックシンドロームを改善ないし予防するには、過食と運動不足を解消して、内臓脂肪を減らすことが大切なのです。過食になりがちな食生活を改めて、積極的に体を動かし適度な運動を日常生活にとりいれる、この2点がメタボリックシンドローム改善の柱になります。
さいわい、内臓脂肪は皮下脂肪に比べて、増加しやすいけれど減りやすいという特徴があります。食事量を減らすだけでも、運動量を増やすだけでも、比較的容易に減少していきますが、この二つを併せて行うのがより効果的です。
メタボリックシンドロームの改善にはそれほど厳しい目標設定は必要ありません。現体重の5%を、3〜6ヵ月かけて減量するだけで十分なのです。標準体重まで無理に減量することはありません。たとえば体重80kgの人であれば5%の4kgを、3〜6ヵ月で減量すればいいのですから、1ヵ月に1kg減らせば十分です。それだけで、血糖、血清脂質、血圧の値も、アディポサイトカインの分泌も改善され、内臓脂肪も減って、メタボリックシンドロームの危険を回避する目的が達成できるのです。
この目標を確実に達成するために、現在のメタボリックシンドロームの状態が、今はなんともなくても、動脈硬化の危険度が高い状態にあり、これを改善することが重要であることを、よく認識していただきたいものです。
アディポサイトカインあでぃぽさいとかいん
脂肪組織由来生理活性物質
脂肪細胞から産生・分泌されるさまざまな生理活性物質の総称。内臓脂肪がたまると、その分泌調節不全をきたします。
脂肪細胞を顕微鏡で見ると、中性脂肪をたくわえ、核やミトコンドリアなど細胞の働きに重要な小器官が隅に押しやられています。このため、脂肪細胞は脂肪をためこんでは必要に応じて分解産物であるFFA(遊離脂肪酸)やグリセロールを放出している単なるエネルギー貯蔵庫とみなされてきましたが、これはまったくの誤解で、体の機能調節に重要な生理活性物質を活発に産生・分泌している人体最大の内分泌臓器であることが明らかにされています。
「アディポ」は脂肪、「サイトカイン」は生理活性物質を意味し、アディポサイトカインは脂肪細胞から分泌されるその多彩な生理活性物質の総称です。
アディポサイトカインには悪玉物質と善玉物質があり、悪玉には血栓をつくりやすくするPAI-1、インスリン抵抗性を起こすTNF−α、レジスチン、血圧を上げるアンジオテンシノーゲン、レプチンなどが、また善玉にはインスリン抵抗性を改善し、動脈硬化を防ぐアディポネクチンがあります。
内臓脂肪の蓄積は、これらのアディポサイトカインの産生・分泌に異常をきたし、血液中の悪玉物質が増加する一方、善玉物質の血中濃度を低下させることで、動脈硬化を直接的に促進し、また糖尿病をはじめとする生活習慣病のリスクを高めるのです。
血清脂質けっせいししつ
血液中に含まれる脂質。中性脂肪、コレステロールなどがあり、そのバランスが崩れると動脈硬化を促進します。
血液から赤血球や白血球などの血球成分を取り除いたものを血清といい、血清に含まれる脂肪が血清脂質です。血清脂質はコレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸などからなります。
コレステロールは細胞をつくる重要な構成成分であるほか、ホルモンや胆汁酸の材料にもなります。また、中性脂肪は必要に応じて分解されてエネルギーとして利用される一方、余分なエネルギーが生じた際、その余剰分が中性脂肪につくり替えられて、皮下脂肪や内臓脂肪として貯蔵されます。細胞膜は「リン脂質の二重膜」ともいわれ、細胞はリン脂質なくしては正常な活動を営むことができません。
このように、体にとって重要な働きをしている血清脂質ですが、血液中におけるバランスが崩れると、動脈硬化の原因になります。悪玉のLDLコレステロールが多すぎると血管壁にたまって動脈硬化を進めますし、中性脂肪が多すぎると小粒子高密度LDL(スモールデンスLDL)の増加が起こり、悪玉LDLの性質をより悪玉に変える一方、善玉のHDLコレステロールを減らすなど、これらも動脈硬化を促進する原因になります。
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メタボリックシンドロームを引き起こすおおもとの原因は内臓脂肪蓄積です。たまった内臓脂肪から放出される脂肪が増加するために脂質異常をおこし、内臓脂肪から分泌されるアディポサイトカインの分泌異常をきたすために、血糖が増加したり、血圧が上昇して、動脈硬化の危険が高まるのです。
そして、この内臓脂肪蓄積を引き起こす最大の原因が、過食と運動不足であることは間違いのない事実です。ですから、メタボリックシンドロームを改善ないし予防するには、過食と運動不足を解消して、内臓脂肪を減らすことが大切なのです。過食になりがちな食生活を改めて、積極的に体を動かし適度な運動を日常生活にとりいれる、この2点がメタボリックシンドローム改善の柱になります。
さいわい、内臓脂肪は皮下脂肪に比べて、増加しやすいけれど減りやすいという特徴があります。食事量を減らすだけでも、運動量を増やすだけでも、比較的容易に減少していきますが、この二つを併せて行うのがより効果的です。
メタボリックシンドロームの改善にはそれほど厳しい目標設定は必要ありません。現体重の5%を、3〜6ヵ月かけて減量するだけで十分なのです。標準体重まで無理に減量することはありません。たとえば体重80kgの人であれば5%の4kgを、3〜6ヵ月で減量すればいいのですから、1ヵ月に1kg減らせば十分です。それだけで、血糖、血清脂質、血圧の値も、アディポサイトカインの分泌も改善され、内臓脂肪も減って、メタボリックシンドロームの危険を回避する目的が達成できるのです。
この目標を確実に達成するために、現在のメタボリックシンドロームの状態が、今はなんともなくても、動脈硬化の危険度が高い状態にあり、これを改善することが重要であることを、よく認識していただきたいものです。
アディポサイトカインあでぃぽさいとかいん
脂肪組織由来生理活性物質
脂肪細胞から産生・分泌されるさまざまな生理活性物質の総称。内臓脂肪がたまると、その分泌調節不全をきたします。
脂肪細胞を顕微鏡で見ると、中性脂肪をたくわえ、核やミトコンドリアなど細胞の働きに重要な小器官が隅に押しやられています。このため、脂肪細胞は脂肪をためこんでは必要に応じて分解産物であるFFA(遊離脂肪酸)やグリセロールを放出している単なるエネルギー貯蔵庫とみなされてきましたが、これはまったくの誤解で、体の機能調節に重要な生理活性物質を活発に産生・分泌している人体最大の内分泌臓器であることが明らかにされています。
「アディポ」は脂肪、「サイトカイン」は生理活性物質を意味し、アディポサイトカインは脂肪細胞から分泌されるその多彩な生理活性物質の総称です。
アディポサイトカインには悪玉物質と善玉物質があり、悪玉には血栓をつくりやすくするPAI-1、インスリン抵抗性を起こすTNF−α、レジスチン、血圧を上げるアンジオテンシノーゲン、レプチンなどが、また善玉にはインスリン抵抗性を改善し、動脈硬化を防ぐアディポネクチンがあります。
内臓脂肪の蓄積は、これらのアディポサイトカインの産生・分泌に異常をきたし、血液中の悪玉物質が増加する一方、善玉物質の血中濃度を低下させることで、動脈硬化を直接的に促進し、また糖尿病をはじめとする生活習慣病のリスクを高めるのです。
血清脂質けっせいししつ
血液中に含まれる脂質。中性脂肪、コレステロールなどがあり、そのバランスが崩れると動脈硬化を促進します。
血液から赤血球や白血球などの血球成分を取り除いたものを血清といい、血清に含まれる脂肪が血清脂質です。血清脂質はコレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸などからなります。
コレステロールは細胞をつくる重要な構成成分であるほか、ホルモンや胆汁酸の材料にもなります。また、中性脂肪は必要に応じて分解されてエネルギーとして利用される一方、余分なエネルギーが生じた際、その余剰分が中性脂肪につくり替えられて、皮下脂肪や内臓脂肪として貯蔵されます。細胞膜は「リン脂質の二重膜」ともいわれ、細胞はリン脂質なくしては正常な活動を営むことができません。
このように、体にとって重要な働きをしている血清脂質ですが、血液中におけるバランスが崩れると、動脈硬化の原因になります。悪玉のLDLコレステロールが多すぎると血管壁にたまって動脈硬化を進めますし、中性脂肪が多すぎると小粒子高密度LDL(スモールデンスLDL)の増加が起こり、悪玉LDLの性質をより悪玉に変える一方、善玉のHDLコレステロールを減らすなど、これらも動脈硬化を促進する原因になります。
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